魔法科高校のGEED   作:大豆万歳

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あらすじの「86年」は、メビウスの放送が2006年4月8日から2007年3月31日までで、外伝の「アーマードダークネス」が2年後を舞台にしているので放送年月日から2009年と仮定しての年数です。


始まりの夜(前編)

 魔法。

 伝説や御伽噺の存在でしかなかったそれが、現実の技術となった世界。

 銀河の彼方よりやってきた、光の国の戦士──ウルトラマン達と共に脅威と戦って長い年月が経過し、彼らとの戦いの記憶が記録へと風化しているこの世界。

 彼らの願いとは裏腹に、バラバラになってしまったこの世界はおよそ20年前、『クライシス・インパクト』と呼ばれる謎の大爆発と共に崩壊した。

 しかし、崩壊した筈の世界は再び元に戻り、今も人の営みは続いている。ウルトラマン達の願いが叶う気配を見せぬまま。

 

「ここか……俺が捨てられていた灯台は」

 

 西暦2095年3月21日。

 俺こと朝倉陸は、横浜沿岸にある灯台にやって来ていた。

 今から16年ほど前、赤ん坊だった俺が捨てられていたという横浜沿岸にある灯台。進学に合わせて一人暮らしを始めた俺は、休みを利用してここに来ていた。

 誰が、なぜ、この灯台に赤ん坊の俺を捨てたのか。それがわからないまま16年が経過しようとしていた。

 

「……ん?」

 

 小さな駆動音がしたので振り返ると、そこには球体型のドローンが飛んでいた。誰かがドローンを操作して海の撮影をしているのだろうか。ちょうど、地平線に沈む夕日が綺麗な時間帯だ。そう考えた俺は、来た道を戻ってアパートに帰ろうとした。その時だった。

 

「痛っ!?」

 

 突如後頭部を走った痛み。何事かと背後を振り返ってみれば、そこには先程のドローンが。

 

「おい!今のはお前がやったのか!?」

 

 ドローンのカメラ越しにこちらを見ているであろう操縦者に、俺は質問する。しかし、その回答は意外なところからやってきた。

 

「解析中デス。暫クオ待チクダサイ」

 

 目の前のドローンから返ってきた機械的な回答。解析と言っていたが、何を解析しているのか。

 

「……完了。基地ヲスリープモードカラ、通常モードニ移行。マスター権限ヲ上書キシマス。オ待チシテオリマシタ、マスター。ドウゾコチラヘ」

 

 そう言うと、俺に頭を下げるようにドローンは上下に動き、灯台へと向かっていく。

 

「ちょっと待て!待ってたってどういうことだ!?」

 

 ドローンの後を追い、灯台の直ぐ近くに足を踏み入れた、次の瞬間。

 

「……ゑ?」

 

 突然、目の前にエレベーターのような巨大な黒い物体が現れた。

 

「オ乗リ下サイ。灯台ノ地下、500メートルマデ移動シマス」

「乗っても大丈夫なのか?」

「イエス。貴方ニ危害ヲ加エルツモリハアリマセン」

 

 ドローンの後に続いて物体の中に入ると扉が閉まった。

 そして中にいること数十秒。

 

「到着シマシタ」

 

 慎重に扉から顔を出し、俺は周囲を見渡しながら出る。

 部屋は埃一つなく、まさに清潔そのもの。正面にはコントロールパネルのようなものがあることから、船の指令室のような役割を持った部屋であること推測した。他にも扉があるが、中でも一際目を引いたのが。

 

「……何だアレ?ディスコやダンスホールにあったっていうミラーボールか?」

 

 天井から太めのパイプで吊り下げられた、謎の球体。先程のドローンがコントロールパネルの一部に収まると、その球体が黄色い光を放った。

 

「初メマシテ、マスター。私ハココ、ネオ・ブリタニア号ノ報告管理システムデス。名ハマダアリマセンノデ、オ好キナ様ニオ呼ビクダサイ。ベリアルノ息子」

「ベリアル?」

 

 聞いた事のない単語にオウム返しすると、驚愕の事実が告げられた。

 

「イエス。オヨソ20年前、地球デ『クライシス・インパクト』ト呼バレル大爆発ヲ引キ起コシ、コノ宇宙ヲ崩壊寸前マデ追イ込ンダ。悪ニ堕チタ光ノ戦士、ウルトラマンベリアル。先程毛髪ヲ使ッテDNA鑑定シタ結果、貴方ガ彼ノ息子デアルコトガ判明シマシタ」

