TS獣耳暗殺者の異世界録 作:不審者γ
「、嬢ちゃん、来てたのか。」
「そろそろかと思いまして。」
「おう!丁度だったな。今出来たところだ…よっと。」
「うわぁっ…」
後ろの台から出してきてくれた短剣は、刃が赤かった。両刃で細くて、光を反射してる。
「これ…凄いですね…」
何と言うか…オーラみたいなのが出てそう。
「ははは!中々楽しかったぞ。ここまで鍛冶に興奮したのは久しぶりだった。」
うわー…すごいいい笑顔…
「試し斬りでもしてみるか?石くらいなら簡単に切れると思うが…」
………ん?
「…石…ですか?」
「ああ。石だ。何なら嬢ちゃんの腕なら剣を交えても相手の剣が斬れるかもしれんな。」
う、うわぁ…
それはちょっとヤバすぎない?それ、鉄と鋼が一緒に切れちゃってることになるんですが?
「それに、そう簡単に折れないからな。そうだな…ドラゴンに踏まれても曲がらんぐらいには。」
「それもうおかしいですよ。」
何?ドラゴンってあのドラゴンでしょ?あの体長10メートルぐらいあったりするやつ。あれに踏まれて曲がらないってどうなってんですかね?
「そうだな…お、丁度いい的があったな。」
と言って持ってきたのは人の形をした石の的。
…何処にこんなのあったん…?
「こいつはゴーレムだ。相手にするには不足なしってね。」
ゴーレム!?あの?だいたいゴーレムって土から作られるやつじゃないの?
というか不足ないどころか…ですよ。まあ…負ける気はないんだけど…
「じゃあ…お願いします。…というか、これ切っちゃって大丈夫なんですか?」
「ん?ああ、問題ない。存在を忘れてたようなものだからな。それに、ゴーレムなんか石に魔力が込められた人形だし、すぐ作れるからな。」
へー…そういうのなんだ。ゴーレムってゴーレムっていう種族の生き物かと思ってた。
「じゃ、動かすぞ…っと!」
「ゴオォォォ…」
「よし、問題なし。準備良いか?嬢ちゃん。」
「はい。」
「じゃ…それっ!」
と、ゴーレムが飛んできて殴りかかってくる。一回短剣の腹で拳をいなす。
ガキィン!
「っ!せっやぁ!」
そして、背後を取って下から上に、左から右に、短剣の軌道で十文字を描く。と、
バラバラバラ…
「……切れちゃった。」
切れちゃった。やばいね、これ。石とぶつかるような音もしなかったよ。そのまま切れた…
「うひょー…こりゃすごい。想像以上だな。よし、試し切りはこんなところでいいか。」
「…はい。充分すぎますね。…ところで…本当にこれ、頂いていいんですか?」
「何もやる訳じゃねえ。ソウルコアの代金をこれの値段とした物だ。」
「いや、それでもソウルコアの値段より武器の値段の方が跳ね上がるんですよね?」
「何、どうってことねえよ。むしろ嬢ちゃんには感謝だ。こんな一生に一度見れるかどうかのようなソウルコアを持ってきてくれて、売ってくれた。それに、あのクソ領主を倒してくれたし、な。」
あ、エレオノーラの事ね…あれはしょうがない。うん。
「だから、お礼として受け取っといてくれ。これ、予備な。」
「あ、はい…って!?」
ん?んん!?
「なんで2個もあるんですか!?」
何で!?まさかとは思うけど両方武器にしてたりしないよね!?
「何、嬢ちゃん、ソウルコア一個で1つの武器になるわけじゃないんだ。今回は短剣で普通の武器より小さいからな。2つ作れたんだ。予備としてもっといてくれ。…ま、鉄とかじゃないから錆びないし、折れたり刃こぼれしたりすることもないと思うが…ま、一応、だ。」
あ、そういう事か。
確かに、剣と短剣で使うソウルコアの量が同じ訳ないもんね。焦ったあぁ…
「んじゃ、また何か用があれば来てくれよな。歓迎するぜ。」
「ありがとうございます。では。」
と言って店を出る。
いやー…焦ったね。でも、二本あるのは都合がいい。基本的に僕、ナイフを使う場合は両手に持つからね。
「…っと…そうだ、こいつ……」
ポケットから顔をのぞかせる赤い羽付トカゲ。…一緒にいるなら名前ぐらい付けてあげないといけなさそうだけど…種族が分からないからなぁ…
『わ られ し か ?』
「…うん、ごめん。まだ分かんないや…」
何なら会話スキル、ずっと発動しっぱなしにしといてみようか。それなりにレベル上がるかも。
「よし。にしても…流石にこれ以上目立つのは嫌だなぁ…」
暗殺者っていう立ち位置故か、僕はあんまり人前に立つのは得意じゃない。そもそも日中は普通の人として生きるはずの暗殺者が真っ昼間からドンパチやってる方がおかしい。
「…となると…昼は普通のギルド員として生活するか。仕事は…夜だね。流石に依頼は来ないだろうから…見回り的な感じになるかな?」
まあ、どっちでもやることに変わりはないしね。
というか、僕ってどう見えてるんだろ?狐耳の少女?というか、ここ赤とか青とかの髪は見るけど銀髪っていないね。あと金眼も。
「…ま、いっか。仕事中はどうせフード被るし、見られることはないかな。」
じゃあ…一回ギルドの方に戻ろっかな。
「戻りましたー…。」
「お、ヴェイルちゃん。おかえり。えらく時間かかったな?」
「色々ありまして…」
「………まさかとは思うけど、エレオノーラってやつ知ってる?」
……………あ、
「え、ええええーと…な、何の話でしょうか?」
「目、泳ぎまくってるよ。」
ああああああああああああ!
