TS獣耳暗殺者の異世界録 作:不審者γ
《ヴェイル視点》
「………ん?」
あれ?…何がどうなったんだっけ…?やけに周りがざわざわしてるし…血の臭いっ!?
って、なんで僕FSR持ってるの!?ってか、この目の前のやつエレオノーラとか言うあのクソ貴族だよね!?
確か…兵士が二人飛びかかってきて…急に二人が吹き飛んで…後ろにガルハンさんがいて…そうだ!あの野郎が殺すとか言ったときにあの光景がフラッシュバックしてきて…駄目だね、ここから記憶がない。
……え、もしかして…
「…ステータスオープン。」
…ああ…あぁ…
そういうことか…
特殊スキル
無感情 Lv2 獣化 Lv2 人化 Lv2
無感情…レベルが上がってるって事は…そういう事ね…うわあぁ…ってか、FSR素手でそのまま撃ってない?手袋つけてないし、手に持ったままだし…
…何で?
「う……」
え?
「「「「うおおおおおおおおおおお!?」」」」
「へっ!?」
「な、何だ今の!」
「あの子…凄いぞ!」
「あぁ…あの悪徳領主が…倒された…!!」
「「「今日は宴だあぁぁ!」」」
何か喜んでるけど!?
いや、それ位こいつが無茶苦茶だったんだろうね…まあ、なら良かった。
過剰防衛な気もしてたけど…助けになったんなら良かった。次の領主は良い人だといいなぁ。
「嬢ちゃん!やるじゃないか…!よーし、俺も嬢ちゃんの実力に見合う武器を作らないとな!」
ガルハンさんの意見は若干ズレてる気がするんですが…気のせいかな?
大股でお店の方に歩いていった。
「あ、ありがとうございます…」
聞こえたかどうか分からないけど、とりあえず言っておく。お礼は大事。
「よーし!ここらへんの全員!店持ってるやつは全部開けろ!今日中は祭り騒ぎだ!」
「うちは全商品半額にしてやるぞ!」
「こっちは7割引きだ!」
「うちの店は裏メニューも隠しメニューも全部出すぞ!」
う、うわぁ…思いの外大事に…
え?エレオノーラはどうしたかって?戦闘音で来た衛兵たちに持っていかれたよ。連れて行かれた、じゃなくて。
…というか、これもう暗殺でも何でもないよね…ただの戦闘じゃん…
本来そういうのはあんまり得意じゃないんだけど…ま、何とかなったなら問題ないでしょ!
で、何とか宴をくぐり抜けて、時間をつぶすために一度そこを離れた。
「ん〜…宿屋とか無いのかな…」
で、とりあえず今日泊まるところを探す。
というか…スキルって名前だけで内容は見れないのかな…?
「ステータスオープン」
ステータス表を開いて、無感情にタッチしてみる。と…
無感情 Lv2
各々の特殊条件を満たした時のみ、感情を封じ込める代わりに全ステータスを3倍にする。
(80%の確率で記憶へのダメージ)
…見れた。
え、なにこれ。ステータス3倍?数値おかしくなるよ?で、80%の確率で記憶へダメージ…ね。それで記憶が消えてたわけか。
特殊条件っていうのは…僕で言うキレたら、とかそういう感じかな?
とか考えながら歩いていると…
「キュゥ…」
「ん?」
何か声がした…?鳴き声か何かかな?
と、路地裏的なところに蝙蝠羽の生えた手のひらサイズのトカゲみたいな生き物がうずくまっていた。
何あれ?
「……腹減ってるのかな?」
カ□リーメイト食うかな?
フルーツ味のやつを出して中身を出し、置いてみる。
「!……キュウ…?」
「、食べていいよ。」
と言うと、食べだした。
いや…かわいい。良いね、こういうの。動物って人間みたいに心が荒んでたりしてないから見てるだけでも和む。
と、一本食べ終わったようです。細かったのが膨らんだ……風船かな?
