ゴルシ本人は今回最後にちょっと出てくるだけです。
「トレーニング終わった…坂苦手克服なかなか出来ないな…レース場選ばず結果出したいんだけどなあ、明日筋肉痛かな…。」
トレーナーさんとトレーニングを終えて学園の中に一旦戻ってきた。シャワー浴びたいな…
「…あれ、あの子は…。」
濡れた床を見てオドオドしているジャージ姿の小柄な黒鹿毛の子。間違いない、あれはライスシャワーさんだ。菊花賞と天皇賞春を制覇したG1ステイヤーのウマ娘。私が基本的には恐れ多くて話しかけづらい高嶺の花々の1人。…基本的に初対面の子には誰であろうと話しかけづらいけど。
「…あ、ボトルの中身零したけど拭くものがなくて困ってる?」
廊下の水溜まりには大きめのボトルが横たわっている。職員室まで行けば何かしら拭くものは貰えるが、ここからは少し距離があるし…私のバッグにある予備タオルを渡した方が早いみたいだコレ…緊張するんだけど…
「…あ、あの〜。」
「あ、ひゃ、ひゃい?!」
「わ、私タオル予備結構持ってるので…よかったらこれ使います?」
「え、あの、いいんですか?貴方のタオルなのに…。」
「どうせ使用済みのやつと一緒に洗えばいいんで…拭くの、手伝います。…大きめのボトル零したみたいだから大変そうですし。」
ライスさんにタオルを1枚渡して私は水溜まりを拭き始めた。派手に零したんだな…。
「あ、すいませんライスが零したのに!ライスも拭きます!」
ライスさんもそう言って拭き始める。ゴルシさんも黙ってたら美形だけど、ライスさんも可愛いなぁ……ってキモイよ私如きがライスさんの顔じっと見て。面食いか?
…とりあえずこのくらい拭いたらもういいかな。
「…あ、あの。」
「え、あ。な、なんでしょう。」
やばい顔見てたのバレた?
「…タ、タオル貸してくれた上に手伝ってくれて、ありがとうございます。これ2つともライスが洗濯して返します。それで、あの…もしかして、貴方…ゴールドシップさんのクラスのお友達の、モブコさん…ですか?」
「え、私の事ライスさん知ってるんですか…?」
「は、はいぃ。ゴールドシップさんからお話とお写真は…。」
「あ、やっぱり。ゴルシさん経由ですか。」
というかそれくらいしか私みたいな影薄いのの認知方法ないよね、ライスさんステイヤーだし。
「ゴールドシップさんがお誕生日にアイスクリームの食品サンプルをあげた方ですよね!…というか、そちらこそライスの事ご存知なんですね…。」
「そのエピソードトークライスさんにしてたんだ…そりゃあ、ライスさんくらいの方はここの学校の方々は皆知ってるんじゃないですか?ステイヤー界隈では最前線にいる方じゃないですか、貴方。」
「そ、そうですかね…。」
「…そうですよ。少なくとも私みたいな、ゴルシさんの金魚のフンって言われても仕方ないようなモブスプリンターからしたら…。」
「そ、そんな事ないですよ…前に見た、オープン戦の映像で…前にいた子を最後の最後にスーッて追い抜いたのカッコよかった…です!」
え、待ってそれ去年の…ゴルシさんまさかレース映像まで?
