『お前に力を授けよう』
オイオイオイ目の前のこいつはなんなんだ……と言うかそもそもこの風が渦巻いてるようなのは人なのか?公園で寝泊まりして地球の雄大さを自然の美しさを悟ったと同時に現れたが何故なんだ?
『その力で何をすべきかは知っている筈だ』
まて……この展開を私は知っている………
このくたびれたジャージ、無造作に生やしたヒゲや髪、そして目の前の謎の存在………
(俺、ホームレス帝じゃねぇかァァァ!!!!!)
そう、彼は転生者だった。
幼少期、彼は物静かな少年だった。泣くことはなく同じ幼稚園の子供ともあまり喋らない。先生や親からももっと年相応にはしゃいで欲しいと思われるほど、無欲で小さな子供らしからぬ立ち振る舞いをしており、何故そうなのかというのは本人すらも知らなかった。
少年期も彼は物静かだった。部活動には入らず、休み時間でも机に突っ伏して寝ているか、その日出された宿題をやるような模範的な生徒だった。しかしやはりここでも、先生達からはもっとクラスメイトとあそんで欲しいと遊んで欲しいと思われるのだった。
その後も勤勉であり続け高校も無事に卒業し大学へ進学、大学でもその在り方を変えず留年することなく就職先も決定。彼の人生は順風満帆かのように思えた。
そんな彼の人生の転換期は新入社員歓迎会だった。酒で酔った上司に裸踊りを強要されそれを断固たる決意で断った翌日、上司の癪に触ったのかどうなのかは知らないが、いらぬ容疑をかけられ会社をクビになったのだった。
その後、ホームレスへとなり空を見上げていたら今に至る。
なんで今思い出したんだ………いや逆だ、今だからこそ良かったんだ。この世界は命の価値が軽い、なんの力もない一般人ならばふとしたことで死んでしまうだろう。そして、この原作はまだ終わっておらずどうなるのかもわからない。ならば、人型ながらにも強大な力を持つホームレス帝は悪くないんじゃないか?
よし、ならばこの後の身の振り方を考え、力を蓄えるとしよう。幸いホームレス帝は原作でも火力はトップクラスだろうし、身体能力もゾンビマンとの戦いを見るに悪くない、鍛えればS級クラスまではいけるだろう。何故か時間軸が原作よりだいぶ早いみたいだが好都合だ。そうと決まれば早速修行だ。
「A市が怪人によって半壊か…」
原作が始まったようだな。A市を破壊した怪人とはワクチンマンのことだろう。それにしても、私と同じように神から力をもらったワクチンマンに対して一撃とは流石主人公だな。やはり怪人協会に入ることは悪手だろう、彼にワンパンされる未来しか見えない。
さて、サイタマがいることも分かったことだし今するべきことは一つ
「プロヒーローを目指すぞ」
と言ってもヒーローの試験を受ける訳ではない。それではサイタマ達との接点が作れないかもしれないし、下積みもしたくない。つまるところスカウトを貰えてサイタマとも会えるイベント、そう…
『緊急避難警報‼︎巨大隕石が落ちてきます‼︎」
これだ。
「…さて、取り敢えず落下地点の近くに来てみたわけだが…」
原作ではここら辺にシルバーファングやジェノスがいる筈なんだが…あ‼︎いたあそこのビルの上に立っているのはあの二人じゃないか?ということはもう少しでメタルナイトが来るだろう。
そう考えるのと同時に彼の後ろから大型のロボットらしきものが轟音と眩い光を撒き散らしながら、もう人は中にいないだろうビルの屋上へと降り立った。
「オ前ハ……新人ノジェノスカ。隕石ヲ止メニ来タノカ?」
「そういうお前は……ボホォイだな…あの隕石を止めるのに協力してくれ」
「断ル、俺ハ実験のタメニ来タダケダ。隕石トハ都合ガイイ」
「…あれが落ちたら、お前も死ぬんだぞ?」
「俺ハ死ナン。コレハ遠隔操作サレテルロボットダ………ソシテ名ヲ呼ブ時ハヒーローネームニシロ、常識ダ」
そう言うと、メタルナイトは肩についてる多数のミサイルを隕石へと打ち込んだ。
やはりメタルナイトは協力しないか………だが原作通りに進んだ方が私には都合がいい。この様子ではジェノスも隕石を止めることはできないだろう、つまりサイタマが出てくると言うことだ。
別に私もアレを壊すことはできるが、今後のことを考えるとそれはベストではない。彼とのコネクションを作る為には、彼がインチキ扱いされる原因の一つでもある二次被害を抑えた方がいいだろう。その後シルバーファングにでも協会に紹介して貰えばいい。
