神様、なぜ私のような地味根暗モブがこんな化け物達の線香花火大会にいるんですか?
「ボクこの緑にする〜。」
「スカーレット、どっちが線香花火落とさずにいられるか競争しようぜ!」
「望むところよ!」
「スズカさんはどれをやりますか?」
「私は…。」
ゴルシさんに呼ばれた線香花火。不調から復帰した私に気晴らしさせようとしてくれてる思うとなんだか断りづらくて来ちゃったけど、周りはトウカイテイオーさんにダイワスカーレットさん、ウオッカさんにサイレンススズカさん、スペシャルウィークさん…。
他の方を見てもエイシンフラッシュさんにトーセンジョーダンさん、ダイタクヘリオスさんにメジロパーマーさん、ナイスネイチャさんなどなど…多すぎない?ゴルシさんどんだけ花火用意したの?
「(ゴルシさん著名ウマ娘呼びすぎ!)」
どうしようゴルシさんはトーセンジョーダンさんと喋ってるし。かろうじて面識のあるメジロマックイーンさんは…駄目だ、テイオーさんと喋ってる!フジ先輩…見当たらない!
「詰んだ…。」
しょうがない、ここは静かに近くにある線香花火をやろう。気配を消していれば大丈夫。…多分。
「えーとチャッカマンは…。」
と思っていたらチャッカマンがない。他の火をつける道具も今は誰かが使ってるのかな?…しょうがない、割り込みはしたくないけどマックイーンさんと喋ってるテイオーさんの近くにあるやつをチャチャッと借りて…
「すまない、君が探していたのはこれか?もう少し分かりやすい所に予備を置いておくべきだったな。」
すると親切な人が手渡しで他のチャッカマンを差し出してくれた。
「あ、ありがとうございますわざわ…え。」
後ろを振り返りお礼を言おうとすると、そこには。
「シ、シンボリルドルフ会長と、エアグルーヴ先輩…?」
…夢かこれは?私今シンボリルドルフの触ったチャッカマンを手に持ってる?え?すごくない?
「そう恐縮しないでくれ、このくらいのことは当たり前の親切だろう?」
びっくりして固まった私に対して会長が苦笑いでそう言ってくれる。
「え、あの。お二人はゴルシさんと面識…ありますね。あるに決まってる。あんだけ問題行動起こしてたら。」
「…一応ゴールドシップのトレーナーが保護者としているとはいえ、ゴールドシップの監視役は多いに越したことは無いからな。それが十中八九私達がここにいる理由だ。」
エアグルーヴ先輩が私の疑問を先回りして尋ねる前に答えてくれた。
「あ、なるほど…お疲れ様です。」
「貴様もあれの行動をどうにか咎めてはくれないか…。どういう訳か数年来同じクラスに隣の席で、教室内外でよく一緒にいるだろう。」
「言って聞くタイプならもうとっくにエアグルーヴ先輩の注意で聞いてますよ。…っていうかあの、私そんなに傍からみてもゴルシさんと結構一緒にいる奴って認知ですか…?」
「ああ、私や会長の中ではそういう認識だ。…というか、あいつの腐れ縁でなければお前はこういう場にはいないタイプだろう。」
「…マックイーンさんとか花形の方じゃないんですかそういうポジションは…。まあどういう因果か分かりませんが長い付き合いですからね…。」
生徒会にもそういう認知をされているようだ。嬉しい認知のされ方かなこれ。
「それはそうと君、体の方は大丈夫かい?3日前フジキセキから君が体調を崩しトレーニングを中断したと聞いたが…。」
「あ〜おかげさまで回復して次の日はまたトレーニングに合流出来ました。毎年お騒がせしてすみません…。」
体調不良者リストに結構名前が上がっているからな私、この時期は特に。
「いや、以前から体調不良者報告の際は君の名をよく聞いていたから1度こちらから様子を見たかったんだが…なかなか合間が縫えずすまない…。」
