予めご了承ください。
【2021.10.3. 16:00】
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ありがとうございます!
とても励みになっております。
あの日以来、集会の時にベランダでタバコを吸っていると、場地と松野が手を振ってくれるようになった。
何故かつられて他のメンバーも挨拶をしてくれる。特に壱番隊の隊員には「隊長と副隊長を手懐けるヤベー先公」と認識されているらしい。
壱番隊と参番隊の隊長と副隊長が仲よさそうにしているところを見ると、今のところあの作戦は上手くいっているのだろう。
場地と松野から何も報告がないまま、7月になった。
12年後の今日、橘日向が死ぬ。そして、花垣武道が過去に来る。花垣が最初にタイムリープするのはいつだったか、正確な日付を思いせない。こんなに大事な日を忘れるなんて、自分が
頭を抱えていると、場地に呼ばれた。
「センセー、味噌汁足らねー」
「なんでだよ。大きいおたまで一杯ずつって言ったでしょう。」
今は給食の時間で、場地は給食当番。あの場地圭介が、割烹着を着て、帽子を被り、ガーゼマスクをして、お椀に味噌汁を装っているのだ。もちろん、ぺったり眼鏡で。これを見て笑わずにいられようか。初見の時、堪えた自分を褒めてほしい。見慣れるまでにだいぶ時間がかかった案件の1つである。あとは、音楽の時間にリコーダー吹いているのを目撃してしまった時、腹が痛くなるほど笑い、音楽室の前を通ったことを後悔したのだ。
「で、あと何人分足りないの?」
「1人分、先生のだけ」
「オレの先生食っていいっすよ」
「そしたら松野さんの分がなくなるでしょ。」
「大丈夫っす!場地さんと半分コするんで」
さすがに学校で“一口ずつ”半分コさせるわけにはいかないので、空のお椀に半分コしてあげた。ついでに、松野がくれた自分の分を少しずつ分けて3等分にする。
この間はソフト麺用のスープが大量に余った。場地が小さいおたまで一杯ずつしか装わなかったからだ。反省を生かして余らないように3杯ずつ入れた、というのが場地の言い分である。
思わず大きな溜息をついてしまった。
「これじゃ月曜日の給食が思いやられる…出張だからいないのに。」
「月曜日は当番変わるから、俺じゃなくて千冬だぞ?」
「それはそれで心配。」
2人のかっこいいところも、優しいところも、強いところも知っているが、学校生活においてはいかんせんポンコツなのである。
月曜日、後ろ髪を引かれる思いで出張に向かった。
午前中は普通に授業をし、給食前には松野に「場地さんの分だけ大盛りにしないように」「欠席者の分のデザートを勝手に場地さんにあげない、ちゃんとみんなでじゃんけんするように」と釘を刺してから学校を出ることができた。
うちのクラスは委員長が優秀なので自分がいなくてもなんとかなるだろう。
しかし、出張に行く自分の代わりにクラスを見てくれるのは3月に大学を卒業したばかりの新採の先生で、あの2人を任せなければいけないのは本当に申し訳ない。と、言っても、実際には自分も新採とかわらないのだが、社畜経験と多少の人生経験でなんとかなっている部分がある。3ヶ月も経つと自分でも教師が板についてきたと思う。
場地も松野もだいぶクラスに慣れてきたので、委員長の話は聞けるようになった。従うかどうかは気分によるだろうが、場地に話をつけておいたので、松野も大丈夫だろう。委員長の負担が大きくなりそうだが、半日だけ頑張ってもらおう。
渋谷三中で数学の公開授業があり、研修ということで見に行かされた。
5時間目の授業を参観し、その後意見交換会があり、16時頃終わった。今日はこのまま直帰することになっている。
帰り道、通りがかった公園にヤンキーが集まっていた。
見覚えのある光景に、嫌な予感がした。金髪や赤髪の5人の中学生がボコボコにされている。
7月4日、
何の勝算もないけれど、目の前で人が殴られているのに素通りすることが出来ずに声を掛けてしまった。
「やめなさい!!」
「…何だテメー?」
一斉にこちらを睨みつけてくる。
怯むな、ビビったら負けだ、自分にそう言い聞かせ、なんとか立っている状態だ。
「お、おい!こいつって…」
「壱番隊の…?」
「まじかよ…」
急にヤンキーたちがブツブツと何か話し始めた。
「場地の師匠!!」
