To be, or not to be...   作:

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原作変わってきてます。
ご注意ください。



【2021.10.10. 17:00】
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12話

自分の知り得ないところで、マイキーと龍宮寺の喧嘩が勃発していた。

夏休みになり、場地や松野との連携が取りにくくなっていた矢先のことである。

 

二中近くの倉庫に、総長をはじめ幹部が集まり、愛美愛主(メビウス)との抗争に備えて作戦を立てていた。

愛美愛主との倉庫での一件はなかったものの、そこに花垣が現れ、「愛美愛主との抗争をやめた方がいい。裏がある。東卍はハメられている」と言ってきたらしい。おそらく花垣は未来へ戻り、長内の話を聞いて来たのだろう。

龍宮寺は花垣の話を聞き、「愛美愛主を調べてみてもいいんじゃないか?」とマイキーに助言したところ、「東卍に楯突くのか」とマイキーの機嫌を損ねてしまった。

マイキーと龍宮寺の喧嘩は東卍の隊長が集まっていても止められなかったらしい。

その日はマイキーも「帰る」の一言で解散になったそうだ。

しかし、後日、2人のケンカを止めたのはアニメ同様、花垣だったのだ。どうやって止めたのかは、場地や松野だけでなく、他の隊長達も知らないという。事実を知るのは当人たちだけらしい。

 

この話を聞いたのは抗争の前日のことだった。

マイキーと龍宮寺の喧嘩を知るのも幹部だけのようだし、これが内部抗争に繋がることはないと思って良いだろう。

 

「つーかよ、教師が暴走族の抗争の決起集会なんか参加して大丈夫なのかよ」

 

「ここは駐車場だし、集会はまだ始まってないし、セーフでしょ。」

 

話を聞く限りでは、龍宮寺は他のメンバーに“83抗争”や“血のハロウィン”で起こりうることを話していないようだった。龍宮寺に口止めするのを忘れたと後悔したが、無駄な心配だったようである。

翌日の決戦に向けて、みんなギラギラとしていた。

ひとつ気になるのは、清水に稀咲か愛美愛主の誰かが接触してくると思ったのに、全くその報告がなかったこと。そのせいで、場地と松野の気が緩んでいるようにも感じる。場地も松野も探偵ではないので四六時中清水を監視することは不可能なので2人の分からないところで接触しているに違いない。

場地と松野に釘を刺して、最後までは見届けずに帰宅したが、神社からは盛り上がっている声が下まで聞こえてきた。

 

 

 

そして、8月3日。

武蔵祭りは多くの人で賑わっている。

日付は分かっているが、決戦の時間までは知らない。場地も松野も教えてくれなかったのだ。巻き込むまいと、2人の優しさである。どうせ家から見えるし構わないと思っていたが、待てど暮らせど一向に人が集まってこない。

雨が降りだして気付いた。こっちの駐車場ではなかった。

念のため、携帯を“119”を押した状態でポケットに入れた。ガラケーは見なくても指の感覚だけで通話ボタンが押せるので便利である。

玄関を出たときには雨が本降りになっていた。

 

裏の駐車場に向かう途中、ガムテープでぐるぐる巻きにされ、芋虫のように転がっている花垣を見つけた。コレ、橘が見つけなければいけないやつでは?決戦が今日になったことで、“お祭りデート”どころではなくなってしまったのだろう。ほんの少し未来を変えたせいで、花垣のファーストキスの機会を奪ってしまったようだ。なんか、申し訳ない。

近づいて花垣に巻かれたガムテープを解いてやる。

 

「…あなたは確か、公園で助けてくれた…しがない先生?」

 

「…もしかして、苗字が“しがない”だと思ってる?」

 

「いや…」

 

「じゃあ、他人に向かって使うのは失礼だから気を付けた方が良いですよ。本当に26なの?」

 

「え?」

 

自然に出てしまった言葉に、自分でも驚いた。

花垣とはもっとちゃんとコンタクトを取りたかったのに。

 

「なんで、それを?あなたは一体?」

 

「君のことを知っている。花垣武道、26歳。橘日向を救うため、12年後の2017年からタイムリープしてきた。」

 

「ナオトの情報にはこんなの…」

 

