魔法科高校のGEED   作:大豆万歳

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2人分の戦闘描写とか頭おかしなるで


その名はゼロ(後編)

 午前中の試合も終わり、観客が午後の試合に備えて席を立つ中、俺はトイレの個室に身を隠していた。

 試合が終わるとほぼ同時に、ロゼッタからの連絡があったことを知らせる振動があった。

 

『陸。九校戦駐車場ニ、怪獣ガ2体出現シマシタ』

『皆様!さきほど、九校戦会場駐車場に怪獣が出現いたしました!係員の指示に従い、至急避難してください!繰り返します!』

「(観客席も今の放送でパニックになっている。ここに人の気配は無いし、声量を抑えれば問題無いか)分かった。ライザーとカプセルを転送してくれ」

『カシコマリマシタ』

 

「ギニ゙ャアアオオンッ!」

「ギャゴオオオオンッ!」

 

 外から響く怪獣の咆哮への湧き上がる怒りを、目を閉じ深呼吸で鎮める。

 脳裏に浮かぶのは、学校で九校戦に備えて練習する選手達の姿と、彼ら彼女らの使用するCADの調整を行う技術スタッフの姿。

 

「(九校戦の邪魔はさせない!今日のために頑張ってきた皆のためにも!)」

 

 カプセルとライザーを受け取った俺は、覚悟を決めて変身した。

 

 

 

 

「ゼロ、あの怪獣の個体名は?」

「白い方はキングシルバゴン。金色の方はキングゴルドラス。どちらもスーパーヒッポリト星人が改造を施して生み出された怪獣だ」

 

 混乱に乗じて身を隠している一高の天幕内で、お兄様の肩に乗ったゼロさんが怪獣の個体名を口にしました。あれも出現パターンから、誰かが怪獣に変身したとみられます。

 このタイミングで出現したということは、九校戦への妨害工作が無駄に終わり、大会そのものを中止にさせるつもりなのでしょうか。理由はわかりませんが、断じて許される行為ではありません!

 

「ゼロ、俺達も出撃するぞ。九校戦そのものを妨害されて、黙ってみているわけにはいかない」

「わかった。で、どっちが出る?お前か?深雪か?」

 

 ゼロさんが問いかけると同時に、私とお兄様の目が合う。

 言葉に表さなくとも、お兄様の目が告げています。

 

「……お兄様、ゼロさん、ご武運を」

「ああ。……ゼロ!」

「おう!」

 

 ゼロさんが光となり、お兄様と一体化しました。

 すると当然ながら、元々凛々しかったお兄様のお顔が、更に凛々しくなりますので……

 

「……っ!!」

 

 胸に手を当て、心臓の鼓動が正常に戻るよう理性で働きかけます。落ち着きなさい、落ち着くのです、私。せっかくのお兄様(ゼロさん)の初陣なのに、気を失っている場合ではありません!!

 

「デアッ!」

 

 ゼロさんはウルトラゼロアイNEOを装着し、右手でスイッチを押すような動作をみせる。そして光となり、天幕の外へ飛び出しました。

 

 

 

 

 空からは、戦闘機の機銃とミサイル。地上からは、戦車による砲撃。その全てが怪獣に向けられ、休む間もなく繰り出される。

 しかし、怪獣の歩みは止まらず。

 こちらの攻撃を意に介することなく火球と雷撃、あるいは巨大な手足で踏みつぶし、叩き墜とし、圧倒的な暴力で破壊の限りを尽くす。

 

「逃げてください!」

 

 ふと、警備員の声が耳に届く。見れば、白い怪獣がこちらを向き、口腔に青白い炎をため込んでいた。金色の方の怪獣は、あろうことか戦闘機を掴み、振りかぶっていた。

 怪獣が戦闘機を投擲するのと、火球が放たれるのは同時だった。

 着弾するよりも速く。少しでも逃げようと近くの人を押すように移動を開始する。

 ──そんな彼らと怪獣の間に、2つの巨大な人影が割って入った。

 

「シャアッ!」

「デアッ!」

 

 1人は、ウルトラマンジード。怪獣に背を向け、両腕を広げて片膝をついて人々の盾となった。無事を確認した彼は立ち上がり、怪獣の方を振り向く。

 そしてもう1人、誰も見たことがないウルトラマンはその手で戦闘機を包み込むように両手でキャッチ。静かに地面に置き、怪獣を睨みつける。

 隣のウルトラマンを見て、ウルトラマンジードが驚愕に一瞬たじろぐ。

 

「貴方は!?」

 