「いえあの、全然。お気になさず。本来会長さん達も能力底上げのためにここに来ていらっしゃるんですし、私の優先順位は最後で構いませんから…。」
「…君は心優しいな。だが、やはりこういった時に弱っているウマ娘に対しての配慮が行き届かないのは会長として言語道断だからね。アイビスサマーダッシュでは惜敗こそしたものの、君は素質のあるスプリンターだと思う。そんな中ここで調子を崩した事を気に病んでいないか心配でね。そういった意味では、今日君の顔が見れてよかったよ。数年前の夏合宿前に体調不良を起こした際、様子を見に行った時以来だね。」
「私が素質あるなんてそんな、中堅ポジが関の山ですよ今の私なんか…って、あ。そうでした!今初めて面と向かって話したみたいなリアクションしましたけど、お会いしましたね最初の合宿前!」
そうだ、私は以前会長さんと少し面識がある。あの日は体調を崩してしまったことを悔やみながら同室のいない部屋で休んでいた、その時ノック音がしたのだ。
『…はい、どうぞ。職員の方ですか?』
『生徒会のシンボリルドルフだ。体の具合を聞きに来たのだが、少し話せるか?』
『え、あの、ちょ、え会長?』
あのルドルフ会長が?なぜ?私はその時はビックリした。聞けば会長は、体調不良で夏合宿を欠席や途中合流となり寮で待機になった子には基本的に顔を出してから出発するらしい。
その年…というか毎年体調不良者自体がそんなにいないとはいえわざわざ来てくれたのでとてもびっくりしたんだ。
「…そんなこともありましたね。」
「あの時に比べると、顔色が良くて何よりだよ。」
「…顔色はまだ悪い方ではありませんか?会長。」
笑顔で話す会長にエアグルーヴ先輩が突っ込む。確かにそれは…
「エアグルーヴ先輩…確かに未だ健康的なタイプではないですね、私…。」
「…まあ貴様の少食はこの際個々人の許容量の違いとして目を瞑るが、パーカーのフードを被る癖や猫背は治すべきではないか?」
「ごもっともなご意見ではありますが…その、人目につくのがあまり好きじゃなくて…。」
「…お前、レースやウイニングライブはなんやかんやこなしているだろう…。」
「本当に何とかこなしてるんです…。トレーナーさんのメンタルケアで…。」
「…うーん。まぁそういう性分の奴は何名か見ては来たが、お前はゴールドシップがいる時はそこまであがり症ではないだろう。」
エアグルーヴ先輩は頭を抱えてしまった。ルドルフ会長も苦笑い。
「あはは、まあ確かにG1ウマ娘の中にもライスシャワーやメイショウドトウのような性格の子もいるからね。そう珍しい話ではないさ…。しかし、そうなると君のラフな一面を引き出すゴールドシップというのはますます稀有な存在だね。」
「ラフというか、私も最初は意味わかんない子に構われてるなってキョドってたんですけど、あの子自身変な勘繰りとか抜きに話す子だってわかったし…私がどんなに仏頂面でもあの子はめげずに絡んでくるから、いつの間にか絆されたっていう感じですかね…。」
「まあ、基本あいつはいつ誰に対してもああだからな…一周、いや…百周回って人間関係の勘繰りが無くて楽、なのか…?」
ルドルフ会長は少し理解したような顔はしているが、エアグルーヴ先輩は納得したようなしてないような曖昧な表情だ。
「その、私も彼女をなんと形容したらよいか分からなくて…すいません。」
「いや、わずかではあるが理解できたよ。彼女の天衣無縫な生き様に惹かれるウマ娘やファンを私は数多く見てきた。それを君は近くでまざまざと見ることで深く知り、彼女に対しての警戒や取り繕いをする必要性はないと感じた。そういうことなんじゃないか?」
「…まあ、そんな感じなんですかね。要は。」
凄い、会長が上手く要点をまとめてくれた。さすが。
「ただ、そんな君が唯一レースで競い合う彼女の事だけを知らないのは少し残念だね。君とゴールドシップがターフで起こす化学反応には、私も少し興味がある。」