師匠になった覚えはない。
どこでどう間違ったら“担任”が“師匠”になるのだろうか。“場地の師匠”なんて、これでは喧嘩がめちゃくちゃ強い奴みたいではないか。
しかし、なんとなくヤンキーたちが退き始めたのが分かったので否定するのをやめた。
「チッ…今日のところはこのくらいにしといてやる。」
清水がそう言うと、ヤンキーたちは背を向けて歩き出した。
赤石が最後に「お前ら今日からオレら“東京卍會”の兵隊な」と言って公園を出て行った。
花垣が“東京卍會”に反応して清水たちの後ろ姿を睨みつけている。
「大丈夫ですか?花垣…」
「…え?」
「いや、鼻血が。」
思わず「花垣」と言ってしまい、慌てて誤魔化した。
今会ったばかりの大人が自分のことを知っていたら気持ち悪いだろう。花垣も中身は大人だが、やはりこちらだけが一方的に知っているのは良い気がしないはずだ。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「でも、アイツらなんで急に…?」
「一体何者っすか?」
「ただのしがない中学校教師です。」
アニメの予定よりも早く発見したことで、5人ともまだ余裕がありそうだ。
この感じだと、このまま5人で家に帰ってしまいそうな雰囲気。花垣は橘のところに行かなければ直人に会えない。直人に会って話をして握手をしなければ花垣はタイムリープ出来ない。ここでタイムリープ出来なければ、花垣本人がタイムリープ能力に気付けない可能性がある。
なんとかして花垣が橘のところに行くよう仕向けなければ。
「ほら、もう帰って、あとは彼女にでも手当してもらいなさい。」
こんな言葉で花垣が動くか微妙だと思っていたが、仲間たちに「タケミチはいいよなー彼女いて」と囃し立てられて、顔にはもう「橘に会いたい」と書いてあった。なんて単純なやつなんだ。
5人を見送り、自分も家路についた。
歩きながら今後のことを考える。
花垣と接触し、協力するのが定石だろうが、花垣には自分のことを何と伝えようか。別の次元からアニメとして見てきたなんて、さすがに頭が可笑しい奴だと思われるだろう。自分もタイムリープしていると言うか。しかも花垣よりもさらに先の未来2021年から来たと言ってみようか。それなら、花垣の動きでどう未来が変わるか知っていても説明がつくだろう。
花垣には花垣の目的があり、こっちにもこっちの目的がある。“場地圭介を救う”は、花垣が“橘日向を救う”うちの一部だから利害関係は一致していると言って良いだろう。しかし、こちらの目的が達成したとき、
「わけ分かんなくなってきた…」
夕食を食べ終えた頃、バイクの音が聞こえてきた。
場地と松野に思い出したことを伝えるため、神社に向かう。
神社の駐車場に着くと、真っ先に清水たちと目が合ってしまった。なんとなく、目を逸らしたら負けな気がした。
「センセー何やってんすか?ここまで来るの珍しくねっすか?」
「あ、松野さん。給食は上手に装えましたか?」
「わざわざそれ聞く為に来たんすか?オレのことバカにしてんすか?」
バカになどしていない。本当にただ心配しているだけなのだ。
「ところで場地さんは?一緒じゃないの?」
「いますよ。場地さーん!」
松野に呼ばれて、場地がやってきた。
「何か用かよセンセ」
2人を連れて、少し離れたところで話し始めた。
「また、ちょっと思い出したことがあって。参番隊の清水将貴って分かる?」
「さっきセンセーが見てた奴っすよね」
「そいつが何だよ」
「東卍の名前使って喧嘩賭博主催してるって言ったら信じる?」
「は?」
「実際見たわけじゃないし、今は証拠もないけど、やってる。」
「で、また俺らで何かすんのか?」
「いや、マイキーと龍宮寺くんに伝えて。あとの判断は総長に任せれば良いと思う。」
ここは、花垣とマイキーを出会わせるためにも
もしかしたら、もう気付いて動き始めているのかもしれないが、念のために場地と松野にも伝えておく。そうすれば、場地と松野も清水を多少警戒するようになるだろう。
8月3日に花垣と一緒に龍宮寺を助けられるかもしれない。
今更ですが、オリ主はアニメしか履修してません。24話まで見て転生した設定です。
作者はアニメからのコミックスです。
やっと武道くんが来てくれたので、どんどん展開していけそうです。
次の更新は10月9日です(目標)