となりのゴルシさん   作:天むすちゃん

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念には念でタグ編集もすこしした上で捕捉します。モブコとデジタルさんの併走回です。デジたんがだいぶ掛かり気味です。結局後編も長いわ。すいません。


となりのゴルシさん12(後)

 

「…あ。もう三人いる。」

約束した時間より15分くらい早く来たが、私のトレーナーさんやデジタルさん、デジタルさんのトレーナーさんももう集合場所に来ていた。

「…あ、あの…すいません、おはようございます。…私が最後でしたか?…ちょっとのんびり準備しすぎましたかね?すいません…。」

「あ、いや大丈夫よモブコ。私達もさっき来たとこだし。」

「ごめんね鈴木さん、モブコさん。わざわざ土曜に併走とか急に頼んじゃって…。」

アグネスデジタルさんの女性専属トレーナーさんがそういって私に会釈してくる。…パッと見だけどとりあえず相手方のトレーナーさんが私レベルの子にも優しそうな、温厚そうな人でよかった。

「いやいいのよ綿貫さん。養成学校時代は貴方にお世話になったし、私と綿貫さんの仲なんだから。」

 

「あ、改めまして本日!併走をさせて頂きます、アグネスデジタルです!モブコさんのご活躍はいつも陰ながら拝見させて頂いております!先日のルミエールオータムダッシュでも軽やかに舞う妖精のような走りで見事連覇を果たされ…私アグネスデジタル、感銘を受けました!貴方様のような尊きお方とトレーニングを共にできるとは恐悦至極の限りでございます!」

ピンク色の髪をたなびかせた、ハーフアップツインテールと赤いリボン、水色の綺麗な目が特徴的な可愛らしい、小柄な風貌のウマ娘__アグネスデジタルさんはトレーナーさん二人の間から前へ出て、なんと私に深々と頭を下げそう告げてきた。

「え、や、あの、よろしくお願いします…先日はわざわざ新潟まで来ていただいたようでこちらこそ…と、いうか、まず頭を…頭を上げてくださいデジタルさん!戦績的に見ればむしろ恐悦至極なのは…頭を下げて挨拶しなきゃなのは私なので…。」

私も慌てて会釈してデジタルさんに頭をあげるように促す。

「いえいえ、全てのウマ娘ちゃんはデジたんの心の師!敬意を払わぬ訳には!何より、以前から密かに推し活をしていた貴方様の様な尊く可愛い儚げ黒髪ウマ娘様と併走が出来るのですから!」

密かにというか、通知欄になんか大物がいるなってウマッターとかで前々から気づいて結構びっくりしてたけど…

「いや、その…応援して頂けているのには薄々気づいてはいたんですが…私の方が寧ろ敬意を払わなきゃいけないと、思います…何せ貴方は芝やダート、距離を問わず重賞やGⅠ戦線を幅広く渡り歩くウマ娘なんですから…それに…この顔はちょっとメイクして多少誤魔化してますし…今もだいぶ不細工ですよ…スッピンとかもっと酷いです…ウマ娘なのに無愛想で、全然可愛くないですから、私なんか。」

自分で自分のわかりきっている短所を言っておいて、また嫌気がさして思わず服の裾を握ってしまう。

「な、なななな〜〜にをおっしゃります?!こんなにシャイで可愛いウマ娘ちゃんが?可愛くない訳ないじゃないですか!?お風呂上がりにゴールドシップさんと話すあどけないご尊顔もはちゃめちゃにキュートでしたが?!…破天荒ムードメーカーウマ娘ゴールドシップさんと内気クールシャイウマ娘モブコさんのコンビっていつ見てもよいです…。」

「え、あ、え?…お風呂上がり…?あ、寮が一緒だから見かけた事があるんですか、ね…?あ、や、そうですか…あんま変じゃなかった、のかな?」

「はい!雪のように清白なお肌にアンニュイな雰囲気…とっても可愛かったです!あっもちろん今のお姿も可憐な瞳にミルクティー色のアイシャドウが映えて、すこぶる可愛いです!」