「直人くんの情報にはなかった?そりゃそうでしょ、元々この世界の人間じゃないから。」

 

「どういう…?」

 

「花垣くんよりも先の未来、2021年から来た。ちなみに、2017年には26歳で、2005年には中2だったから同い年ですよ。」

 

「え、同い年?でも、普通に大人に見える」

 

「この体は自分の体じゃない。気付いたら別の人間としての生活が始まってた。最初は夢だと思ったし、すぐに戻れるだろうとも思った。色んなことが都合よく上手くいくのも“結局夢オチなんでしょ”ってどこかで思ってた。でも、4月から今まで4ヶ月もこのままで、さすがにもう慣れた。」

 

「なんか大変そうっすね」

 

花垣に同情されるとは思わなかった。

 

「で、君と決定的に違うのは自由に()()()()()()を行き来できないこと。過去を変えても未来を確認できない。だから協力してほしい。変わった未来を教えて欲しい。まだ会ったばかりだから信頼しろとは言わないけど、信用して欲しい。共同戦線といきましょうよ。」

 

「…わかった」

 

そう言って、花垣は手を差し出してきた。

 

「…あんた、自分の握手にどれ程の意味があるが分かってんの?」

 

「でも、ナオトじゃないし、タイムリープすることはないんじゃ?」

 

おずおずと差し出された花垣の手を握ったが、特になにも起こらなかった。

駐車場に向かう道すがらお互いに今知っていることを教え合った。

やはり、花垣を縛り上げたのは清水で予定通り龍宮寺を狙っていることも分かった。

 

 

駐車場に着いた時、ちょうどマイキーの蹴りが長内の顳顬(こめかみ)に入ったところだった。

一撃で長内は地面に倒れた。

周りで乱闘してた全員の動きが止まり、マイキーと長内に注目している。特に、愛美愛主の奴らの顔には絶望が広がっていった。

東卍が勝利を確信した時、長内は立ち上がると、近くに転がっていた短刀を手に取りマイキーに向けて突っ込んできた。いち早くそれに気付いた龍宮寺がマイキーと長内の間に入った。一瞬の出来事のはずなのに、スローモーションのように見えた。ヤバイ、と思い思わず目を瞑ってしまった。それとほぼ同時に鈍い音がした。ここで終わりかと、恐る恐る目を開くと、長内の腹に龍宮寺の膝蹴りが綺麗に入っていた。

 

愛美愛主(テメぇら)の頭は東卍(ウチ)のマイキーがノシた!!!文句ある奴いるかぁ!!?いねぇなら、今日から愛美愛主は東京卍會の傘下とする!!!」

 

東卍は愛美愛主に勝った。それも、アニメでは倉庫での出来事だった時のようにあっさりと。

しかし、油断はできない。なんといっても、今日は8月3日、本来なら龍宮寺が死ぬ予定である。清水がどこから襲って来るかも分からない。

警戒しながら辺りを見回すと、倒れている清水を見つけた。赤石や清水の取り巻きたちも倒れている。こちらも既に決着がついていたようだ。清水の近くには短刀の鞘が転がっていた。先程長内がマイキーに向けた短刀は、清水が龍宮寺を殺めようとした短刀だったらしい。

大事な場面を自分の目で確認することはできなかったが、みんなが無事ならそれで良い。

 

83抗争が幕を閉じようとしていたその時、気だるげな声が聴こえてきた。

 

「東卍もマイキーもちゃんと強ぇじゃん。だりぃ」

 

ここへきて半間修二。

元々、「“仮”で愛美愛主仕切ってる」と言って登場していたが、長内が健在の今は何なんだろうか。

 

「中坊相手に、長内が弱過ぎなんか?」

 

「…誰だテメー」

 

マイキーの問いに、半間は楽しそうに笑いながら答える。

 

「マイキー!!!もうすぐ関東最凶の暴走族連合が誕生する!!“芭流覇羅(バルハラ)”だ!!!俺は“芭流覇羅”初代 ()()() 半間修二。覚えておけマイキー。この先、東卍に平和はねぇぞ」

 

それだけ言うと、半間は手下のバイクの後ろに乗って帰っていった。

本当に何しに来たのだろうか。ただ名乗る為に来たのか。“ヤンキー名乗りたがり説”が再浮上する。

 

