TS獣耳暗殺者の異世界録   作:不審者γ

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厳格(笑)の店主

「………で、リョウ。」

 

「……はい。」

あの決闘の後、賭けに勝った人も負けた人も全員がリョウさんを取り囲んで仁王立ちしている。リョウさんは真ん中で正座させられてる。

…なんで?

 

「ただでさえ威力が高すぎるから緊急事態時以外は使うな、って言ってたライトニングスラッシュ。それをまだ10歳を過ぎたばかりのような子に向けるたァどんな神経してんだァアン?」

 

「いや、その…想像以上に強かったから…な?そのぉ…本能的に、というか、ぶっちゃけて言えば楽しかったからつい…」

 

「つい、で殺されかけてたまるかよ。確かに決闘内容として殺しちゃいけない、なんてのは無ぇ。だが、倫理的な問題と人としての問題ってあるだろ。今回はヴェイルちゃんが圧倒的に強かったから良かったものの、もしかすれば俺とあの子、二人が死んでたんだぞ?いくら俺でも流石にキレるぞ?お?」

あの途中で助けようと来てくれた、シュンさんという男の人が笑顔で血管を浮き上がらせてる。…怖。

 

「…悪かった…」

 

「ほら、ヴェイルちゃんも。文句の1つや2つや3つや4つ言ってやれ。」

どんどん増えてるんですけど。

…とは言ってもねぇ…結果、なんてこと無かったから文句も言う事もないんだけど…

 

「うーん…とりあえず他ではこんな事しないでくださいね?今回は運良く誰も怪我せずに行けましたが、普通無理です。一人や二人は怪我人が出ます。…それ位ですかね。」

 

「いやいや、ヴェイルちゃん。遠慮しなくていいんだぜ?何なら腕ぐらいならあの木と同じみたいにしてみても…」

 

「うーん…結果的には特に問題もなかったですし…そもそもあんまり怒ってたりとかしてないので言う事もないんですよね…あとあれは反動が結構大きいのでそんなに使いませんよ。」

それより、片手で銃とか撃てるぐらいにはなっておきたいよね…いちいち両手で構え直すの結構面倒だし。片手だったら感覚的にどこらへん狙えばいいか分かるし、そっちの方に慣れてるからね…

 

「「「「天使かな?」」」」

 

「いえ、人間です。」

唐突すぎる多重の天使かな?はちょっとビビった。何?もしかして練習とかした?

 

「ヴェイルちゃんが心広くて良かったな。俺だったら迷わず脳天撃ち抜くね。」

マジですか。

 

「あぁ、ヴェイルちゃ…何この状況?」

と、ギルドの受付の人と色々やり取りをしていたレンさんが戻ってきて、早々にハテナマークを頭の上に出現させていた。

 

「ああ、レン。ここでリョウとヴェイルちゃんが決闘してたんだがな?リョウがつい、の感覚でライトニングスラッシュ撃ってここにいる奴らから説教をくらってる図だ。」

 

「…ヴェイルちゃん、よく無傷で生きてたね。」

 

「何とか…」

本当にあれは何とか、としか言いようがない。

 

「ただ…お陰で接近戦用のナイフが使い物にならなくなってしまったので買い直さないとですね。」

僕は、投げナイフ用のナイフと接近戦用のナイフ、2種類使っている。投げナイフ用は、投げる勢いが付く上、遠距離の攻撃だから普通のナイフを、接近戦用のナイフはより鋭く、より硬く、できるだけ迅速に相手を仕留められるナイフを使っている。

あのエネルギー弾を斬った際にだいぶ刃がボロボロになっちゃったみたい。

 

「どんな感じになったんだ?」

 

「こんな感じです。」

ポーチから出して改めて見てみても…やばいね、これ。

刃が(のこぎり)みたいになってるよ。しかも切れ味もだいぶ落ちてるから鋸にもならないね。

 

「うわ…これはもう使えないね…何をどうやったのさ。」

 

「リョウさんが出したエネルギー弾が助けに来てくれたシュンさんに直撃しそうだったので叩き斬ったらこうなりました。」

 

「…なあリョウ。あれって切れたっけ?」

 

「…いや、上級剣士でも無理だと思うんだが…」

 

「いや、でも俺もそれは見た。目の前でヴェイルちゃんが下から上に勢いよくナイフを降ったらあの斬撃が真っ二つになって横を通り過ぎてった。」

と、シュンさんが言った。

…え、あれ本来は切れないやつなの?…いかん。ル○ン三世の五○衛門化してきてる…

 