…この子もしかして守備範囲広いのかな?褒めて貰うのってやっぱむず痒いなぁ。私にそんな価値はあるのかな、なんて。

「あ、えっと、その…ありがとう、ございます…?」

「え、その反応、もしや未だ可愛いご自覚が持てない感じですか…?謙虚なお姿も美徳の一つではあると思いますが…せっかく素敵なものを諸々持ってるウマ娘ちゃんなのに…じゃあ僭越ながら、オタクを代表してあたしが何度でもいいます!モブコさんは可愛い素敵なウマ娘です!」

「え、えぇと、その…。」

「おーいデ〜ジタ〜ル、気持ちはわかるけどちょっと掛かり気味すぎてモブコさんびっくりしてるから。ひとまずさ、一回、一回併走しよ?」

このままだと話が終わらなさそうだと判断したのか、デジタルさんのトレーナーさんが私達の間からそう話しかけてきた。

 

「あ!そうですねっ!せっかくですから、ね!」

…『せっかく』ってなんか、楽しみに取っておいたデザートを食べる時みたいな言い方だな。

「…あの、多分、いやきっと…バクシンオーさんとかには劣りますが…誠心誠意頑張りますので…あちらのコースで1200m、ですよね?たしか。」

「はい!…正直せっかくモブコさんと走るなら向こうの新潟千直を模倣したコースで走ってみたかったのですが…すいません。」

「え、や…そもそもの目的はデジタルさんの対策ですし…謝る必要なんてないですよ…。」

「…困り顔で優しく喋るモブコさん…天使、かな?」

「…え?」

「…今のデジたんには、モブコさんの白雪のような儚く美しい出で立ちが痛いほど、しみる…。」

デジタルさん、なんか遠くを見始めた…。

「うん、デジタル!戻ってきて!これから、これから一緒に走るんだよ!」

「…はっ!そうでした!行きましょう、モブコさん!あたしが正気の内に!」

「あ、えっ、と…はい。分かりました…?」

…大丈夫かな?

 

 

「…ハァ…フゥ…参りました、デジタルさん。」

結論から言うと初っ端の並走は2バ身差で私の負けだった。まあ薄々こうなりそうな気はしてた。この間の模擬レースよりはマシだけど。

最終400~300m辺りまでは私有利な展開だった。…いや腐ってもスプリンターなら短距離久しぶりの子相手に対しては多少リード保てなきゃ駄目でしょって話なんだけど。

 

だが結局加速してきたデジタルさんに追いつかれてこの結果となった。やはりスタミナ、パワー、スピード…色んな能力がこの子の方が上みたいだ。彼女、私が言えたことじゃないけど…ウマ娘の中でも華奢な方に見えるのだが、一体どこからダートを走れるパワーやこんな加速が出来る脚力が出るんだろう。

「…すごいですね、デジタルさん。」

「いやあでも、正直短距離の感覚が戻らないところもあったので、ちょっとヒヤヒヤしました〜。」

休憩がてら二人でスポーツバックと飲み物を手に隣合って座る。

「あーまあ、久しぶりならそうですよね。…でも慣れちゃえばその内、大差でデジタルさん勝っちゃうんじゃないかと思いますよ。初回でコレなら。」

昔一度だけマイルにチャレンジした際手こずった覚えがあるので路線を変える時の手探り感は少しわかる。…私の場合は1600はどうしても少し長くてろくな結果にならなかったのがオチだけど。

「いやいやいや、モブコさんもその間にレベルアップするんですから、そんな楽勝なんて…根本的にはあたし得意距離はマイルですし。…それにしても、前から思っていたんですが…モブコさんって数多のスプリンターウマ娘ちゃんの中でも結構独特ですよね…あ、決して悪い意味ではなくですよっ!?」

「……と、言いますと?」

「先程もお話ししましたが、戦績を見るにモブコさんが得意なのは新潟の芝1000m直線コース、ですよね?」

スマホを取りだしたデジタルさんはあらゆるレースウマ娘についてまとめたサイトを開き、私についてのデータベースのページを開いた。

「え、あ、はい。」

「博識ウマ娘のモブコさんは既にご存知だと思われる話ですが、ウマ娘ちゃんには一人一人適性というものがいくつかありますよね。あたしみたいな芝ダート距離はあまり問わず何でも食べられる雑食タイプもいないことはありませんが…オグリキャップさんのような一部の方々に限られる話だと思われます。主には、バ場適性、距離適性、脚質適性…基本的にはこの3つが上げられますが、ウマ娘ちゃんによってはもっと事細かなものがあります。」

