あと序盤にちょっと意地悪モブが。
「ねえ、まだしばらく芝1200だよね?」
「うん。」
「メンバー表見せて〜…おっ3組目重賞入着経験者集まってるじゃん!本命誰かな〜?」
「もうこのメンツなら1着はバクシンオーさんで決まりでしょ〜。他の入着しそうなメンツ予想しようよ。」
「そうだねー…CBC賞勝ってるユイイツムニさん辺りがだいたい次点じゃない?」
「まあそれが妥当だねえ。」
「…あっこのモブコって子は?ほら、たしかアイビスサマーダッシュで4着だった…。」
「あぁこの子かぁ…最終局面の加速はちょっと上手だけど…なんか新潟千直オープン専用機のイメージあるわ〜。アイビスサマーダッシュは惜しかったけど結局バックダンサーになっちゃったし、このメンバーで入着はキツくない?一応他のレース場でも多少結果は残してるらしいけどさあ、この子坂めちゃめちゃ苦手らしくって。」
「あ〜スタミナとパワーない系?」
「そう、まあスプリンターだしスタミナはあんまり無くてもいいんだろうけどさあ。パワーないから中山とか阪神だと坂でバテバテ大惨敗。だから余計このメンバーで結果出すのはキツイだろうし、ぶっちゃけG1どころか重賞戦線で勝つもキツそう。」
「んー確かにこの子、なんかヒョロヒョロで頼りない小動物みたいだもんね〜。」
「そうでしょ〜。」
「…オメェらの言うヒョロッヒョロの頼りない小動物とは…。」
「「…ん?……えぇっ!!」」
「アタシ達ゴルシちゃん高校バレー部の背骨で、脳で、心臓です。」
「え、ゴールドシップさんと……なんか後ろにメジロマックイーンさんもいない?!」
「ちょ、言ってる事は意味わかんないけどやばいって!ゴールドシップさんモブコさんと仲いいらしいから…。」
「え、ちょ、やばいじゃんウチら!」
「「す、すいませんでしたー!!!」」
「ゴールドシップさん。いくらご友人を軽視されたからとはいえ…ゴルシちゃん高校ってなんですの?」
「マックイーンはスイーツ大好きだからポジションは胃な。」
「なんでポジションが臓器なんですの?!」
…G1ウマ娘があんな観客ウマ娘達の背後から謎の登場の仕方して、変なイメージついていいんですかね?
「…別に今回の模擬レース私に分が悪いのは事実なんですから、止めに入らなくてもよかったのに………一応私北九州短距離ステークスとかなら2着にはなってるんですけどね…。ていうかゴルシさん、今のハ〇キューの黒尾さんのパクリですよね?」
只今開催されているスプリンター(芝ダート両方)の校内模擬レース。私モブコはあの短距離G1を次々制覇し、近頃はマイルでも活躍しているサクラバクシンオーさんをはじめとする猛者揃いの組に当たってしまった。…いや、ここで『当たってしまった』と思う時点で弱気すぎるな。
「え?!漫画の台詞引用したんですの今?!道理で脈絡がないと思いましたわ…。」
「まあ団体競技の話から引用したら脈絡もクソもないですよ。」
「えぇ…。」
マックイーンさんはちょっと呆れている。だよね。
「…バレーと違って今日は私1人で走る個人競技ですから。400mずつ3人で走るとか無理ですからね。」
「そうなの?」
「「そうに決まってるでしょう!?」」
「…というか、私に背骨と脳と心臓は荷が重いです。背骨と心臓はマックイーンさんに渡してください。」
「脳はやるんだな。」
「だからなんでポジションの振り分けが体の部位なんですの?!モブコさんもその話題また膨らませる必要ありましたか?!わたくしの負担もサラッと増やされましたし!」
「それは黒尾に聞いてくれよ〜マックイーン。」
「…すいません、マックイーンさん。」
「…というか、あなたが主将のバレー部なんてごめんですわゴールドシップさん!」
「アタシはミドルブロッカーな。」
「じゃあ私セッターで。」
「マックイーンはリベロな。背中はお前が守ってくれ…。」
「だから勝手に加入を決めないでくださいまし!」
「…話戻しますけど、私が期待されないのはぶっちゃけ想定内ですから。何とも思いませんし、わざわざゴルシさんが反感買う事する必要無かったですよ。」
ぶっちゃけ私の下バ評が悪いのは事実だし、あんな事ゴルシさんがやる必要はなかったはずだ。
「…本当にそう思ってるか?」
ゴルシさんは顔を覗きこんでくる。
「…ええ。」
「…じゃあなんで目逸らしたんだよ今。」
「……隠し事されるの本当に嫌なんですね貴方。…まあ、想定内の事ではありましたが…多少は、その…。」