その後も色々と質問に合ったり驚かれたりしていた。

 

で、今僕がいるのは町中。

とりあえず質屋さんと鍛冶屋さんを探そう。接近戦用のナイフ買わないと。あと食べ物とかも買ってみようかな。報酬の20万グリムあるし。

…金貨19枚と銀貨100枚とかいうのだったんだけど…そもそもグリムってどれぐらいの価値なんだろ。

あ、八百屋さん発見。

どんなのがあるかな…あ、りんごみたいなのある。

 

「あ、すみません。これ、2つください。」

 

「お、200グリムだよ。」

え、りんご2個で200グリム…?って事は大体1グリム1円…え、今僕20万円持ってる…?

貨幣に書かれてるのを見るに…金貨一枚が1万グリム、銀貨一枚が100グリムってところかな…?

銀貨を2枚出して渡すと…

 

「じゃあ…これで。」

 

「あいよ!200グリム丁度ね!…にしても、あんまり見ねえ顔だなぁ嬢ちゃん。猫人か…お使いか何かかい?」

あ、当たった。良かった…

というか、合うたび合うたび猫って呼ばれるけど狐ですよ。

 

「、はい。えーと、猫ではなくて狐なんですが…「おっと、そりゃ失礼。」あぁ…はい。最近ここらへんに来たんです。それで…一つ聞きたいんですけど、ここらへんに質屋さんとか鍛冶屋さんってありますか?」

 

「…あー、あるにはあるが…嬢ちゃんにはちょいとキツいかもな…」

?キツい…?

 

「店主がまあ…かなりキツめの性格でな…シャッペリアっていう店のガルハンって奴なんだ。仲良くなれば気がいいし、腕もかなり良いんだが…初対面、特に子供にゃ厳しいんだなぁ、あれが。この街の子供が磨いた石とかを鑑定に出したりすることがあったから子供嫌いなんだよ。まあ、鍛冶屋はいくつかあるんだが、質屋はあそこしか無え。」

ここの子どもたち何してるの…

というか質屋そこしかないのね…

 

「まあ、行くのは父なので大丈夫です。どこにありますか?」

 

「ん、そうだな…ここの通りをまっすぐ言ってここを右に回って…ここの裏だ。」

と、地図を見せてくれて教えてくれた。

何というか…秘密のお店みたいな立地だね…

 

「ありがとうございます。」

 

「おうよ!また来てくれよな!」

豪快に笑って手を振ってくれた。いい人。

さて…行きますか。えーとこの通りをこう行って…で、ここを右…で、ここの裏に…あった。

 

「おじゃましまーす…」

カランカラン、と音を鳴らしてドアを開ける。と、ガタイのいい男性が椅子に座って新聞を読んでいた。

 

「ん?…何の用だ?」

 

「え、えっと…ここって質屋兼鍛冶屋って聞いたんですけど…」

 

「あぁ…そういう訳か。だが、ガキが持ってくるものなんか鑑定しねえぞ。そこらへんで拾ってきた石なんか持ってくる奴がいた位だからな。」

えぇ…あれマジの話なの……ここらへんの子供たち本当に何やってるの…

 

「どうしても駄目ですか?」

 

「…物による。ただし、ふざけた物だったら即ぶっ飛ばすからな。」

睨みつけて、壁に掛かってる斧剣に手を伸ばしながら言ってくる。…大丈夫だよね…?まあ、ぶっ飛ばしにかかっても避けれると思うけど…

 

「これなんです。レッドベルフのソウルコアって言われたんですけど…」

 

「あぁ?舐めてんのか?レッドベルフのソウルコアなんか買う訳が

レッドベルフのソウルコアァ!?

うお焦った…

睨みつけて新聞に目を戻そうとした瞬間にきれいに二度見して戻ってきたよ。何なら新聞地面に叩きつけたよ。めっちゃ目見開いてるし…

 

「な、ほ、ほぉ本当だろうな!?嘘だったら承知しねえぞ!?」

 

「本当…らしいですよ。ちょっと待って下さい…よっと。」

ポケットから手のひらサイズの赤い半透明の小石のようなものを取り出して、コトコト、とカウンターに置く。

よく見ると、これ中に赤い玉みたいなのが入ってるね。気付かなかった。

 

「な…これは…正しくレッドベルフのソウルコア…!しかも、こんな純粋なソウルコアは見たこともない…!」

え、そんな凄いの?目、見張ってるよ?