「…あ、レース場適性とかの事ですか?右回りや左回り、坂の有無、芝の特徴、バ場状態…。」

「さすがですね、レスポンスが早い!」

「いや、これくらいは新入生でも応えられるんじゃ…。」

「いや実はこれ結構ピンと来ない方はピンと来ないんですよ。そのくらい勝てる場所が多いのはいい事なんですけどね!…例を一人あげると、ウオッカさんなんかは東京レース場がすこぶる得意なイメージですね!」

「…かっこよかったですよね。あの世代の日本ダービーとか、天皇賞秋とか。」

「分かりみですぅ〜!最終局面一気に上がってくるダービーのウオッカさんめちゃめちゃよかったですよね〜!!そういう意味ではモブコさんの戦績も分かりやすく適性が出ていて興味深いですね。急な登り坂のある中山などは残念な結果になってしまっていますが、平坦かつ直線一気な新潟千直ではほぼ快勝。ここまで顕著に得意レース場が決まってる職人気質の方はなかなか見られませんよ…こんなに細い体でがっしりしたトモの子が多いスプリンター界隈を練り歩く方はなかなかいません…お母様の血筋ゆえ…?アフター5スター賞を勝利したダートスプリンターとは聞いていますが、体格やバ場適性、走り方は遺伝している訳では無いようだし…不思議…神秘ですね…。」

なんか分析始まった…。職人って、物は言いようなんだな。

「…ただ、新潟以外ではいまいちアレ過ぎて一生新潟にいろとも一部ではいわれちゃうんですよね…私コーナーリングもあんまり上手とは言えないんで…小倉は下り坂なんで2着とかあったんですが…アイビスサマーダッシュは4着でしたし…。」

「えっ?!それはデジたんの遠征コスト的にも供給的にも困りますぅ!!」

「それは…ありがとうございます…?」

「まあ、モブコさんは正直夏場のコンディションがあまり宜しくないタイプのウマ娘ちゃんっぽいですし、今年のサマースプリントシリーズは豪華メンバー揃っていた中で4着なら悪くない結果ではと恐れ多いですがデジたん的には思ったり…まあでも重賞制覇は皆大きな目標として成し遂げたいと思いますよね…あ、後一つ今日一緒に走ってみて改めて思ったのですが…もしかしてモブコさんの距離適性というのは、大まかには短距離、ですが…正確には800~1000mくらいの距離がベストなのかなあって。」

「あ、分かりましたか…?その、これでも昔よりは走れるようにはなったんですが、1200は個人的にヒヤッとする局面がたまにある距離で…デジタルさんからしたら200mでそんなに変わるか?って話ですよね…。」

「いやいや、元はと言えばあたしのこれ自体だいぶ動機も適性もイレギュラーなんで、あんまり参考にはしないべきですよ。」

「うーんでも、ただやっぱりもう少し幅広く色々なとこに行ってみたい気持ちはありますよ…体格的なものがやはりパワーが出ない原因なのでしょうか。まずそもそもご飯があまり食べられない上、筋肉がいまいち付きづらい体質みたいで…。」

「なるほど…。体が細いけれど活躍してるウマ娘ちゃん自体はモブコさん含めいる事にはいるんですがね、あたしもまあ細身の方なんで一時期は増量も考えたんですけど…食事量ってあんまり簡単には増やせませんしね〜、ウマ娘ちゃん自体理屈だけでは語れぬ面も多くありますし…う〜む…あ、その、あたしがちょっと筋肉が付きやすくなったおすすめの飲みやすいプロテインドリンクがあるんですけど〜…よろしければ紹介しましょうか?」

「…いいんですか?」

「ぜひぃ!」

 