「…終わったのか?」

 

隣で花垣がポツリと呟いた。

龍宮寺は生きている。それどころか怪我もほとんどしていないようだった。エマとのデート中にバットで殴られて奇襲をかけられた時とは違い、今回は特攻服に襷の戦闘態勢。簡単にやられる訳がない。しかし、短刀相手に素手で挑んで無傷とは、龍宮寺が強すぎるのか、長内や清水が弱いのか、分からない。

林田は捕まっていないし、もちろん林と東卍の間にわだかまりもない。

東卍のモブ隊員たちは大半が転がっているが、隊長や副隊長はピンピンしている。場地も松野も元気そうだ。

これは大分未来が変わっているのではないだろうかと期待が大きくなる。

 

「ナオト…ミッション成功だ!!」

 

小さな声で花垣がそう言っているのが聞こえた。

しかし、今回、花垣は何もしていないような気もする。龍宮寺は己の力で生き抜いたのだ。花垣が自分の手柄のように「成功」と言っているのにモヤっとした。いや、でも、マイキーと龍宮寺の喧嘩を止めたのは花垣の手柄か。

 

遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。

 

「ヤベ、警察(サツ)だ」

 

「え!?ケーサツ!?」

 

花垣の驚く声に反応し、マイキーが「来てたのか」とこちらを見る。

 

「逃げんぞ!タケミっち!」

 

「は…はい!なんでそんなにヨユーなんすか」

 

笑顔で走り去るマイキーを追って花垣も駆けていった。

 

「オイ、愛美愛主!!自分らだけ逃げようとしてんじゃねえよ!長内に肩貸してやれ!」

 

「はっはい!」

 

長内は庇ってやるのに、まだ気を失っている清水一派は置いて逃げるらしい。裏切り者だし、当然か。

 

「センセー!ぼーっとしてねぇで逃げんぞ!」

 

場地はバイクで目の前に止まると、自分の後ろに乗るように促してきた。しかし、既に松野が乗っている。まさか3人乗りしようとしているのか?

 

「いや、無免許の奴の後ろなんか乗りませんよ。」

 

「捕まっても知らねぇぞ!」

 

「どっからどう見ても、通りすがりの一般人でしょう。捕まらないから安心して行きなさい。」

 

それに、まだやることがある。

清水がまた龍宮寺を狙うとも限らない。危険因子は潰しておかないと。

長内が落とした短刀を拾い上げ、清水の元へ行く。

 

「センセー!?何してんすか!!?」

 

遠ざかって行くバイクの音に紛れて松野の声が聞こえた。

横に立って清水を見下ろす。

ちゃんと気絶してる?まだ起きないよな?

 

「先生!!ダメっす!!」

 

突然、後ろから松野に抱きつかれた。

 

「そんなことしちゃダメっす!!」

 

「は?」

 

「そんなクソヤローのために先生が罪を犯すことない!」

 

「え、松野さん、もしかして刺すと思ってます?」

 

「へ?…違うんすか?」

 

「清水の指紋ベタベタに付けて握らせておけば、とりあえず清水が銃刀法違反で逮捕されないかなーって。」

 

「クッソ!紛らわしいんだよ!深刻な顔して!ふざけんな!心配してソンした!」

 

「いや、ヘラヘラしながら出来ることじゃないでしょ。」

 

「お前らマジ何してんの?本当にそろそろヤベーぞ」

 

いつのまにか場地まで戻ってきていた。

しっかり清水に短刀を握らせてすぐにその場を離れる。

自分がここにいると、きっと場地と松野まで居座ってしまう。

 

「さあ、行きましょうか。」

 

なんとか警察とは鉢合わせずに済んだ。

 

 

 

後日、清水が狙い通り逮捕されたことを知った。

今は少年院にいるらしい。実際に人を刺したり殺したりしたわけではないから、期間はあまり長くはないだろう。それでも、不安な要素が1つないだけで、しばらくの間は安心して過ごせそうだ。

 





目標通り更新出来て良かったです。
本当は08:03に更新したかったです(笑)

次の更新は10月16日です(目標)
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