ポケモンが大好きな大人の戯言として気楽にお読みくだされば幸いです。
「アオイ―!起きてるのー?」
階下から母さんの呼ぶ声が聞こえる。
「起きてるよー」
答えながら顔を拭き洗面台を出る、15年生きてきてそんなことを聞かれたのは初めてだ。
「おはよう、母さんが緊張してどうすんのさ」
食卓に腰掛けながら台所に立つ背中に向かって声を掛ける、早く作り過ぎたのかトーストはいつもより少し冷たくなっていた。
「いやだってあんたが遂に旅立つっていうんだから、そりゃ落ち着かなくもなるよ。ねぇワタちゃん」
ワタッコがアオイの頭上に近付き、頭に乗っかった。
「ワタッコー、そうだ君がいないと毎日の寝ぐせ直しは苦戦しそうだなぁ」
ワタッコは得意げに喉を鳴らしながらアオイの寝ぐせを綺麗に直していく、母さんのトレーナー時代からの相棒であるワタッコはアオイにとって生まれた時からお姉さんのような存在だった。
寝ぐせ直しは毎日の日課でありワタッコの一番の得意技だ。
「最初のポケモンを人からもらうっていうのはお母さんにはちょっと不思議だけど、どんな子があなたのパートナーになるのか楽しみね」
「基本は馴染みのあるこの辺りのポケモンだって話だったし、きっと見たことある子なんじゃないかな」
モーモーミルクを一気に流し込み、ごちそうさまでしたと手を合わせる。
ワタッコも丁度“おしごと”を完了し、満足げにふわふわとアオイの頭の周りを2,3周すると日の当たる窓辺に移動していった。今日も髪型はばっちり整っている。
「ポケモン貰ったら荷物まとめに戻ってくるよ」
靴を履きながら母さんに声を掛けるとガーディが背中に頭をこすりつけてくる。今さっき起きてきたらしいまだ3歳のこの子はアオイにべったりの甘えんぼだ。
アオイはガーディの頭を撫でて玄関のドアに手を掛ける。
「わかった、気を付けていってらっしゃい」
外に出ると気持ち良い風が吹いていた、アオイの住むミシロタウンはホウエン地方の南西に位置する比較的小さな町で周りを川、森、山といった豊かな自然に囲まれている。今日のような天気の良い日は裏手の山に登ればホウエン最高峰の「えんとつやま」が見えるだろう。
コユリ研究所のエントランスに入ると受付のショウコさんが声を掛けてきた
「おはようございます、いよいよですね。博士も今日を楽しみにされていましたよ」
「おはようございます、はい、自分もすごくワクワクしてます」
ショウコさんはにっこり笑うと左奥の通路の方に身体を向けた。
「博士は通路を抜けた先、いつもの広場でお待ちです。クレアさんは既に待ちかねているご様子でしたよ」
微笑むショウコさんにお礼を告げてアオイは広場へ向かって歩き出した。コユリ博士は時折研究所の広場を地域の子供たちに開放しており、職員の安全管理の下で地域の子供たちがポケモンと触れ合うことが出来る場となっていた。アオイは幼い頃からその広場の常連だ。
広場への自動扉が通過すると白衣のコユリ博士と茶色い髪の少女が話していた。
茶色い髪の少女がむすっとした表情で振り返って言う
「遅い」
「まぁまぁクレアちゃんそう言わずに。アオイ君、おはよう」
コユリ博士はクレアの肩越しにアオイに声を掛けた。
「おはようございます!」
「さてさてそれでは2人共、改めて今日はようこそコユリ研究所へ。広場ではしゃいでた君たち2人がいよいよ旅立ちだなんて寂しいけれど今日は私からのお祝いとして2人にポケモンを託すべく集まってもらいました。」
アオイ、クレアの2人は黙ってうなずく
「私は旅立つトレーナーによって託すポケモンを変えていてね、2人に合いそうな子がどの子か実はすごく迷ったんだよ」
博士が続ける
「能力や技の育てやすさ、タイプ、そして何よりその子の性格。その辺を考えて3体まで絞りました。あとは2人がそれぞれ1対ずつビビッとくる子を選んであげてほしいな」
「「はい!」」アオイとクレアが声を合わせて応える。
博士がふわっと3つのモンスターボールを投げ上げると白い光と共に3体のポケモンが姿を現した。
「さぁ!君のパートナーはどの子かな?」
第一話 終
最後までお読みいただきありがとうございました。
小説の執筆は初めてですので段落や符号の使い方など、文章のスタイルにもご意見ございましたらお寄せください。