海を大地をポケモンたちと!   作:千月凪

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自然と人が触れ合う街

 空が夕焼け色に染まる頃、トウカシティのポケモンセンター裏でアオイとポケモンたちがトレーニングをしていた。

「あわ!」

 アメタマが木に向かってあわを吹き付ける、弾速は緩やかだが当たって弾けると十分な威力があるようだ。木が揺れて木の葉を散らすと休んでいたポケモンがバサバサと飛び去る音が聞こえる。

「あとは…でんこうせっか!」

 少し遠くに舞い落ちる葉を指して指示するとアメタマが勢いよく飛び出したが、アメタマが触れる前に葉は地面に落ちてしまった。

「あー、なるほど…ミズゴロウ、アメタマの足元に水を撒いてみてくれ」

 足元に水溜りができるとアメタマは嬉しそうに水面を滑った。

「よし、もう一発でんこうせっか!」

 ミズゴロウが先ほどとほぼ同じ位置の木の葉を一枚みずでっぽうで打ち抜く、今回は地面に落ちる前にアメタマの身体が木の葉を捕まえた。

(やっぱり全然違うな、初速は地上も水上もほぼ一緒だけど水があるとそのあとのスピードの伸びが違う)

「ところでアメタマ、そのあわを見て思い出したんだけどもしかして102番道路でスバメに襲われてたのってお前か…?」

 アメタマが飛び跳ねて答える、横でほほ笑んでいるミズゴロウはとっくに気付いていたらしい。

「なんだ、気付いてたのか」

 アオイも笑った。

 

 夜ご飯を食べにアオイがポケモンセンターに戻るとロビーでクレアと鉢合わせた。彼女もちょうど夕飯に降りて来たという。

「夜ご飯これから?」

 クレアの問い掛けにアオイが頷いた。

「これから、一緒に行こう」

 

 ******************************

 数時間前、お昼頃にトウカシティに到着すると2人は早速ポケモンセンターで手持ちのポケモンたちを回復してもらい、周辺マップを登録して街の散策に繰り出した。旅が始まって初めてのジムであるトウカシティジムに胸を弾ませる2人を待ち構えていたのは「閉鎖中」の看板だった。再開が5日後であるとの表示を見て肩を落とす2人に、通りがかった中年の女性が長期休暇やジムバトル以外の仕事のためにジムが閉鎖されることがあると教えてくれた。

「5日か、少し待つことになるな」

「そうね、それでもミシロやコトキよりは大きな街だしトレーニングしたり買い物したりやることはありそう」

 タウンマップを見ながらクレアが言った。

「そうだな、とりあえず俺はアメタマの様子を見てみたいから一旦ポケモンセンターに戻るよ」

 ほとんどのポケモンセンターは近くにフリースペースを確保しており利用者はトレーニング等に自由に使うことが出来る。大型のポケモンセンターではバトル用のコートまで備えているような場合もあり利用者同士の交流の場にもなる。

「わかった、私はもう少しこの辺を散歩してから戻ることにする」

 ******************************

 

「アメタマはどうだった?」

 定食を運んできたクレアが席に着きながら聞いた。

「良い感じ、やっぱり水があるところの方が生き生きするから技を使いながら上手く立ち回りたいな」

「ふーん、みずタイプ2体はバランス悪いんじゃない?」

 クレアがいたずらっぽく笑う。

「さぁそれはどうかな、少なくともクレアにはだいぶ有利だと思うけどな」

「アメタマはむしタイプでもあるでしょうが」

 クレアが目を細めるのを見てアオイは笑った。

 

 食事を終えて足元を見るとミズゴロウたちもすべて平らげていた、アメタマがうつらうつらしていたのでボールに戻しミズゴロウたちの分の水を注ぎ足した。

「アオイ、これからのことなんだけど」

 クレアが真面目な顔で口を開いた。

「ここで別れよう」

 クレアの言葉に机の下でアチャモとミズゴロウも顔を見合わせた。

「アオイが昨日アメタマを捕まえた時、友達として嬉しいって思ったのと同時にそれと同じくらい”負けてられない”って思った。一緒に旅をするのはきっと楽しいしお互い高め合える、でも」

 クレアが目を上げまっすぐアオイを見つめて続ける。

「でも私はアオイとライバルでいたい」

 アオイがコップの水を飲み干し、微笑みながら口を開く。

「そうだな、俺もクレアとはライバルでいたい。」

「何笑ってんのよ、こっちは真剣なんだけど」

 クレアがまた目を細める。

「いやいやごめん、実は俺も同じことを考えてたんだよ」

 アオイが続ける。

「具体的にいつとかまではまだ考えてなかったけど、いずれ別々に旅するべきだと思ってたよ。それをこのスピード感で決断できるのがクレアのすごいところだな」

「何よそれ、とにかく決まりでいいのね」

 クレアがムスッとしながら話を進める。

「あぁ決まりだ。じゃあどっちかがトウカシティに残ってもう一方はカナズミか…ムロのどっちかに進む感じかになるか」

「そうね、2人ともトウカを飛ばして104番道路でカナズミとムロに別れるって手もあるかな」

 タウンマップをスクロールしながら話す2人の下でミズゴロウとアチャモも別れを惜しむように身を寄せ合って話している。

「どっちが良いとか好みある?」

アオイの質問にクレアは少し考えたが、首を横に振った。

「いずれにしてもジムに挑戦するまでにもう少しトレーニングしたいから、時間があるここでも良いし道中ポケモンに出会うチャンスのある他2つのジムでも良いかな、アオイは?」

「そしたら俺がここを飛ばしてカナズミに行こうかな、カナズミはいわタイプのジムだからミズゴロウとアメタマの最初のチャレンジにぴったりだと思って」

 2人は席を立ち、食器を片付けて歩きながら会話を続ける。

「なるほど、もちろん!じゃ私はトウカに残ってここを最初のチャレンジにしようかな」

「よし!そうと決まれば俺たちは明日出発するよ、最後に明日どこかで昼食べようぜ」

「あ、それならさっき行きたいところ見つけたからそこでも良い?」

クレアがマップ上で街の真ん中あたりを指す。

「了解、じゃあ朝は軽くして行こうかな」

「私も、それじゃあまたね」

 女性棟への階段の前でクレアが手を振る。

「おやすみ、また明日」

 

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