「…去年のルミエールオータムダッシュのやつ、ですかねそれ。ゴルシさんから見せてもらったんですか?」
「い、いえ…ゴールドシップさんから貴方の話を聞いた日に興味本位でライスが調べてみたんです…。」
なるほど。ゴルシさんどんだけ私の話したのって焦ったわ。
「…あ〜なるほど。いやそんな…ライスさんの末脚に比べたら私の末脚なんぞ素人に毛が生えたみたいなものですよ…しかも私あれ急な坂のあるコースだと使えないし…。」
「いえ、本当すごいと思いましたよ。それに…。」
「それに?」
「…やっぱりゴールドシップさんとおんなじで、貴方も優しいんですね。」
「え、あ、いや…これくらい別に大したことじゃ…所詮は偽善ですよ。」
…夏合宿の線香花火で生徒会のお二人と話した際も思ったが、こう面と向かって優しくされたり褒められたりするのはなんだかむず痒い。そこまで言われるほどのこと私はやってないし出来ないのに。
むしろあの二人やライスさんに比べたら劣等生のはずなんだけど…。私はそんな博愛を向けられるべき存在ではないと私が1番理解しているけど、彼女達の優しさも無下にはできないから複雑だ。…それで素直に言葉を受け取れないひねくれた自分も嫌になる。
「ううん…多分ジャージでそっちから来てるなら、トレーニングから戻ってきたんですよね…?疲れてる中わざわざタオルを貸してくれて手伝ってくれるなんて。」
「うーん、そうですかね…。」
「…ライス、前に菊花賞で勝った時、ミホノブルボンさんの二冠を阻止してお客さんを悲しませちゃったんです。その時はほとんどライスのことみんな応援してくれなくて…落ち込んじゃって。でもあの、ゴールドシップさんはライスの事、応援してくれたんです。最後まで。…もちろん、今はライス、あの時より前向きに頑張れてますけど…あの時のゴールドシップさんには助けられたから。」
「…ゴルシさん結構義理人情に厚い方ですし、あれは本来もっとライスさんが称えられるべき場であったと…部外者ですが私も思っていましたから。」
「あ、ありがとう…ございます。」
「…そういえば前に、私が苦手な中山のレースの時…未勝利時代に中山ボロ負けで中山苦手なのはレースファンにもバレてたんで、私最下位人気だったんです。でもあの子都合ついて見に来てくれたみたいで…私に人気投票してたの、身内とトレーナーさんと、ゴルシさんと同室だけだったみたいです。まあそのレース、結果はブービーでしたけど…。身内贔屓っていうか、変なとこ律儀なんですよね。」
思い出しただけでも苦笑いが出るジュニア1勝時代の思い出。あれは今でも嬉しかったけど、結局結果で示せず申し訳なかった。その次の月新潟で勝てたのは良かったけど、かなりその時は堪えたな…ハート弱いわ…。さすがに2連続同じレース場で惨敗したから最近中山は出走してないし。
「…ちょっと変わってるけど、いいひとですよね、ゴールドシップさん。」
ライスさんがそう言って微笑む。
「…ちょっとというか、かなーーーり変わってると思いますけど…まあ、いい子ですよね。…奇行は目立つけど。」
本当に奇人だけど。
「お、ラ〜〜〜イスにモ〜〜ブコちゃ〜〜ん!こんなとこで何してんの☆」
…話の渦中にいた芦毛のピエロが私とライスさんの前に現れて、私達をまとめてハグしてきた。苦しいんだけど。
「わあ!ゴ、ゴールドシップさん!あの、ラ、ライスがね!練習から戻ってる時に大きい水筒こぼしたのをモブコさん拭くの手伝ってくれたの。」
「…苦しいですゴルシさん。」
「へえ、そりゃご苦労だったな。よ〜し、そんなお疲れの二人に、アタシのトレーナーがジュース奢ってやるよ!ほら、行こうぜ!」
「えぇ〜っ!ゴールドシップさんのトレーナーさん今お金持ってるの〜?!」
「ちょ、腕引っ張らないでください。」
「…ちょいお前ら腕細すぎない?ライス…は飯沢山食ってるか。モブコやっぱお前カロリーもっととれ。」
「そういう話は今してないです!」
もう…やっぱこの子ちょっと勝手だ…。
モブコのヒミツ④
パニック系映画やホラー映画もまあまあビックリするが、本当に怖いのは人間の悪意みたいな話の方がトラウマになるタイプらしい。
全然脈絡ない話なんですが、モブコの前世ウマソウルがゴルシと超相性抜群な牝馬っぽいって感想頂いて確かにって思ったんですがね。
繁殖牝馬として宛てがわれた理由がゴルシのアレな気性を大人しいモブコの血で薄める狙いがあったからとかだったらウケるなって思いました。
併走トレーニング回でモブコと併走して絡んで欲しいウマ娘は?
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