そうやって彼の考えがまとまったところで、ビルの屋上から光るものが隕石へと飛び込んでいった。
あれが主人公か………やはり強いな。目で追うのが精一杯だった。それに一撃で砕くか、ワンパンマンの異名は伊達じゃないな。さて、彼の強さも確認できたことだしそろそろ行くか。
「砕きおった、信じられん‼︎だが…落ちてくるな。ジェノス君動くなよ、守っちゃる」
「格好つけてるところ悪いがご老人。破片程度私がなんとかしよう」
「誰じゃね君は⁉︎」
やはり驚いているな。だが、それもそうだろう。彼らからしたら、知らない男が非難警報がなってる中、隕石の真下のビルに来たのだ。ただ、今は長話している余裕はない、先を急がせてもらう。
「私はヒーローを目指している者だ。悪いが、あまり喋っている余裕はないので用事を終わらせてから聞きたいことは聞いてくれ」
さて、こう言ったからには達成させねば恥ずかしいな………だが、こんな時のためにも力を磨いてきた。やれぬ道理はない
神通力
それが彼に与えられた力、そして彼はそれをさらに研磨してきた。少なくとも原作のホームレス帝よりは強いだろう。なら、そんな彼がこの破片に対して全力を持って応じたらどうなるのだろうか。
バングside
なんじゃあの子らは………片や隕石を一撃で砕き、片やその破片を塵すら残らず消しとばしておる。やはり、まだまだ世間に知られていない強者とはたくさんいるもんじゃな。あれが最後か……む?なんかこっちきたぞ
主人公side
取り敢えず全部破壊したわけだが……やはりこっちを注目しているな、これは都合がいい。
「先程は済まなかった。気を悪くしたなら謝ろう」
「いや〜気にせんでいいよ……それにしても凄いな君達は‼︎スキンヘッドの彼はそこのジェノス君と知り合いみたいじゃが君も彼らの知り合いかね?」
「いや、私は彼らとは面識はないよ。仲良くしたいとは思うがね……初対面で失礼だとは思うが一つ願いを聞いてもらってもいいだろうか?」
「なんじゃね?言ってみなさい。わしにできることなら協力させて思うよ」
「感謝するシルバーファング、願いというのはヒーロー協会に紹介してほしいんだ。今はフリーのヒーローだからね」
「なるほどの……その程度のことなら問題ないわい。しっかり報告しちゃる、隕石の残骸を全て消した期待の新人がいるってな。あと、バングさんでいいわい」
「ありがとう、この借りはいつか返す」
原作中も器が大きい人だと思っていたが期待どおりだったな……少なくとも週一で成果を上げる必要は無さそうだ。さて、バングさんとの用事も終わらせたし、次はサイタマ達だな…
「お〜い、大丈夫か?ジェノスと爺さん。あれ、なんか知らない奴いねえ?」
なるほど、これが原作主人公か……謎の迫力があるな。立ち姿は一般人と変わりないが、彼の場合は武術など必要ないしな…取り敢えず自己紹介をさせてもらおう。
「君が先程隕石を砕いた者かね?私の名前は通神(とおがみ)初めましてだな…よろしく頼む」
「あんたがジェノスを守ってくれたんだろ、ありがとな。俺の名はサイタマ、プロヒーローをやってる者だ」
「ありがとうはこちらもだよ。それより、彼は大丈夫なのかね?どうやらサイボーグのようだが……早く治しにいった方がいいんじゃないかな」
「オッ‼︎確かにな、じゃあジェノスさっさと帰るぞ。あんたも気をつけてな〜」
ではサイタマも帰ったことだし私も帰るとするか……
「ではバングさん、私も帰ろうと思う。例のことについてよろしくお願いします」
「オォ、じゃあな通神君。安心せい、話は通しておくよ。数日後には協会の者がそっちに行くじゃろう、少なくとも悪いことにはならんよ」
「ありがとう、ではまた」
さて、バングさんに挨拶を告げたことだし私も帰るとするか。……原作に比べてこの街も綺麗なままだな。これなら彼に対する非難の声は無くなるだろう。ヒーローランクももっと上がるかもな。
あとはヒーロー協力の職員がやっできるくるのを待つだけが……身なりを整えねばなるまい、原作と一緒のコレでは不快感を与えかねん。そうだな、まずはリクルートスーツを買いに行くぞ‼︎
一週間後
「通神様、S級10位としてヒーロー協力所属、お願いいたします‼︎」
(なんでS級10位スタートなんだ⁉︎)
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