「よし…そろそろ宿見つけないとね…」
一応もう一本もそこに置いておいて、そこを離れる。まずは今日泊まるところ見つけないと。と…
「あ、あそこ宿屋っぽい…?」
宿屋らしき家の看板発見。これで不動産屋とかだったらキレる。
「すみませーん。」
「、何だ?ここは子供の遊び場じゃねえんだ。用がないなら帰りな。」
入るなりおじさんに拒否られた。
ですよねー…うん、子供が一人で部屋借りに来ても普通通さないよね…
「あの…部屋を借りたいんですけど…」
「何言ってるんだ。親御さんはどうした。」
「親は…いません。」
「ぁあ?くだらん嘘付くんじゃないよ。不謹慎って知ってるかい。お?」
「…本当です。」
「嘘つくんならもっとマシな嘘つけ!」
あー…ここは駄目か…と、
「何言ってんだいあんた!この子の必死な目、見てないのかい!?どこに嘘でこんな目ができる子がいるんだい!」
……ん?カウンターの後ろから女の人が出てきた。何なら男の人の頭を思いっきり叩いた。…あれ多分めっちゃ痛いよ。振り抜いてるもん。
「った!?お、お前なぁ、だってこんな子供が一人でいるわけ無いだろ!」
「魔物にやられたとか色々あるかもしれないだろ!なんであんたは人の話を聞かないのかね!」
「お前がお人好しすぎるだけじゃないのか!そんなんじゃ商売にならねえんだよ!」
「いーから!その子は嘘ついてない!ここに泊める!良いね!?」
「いーやだめだ!こんな子供のおふざけにかまってられるほど余裕はねえんだよ!」
「まだ言うのかいあんただいたいねあんたって人はーーー」
「何ぃ?商売してないお前に言われたくないね!そもそもお前はーーー」
…えーと、どうしよう。
「あー、嬢ちゃん?」
「、は、はい。」
と、近くの椅子に座っていた男の人が話しかけてきた。
「気にしなくて良いよ。あれ、結構有名な夫婦喧嘩だからさ。宿屋の夫婦はよく喧嘩するが、仲は良いってな。」
…あれ、この人は信用してくれてる?
「あなたは、私を信用してくれてるんですか?」
「ああ。俺のスキルに嘘発見器ってのがあってな。言う事に対して嘘かどうかを見分けれるんだ。嬢ちゃんの言うことに嘘は無かった。…親御さんがいない、って所もな。」
片目を閉じて少し苦笑いする男の人。とりあえず話を逸らそう。
「あ、あはは…ところで…大丈夫なんですか?そろそろお皿の1つや2つ飛んできそうなんですが…」
…うん。マジで飛びそう。何ならすでに片手に持ってる。
「ん?よく飛んでるよ?女将が修復魔法が使えるから気にせず物投げてる。酷いときにゃ椅子が飛んでる。」
椅子て……どうなってんの…
「あ、あの…」
「!まだ居たのかこのガキ!とっとと…ぐえっ!」
目をそらした瞬間に女将さんがラリアットを決めた。うわぁ…
「ごめんねお嬢ちゃん。こいつ、すーぐ頭に血が上るバカだからさ。気にしなくていいよ。ところで…部屋だったね。そうだね…325が空いてるね。」
「ゲホッ…あっ!てめえ勝手に進めやがって!」
「あんたは…黙ってなァ!」
と、女の人のアッパー&右ストレートが見事に男の人の顎と顔面にクリーンヒットし、男の人は動かなくなった。
母は強しとは言うけど…女の人って強いね。いやまあ、今は僕も女の子なんだけど…
「じゃあ…これが鍵だね。料金は後払いなんだけど…お金、あるかい?もしあれだったらまけるけど…」
「だ、大丈夫です!お金はそれなりにあるので…」
「、そうかい。寂しくなったら呼んでいいからね。話し相手ぐらいならなったげるよ。」
あ、すごいいい人。というかここ、良い人多すぎない?
