ロドスの皆様と不審者と   作:Dr.SA50

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1-1 チェルノボーグ

 今日も今日とて、いつものように地面に直引きされたシートから体を起こす。

 

 服に付着した埃を払い、シートを畳むと、先程まで日陰を作るように置いていた巨大な箱を左肩に掛ける。

 

 幅広のベルトが肩の肉に食い込んで少しの痛みを伝えてくる。

 

 右腰のポーチにベージュの薄紙から取り出した鈍く光る長さ19㎝程の金属杭をしまい、反対側のポーチから取り出した紙箱の尻を叩き、顔を出した1本を咥え、火を着ける。

 

 ほの赤く光る先端部から紫煙が薄曇りの空へ立ち上る。

 その半分ほどが灰に変わる頃、ソレを弾き上げて地面に落ちる前に握り潰す。

 

 そうして一息付くと、被ったヘルメットのシールドを下ろして腰掛けていた廃ビル屋上の貯水タンクからコンクリートの屋上へ飛び降りる。

 

 眼下に広がるチェルノボーグの市街地は、火の海に変わっていた。

 そして、炎と瓦礫に覆われた地上を逃げる人々の姿もぽつぽつと見える。

 

「不味いな……ここもそろそろ崩れるか?」

 

 あちらこちらから構造体の軋む不気味な音が響く。

 

 屋上を囲む錆びた鉄柵を乗り越えて跳躍し、空中で姿勢変更して廃ビルの壁面を蹴る。

 そして道路の両脇に乱立するビルの壁面を蹴りながら、騒動の中心地だろうとアタリを付けた場所まで進んでいく。

 

 その道中、地上にいる奇妙な一団が視界に入る。

 

 その一団は全員が目の部分に穴が開いただけの簡素な白い仮面で顔を覆い、白いフードを被っていた。

 

「────レユニオンか!」

 

咄嗟に壁を蹴り出す方向を変え、地上に向かって加速する。

地面との距離が半分ほどになった頃に左肩から担いでいたソレを前方に投げる。

その巨大なケースは数秒でいくつかのパーツに分離すると、その中に隠されていた大振りかつ片刃のブレードとG11に似た本体にMINIMI軽機関銃の箱形弾倉を無理やり取り付けたかのような銃型のアーツユニットがこちらへ向けて飛んでくる。

 

ソレを右手で受け取り、左手で銃型のアーツユニットのグリップを握る。

そして前方に布陣するレユニオン構成員達の集団へ向けて乱射する。

 

連続した発射音と共に数人が物言わぬ赤と白の混じった肉塊に変わる。

残ったのは、盾で自身の身を守れた者と、たまたまその影に隠れていた数人だけ。

 

アーツユニットを一度手放すと、ブレードを振りかぶる。

まず一人目の盾持ちを唐竹で頭蓋を叩き割ることで潰し、反撃を試みる術師をブレードから手を離し頭部を鷲掴みにして(アイアンクローして)地面へ向かって叩き付ける。

びくびくと痙攣する術師の頸椎に軍用ブーツでの踏みつけをお見舞いする。なにかの砕ける嫌な感触と共に動かなくなった術師をそこらの瓦礫に向かって放り投げる。

 

「うぁ……うわぁぁぁっ!」

 

そんな悲鳴とも雄叫びとも取れない規制を発しながら鉄パイプ片手に突貫してきた軽装兵の鉄パイプを振り向かずに肩で受け止め、逆に肩で停止した鉄パイプを逆に引っ掴み、そのままビルの壁面に叩き付ける。

恐らく頸椎あたりが逝ったのか、そのまま沈黙する近接兵はどしゃりという湿った音と共に地面に転がる。

 

「これで最後かな?」

 

頭にかぶるヘルメットのシールドについた血糊をぬぐい、そうつぶやいた。

先程手放したアーツユニットと鉈を回収して、チェルノボーグ中心部へ進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから多分15分位歩いた頃。

少しは静かになったものだと思っていたが、どうやら元気な奴らがいたらしい。

視界に映るのは、どうやらウルサス人らしい家族と、それを襲おうとするレユニオンの集団。そしてもはやm民間人を見捨てて防戦一方の状況になったウルサス軍警。

 

その姿に、あの日の事がフラッシュバックする。

 

――焼かれた家。

 

――物言わぬ黒い塊に変わってしまった最愛の人(かぞく)

 

――そして、白い仮面の集団。

 

「あァ…やなもん思い出しちまった……胸糞悪ィ……」

 

強く握りこまれたグローブがギシリと軋む音を立てる。

右手に持った鉈をくるくると回すと、そのまま投擲する。

縦に回転しながら放物線を描いた鉈は、見事狙ったレユニオンの背中に突き刺った。




ねむい
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