【2021.9.30. 23:00】
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急にこんなに増えると思っていませんでした。
ありがとうございます!
とても励みになっております。
“鉛筆コロコロ作戦”が功を奏し、場地は見事に5教科全てにおいて赤点を回避することができた。
何という強運の持ち主だ場地圭介。
松野には適当に「パイロットには馬鹿はいない」と言ったところ、何の根拠もないのに本気にして目の色を変えて勉強していた。その結果、目標の平均点を取ることが出来たのだ。
中間テストも終わり、気が付けばもう6月になっていた。
“血のハロウィン”まであと約4ヶ月。
アパートのベランダでタバコを吸いながら東卍の集会を見守るのが習慣になっていた。厳密には、集会は上の神社で行われているので、その前後の駐車場での様子を見ている。今日は総長の機嫌がいいとか、副総長が振り回されてるとか、なんとなく分かるようになってきた。こんなに目と鼻の先なのに、場地も松野も全くこっちに気付いて無いようである。それほど
学校では、近所の人から「2人組の中学生が公園の野良ネコに餌付けして増えて困っている」という苦情の電話がくるなどくだらない小さなトラブルはあるものの、今のところ東卍に大きな動きは特に見られない。場地と松野の手に小さな引っ掻き傷はあるが、大きな怪我がないのが抗争をしていない証拠だ。
やはり花垣が過去に来るまでは何も起こらないのだろうか、そんなことを考えながら2本目のタバコに手を伸ばしたとき、パッケージの渦を巻いたような大きなマークが目に付いた。
手遅れになる前に早く伝えなければと思い、家を飛び出したが、神社の階段を数段駆け上がったところで、集会をぶち壊したらボコボコにされるということを思い出した。思ったよりも自分に余裕がないことに驚いた。
一旦、冷静になろうと、その場に座った。
頭の中で、時系列を整理する。まだ、6月。花垣が来るまで約1ヶ月ある。その前に起こりうることは?やっておくべきことは…?
「なんだテメー!コノヤロー!」
「ここで何してんだ!?」
「殺すぞボケェ!!」
考えに没頭し過ぎていて全く周りが見えていなかった。
気付いた時には、囲まれていた。
「ここは東卍の集会場所だぞ!」
「テメーみてぇな奴が何の用だ!?」
「殺すぞボケェ!」
落ち着け、こっちには切り札が2枚もある。焦るな。ビビるな。
別に年下相手にビビっているわけではない。大人数に囲まれていることに萎縮しているだけだ。
自分を囲んでいるヤンキーたちの左腕には“壱番隊”の文字が確認できた。これは、勝った。
「場地さーん!!助けろー!松野さんでもいいー!」
自分でもこんなに大きな声が出ることを初めて知った。
「はぁ?なんでココにいんだよ」
「まじで何やってんすか?」
聞き慣れた場地と松野の声に、安心して力が抜けた。
「隊長たちの知り合いっすか?」
「そーだよ。分かったら、散れ散れ」
やはり隊長には逆らえないようで、一言でヤンキーたちは去って行った。
「つーか、“助けろ”って何すか?なに場地さんに命令してんすか?何様のつもりっすか?」
「君たちには
2人は納得したようだった。それと同時に、今後、
「何の騒ぎだー?」
龍宮寺の声がしたと思ったら、今度は隊長たちに囲まれていた。これはまた威圧感が半端ない。
総長が、品定めをするようにこちらを見ている。
「場地、誰だよソイツ」
「……た…担任…」
「プッ…アハハハッ!マジかよ!場地が!担任って!腹イテー!」
「うっせーな!」
マイキーが笑い出したのをきっかけに、張り詰めた空気が一瞬でなくなった。
つられて他の隊長たちも笑い出す。
「場地も丸くなったもんだな」
「ほっとけよ!関係ねーだろ!」
「場地、先公とつるんでんのかよ、ウケんな」
「うっせーな!他の先公とはちげーんだよ!」
龍宮寺、林田と立て続けに弄られているが、ちゃんと返しているところに創設メンバーの仲の良さを感じる。
「場地の担任ってことは、千冬も担任?」
「そうっす」
三ツ谷は松野に話しかけていた。
「はー…超笑ったぁ!で、場地の担任が東卍に何の用?」
マイキーに聞かれて、当初の目的を思い出した。
「場地さんと松野さんに大事な話があるんだった。」