「別にバカにされて傷ついたなら素直に傷ついたって言えばいーじゃねぇか。なんでお前が気ィ遣うんだよ。…アレばっかりはあっちの物言いが悪いだろ。」
「…正直わたくしもあれは如何なものかと思いましたわ。同じレースを走るウマ娘なのにも関わらず、あのような発言を観客席でするのはいささか低俗というか…スポーツマンシップに欠けていますわ。」
この二人が言いたい事はわかる、わかるけどあそこで真っ向から自分で否定出来なかったのが私の弱さの証なんだ。
「だからその…それは…自覚はあるので。このレースは強い方々が集まっていて、そんな中で私が勝つなんて…こんな私の頑張ったなんてお二人からしたら言い訳でしかないか無いかもしれませんけど、出走する子達全員分の映像データも見て、調べ尽くして…トレーニングメニューもトレーナーさんと練り直して……やれる事はやったはずなんです。…でも、私勝てるって思えないんです。まあ私がいつもそうなのはゴルシさんはご存知でしょうけど…もういっつもウジウジしちゃうの自分でも嫌なんです、でも自信がなくて…バクシンオーさんは異次元の方です。全てのステータスが違います。他の方々も強い。…私がこのレースに出る意義なんてないのかもしれないって、そうお「ウェーーイ!」
私が話してる途中でゴルシさんは両頬を引っ張ってきた。
「ひゃんですかひゅーに。」
「ウェーイウェーーイ☆」
「ちょっと、ゴールドシップさん?!」
「…まあお前のネガティブはゴルシちゃん慣れっこだからさあ、もう今更謝んなくていいけど。…ただよ、アタシ思うんだ。確かに今の主人公はバクシンオーなのかもしれねぇ。でもよ、たまにはさ、お前みたいなデリケートクレバーな奴が主役のスピンオフってヤツも見てみたいってアタシは思う。……もうこの際さ!意義とか下バ評なんて小難しいこと考えんなよ!お前に走る意志があんならお前も主役だ。…それにお前はさ、なんだかんだ言いつつ簡単に引き下がる奴じゃねぇだろ?」
言いたい事を言い終えた様子のゴルシさんは私の口角を上げるように両頬を引っ張っていた両手を離した。スピンオフねぇ…
「…この学園にいる方々は皆そうでしょ。」
「だな〜。」
「……耳触りのいい事言ってくれますね。…まあでも、そうですね。ここまで来たら玉砕覚悟で…『スピンオフ』ってヤツをチャレンジしましょうか。」
「おう!マジで玉砕されたら困るけどな!」
「…バクシンオーさんをはじめ強いメンバーが揃っている組ではありますが、完全無欠のウマ娘なんてこの世にはいらっしゃいません。わたくしからも激励を送らせてください。勝負は最後まで分かりませんから。」
「マ、マックイーンさんもありがとうございます……。それでは、私はそろそろ行きますね。」
「おう!じゃーまた後でな〜。」
「ご武運を。」
「…あの方、時折貴方の発言に悪ノリされますのね。」
「まあたまにな。たまにあんな感じになる。」
「あっ、モブコ!」
3組目の出走準備に向かうためトレーナーさんに合流した。
「…トレーナーさん。すいません少し立ち話をしてきてしまって…。」
「ゴールドシップちゃんとでしょ?大丈夫よ、時間的にはまだ余裕あるわ。」
「…今日はマックイーンさんもいました。」
「マックイーンさん?!あのメジロマックイーン?!…あっそっか、モブコ一回面識あったんだっけ。ゴールドシップちゃんと来てくれたのかしら。」
「そうみたいです。…またネガティブを晒してしまいましたが、お二人とも励ましてくれました。…毎度色々手間をかけてしまいます…。」
「ん〜まあこのメンバーに絶対勝て、とはモブコみたいなタイプには逆にプレッシャーになりそうだから私は言わないけど…そうね…。」
一瞬言い淀んだ後、トレーナーさんは私の両手を掴んで来た。
「私はね、サクラバクシンオーさんみたいな、ああいう花形主人公だと周りに思われてる子がピンチになってるとこも…ちょっとだけ、見てみたいな。…そのためにここまでモブコが最善は尽くしたのも近くで見てきたから知ってる。だからバーーって行ってきちゃって!」
「…ふふ。ゴルシさんにも似たような事言われました。」
「え?!ウソ私二番煎じだった?!」
トレーナーさんってば慌ててる。変な顔。
「…いや、より一層肩の力が抜けてよかったです。」
「そ、そうかな?ならよかった…?」
「…それじゃ行ってきますね。…一泡吹いてくれたらいいですけど。」
「…そうだね!行ってらっしゃい!」