 その日初めて、ウルトラマンジードが掛け声と必殺技の名前以外の言葉を発したことに衝撃を受けた。けれどそれは、それを上回る衝撃にかき消された。

 

「俺か?俺はウルトラマンゼロ。セブンの息子だ!」

 

 ウルトラマンゼロ。彼は嘗て地球にやってきたウルトラマンの1人、ウルトラセブンの息子だと言った。衝撃の事実に、ウルトラマンジードはおもわず1歩下がる。

 

「どうしてここに!?」

「すまねえが、話は後だ!こいつらをぶっ倒すぞ!」

 

 ウルトラマンジードの問いへの答えを後回しにすると言ったウルトラマンゼロは、掛け声をあげて構えると金色の方の怪獣に突撃。ウルトラマンジードも後に続き、白い怪獣に突撃。戦闘が始まった。

 

 

 

 

「シャアッ!」

「ギニ゙ャアアオオンッ!」

 

 まずウルトラマンジード。タックルで怪獣の腰にしがみつき、会場から少しでも遠ざけようと押し始める。

 

「ギャアアアッ!」

「グアアアアッ!」

 

 怪獣のハンマーナックルがウルトラマンジードの背中を強打するが、彼は痛みに耐えるように踏ん張り、100mほど怪獣を押し出す。

 

「シャアッ!」

 

 膝の裏に手を回し、双手刈で怪獣を後方に倒す。

 

「ギャアアッ!」

「グアアアッ!」

 

 マウントポジションを取ろうとしたウルトラマンジードに対抗し、怪獣は火球を放つ。ウルトラマンジードは咄嗟に腕を組んで防御し、距離を取る。

 

「シャアッ!」

 

 起き上がった怪獣は、ウルトラマンジードに火球を放ちながら前進。ウルトラマンジードは障壁を展開して近づく。そして距離が縮まり、最初に仕掛けたのは……。

 

「ギャオオッ!」

 

 障壁を破壊しようと、怪獣が右手を振り上げる。

 

「シャッ!ハアッ!」

「ガアッ!」

「アアアッ!」

 

 ウルトラマンジードはカウンターの左フックを顎に打ち込み、更に鳩尾に右ストレート。反撃に怪獣が振るった左手は、上体を逸らして回避。顔が相手の方を向くように体を捻りながら逆立ちになり、顔と胸部に連続蹴りを叩き込む。

 

「ギャアアッ!」

「ハッ!」

 

 蹴りの反動で後退した怪獣が尻尾で薙ぎ払うと、ウルトラマンジードは腕で飛び跳ねて大きく後退し、着地。この時、空中にいる間にチャージを行ったのか、両腕に光が迸る。

 

「ギニ゙ャアアアアッ!」

「レッキングバースト!」

 

 ウルトラマンジードの放った光線は火球を破壊し、怪獣の胸部に突き刺さる。胸部を中心に怪獣の体は罅割れ、そして──。

 

「ギニ゙ャアアアアアッ!」

 

 断末魔を上げ、轟音と共に爆発四散。後には黒焦げた地面と白煙が残された。

 

 

 

 

「デアッ!」

「ギャゴオオオオンッ!」

 

 一方、ウルトラマンゼロ。掛け声とともに脇腹にボディブロー。怪獣の張り手を屈んで回避し、顎にアッパーカット。

 

「ハアッ!」

「ゴオオオオンッ!」

 

 追い打ちの飛び後ろ回し蹴り。踵がこめかみを強打し、怪獣が大きくよろける。

 

「ギャアアッ!」

 

 怪獣が雄叫びをあげると角が発光し、雷撃がウルトラマンゼロに向かって放たれる。

 

「シャッ!」

 

 ウルトラマンゼロが素早く頭部の刃に手を添えると、まるで意思を持っているように刃が空中を飛び交い、避雷針のように雷撃からウルトラマンゼロを守る。

 

「エメリウムスラッシュ!」

 

 左腕を胸の前で水平に構えると、額から青緑色の光線が放たれた。

 

「ギャオオオオンッ!」

 

 怪獣の角を狙って放たれた光線が命中し、角をピンポイントで破壊した。駄目押しとばかりに、もう片方の角も同じ技で破壊。

 

「ギャアアッ!」

「シャアッ!ハアアアッ!」

 

 怪獣の噛みつきを回避し、ヘッドロックを極める。その場で回転すると怪獣もそれに引きずられ、やがて地面から足が離れていく。

 

「オリャアアアッ!」

 