「…いや、起きます?私相手に。」
私の疑問に今度はエアグルーヴ先輩が応える。
「プライベートで交友がある者が相手ならお前もゴールドシップも何か違った感情が体験出来ると思うぞ。なにより、先程は中堅が関の山などと言ってはいたが…お前はG1経験こそないが、未勝利戦を勝ち抜き、重賞入着できる程度の力はあるウマ娘なのだから。…だがやはり距離適性の問題があるな。お前はスプリンターのウマ娘内で比べても、正直持久力がやや欠けているから。長距離への挑戦は険しい道だろう。」
「そうですね、よくご存知で…。」
エアグルーヴ先輩が全体練習を見てくれたことが何度かあったからな、それはもう見抜かれてたか…
「いや、ただゴールドシップが気まぐれで短距離電撃戦に参加するということは、もしかしたらあるかもしれないな。」
「…1番想像できるけど想像したくないルートじゃないですか会長…。」
「ははっ、彼女は気分のムラはあるが基礎能力やレースセンスはとても高いからね。もしかしたら、経験を積めばスプリンターとしての才能も開花するかもしれない。尤も、君の勝ち鞍の1つである韋駄天ステークスのような短距離直線は脚質が追込のウマ娘の勝率がまちまちだが…彼女は生粋のトリックスターだからな、もしかしたらがあるかもしれない…真面目にやってくれればだが。」
「そのムラっけと真面目にやってくれればが問題なんですよ…あとぶっちゃけゴルシさん1800より短い距離は公式戦で走ってないですから。仮にその気まぐれを公式戦でやったらスプリンターの子達大混乱ですよ。対策材料1ミリもない上に予測不可能ですから。…まあ、でも意外と面白いの…かも?」
「…それを面白いのではと少しでも感じてる時点でお前も少し奴の価値観に影響を受け「それはないですエアグルーヴ先輩、断じて。」
無い、それは無い。私はノーマルタイプですから。
「急に食い気味で喋るな、たわけ…。」
「あっ…すいません。」
いけない、図星と勘違いされたら堪ったものじゃない。
「ふふっ、やはり君とゴールドシップは稀有な関係だな。…おっと、喋っているのもいいがエアグルーヴ、モブコ。せっかく線香花火があるんだ。一緒に楽しまないか?」
「えっ。ご一緒していいんですか?」
「ああ、勿論。」
「…それじゃ私はこれをまず。お2人はどれからやります?」
「私は、そんなにやりませんよ会長。」
「遠慮しないでいいよエアグルーヴ。どうやらゴールドシップはだいぶ線香花火を買い込んだようだし、せっかくの機会だ。今くらいは悠々自適に楽しもう。」
「…それでは、この黄色を頂きます…。」
なんか自然な流れで混じったけどすごいな。この2人と線香花火出来るウマ娘なかなかいないよ多分。まだちょっと緊張はするけどなんやかんや来てよかったかなこれ。…色んな意味でゴルシさんにはこの夏感謝しなきゃかもなあ。
「なあエアグルーヴ!ルドルフ!打ち上げ花火一気に10発やってもいいか?!いいよな?!」
「うるさくなる。やめろ。」
「やめてくれ。」
「やめてください。」
「まさかのゴルシちゃんへの苦情三重奏?!」
…うーん。感謝、すべきかな?
モブコのヒミツ①
少食
モブコのヒミツ②
柑橘系の果物やジュースは好きだが、柑橘系果物味のチョコレートや柑橘系果物の入った生クリームケーキはあんまり得意ではない。ムースやゼリーは普通に好き。
併走トレーニング回でモブコと併走して絡んで欲しいウマ娘は?
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アグネスデジタル
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ハルウララ