「こんなところまで来て…まさか、場地と千冬を辞めさせるつもりじゃねーだろうな」
マイキーの視線が鋭く、突き刺さる。
「あー…いや、全然そんなつもりはないです。本人たちが好きで楽しく活動してるみたいだし、元気なら別に言うことないです。強いて言うなら、事故が怖いから無免許運転辞めてほしい、くらいかな。」
予想外の返答だったのか、みんなポカンとしている。
普通こんなところに教師が現れたらそういう考えになるのか。そもそも教師は山口先生であって自分ではない。基本的に東卍のメンバーが好きだし、減ってしまうのが何より辛い。
場地は「な?普通の先公とはちげーだろ?」とドヤ顔だった。
「わざわざ東卍の集会場所特定して来たんだろ?他にどんな用があるんだ?」
「…家、ここから、近い。から、ずっと、今日も集会やってんなーって、思ってた。」
見守っていたことは黙っておこうと思う。
「一応、大人として言っておきますね。もう遅いから早く帰りなさい。」
意外にも、あっさり言うことを聞いてくれた。
「場地さんと松野さんは残ってください。話があるって言ったでしょう。」
全員が帰るのを見送ってから話をすることにした。
「で、話って何だよ」
「もう遅いからオレらも早く帰った方がいいんじゃないっすか」
松野が先ほどの自分の真似をしながら茶化してきたが無視して件のタバコの箱を2人に見せた。
「これ…」
「俺はタバコはやんねーんだよ」
「どこに未成年の生徒にタバコ勧める教師がいるんだよ。そうじゃなくて、このタバコ知ってる?」
「…みるど…せべん……?」
「場地さん、マイルドセブンっすよ」
「すげぇな、千冬ぅ、お前何でも知ってんだなぁ」
それは場地が知らな過ぎなのではと思ったが、喉まで出かかった言葉をぐっと飲み込んだ。いや、むしろローマ字読みできたことを褒めるべきだったか?
「このMILD SEVENって、数年後に名称が変わるってことを思い出したんだ。」
「へー」
「で?」
「で、MEVIUSになる。」
「めびうす…?」
「新宿仕切ってる
「それが?何か関係あんのか?」
「“血のハロウィン”のことばっかり考えてて、すっかり忘れてたんだけど、始まりは
「はぁ!?」
実際にアニメでは花垣によって龍宮寺は死なずに済むが、花垣の喧嘩の弱さが色々と不安である。花垣ありきで考えて、もし花垣が失敗したら、もうどうにもならないのだ。また誰かを死なせるわけにはいかない。根底を覆す必要がある。
「まず林田くんの親友とその彼女が愛美愛主に襲われる。それで、林田くんは愛美愛主の総長を刺して捕まる。それが原因で、東卍が内部分裂。同時に愛美愛主との抗争も勃発。その抗争の中で龍宮寺くんが刺される。」
だいぶ端折ったが、要点は伝えらえれたと思う。
「林田くんの親友が襲われなければ、林田くんは罪を犯さないし、捕まらない。愛美愛主との抗争がなければ、龍宮寺くんは刺されないし、死なない。」
「…みんなハッピー」
「場地さん、よく覚えてたね。」
場地の口から「ハッピー」なんて言葉を聞くとは思っていなかったので、少し笑いそうになってしまった。
「では、問題です。抗争を起こさないために、まず、やるべきことは何でしょうか?」
「先に愛美愛主をブッ潰す!」
「違う!そんなことしたら抗争の時期が早まるだけでしょ!」
「…パーちんくんの親友と彼女を守る?」
「そう!それができたら愛美愛主と揉める理由がなくなる。じゃあ、その役目、誰がやりますか?」
「…まさか、オレらっすか!?」
「はぁ?パーにやらせればいいだろうが」
「お言葉を返すようですが、林田くんにこの話して、林田くんが理解出来ると思いますか?」
「なんか、ややこしくなりそうっすね…」
「だから君たちが適任だと思います。」
東卍に何かあったり、愛美愛主に動きがあったら報告することを約束し、この日は解散した。
活動報告でもお伝えしましたが、『ルーキー日間』で36位いただきました。
ありがとうございます。
そのせいで、10月3日に更新予定だったのが、10月2日に前倒し更新できそうになり、結果アドレナリン出まくって2日も早く更新してしまいました(笑)
今後も自分に発破かけるために更新日の予告はしていこうと思っていますが、あてにはしないでください。だいぶ気まぐれです。
次の更新は10月9日です(目標)