俺らでジオウを神作にする! 作:鳴滝の■■
「う~ん。悪くはありませんが、折角ボディが返って来たというのに移動時間の大半をこれで過ごすと言うのは退屈ですね。どうです?この機会に車の免許でもとってみれば?」
「そう言うなら自分の足で走れ。お前ならこのバイクより速く走れるだろう?」
それは突然の事だった。
これまでの戦いを経て、自身がアナザーファントムやジオウと劣っている……それは最近手に入れたディケイドウォッチを以てしても埋めることの出来ない大きな溝があることを自覚したゲイツがひたすら自主トレを行っていると、ひょっこりと現れたファムが出掛けようと彼を引っ張り出したのだ。
「それより俺をドライブやその仲間達が激戦を繰り広げた場所とやらに連れ回して何が目的だ?」
「この私がドライブの素晴らしさを噛み締めている間に貴方達がドライブの力を奪わないように監視しているのです!」
目的は移動の足と監視らしい。
「何故、俺ばかりに構う。ジオウはいいのか?」
「だって。今の私じゃあジオウには勝てませんから。だからいっーぱいドライブの良さを味わって進化する必要があるのです」
「進化?」
「あっ、知らないですか?私の種族であるロイミュードは感情の高ぶりによって、より強い自分に進化することが出来るのです」
これが証拠ですよーと、様々なロイミュード進化シーンを見せながら他のアナザーファントムと自身のパラメーターを比較して見せるファム。
彼女のパラメーターの数値は何故か他と比べて大きく劣っていた。
「そもそも私って進化態になってからが本番みたいな所がありまして、この形態だとそこまで強くないんですよね。あくまでこっちは雛型とでも言いましょうか。進化態になるまでの取り敢えずの姿でしかないんですよ」
それを聞いて恐ろしいことだとゲイツは思う。
何せファムとは直接対決こそしたことはないものの、彼女の力を取り込んだアナザーライダーと間接的に戦った事があるからだ。
あの時は中身の人間が腑抜けだったから助かったが、あのまま戦っても異常な回復能力を突破して倒しきれるビジョンはゲイツには浮かび上がらなかった。
「だがその状態でも俺なら対処は可能だと」
同時に今のジオウなら倒せたのだと悟る。
「え?……あぁ~ゲイツ君はそういうの気にしちゃいますぅ?」
「口調が……いや、俺の弱さは俺が一番理解している。まだ完全でないというお前にさえ俺は劣っているんだ」
「う-ん。そこは「バカにしているのかー!」と突っかかってくる所だと思いますが、随分ナイーブですね。前回は(主に私のサポートのお陰で)大活躍だったからそれでいいじゃないですか」
「……あれは攻撃を与えた側から回復していた。相手が降参したからよかったが、長期戦ともなれば分が悪くなっていたこちらの方だろう」
冷静に、そして陰りのある表情でそう呟くゲイツ。
う~ん。とファムは唸った。
彼女のデータによれば、〈煽り耐性の低い〉ゲイツが、このレベルの煽りにすら乗ってこないとなると相当重症である。
これは、よほど堪えているといった感じだ。
『モデル:ドライブ 109から主へ提案 観察保護対象ゲイツのメンタル面での異常を確認。原因→ジオウ、他の個体との力量差に劣等感を感じているからだと断定。ゲイツリバイブの封印処置の限定解除を願います』
もしも彼女に心があれば、ここで励ましの言葉か、あえての煽り言葉の一つでも投げ掛けていたのだろうが、あくまで彼女の行動原理は明光院ゲイツに好かれるようにとプログラムで編まれたAIによるもの。
鳴滝(息子)が作成したAIは人にロボットであることを悟られないほど高度なものであったが、急造の為かこういったイレギュラーにはめっぽう弱く、余計なバックパックは積まれていない。故に無理に答えを出そうと演算を重ねて……回路がこじれる前に鳴滝(息子)へヘルプを出すようにプログラムされていた。
『はぁい!シン仮面ライダーの世界からイッチや。今日は2号君のブーツにこっそり細工をして、ライダーキック!すると対象のプラーナが暴走し、大爆発が起こすという古き良き『火薬で地形変えてやりゃ!』の概念をこの世界にも取り入れていきたいと思うで!あ、前もって言っておくとこの世界は映画後の話やからまだ観てないって人はブラウザバックをおすすめするで~……よし!ほんじゃあヤモリオーグと戦う所から始めていきましょうか!』
……のだが、生憎と鳴滝(息子)は別件で忙しいらしい。
回路が熱を持って、ギギギと嫌な音を立てるのを感じる。
この瞬間、主を頼ることが出来ないのなら自己解決してしまおうと考えた彼女だが、無理な演算で大きな負荷を掛けてしまった。
「…………次は怪盗アルティメイトルパンが誕生した場所にしましょうか」
このままでは不味いと判断したファムは問題を一旦保留にして、明光院ゲイツに好感を持たれるという命令と進化態になるという命令の優先順位を入れ換えることにした。
(でも、何かモヤモヤする気がします……なんでだろ?)