バレてんじゃん!完全に!
「うん。まぁ…凄いね。」
「………ガルハンさんが手伝ってくれましたので……」
「ん?ガルハン?……しし……あの鍛冶屋兼質屋の?」
「あ、はい。」
「あーね…さらっと仲良くなってる所とかもなかなか凄いね。あの人何かレベル85とか聞いたしね。」
……はい?
「レベル85って…ん?」
「昔、自分で武器を作って鍛冶のレベルを上げつつその武器で戦って自身のレベルも上げるとかいう事をしてたらしいよ。」
え、何その効率厨。
というか昔ってどれくらい前なんだろ?
「昔ってどれぐらい前ですか?」
「60年前ぐらい?」
あ、想像の斜め上行きましたわ。
え、あの人今何歳なの!?見た感じ50代中盤ぐらいかと思ってたんだけど!?最低でも…70位…?うわぁ…
「まあ…80になっても元気だよな、レンの師匠。」
「あ、おい」
横からフィードさんが出てきてぼそっと言ってからまた去っていった。
…ん?年齢よりちょっと気になったんだけど…レンさんの師匠さんだったの!?
「お師匠さんなんですか…?」
「……うん、5年ぐらいお世話になってたよ。何で鍛冶屋なんかやってるのかなぁってぐらい強いんだよ、あの人。使える魔法は風魔法と火魔法、金属魔法の三種類。風魔法は最高位まで行くし、火魔法に関しては何か火炎魔法とかいうのになってる。その上、金属魔法はもはや…視界に映る金属はもう全部支配下におけるぐらいえげつない。色々規格外なんだよ、あの人。」
う、うわぁ…(2度目)
ヤバすぎない?ガルハンさん。何がやばいって金属魔法極めすぎでしょ!目に映っただけで金属は全部支配下に、ってもう武器いらないじゃん…
「まあ…一番何がやばいってそれ全部組み合わせたりして使える所なんだけどね…一回で2つの詠唱同時進行ってほんとどうなってるんだろ…」
え、なにそれ、口2つあるんですか?
…というか詠唱?
「詠唱…って?」
「えっ?…うーん…ヴェイルちゃんって色々知らないことが多いのかなぁ…学校って行った事ある?」
あ、それも常識のうちだったのね…でも、あいにくこの世界の学校には通ってないから…ノーとしておこう。
「いえ…」
「、そういう事だったのか。詠唱っていうのは魔法を使う前の呪文みたいなやつの事だよ。詠唱をしないとろくに魔法も使えない人も多いね…って、詠唱知らないでどうやってレッドベルフ倒せたの…?」
あ、そっか、うーん…どう誤魔化すか…よし、
「秘密です♪」
口に人差し指を当てて少し笑って言った。
うわぁ…自分でやってあれだけど違和感が半端ない…
「「「「(何あれ、めっちゃかわいい。)」」」」
「そ、そうか…//」
ん?今気づいたけどレンさん顔赤い?風邪?
あと周りから妙な視線感じるのは…気のせいかな。
「ま、まあ、ともかく、ギルドに登録はしておいたから、これで一応ギルドに入れたことになってるからね。」
「、ありがとうございます。」
そっか、ギルドとかって申請とかいるんだね。そういうの全く考えてなかったよ。
「ところで…その腰についてる見たことない鞘は?」
あ、短剣の鞘かな?元々持ってなかったもんね。
基本的に僕はナイフポーチに入れてるから。手持ち用のナイフは太ももあたりに付けてるから腕を降ると同時に抜き取れる。
「新しい短剣ですよ。ガルハンさんのところで打ってもらったんです。」
「なるほどね。どんな短剣だ?」
「…こんな、です。」
見せても…刃の赤い短剣、位にしか思われない…よね?
「って…これソウルコアの武器じゃん!?」
…あ、はい。分かるんデスネェ…