TS獣耳暗殺者の異世界録   作:不審者γ

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この年(見た目)で就職の話ですか。

「へー、ギルドに入ってるだけじゃ仕事にならないんですか。」

あのワイバーン事件から一月ぐらいして、レンさんから話を聞いていた。

どうやら、ギルドの加入っていうのはいわゆるバイト的なやつらしくて、そこからいくつかの職業に分かれれるそう。

 

例えばレンさん達みたいな冒険者。

ギルドからの依頼を受けてクエストをクリアするのが主な仕事。

 

次にツォービさん達みたいな門番。

主に敵国とかモンスター達からの襲撃から国内を守るのが主な仕事。

 

それと騎士。

国王とか領主とかに仕える騎士の事。警護、戦闘、たまに雑用とかも押し付けられるらしい。

 

そしてガルハンさんみたいな生産職。

鍛冶屋とかもそうだけど、鉱山とかで働いてたりもするらしい。内容はまあ、その生産職の中の職業によってすることは変わるけど、大体は想像通り。

 

最後にギルド職員。

クエストの受け渡し、問題行動を起こしたギルド員に対する処罰の決定とかが主だけど、書類業務とかも普通にあるし、たまに戦闘も行うらしい。

 

大体ギルド加入者はこのどれかになるらしい。

まあ、別にこのどれかにならないといけない、とかそういう訳じゃなくて、生産職以外のこれらの職業はギルドを通さないとなれない、っていうらしいんだけど。生産職は戦闘に関する物を売買する場合、ギルドを通さないといけないらしい。武器とか装備とかポーションとか。

 

「じゃあ、私もどれかになれるんですか?」

 

「そ。いずれ仕事をすることになったら、ね。まー、割合的には冒険者が一番多いかな。逆に、門番の人口が一番不足してるかな。結構大変な上にあんまり注目されることもない職業だしね…」

 

「なるほど…」

確かに。門番さんって考えると大変そうだけど…言ってしまえばちょっと地味な感じだよね…

 

「…ま、いずれ、というよりはヴェイルちゃんも…たぶん10歳超えてるからなれるんだけど。」

 

「へっ?」

え、ここ就職可能年齢10歳なの?

……色々キツくない?

 

「え、うん。ま、とは言っても…まだそんなに大きな仕事は任せられないと思うけどね。……普通なら。」

と、一瞬レンさんが遠い目をして…

 

「実力が…Sランクに…到達してたりとか……してない限りは…ね…」

 

「あ、あはは……」

そう。

実は、先月のあのレンさんの発言により、一回ランク昇進の試験を受けよう、ということになった。

内容は、現在このギルド内最強のS5級の冒険者(というか創設者さん)のロードさんが試験官役で、戦った後でその人が昇進か現状維持か決める、って事だった。

特殊な空間で戦うんだけど、その空間では死ぬことはなくて、致死量のダメージを受けたら自動的にこの世界に戻される、ってやつ。

それで、先に戻ってきたほうが負け、って事だったんだけど…

 

「いや…確かにヴェイルちゃん負けちゃったよ?負けちゃったのはそうなんだけどさ…何でS5級のロードさんと僅差なの?」

そう。僅差。最後の一撃のコンマ数秒の差で負けたのだ。

負けるとか初めてだったからちょっと新鮮だったなー。いやー…銃弾を見切って避けるとかマト○ックスかな…?

 

「あれは本当に強かったですよ…できればもう戦いたくないですね…」

本当にキツかった。剣使いだったんだけど何か剣がありえない軌道描き始めるしこっちの投擲も銃弾も躱されるし相殺されるし挙げ句の果てに相手も攻撃一発一発がほぼ即死級だよ?その上、魔法もバンバン使ってくるし。魔剣士ってやつらしい。

避けるのだけでも精一杯だった…よくあそこまで善戦できたよ。

 

「いや、本当に強かったとか言う次元の人じゃないからな?ロードさん。俺でも攻撃見切るのほぼ無理だからな?」

…えぇ…

 

「にしても、E級から一気にS2級への超超超飛び級昇格。……俺も思いっきり抜かされちゃったからなー…」

そう、S2級。あの後、ロードさんから言われたのが…

 

『え?S1?無い無い。低くてもS2だよこれは。いやー…久々に熱くなったなぁー!』

 

だった。

ちなみにだけどロードさん、実年齢130歳ぐらいらしいんだけど見た目は完全に2、30代ぐらい。若々しいです。ちなみにこの世界の平均寿命は250歳だそうです。恐ろしや。

 

「…まぁ…なんというか…相変わらずえげつないね。」

まあ、あそこまで善戦できた理由としてはあそこが怪我とか疲労で自分の動きが鈍くなったりしない空間だったから、ってのもあったかもね。痛覚が無くなるんだよ。だからFSRが使えた。…あの空間でも、反動で肩外れそうにはなったけど痛みは無かった。

実世界で戦ったらああはならない。…よし、鍛えようか。

 

「…まあ…自分でも弱くはないとは思ってましたが…まあでも、まだですね。」

 

「いや待って待って。ヴェイルちゃんどこに向かおうとしてんの?」

 

「まあ…少なくともそう負けることがないぐらいには…?」

 

「ロードさんに僅差の勝負を仕掛けれたら多分そう負けることはないと思うよ?普通に隣国の軍隊ともやり合えるような人だからね?あの人。」

…え、ヤバくない?ロードさん。

 

「一年前に隣国と戦争があったらしいんだけど…多分国内の人は知らない人も多いんじゃないかな?俺も知らなかった。……攻めてきた人全員ロードさんが相手して、わずか2時間で戦争終わったって言ってたっけ。」

それは戦争というのか…?