極めて合理的な判断であるが、何となくしっくりこなかった。
301:鳴滝の息子
……ん?
何か別パソでこの前やった特別編の自動編集してたらファムちゃんから通信があったみたいや。
かけ直して来ないってことはそれほど重要ではないのかもしれんけど、ここら辺でゲイツ君視点に行っちゃうか?
302:俺らでジオウを神作にする
ファムちゃんからなのにゲイツ視点なの?
303:俺らでジオウを神作にする
もしかして二人一緒にいる?
304:俺らでジオウを神作にする
また何かやらかしたんか……
305:俺らでジオウを神作にする
ゲイツと一緒にいる感じか
306:俺らでジオウを神作にする
ええと思うで
307:俺らでジオウを神作にする
たまに忘れそうになるけど、ドライブ担当のファムちゃんが何をしているのか気になる
308:俺らでジオウを神作にする
ドライブ編後も一緒にいるとなるとイッチとしてはファムちゃんはゲイツのヒロイン枠なのかな?
309:俺らでジオウを神作にする
そういや今まで次の章まで持ち越したアナザーファントムって居なかったけど、ファムちゃんって特別なのか?
それとも泊さんが続投だから出てきた感じ?
310:俺らでジオウを神作にする
イッチよ。ファムちゃんは退場させずに本人の自由意思に任せてる感じなのか?
311:鳴滝の息子
>>310
そうやな。
今のところ、ワイもどう扱ったらいいか計りかねてるから必要最低限の線引きだけして、ずっと下界に下ろしてる感じ。
ゲイツとの仲が上手いこと行きそうなら後押しするかもだけど、今のままなら龍騎編辺りで回収することになりそうやな。
312:俺らでジオウを神作にする
ほぉ
313:俺らでジオウを神作にする
よかった。つまり絶版にはされないんだな
314:俺らでジオウを神作にする
やっぱりファムちゃんは特別なのか
315:俺らでジオウを神作にする
正直意外。イッチの事だから理不尽に破壊とかすると思ってた
316:鳴滝の息子
まぁそんな訳で。
『ハハハ……まさかお前がディケイドの力を持っていたとはな。成る程……どうりで敵である筈の奴らがアナザーファントムという破格の護衛を付けるわけだ。……奪わなかったのは手に余ると感じたからか?ハハハハハハ!!!だが俺は違うぞ!素晴らしい!この力さえあれば俺は全てを手に入れる事が出来る!!!!』
……と、ありゃ。
いつの間にやらアナザーディケイドが誕生してますやん。
どうやらゲイツ君のディケイドウォッチは奪われてしまったみたいやな。
317:俺らでジオウを神作にする
あちゃー
318:俺らでジオウを神作にする
ファムちゃん護衛してたんか……そんで失敗したのかい!
319:俺らでジオウを神作にする
ごとき氏にしては賢い
320:俺らでジオウを神作にする
でもこれ、百パーではないんじゃない?
321:俺らでジオウを神作にする
何でごとき氏ごときにファムちゃんがやられるねんって思ったけど……まぁファムちゃんだしな
322:俺らでジオウを神作にする
これって普通のアナザーディケイドでは?
323:俺らでジオウを神作にする
もしかして原作のアナザーディケイドが他のアナザーライダーに比べて頭一つ突き出てたのって百パーだったからなのかな?
単純に中身のごとき氏が強かったのもあると思うけど
324:俺らでジオウを神作にする
ファムちゃんどこ行った?