ここまで激励貰ったんだ。最善を尽くそう。そう決めて私は出走準備に向かった。
「…すいませんでした。…先行集団に何とかついていたので最終直線ちぎれるかと一瞬思ったんですが…バクシンオーさん残り400に行く前に加速して凄く離されて…加速しても加速してもダメで…他の子も前に行って…結局6着とは…あんな大仰に覚悟決めた顔したら1着取ってこいよって3人思いましたよね…切腹モノですよね…。」
「モブコちょっと、頭上げて…。一応人少ないけどここ外だから…。」
「まあまあ、こういう事もあるだろ。全力だったのは見ててわかったしさぁ。」
「だからその、そんな深々と頭を下げなくても…床にのめり込みそうですわ…。」
深々と頭を下げさせて今は。空気読めなさ過ぎるよあの激励の流れで負けるのは。
「しかも5着とハナ差って…最低限入着はしましょマジで…本当私…これが一生か、一生がこれか、ああ嫌だ嫌だ。」
「樋口一葉の『にごりえ』の台詞じゃねぇか。本好きだもんなお前。」
「これが一生ということはないと思いますわよ…。」
「そ、そうよモブコ。ほら、とりあえず頭上げよ本当に。」
「…トレーナーさんにそこまで言われたら…分かりました…上げます。」
「…その、てっきりわたくしモブコさんはゴールドシップさんに振り回されていると思っていたのですが…その…もしかしてモブコさんも大概…」
「今更気づいたのかマックイーン。」
「あ、こちらにいらっしゃいましたかッ!!いやはや探しましたよ!」
「…え?サ、サクラバクシンオーさん?」
そんなところにあらわれたのは見事1着を勝ち取った主人公もといサクラバクシンオーさん。
「レースを御一緒された方々と少しお話をしていたのですがッ!!モブコさんだけすぐどこかに行ってしまい、話せなかったので探していました!」
「え、あ、えっと、そんなすいません…私如きに時間を使わせてしまって…。」
「いえいえ、学級委員長の私にかかればこのくらいの人探しッ!!!ちょちょいのちょいです!!!」
…最近思うんだけど、出世してる方々って皆さん懐が深いですね。しかもバクシンオーさんも私の名前覚えてるんだ。その優しさ私にはもう一周回って申し訳なさ過ぎるんですが。
「…それでその、私に話って…。」
「はいッ!!良いレースが出来たお礼をと思いまして。」
「…いや、2着3着の子達ならまだしも…私貴方とは大差だったんですが…。」
「いえいえ!本日の私の作戦は逃げでしたが、正直全員重賞経験者な事もあり、モブコさん含め皆さんにヒヤヒヤさせられましたッ!この学級委員長の私が!不覚ですが!皆さん速かったと、そう感じました!」
「…あ、ありがとうございます。」
「ムムッ?!この感じ、モブコさん落ち込んでいらっしゃった最中でしたか?」
「…まあ…6着ですから。」
「大丈夫です!私は学級委員長故相当速いです!!ですがモブコさんにはモブコさんのモブコロードがありますッ!!ぜひそのままバクシンして頑張ってくださいッ!!ご武運を祈っております!!それでは、またレースで御一緒できる日を楽しみにしております!バッックシーーーン!!」
そう言うとバクシンオーさんはそのまま走り去って行った。
「あ、嵐みたいでしたね…。」
4人で走るバクシンオーさんを見送った…。
…サラッと再戦フラグ建てられた?いや、皆に言ってるか。…本当に速いな。
ゴルシとモブコのヒミツ①
喧嘩は全くした事が無いしゴルシが出世してギクシャクした事もないが、東京デ〇ズニーシーへ一緒に行った際ゴルシがミ〇キーにブリッジの姿勢のまま四足歩行で駆け寄った時、モブコはいつもより真面目なトーンで注意したらしい。
モブコこのネガティブメンタリティでなんやかんや中央残れてるのはなんでだって私もたまに思うんですが、理由はだいたい
ゴルシ4割
トレーナーとの相性◎3割
入学前から超マイナスの自己肯定感が多少減ろうがもう本人的には大して変わらないが3割
かなとは思います。あとフジ先輩とか同室の子が気にかけてるのもある。
併走トレーニング回でモブコと併走して絡んで欲しいウマ娘は?
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アグネスデジタル
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ナイスネイチャ
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ハルウララ