魚人でいく!プリベル探訪! 作:ラッスンゴレライ
「来てみたはいいが、やはり金がないと言うのはシビアだな。」
ルルイエから東魔王領へとやって来た私は、町を歩きながらにそう呟いた。なんといってもルルイエの海魔族、それも掃き溜めにいるような者たちが金などと言うものを持っているはずもなく、そんな奴らの中をボコって生活してきた私もまた無一文であった。
「こんなことなら、魚の何十匹かも持ってくるべきだったか?ただ、漁業権がどうなってるかもわかんないしなぁ。」
下手なことをして捕まるのは勘弁なので、明らかに浮浪児のような格好をしている私に向けられる嘲りや憐れみ、海魔族であるからだろうが、冷たい視線を含んだそれで見られるのはなかなかに堪えるところがある。
そして、この東魔王領は原作中では日本を元としただけあってかなり治安がいい。しかし、それもいまから10年以上未来の話、未だ3年前の災害、その元凶である海魔族への恨み辛みと言うものは残っているようで、その海魔族の私が人通り少ない道へと迷い込めば絡むやつのひとりやふたり、いないはずもなく、、、
「嬢ちゃん、お前、海魔族だろう?」ほれきた。
ふたりの中級魔族、それも服が草臥れていることから浮浪者だろうか?苦しい生活の中で、
「ええ、そうですが、、」
とはいえ、私はあくまでよそ者、明らかにこちらを害そうとしていても、手を出すことは難しい。
「いやなに、こんなところに小さい嬢ちゃん一人が、それも海魔族の嬢ちゃんがいるだろ?優しい俺たちが広いところに送ってやろうと思ってな。」
ゆっくりとだが、男たちが近づいてくる。抵抗されるとは欠片も思っていないようだ。
「いえ、道ならわかりますので、、、」
そう私が言ったかどうか、彼らは私へと飛びかかってきた。
さて、ここでいうのもなんだが、魔族とは人の負のエネルギーの塊のような輩である。そんな奴らがちょうどいい相手がいるのに襲わないなどと言うことがあろうか?
実はこの答え、是なのであるなぜかはよくわからないものの、魔族にも善人、悪人は存在しており、いってしまえば人間らしい。天使ももちろんそれは変わらず、ふとしたときには精神エネルギーから生まれたとは思えない程度に人間と変わらない。つまり、この男たちは、魔族という種族だから暴力的なのではないということがわかってもらえるだろう。そして、私は実力差がわからず、10を聞いても2か3わかる程度の要領しかもたない
ついでに私はセクハラは嫌いだ。
掴みかかってくる男たちの好きにさせれば録な目に遭わないだろうことが容易に見てとれた私はしゃがみこみながら足に魔力を込める。出力が心もとないとはいったもののそれは原作軸の文字通り化け物の尺度での話、残量を気にせず使える私は、中級魔族でも上位の性能が実質的に出せる。
リーチとストライドはないものの小さな体と機動力で脇を抜ける。ふたりが振り替える前にひとりの男にドロップキックをかました。小柄とて侮るなかれ、重さが20キロもあればあたれば大の大人にでもいいのを食らわせることは可能なのだ。
盛大に倒れ込んだまま起き上がらない仲間を尻目にもうひとりが激昂して殴りかかってくる。腕に出せるだけの魔力を込めて相手の拳に打ち付けた。クロスカウンターでもできればよかったが、あいにくリーチがない。とはいえ、魔力的に上回った私の拳は相手に確かなダメージを与えたようで、砕けた感触が伝わってくる。当然、そこまでの魔力差がないため、私にもダメージが入るが、そこは魔力無限、体内に満ちた魔力が即座に傷を治した。
そうして目の前には拳を抱えうずくまる男、耳にかすらせるように足で地面を踏みしめ
「で、いくら出しますか?」
そう冷ややかな目で私は男に視線を投げるのだった。
あ、主人公が勝てたのはスペックチートと不意打ちですね。真正面から戦っても、幼女の体じゃさすがに無理です。