ゲイツはいるようだが……
325:鳴滝の息子
『クソッ……おい!しっかりしろ』
『……命令…優先事コ……ギギ自動修復…………カイ、カイ、カイ』
そんでファムちゃんはやられた……みたいやな。
コアの方はヒビが入ってるぐらいだけど、ボディの方が完全にイカれてる。
『アナザーファントムですら最早恐れるに足らぬ!このまま貴様らライダーやアナザーファントムも根絶やしにし、俺が世界の王となるのだ!』
『黙れッ!お前のようなやつに王になどなられてなるものか!』
ゲイツは比較的軽傷みたいで、仮面ライダーゲイツに変身。だけどディケイドウォッチ以外に持ち合わせていなかったのかアーマーは纏っていない。
「お前では話にもならん。常磐ソウゴを連れてこい」
男は何時だって敗北者であった。
社会を壊され、友を奪われ、本当の戦う理由を失くし、それでも何かが変わる筈だと希望を夢に我武者羅に走り続け、後から来た走者に邪魔だと場外に弾き飛ばされる。
どこまでも世界は残酷で。しかし希望の光がないわけではないと、常磐ソウゴが示すものだから行き場のない怒りに身を焦がされる。
「俺は……弱い」
わざわざそう言葉にするまでもない。
スウォルツの言う通り、再変身を果たしたゲイツは全く相手にはならなかった。
自主トレの成果か、瞬殺されるということはなかったが、五十歩百歩といった所だった。
このまま立ち向かっても、ゲイツにはどうしようもない。
ならば逃げてしまうのか?
生存本能が訴える。
そうだ。やつはディケイドの力を手に入れて浮かれている。少し前に仲間に勧誘されたが、実際に拳を交えてみて"弱過ぎる"ゲイツの強さを実感したスウォルツは逃げた彼に頓着しないだろう。
逃げて、どうするか?
ジオウだ。アイツは人が良いからきっと助けを乞えば助けてくれる。それに剛や泊進之介だっているのだ。
「…………」
ゲイツは逃げる為に腰を上げた。
―ここでお前の力を借りるようでは、どのみち世界など救えやしない―
そこでゲイツの脳裏にはどこまでも身勝手なエゴで、ジオウに刃を向けた自身の姿が過った。
(あの事については……ちゃんと謝らないとな)
もう戦うなと言った相手に助けてくれというのは戦士以前に人として終わっている。
あの時、ベルトを捨てるべきだったのは自分ではないかとゲイツは苦笑した。
そして倒れたファムを担いで立ち上がる。
「あぁ……逃げるのなら見逃してやるが、そいつは置いていけ」
「は?」
「俺も愚かではない。この力が想像以上であったとは言え、このままオーマジオウに勝てるとは思っていない。ならばどうするか…………オーラ曰く、一時はオーマジオウに拮抗して見せたというアナザーファントムの技術を奪い、より高みを目指すのだ」
それにライドウォッチからアナザーディケイドを産み出せたとはいえ、スウォルツが本当に欲しかったのは百パーセント力を引き出したアナザーディケイドの力だ。
まだまだ自分には成長の余地がある。
限界まで高めれば、きっとオーマジオウを倒せる……倒せなくともウォッチで力を強奪する隙ぐらいは作れるだろうと高をくくったスウォルツは二人を見下げた。
「…………チッ」
「どうした?まさかそんなガラクタの為に命を捨てるとは言わないよな?」
どうせ立ち向かっても自分には勝てないのだ。なのに何故迷うのかとスウォルツからしたら不思議であった。
「女であるからか?そいつはロイミュードが元になっているから見た目に惚れたのならばコピー元を探してみればいいのではないか?」
まだ迷っている様子のゲイツ。
まさか本気で化け物に惚れたのかとスウォルツは笑いそうになったが、そう言えば俺が明光院ゲイツを狙った不意打ちはあのアナザーファントムが庇ったお陰で助かったことを思い出す。
「成る程……助けてもらった恩ゆえに。というわけか」
自分は気にしないが、尺度の小さい凡人とはそういうつまらない忖度に囚われるのだとスウォルツは知っていた。
「俺は寛大だ。今からそいつの力を取り込むが、お前がどれだけ抵抗しても罪には問わないでやろう」
ニヤリと邪悪に笑う。
それがこの行動は彼の慈悲から来るものではなく、大切な誰かが自分の腕の中で失くなっていく絶望をゲイツに味あわせてやろうという嗜虐心から来るものであるのは明らかだった。
326:俺らでジオウを神作にする
オイオイオイオイ
327:俺らでジオウを神作にする
はい!ギルティ!
