海を大地をポケモンたちと!   作:千月凪

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水辺の戦い

 トウカシティまであと少しというところ、道路脇の水場でミズゴロウを遊ばせながら一休みしていた。

「ご機嫌だな」

 鼻歌を歌いながらアチャモをブラッシングしているクレアにアオイが声をかける。ついさっき道行くトレーナーに挑まれたバトルを制し、アチャモも誇らしげにくちばしをツンと上に向けている。

「ひのこ、すごかったでしょ」

 クレアがにやりと笑う。アチャモのひのこは確かにすごい、特別威力が高いわけではないが優れた体幹を生かして走りながらや跳びながらといった崩れた体制からでも正確に相手を捉えていた。

「まあまあだな」

 素直に褒めてなるものか、とアオイがミズゴロウの方を見たまま答えたその時、ミズゴロウの背後にポケモンが迫ってくるのが見えた。

「ミズゴロウ!後ろ!」

アオイが立ち上がりながらとっさに声をかける、ミズゴロウはすぐさま水中に避難して少し距離を取ったところから顔を出した。そのポケモンは4本の細い脚で、まるで水面に立っているかのように見えた。

『アメタマ、あめんぼポケモン。水面をすべるように歩き、危険を感じると頭の先っぽから水あめのような甘い液体を出す』

 「アメタマか、よぉーしっ!行くぞミズゴロウ!みずでっぽう!」

 アオイはポケモン図鑑をポケットにしまうとアメタマを指さしてミズゴロウに指示を出した。みずでっぽうはアメタマの頭を掠める、ミズゴロウはすぐさま水中に避難しようとするが、アメタマのでんこうせっかに弾き飛ばされた。距離を詰めてくるアメタマを体勢を立て直したミズゴロウがたいあたりで吹き飛ばす。

「いいぞ、もう一発みずでっぽう!」

 水面スレスレのみずでっぽうはアメタマのあわと真っ向からぶつかった。爆発の陰からまたアメタマがでんこうせっかで近付いてくるが、そこにミズゴロウの姿はなかった。

「読み通り、待ってたぜ!みずでっぽう!」

 ミズゴロウを見失ったアメタマを水面下からの攻撃が打ち上げた。地上に着地したアメタマが水面に戻るのを遮るようにミズゴロウも地上に上がり臨戦態勢を取る。

「たいあたり!」

 アメタマに水上のような素早さはなかった、攻撃を受けてバランスを崩しながら放たれたあわがミズゴロウに届く手前で地面に落ちる。

 「畳みかけるぞ、みずでっぽう!」

 ついにみずでっぽうが直撃したが効果はいまひとつのようだ。すると突然アメタマが水上のような素早さを取り戻し、でんこうせっかでミズゴロウに襲い掛かった。不意を突かれ身をよじって躱したところにあわによる追撃を受けた。

(みずでっぽうとあわであそこだけ足元に水が溜まってたのか、それを利用してスピードに乗ったのね)

 クレアは少し離れたところでアチャモを抱えながら見守っている。

 アメタマがでんこうせっかでミズゴロウの懐に飛び込んでくる、今度はさっきほどのスピードはない。

「たいあたりで迎え撃て!」

 真正面からぶつかりアメタマが吹っ飛ばされた。すぐに立ち上がろうとするがダメージが蓄積しふらふらとバランスを崩している。

「いくぞ…モンスターボール!!」

ボールが直撃しアメタマは赤い光に包まれて吸い込まれていった。1回、2回と揺れるボールをミズゴロウとアオイが固唾を飲んで見守る。

「頼む…頼む頼む!」

 カチッと音がしてボールが止まった。

「ぃよっしゃぁぁ!!」

 アオイがアメタマのボールを高く掲げる。

「アメタマゲットだぁぁ!」

 膝をついてミズゴロウを撫で回すアオイにミズゴロウもにこにこ笑って応えた。

「おめでとう、良かったじゃない」

 アチャモがミズゴロウに対して全身で感動を表現しているのを見ながらクレアが声をかけた。

「博士のところでたくさん練習した成果が出たよ、感謝しないとな」

 アオイがボールを見ながら答えた。

「とりあえずミズゴロウとアメタマを治療してあげたら?トウカシティはもうすぐそこだしゆっくり行きましょう」

 ミズゴロウをキズぐすりで応急処置しアメタマをボールから出した。ダメージを受けて弱っているがアオイをまっすぐ見上げている。ミズゴロウが近寄って何か声をかけると頭をこすりつけるようにした。

「仲良しみたいね」

 クレアが笑う。そうだな、と答えつつアオイが手早くキズぐすりで治療を行った。

 「俺はアオイ、そしてこっちはミズゴロウ。俺たちにとって君が初めての仲間だ、今日からよろしくな」

 アメタマは高い声を出しながら嬉しそうにくるくる回った。

 

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