ちなみに…

 

「その相手の戦力ってどれぐらいだったんですか?」

と、レンさんは顎の下に手を添えて、考えるようなポーズを取った。

 

「確か、剣士とかの近接部隊が約3万、魔法使いとかの中距離部隊が約2万、弓使いとか高位魔法使いとかの遠距離部隊が約3万、全体的な防御者が約5万、指揮的中核者が5人って言ってたっけ?あ、あと偵察系の人が100人位いたって。一人も帰さなかったみたいだけど。」

こっわ。え、総戦力約13万相手に一人で勝ったの!?2時間で!?

 

「それでも相手の各々の部隊の主力級、総数100人に時間半分食われたって言ってたから、それ以外は1時間で、だね。」

う、うわぁ…何をどうやったらそんな事になるのやら…

 

「ロードさん、広範囲魔法も得意だからね…広範囲とかいうレベルじゃない範囲攻撃してくるけど。」

…あ、確かに。

ほとんどの攻撃は相殺させてたりしてたから気付かなかった、というかそこまで気を配ってなかったけど魔法の範囲めっちゃ広かったよね。何か広場一つ分ぐらいは余裕で焼き払えるレベルの火球とか出してくるし。

…よくあそこまで善戦できたね……(2回目)

 

と、そんな話をしていると…

 

「呼んだかな?」

 

「んあ?…はっ!?」

後ろから声がして、振り返ると、金髪青眼でメガネをかけて、身長は180cm位の人…ロードさんがいた。

…呼んでないです。

 

「ろ、ロードさん。どうかしたんですか?」

 

「、ああいやいや、そんなに固くならなくていいよ。ヴェイルちゃん?と戦えたのも君の発言が元だったことだし、君にも少し感謝してるんだよ。いやー、実力が近い相手ってのがそういないからねぇ。」

笑いながらどこか飄々とした喋り方をするロードさん。掴み所がないなぁ…

…というか、ほんとにこの人実年齢3桁行ってるの…?

 

「ま、特に用事があるわけでもないよ。今日の業務が終わったからふらついてたら僕の話が聞こえてきたものだからね。聞きたくなるだろう?」

マイペースな感じだなー…

って、今日の業務が終わったから…?今午前11時位ですよ?…仕事も早いんですねわかります。

 

「で?何々、一年位前の隣国との喧嘩の話かい?」

…喧嘩て。相手は軍全力配備で向かって来てたであろうに喧嘩て……やっぱこの人、規格外とか言う所すらも超えてるなぁ……

 

「ハハ、いや、そんなのもあったねぇ。ま、傷一つ負わなかったけどね。」

……えぇ…

 

「あの連中、高位魔法使いとか言う割に弱かったんだよね。手加減してるのかと思って、様子見でちょっと威力弱めた殲滅火球(ペタフレイム)撃ったらほとんどやられちゃってたし…」

字がおかしいですよ!様子見で殲滅とかいう漢字使う魔法使っちゃだめですって!

 

「…ロードさん、殲滅火球(ペタフレイム)は地形をも変える魔法だって知ってますよね…?あそこにバカでかいクレーター出来てたのロードさんでしたか…」

 

「ん?…ああ、そういやそんなのできてたね。いや、ね。ちょっとした事じゃないか。」

 

「直径50mを超えるクレーターをちょっとした事で済ませれるのはロードさんぐらいだけです!」

50mのクレーター…ヤバソウダナー…

 

「まあまあ、でもそんな僕にも負けたとはいえ、互角の戦いをできた子がこんな所にいるじゃないか。」

と、ポン、と頭を手を置かれる。…なんか子供扱いみたいで微妙な気分なんですけど…

 

「…そう考えるとヴェイルちゃんもなかなかヤバイよね。……地形変えるまでは行かなくともワイバーン2発で落としたわけだし。…駄目だ。感覚が狂ってきてる…」

と、レンさんがうつむいて手を顔に当てる。

あ、あはは……

 

「にしてもねぇ…無詠唱であんな威力の魔法が出せるとなると、詠唱使ったらどうなるのかね。」

…ん?もしかして詠唱使って使わせようとしてます?結果変わりませんよ?多分。というか確定で。そもそもなんて言えばいいんですか。引き金引くだけですよ?…あ、あの「Fire」っていうのはただの癖。自分に対する合図的なやつ。

 

「魔法使いたる者、探究心は溢れててね。ちょっとやってみてくれないかい?」

……………マジすか?

 

「え、い、いえ、その、ほ、ほら、的とかもありませんし…」

 

「何、的ならいくらでもギルドの方にあるさ。」

……………

 

「ち、ちょっと音とかも…」

 

「防音魔法ぐらい僕が使えるさ。」

…………………………

 

「あ、危ない、ですし…」

 

「危ない?よしきた、ばっちこいだ!」

だ、駄目だぁ…詠唱なんか知らないってぇ…

 

……まあでも、成り行きでズルズルと引きずられて、結局することになった僕でした。……どうにかならないものかなぁ…




これが今年最後の投稿です。
今年中、ありがとうございました。
また来年もよろしくお願い致します。
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