「あのさ二人共、モブコさんがよければこの後のダッシュ練とか短距離用のメニューも一緒にやらない?」

デジタルさんのトレーナーさんがそういって私達に話しかけてきた。

「…へ?」

「あ、私は構いませんよ。…今日はこの後もトレーナーさんとトレーニングする予定でしたし、やることは変わりません…トレーナーさんもそれで大丈夫ですか?」

「ええ。モブコがOKなら私もそれで大丈夫。」

「ほへ?」

「あ、じゃあこれから一緒にトレーニング…デジタルさん?あの〜…大丈夫ですか?」

「…やばい、これ今日デジたん尊みで死んじゃうかも……。」

 

 

 

「いやあ、ドサマギでライン交換アシストまで…トレーナーさんちょっとアクティブ過ぎではありませんか〜?」

「いや、ぶっちゃけ他に短距離の併走相手の目処が全然立たなくてさあ…相性悪くなさげならこの際これからちょくちょくまた合同練頼もうかなあとは思ってたから。…それに人脈はあるに超したことないでしょ。」

「それも一理ありますが、壁になりたいオタクのデジたん的にはですね?!シップさんとモブコさんの覇権カプの間にデジたんが…とかは望んでなくて…いや仲良くできるのは嬉しいんですが…変な茶々は入れないような距離感でね!いなきゃと思うんですよ!」

「デジタル、ウオスカ新刊と並行してゴルモブイラストもこないだ書いてたもんね…っていうかデジタルが覇権カプって言ってるコンビ何個も聞いたんだけど、デジタルの中で覇権カプ何個あるの?」

「無限大。」

「…無限大。」

「そうそれに!今日はとんでもないエピソードトークを休憩中に聞いちゃいましたよ…。」

「というと?」

「なんとゴールドシップさん、モブコさんのご実家に二泊された事があるらしいですよ…実家が都内だからとかモブコさんは仰ってましたが…ただの友達と実家に二泊…?さらに、同じベットにシップさんが入ってきて一緒に寝てたんですって…しかもしかも、お風呂も一緒に…やばいよ、創作でオタクがやらせる事ないよ…公式が最大手すぎる…。」

「…嬉しい悲鳴だね。」

「いやでも、今日喋ってて一つ問題を見つけましたよ!」

「問題?」

「モブコさん、素敵なウマ娘ちゃんなのにやっぱり自己肯定感も自己評価も低すぎます!…もっと自信持っていいのに…。」

「…主な勝ち星全部オープン戦でも界隈全体で見たら上位層なんだけどね。未勝利でトゥインクル・シリーズ引退しちゃう子もざらにいるし。こうなんか、ある種の完璧主義故に気負いすぎるのかも…鈴木さん曰く内気で人付き合いも得意じゃない方らしいから…意外と危なっかしそうというか、不器用そうでちょっと心配にはなるよね。」

「そうなんですよ〜…もうこれはね!オタクが全身全霊で応援しつつね!あの、シップさんに優しく抱「ちょい待ちデジタル。急に生々しい表現するのは辞めよ。」

「いやね、ヘタレ攻めモブコさんも見てみたい気はしますけど…やっぱりモブコさんみたいなタイプは自分の好きな相手でもどーーーしても『自分なんか』って躊躇っちゃうんで、やっぱりファーストステップはね、シップさんが蝶よりも花よりも丁重に扱う感じでね!」

「…いや言いたいことは分かるけどデジタル、あんまり本人達の前で掛かり気味になり過ぎないでね…。」

「それは任せてください、あたしは節度あるオタクなんでっ!」




アグネスデジタルのヒミツ∞
ゴルシとモブコがバスの二人がけの席に座っていた際、眠ってしまったモブコを肩に抱き寄せたゴルシを目撃してしまい昇天。また他の日出先から学園までの帰り道、無意識に車道側を歩こうとするモブコの手を引いて入れ替わるゴルシを目撃して昇天したらしい。

先日デジたん育成ガチャチケットでお迎えできました。書けば当たるってあながち迷信じゃないのかもしれません。

併走トレーニング回でモブコと併走して絡んで欲しいウマ娘は?

  • アグネスデジタル
  • ナイスネイチャ
  • ハルウララ
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