328:俺らでジオウを神作にする
胸糞悪い
329:俺らでジオウを神作にする
そっか。ファムちゃんはゲイツを庇ったのか……
330:俺らでジオウを神作にする
お前っ!ゲイツがライダーになったのは友を奪われた怒りからなのに、またゲイツから奪うのか
331:俺らでジオウを神作にする
流石、ごとき氏。
332:俺らでジオウを神作にする
そういや、今回全員出るって言ってたよな?
今がその時じゃないか?
333:俺らでジオウを神作にする
はい性格悪い~永夢先生にご指導受けろ~
334:俺らでジオウを神作にする
こうなったらコアだけ抜き取って逃げるしかねぇ!
335:俺らでジオウを神作にする
仮にもアナザーライダーより強いと触れ込みの……実際、各作品のラスボスクラスはあるアナザーファントムのファムちゃんがごとき氏に負けたってのが信じられないけど、倒れたのは……わざとってのは期待し過ぎか?
336:鳴滝の息子→コピー体
『俺は』
『ギギ……ガガ…ボディ修復……中……』
『さて、ここからどこまで成長するのか』
楽しみだ。とスウォルツ氏がファムちゃんに手を伸ばす。
ゲイツはそれに何もすることが出来ないまま……受け入れることしか出来なかった。
「あ、ぁぁ………」
「フハハハハハハ!!!!!」
肩に背負った重みがなくなり、呆然となるゲイツとファムのボディを取り込んだことにより力の高まりを感じるスウォルツは高笑いする。
「ハァ……何てことをしてくれたんだい。君は」
「ほぉ、今さら来たのか。それに門矢士も」
まさに絶対絶命。
そこに現れたのは英志君をおんぶしたワイと、ディケイドに変身した海東大樹であった。
337:俺らでジオウを神作にする
いつの間に!?
338:俺らでジオウを神作にする
ここでイッチがきた!
339:俺らでジオウを神作にする
うわっ!いつの間にかコテハンがY氏に変わってる
340:俺らでジオウを神作にする
ヨシキタ!
341:俺らでジオウを神作にする
ぶっ飛ばしたれ!
342:俺らでジオウを神作にする
まさに、降臨、満を持して
343:俺らでジオウを神作にする
二人とも中身は違うけど、
本来宿敵である鳴滝と士が横に並んでる……これは熱いぜ!
344:俺らでジオウを神作にする
イッチの戦闘見れる?
フータロス先輩はいないみたいだけど
345:俺らでジオウを神作にする
他にメンバーはいないが、
これって海東が急遽仲間になったから今回は二人だけにしようって路線変更したのかな?
346:俺らでジオウを神作にする
ひゅー!ラスボス合戦が始まるぜ
347:俺らでジオウを神作にする
う……ん。ゲイツにはここで覚醒して欲しかったが、無理だったかぁ
本編でも強化アイテムは全部貰いもんだったし、やっぱりソウゴとは違って自力覚醒は無理そうなのかな
348:俺らでジオウを神作にする
今ここに平成最後のラスボスを決める戦いが始まる
349:俺らでジオウを神作にする
ディケイド編なのに、まだ出てこない士
350:俺らでジオウを神作にする
英志君を連れてきたってことは泊さんも来る!?
これは胸熱展開の予感!!!!
あ、攻撃が来る。
それも当たりどころが悪ければ自分ですら致命傷となる一撃が。
でも大丈夫、この角度なら私には当たらない。
このまま私が知らんぷりしていれば、犠牲となるのはゲイツ君だ……
ギギ……どうしてだか、それは嫌だなと私は思った。
危険!危険!危険!
保護対象ゲイツを最適に守護出来る段階は過ぎている。
この状態から対象を守護する方法は自身が致命傷を受ける他ない。
109の至上命令は進化態へ到達することだ。
保護対象ゲイツの生命は諦めるべきだ。
オリジナル・ドライブの影響は過分に受けている。今さら活動を放棄するのはあまりに愚かである。後少しで進化態になれr………………うるさいなぁ。
ギギギギ……パキン
『ハッピーバースデイ!君は心を手に入れた!』
あぁ……これがあの方が言っていた心なのか。
事前に録音していた物なのか、鳴滝(息子)からの祝福が流れ、論理的ではない自らの行動に納得をつける彼女。
私、ゲイツのことを好きになったのかな?
それとも私がスーパーに憧れるドライブ様達ならこんな時、仲間を見捨てないから?
ファムに芽生えたまだ何の色かも知らない小さな感情。
ふふ……
でも不思議と満たされるそれに彼女は笑みを浮かべて―――貫かれた。