「その…そっちの人は大丈夫なんですか…?」
「あぁ、問題ないよ。こんなやつ適当に寝かせときゃそのうち起きる。体ばっかりは頑丈だからね…こんなお嬢ちゃんに目くじら立てて…情けないねぇ。」
「い、いえ、普通、こんな子供が一人で来たらこうなりますよ。仕事として正しいとも思いますよ。」
「…嬢ちゃん、もしかして天使か何かだったりするかい?」
「いえ、人間です。」
いや、これ聞かれたの二回目なんだけど。
そんな良い事してるかなぁ…?
「そうかい、優しいんだね…。部屋は3階の一番奥の部屋だよ。ゆっくりしていってね。あ、おばちゃーん、って呼んでくれたらすぐ行くからねー。」
柔らかく微笑まれた。
「はい!ありがとうございます!」
さて…3階の一番奥の部屋…ここだね。
キイィィ…
「おー…」
山小屋みたいな雰囲気。全部木造で…何と言うか空間が暖かい感じ。
アパートとは違うね。
「…さて…ならあれだね…」
ここはあくまでも宿。だから、定住できる家を探さないといけない。流石にここに何日もいるのは邪魔になるから、多くても4日…と言ったところかな。それまでに集合住宅でも見つけないとね…と、
「…ん?」
窓になにか張り付いてた。何だろ、と思って近づいて窓を開けてみると…
「…あ、」
「キュゥウー!」
あの翼の生えたトカゲのようなやつだった。何?恩返しとか何か?とりあえず…入れるか。
「…何で付いて来たんだか。」
あげれるものと言えばカ□リーメイトか1○秒チャ―ジinゼリーぐらいのもの。
世話の仕方も分からないし、そもそもこの種族すら分かってない。
「…キュウ?」
「…お前は何者なんだかなぁ?教えてくれない?」
ま、返答が来るわけないしなー、と思って目を逸らすと…
『わ ラ す 。』
「…ん?」
何て?何か聞こえた。…え、こいつ?
「お前今喋った?」
『…あ 、き る す …?』
「ん?…んん?」
なんか…一部一部声が落ちてて聞き取れない箇所が多い。何で…?
『 たし う。 られる だっ をた て だき、あ とうござ した。』
んー…最後にお礼を言われたのは地味に分かったんだけど…その他が…
「んー……聞き取れん…あ、もしかして…ステータスオープン。」
…ふむふむ…お、スキルの欄に会話 Lv2がついてら。
会話にタッチ、と。
会話 Lv2
動物の発する言葉なら理解し、話すことができる。
しかし、レベルが低いうちは声が抜け落ちる。
(普通に会話したいのであれば最低Lv6は必須)
…マジですか。えー…これあれば英語やらフランス語やらいちいち必死に勉強する必要なかったじゃん…うっわ、魔法って努力潰しぃ…
「まあともあれ、レベルが上がれば普通に会話もできる訳かぁ…。それまでの辛抱だね。」
…っと、そういやガルハンさんの店行こっかな。時間は…うわ、何気に5時間経ってる…嘘じゃん。そんな時間経ってた?
「よし…行くか。…来る?」
後ろのよくわからない生き物に聞くと…
『 。』
首を縦に振ったってことは肯定だろうね。
と、ちょこちょこ走ってポケットの中に入った。それを見てから宿を出る。
「んー…こっちか。」
で、向こうから来た道を戻る。多分こっちで合ってると…あ、合ってる合ってる。向こうでお祭り騒ぎしてるのが見えるね。
よし…
「えーと…向こうから来て…どこらへんを曲がるんだっけなぁ…確か…」
ここかな?と曲がると…
「あ、あったあった。」
合ってた。良かったぁ。時間は…あれから30分経ってるね。そろそろ良いかな?
「おじゃましまーす…」
ん?誰もいない…?
あれー…ガルハンさんどこ行ったんだろ?…あ、もしかして今作ってる所だったり…と、奥から声が聞こえた。
「よおしっ!出来たぞォッ!」
…すごいナイスタイミング。