 

 ウルトラマン。

 それは、嘗てこの地球にやって来た宇宙人の1つ。超人的な力を持ち、当時の防衛軍とともに暴れる怪獣や地球侵略にきた宇宙人と戦った、光の戦士。俺の中にその血が流れている。

 ありえない。とは言い切れない。

 昔から、高いところにある物を取ろうとして天井に頭をぶつけたり。思いっきり走ったら予想以上の速度が出てコントロールできず転んだり。自分が普通じゃないという自覚はあった。その最たるものとして、俺は超能力が使える。手に触れずに物を動かしたり、言葉を介さず誰かとコミュニケーションが取れたり、そこまで離れた距離じゃないけど一瞬で移動できる。

 俺がこの春から進学する国立魔法大学付属第一高校。そこで俺は、なぜ超能力者が念じるだけで魔法を行使できるのか、その研究のために魔法を知りたいということで受験。見事合格した。

 実際は、超能力の研究者として名を売れば、俺の親が出てくるかもしれないという願望もあったのだが。

 それが、こんな形で判明した。判明してしまった(・・・・・・・・)。よりにもよって自分の親があの大爆発を引き起こした悪党であると。

 

「貴方ニ、私カラ贈リ物ガアリマス」

 

 その音声の後に俺の目の前に出現したのは、握力を測定するときに使いそうな見た目の道具と、穴が2つ開いた直方体の物体。そして、手に収まる程度の大きさの円筒状の物体と、それを収納するために使いそうなホルダー。

 

「ソレハ、『ライザー』ト『ウルトラカプセル』。貴方ガウルトラマントシテ戦ウタメノ、謂ワバ変身アイテムデス」

「俺がウルトラマンとして戦う!?俺はそんな事するなんて一言も」

「ノン。貴方ハウルトラマントシテ戦ウデショウ」

 

 感情も抑揚もない機械的な返答に、俺は一瞬言葉に詰まる。

 

「……それは、今すぐなのか?」

「ワカリマセン。デスガ、ソノ時ハ遅カレ早カレ必ズ訪レマス。ソレガ、ウルトラマンノ血ヲ引イテ生マレタ者ノ宿命ナノデス」

 

 宿命。

 いきなりそんな事を言われても、はいと言える人はいないだろう。まして今まで普通の地球人として育ってきたなら尚更だ。

 

「……少し、考える時間が欲しい」

「ワカリマシタ」

 

 今手元にあるこれを受け取るべきか、断るべきか。仮に受け取ったとして、その後はどうすればいいのか。俺はこの日、人生で最大の分岐路に立たされ、頭を抱えて悩んだ。

 

 

 

 

 一方その頃。日本の何処かで

 

「……遂に、この時が来たか」

 

 男は小さな円筒状の物体を手に取り、不敵に笑う。

 

「ゴモラ」

『ギシャアアアオオオッ!』

 

 円筒状の物体を腰にセットし、2つ目を取り出す。

 

「レッドキング」

『ピギャアアアオオオン!』

 

 2つ目を腰にセットすると、それを外し、手元のライザーを起動させ、読み込ませる。

 

「今日が伝説の始まりだ……!!」

『フュージョンライズ!』

「ハァッ!」

 

 男はライザーを胸元に掲げ、掛け声と共に姿を変えた。

 

『ゴモラ!レッドキング!ウルトラマンベリアル!スカルゴモラ!』

 

 

 

 

 あれから時間が経過したが、俺は未だに答えが出せず悩んでいた。

 

「何事!?」

 

 不意に耳に届いたアラート。ポケットから携帯端末を取り出してみると、緊急事態のため避難せよとの文言。場所は──横浜!?しかも怪獣が現れた!?