 ハンマー投げの選手のように怪獣を豪快に投げ飛ばし、雄叫びをあげる。顔面を強打した影響なのか、怪獣はフラフラしながら立ち上がる。

 そしてウルトラマンゼロは構えた。

 拳を握った右腕は力を溜めるように腰に当て、左腕を水平に広げる。

 

「ワイドゼロショット!」

 

 腕をL字に構えて放たれた、琥珀色の必殺光線。

 それは怪獣の胸部に突き刺さり、体に罅割れを発生させ、そして……。

 

「ギャゴオオオオンッ!」

 

 断末魔とともに爆発四散。怪獣は跡形もなく消し飛んだ。

 

 

 

 

「お前が、ウルトラマンジードか」

「はい」

 

 怪獣討伐を終え、爆心地に横たわっていた人を念力で浮かばせて警備員と思われる人達のところに移動させた後。

 話は後で。の言葉通り、ウルトラマンゼロが話しかけてきた。

 呼ばれた後で何故か背筋を伸ばすと、ウルトラマンゼロは俺の頭の天辺から爪の先、背後に回ってじろじろ観察する。

 

「……やはり、似ている」

 

 似ている。とは、ウルトラマンベリアルのことだろう。俺はこれからどうなるのか、緊張から心臓の鼓動が激しくなる。

 

「ウルトラマンジード。お前は」

 

 顎に手を当てて暫く考え事をしていたウルトラマンゼロがそう話を切り出すと同時に。

 

「……あっちゃあ、そろそろ時間切れか」

 

 ウルトラマンゼロのカラータイマーが赤くなり、点滅し始めた。

 

「悪い!話はまた今度にさせてくれ!じゃあな!」

 

 ウルトラマンゼロは申し訳なさそうに後頭部を掻くとそう言い、空の彼方へと飛んで行った。

 

「(できれば会いたくない)」

 

 口にしたら余計な疑惑を生みそうな言葉を頭の中で浮かべた俺は、彼の後に続いて飛び去って行った。

 

 

 

 

「『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』の東日本総支部の幹部は全員確保、ですか。お疲れ様です」

AIB極東本部(うち)は何もしていないわ。労いの言葉は、公安の人達にかけてあげて』

 

 九校戦関係者ホテルの一室。

 香港系犯罪シンジケートにして、一連の九校戦妨害の黒幕である『無頭竜』。彼らを確保したとの連絡が、小百合さんから俺の携帯端末に届いた。隣にいる深雪が、小さな声で『良かった』と呟く。

 

「昼間の怪獣は、やはり奴らが?」

『ええ。妨害を邪魔されて、最終手段として使ったみたいよ。ただ、何処で何時、誰から受け取ったかまでは覚えていないらしいの。今までと同じように』

「そうですか……それはそうと小百合さん。俺から1つ報告があります」

『何かしら』

「俺がウルトラマンゼロに変身して戦ったことが、友人の1人にバレました」

『はぁ!?』

 

 鼓膜が破裂すると感じるほどの大音量で、小百合さんが吠えた。

 俺が言った友人の1人というのは、柴田美月。彼女は特殊な『眼』の持ち主であり、それによって俺がウルトラマンゼロに変身したことを見抜いたらしい。小百合さんから電話が来るほんの少し前、彼女は直接お礼を言いたいとこの部屋にやってきた。

 

『貴方、それがどういうことか分かってるの!?』

「分かっています。だからこそ、友人の証言を活用するんですよ」

『……具体的には?』

 

 彼女はその『眼』によって、俺がウルトラマンゼロに変身したと見抜いた。ならば、陸がウルトラマンジードであることも見抜いている筈。あえてこちらの正体を明かし、向こうにも正体を明かすよう促す。陸のことだから、証拠が無ければそれらしい言い訳を述べて誤魔化すだろう。

 俺の案を聞いた小百合さんが、端末越しに唸り声をあげて考える。

 

「俺が言えたことではないですが、友人だからこそ隠し事は無しにしたいんです。『あの時言ってくれれば力になれたのに』なんて事態を招いたら、深雪が悲しみますからね」

『……ほどほどにするのよ?』

「善処します」

『確約しなさい』




 次回予告
 色々あったけれど、九校戦も終わって夏休みに突入。
 そんなことはお構いなしに、怪獣は日本各地に姿を現し、暴れまわっている。
 だけど、ある日を境に、俺の戦いの日々にも変化が現れた。
 次回、魔法科高校のGEED。『サマーデイズ』
 「陸。お前が、ウルトラマンジードだな?」
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