 

「嬢ちゃん!これ…これ!どっ、どうしたんだ…!?」

 

「レッドベルフが襲い掛かってきたので返り討ちにしたら2つこれが出てきたんです。」

…いや、自分で言ってなんだけど、字面すごいね。

 

「………嬢ちゃんがか…?いや、まさか…」

 

「…そのまさかなんですよ。」

 

「…マジか…こりゃあすごい…!ただでさえレッドベルフの討伐なんか難しいのに、ここまで純粋なソウルコアが2つも…!」

というか…純粋な、ってどういう意味だろ…?

 

「あの。純粋って…どういう事なんですか?」

 

「ん?嬢ちゃん知らないのか?ソウルコアってのは、形を維持するためにモンスターが死んだ瞬間に体中の魔力を一つに固めるんだ。ただ、その勢いが強いせいで、魔力だけじゃなく、塵やらモンスターの血肉が混じることが多い。だから、純粋な、混じりっ気の無いソウルコアってのはそう無い。

それに、ソウルコアは純粋であればあるほど加工して武器にしたりしたときに強大な力をつけるんだ。不純物の混じってない完全なソウルコアを使った武器なんかはたとえそのモンスターのランクがD級だったとしても数百万グリムもの値がついたりする…!

D級でそれなんだ。…それが、A3級の、それもレッドベルフのソウルコアとして、更にほぼ全く不純物が混じってない、本当に純粋なソウルコアが2つも俺の目の前にあるんだ…!興奮するなという方がおかしい!」

うわ…初対面のときとは全く違う顔してる…何というか…目の奥がすごいキラキラして、テンションが上がってるのが目に見えるね。厳格さどこに置いてきたんだろ…

なんて言うんだろうね…うーん、新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいな感じ?

 

「嬢ちゃん、本当に俺の所なんかで買い取っていいのか?もっと正式な鑑定を受ければもしやすれば数億の値がつくぞ。」

億!?桁がおかしいんですけど…

 

「それは…大丈夫です。お金の問題じゃない上、ここの腕は確かだって聞きましたから。…それと、もう一つお願いがありまして…できるだけ切れ味のいい短剣が欲しいんですが…」

 

「短剣か。……そうだ!こんな貴重なものを持ってきてくれたんだ。このソウルコアの片方を使って最高の短剣を作ってやる!代金はそのソウルコアの売り値と同じで構わん!いやぁ…質屋冥利にも鍛冶屋冥利にも尽きる!」

え、…………えぇ!?

 

「ち、ちょ、ちょっと待って下さい!良いんですか!?」

 

「勿論だ!」

いやいやいや、E級の武器で数百万する物もあるやつなんでしょ…A3級だよ?それこそ数十億位しそうなんだけど…あぁいや、…もう目が。

目ガルハンさんの目が訴えてくるよ。分かる。もう多分これ止められないよ…

 

「じゃあ…お言葉に甘えて…」

 

「なら…まずは会計だな。取りあえずこっちを使うとして…俺が視るに、9500万グリムってところだな!」

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はい?

 

「き、ききき、きゅうせんごひゃく…?」

桁間違えてない?大丈夫?

 

「ああ!心配するな。こう見えてもこの店はかなり儲かってるんだ。まあ…税金が高いからかなり持ってかれるのは癪だが…いや、まあそこは良い。それぐらいなら…ほい、これだ。」

と渡されたのは10枚の紙。

 

「これは…?」

 

「魔法紙幣さ。流石に金貨9500枚も持って行かせるほど鬼畜じゃねえ。その中の9枚には1000万グリム、一枚に500万グリム入ってるから、使う分だけ考えれば出てくる。残量は右上に出てくる。一枚に入る上限は1000万グリムだから10枚だ。」

 

「…初めて見ました…」

言えばプリペイドカード的なやつかな?…えげつない金額入ってるけど…

 

「じゃあ、6時間だ。6時間待っててくれ。その間に最っ高の短剣を作っとくからな!」

 

「あ、は、はい!ありがとうございます!」

 

「はは!また来てくれよな!」

…仲良くなれたみたいで良かった…

とりあえずそこが一番大きかった。




あれ、一話の文字数が…やばい…増えてきてる…
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