 

「おいおいおい、一体何が起きてるんだ!?」

「モニターニ出シマス」

 

 大きなディスプレイが空中に浮かび上がり、外の映像が映し出される。そこには──

 

『逃げろー!』

『うわああああっ!』

 

 地響きと、逃げ惑う人々の声、そして──。

 

『ピギャアアアオオオッ!』

 

 建造物を踏み荒らし、雄叫びをあげながら街を蹂躙する、角の生えた怪獣。

 

「何で怪獣が!?しかも、あんなの見たことないぞ!」

 

 今までウルトラマン達と戦った地球にもともと住んでいた怪獣は近年、人の前に滅多に姿を見せなくなった。『クライシス・インパクト』が発生する前後に出現したのが最後の目撃情報となっている。そして、侵略目的で怪獣が送り込まれることもなくなった事に伴い、地球防衛軍は各国の国防軍に吸収される形で消滅した。そして、不安要素が多いからとメテオールも封印された。

 

「あれは、国防軍の戦闘機と戦車か!?」

 

 とはいえ、今までのノウハウは残されているので、未知なる怪獣に苦戦することはあっても、敗北することはないだろう。

 ──そんな俺の甘い考えは、容赦なく粉砕された。

 

「嘘だろ!?」

 

 果敢に挑んだ戦闘機が、虫でも叩き落とすように撃墜された。地上を走る戦車も、虫けらのごとく踏みつぶされる。怪獣に大なり小なりダメージは与えているが、こちらの受ける被害の方が大きすぎる。

 

「戦イマスカ?戦イマセンカ?」

 

 突きつけられた、2択。

 ウルトラマンとして怪獣と戦い、被害を食い止めるか。戦う事を拒み、目の前の被害から目を背けるか。

 いや、もとより選択肢なんてものはない。目の前の光景を無視なんてできない。だから、俺は──

 

「戦う!」

「カシコマリマシタ。デハ、現場マデエレベーターデ転送シマス」

「できるのか!?」

「可能デス。私ト通信ヲ行ウ時ハ、『ナックル』ニ指ヲ掛ケテクダサイ」

「『ナックル』って、穴が2つ空いているコレのことか?」

「イエス。デハ、転送シマス」

 

 先程俺が乗ったエレベーターが出現し、俺はそれに乗って現場に向かう。周りは人気のない空き地で、カメラなども見当たらない。怪獣が暴れている場所からかなり離れている。俺の隣には、さっきのドローンが浮遊している。これで外の動向を把握しているのか。

 『ナックル』に指を掛けた瞬間、俺の脳内に声が響いた。

 

「『ライザー』ノ使イ方ヲ説明シマス。マズ、『カプセル』ヲ起動サセテ下サイ」

「起動……こうか?」

 

 カプセルの側面にあるスイッチのような突起を上げる。

 

『シェアッ!』

「イエス。デハ、カプセルヲ『ナックル』ニセットシテ下サイ」

「わかった」

 

 カプセルの平な部分が上になるように、ナックルにセットする。

 

「デハ、モウ1ツノカプセルモ同ジヨウニ起動シ、セットシテ下サイ」

「わかった!」

『ヌェアッ!』

 

 指示通りもう1つカプセルを起動させ、ナックルにセットさせる。

 

「デハ、『スキャナー』ノトリガーヲ引イテ待機ジョウタイニシ、カプセルヲ読ミ込マセテ下サイ」

「『スキャナー』って、もしかしなくてもこれだよな……」

 

 俺はナックルを左手に、右手にスキャナーを持つ。トリガーを引いて待機状態にさせ、先程のカプセルを読み込ませる。

 

『フュージョンライズ!』

「コレデ準備ハ整イマシタ。シカシ、問題ガ1ツアリマス」

「問題?」

「イエス。貴方ノウルトラマントシテノ名ヲ決メテイナイノデス。本名ヲソノママ使ウワケニモイカナイデショウ?」

「言われてみれば……」

 

 まさかこんなに早く戦うことになるとは思っていなかったので、そんな所まで考えが及ばなかった。できれば俺だと直ぐにバレない様な名前が望ましいな。今の社会情勢だと、捕まって実験体にされるのがオチだろう。

 

「じゃあ……『ジー』っとしてても『ドー』にもならないから、『ジード』で!」

「カシコマリマシタ。デハ、モウ1度トリガーヲ引イテ下サイ。ソレデ、変身完了デス」

「ああ!」

 

 俺はスキャナーを胸元に近づけ、再度トリガーを引く。

 

『ウルトラマン!ウルトラマンベリアル!ウルトラマンジード!プリミティブ!』




Q:何で天文台じゃなくて灯台なの?
A:灯台下暗しとかけて選びました
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