2人が選ぶポケモンと博士が授けるトレーナーの必需品とは?
「さぁ!君のパートナーはどの子かな?」
コユリ博士が投げ上げたボールから飛び出してきたポケモン達を前にクレアは喜びの声を上げていた。
「どう?まず2人ともこの子たちとは遊んだことが無いんじゃないかなと思うんだけど、みんな知ってる?」
博士が2人に声を掛ける。
「こっちからアチャモ、キモリ、ミズゴロウですよね!」
アオイが何も答えないでいるとクレアは得意げに答えてアオイの方にやりと見た。
「それぞれほのお、くさ、みずタイプですね!」
我に返ったアオイも負けじと答える、ボーっとしていただけだとクレアの方に目線を返した。
「さすが2人とも正解、じっくり時間を掛けて決めてもいいけどおすすめは直観で選ぶことね」
近くの木に登り始めたキモリの方をちらっと見てから博士は続ける
「見れば見るほどどの子も魅力的で決められなくなってしまうから。直前まで伏せていたのもそういうわけよ」
博士の言うことはその通りだと思った、アオイは幼い頃から研究所でポケモンと遊ぶたびに夕飯の席でその子を将来パートナーにするんだと母さんに話していたことを思い出した。
しかしアオイは自分でも不思議なほど自然に、迷いなく一匹のポケモンに向けて手を伸ばしていた。
「ミズゴロウにします」
アオイは膝をついてミズゴロウのあごに触れながら、博士の眼をまっすぐに見つめて言った。
博士は少し驚いたような顔をした後にっこり笑ってアオイに親指を立てながら言った
「うんうん!よし!アオイ君、ミズゴロウはキミに任せたよ!」
するとアオイの横でクレアがすっと立ち上がった
「あら、決めるのは早いのね」
クレアは胸にポケモンを抱きかかえている
「私はこの子にします」
アチャモを抱いた手を博士の方に伸ばしながら言った、クレアを真似ているのかアチャモも口をキュッと結んで博士の方を見つめている。
博士はそんなアチャモとクレアを見比べながら強く頷いて言った
「決まりだね!クレアちゃんとアチャモもきっと良いパートナーになるよ」
博士はそう言ってもう一度にっこりと笑った。
しばらくして研究所内の1室に移動すると博士は2人にカメラが付いた手のひらほどの大きさの端末を手渡した。
「それはポケモン図鑑、君たちの旅にきっと役立つ優れモノだよ」
そう言うと博士は自慢げに機能の解説を始めた。カメラでポケモンを映すとコユリ研究所にデータのあるポケモンならその情報を見ることが出来るらしい、他にも連絡先を交換すればいつでも通信可能であることやマップ、写真などを保存もできるらしい。
「そして何よりそれはトレーナーIDを管理することも出来るようになってるのよ!」
博士は人差し指をピンと立てたが、2人はきょとんとしていた
「なんでしたっけ、それ」
アオイが言うと博士はうっかりしていたと言って説明を始めた
「話したことなかったっけか、まぁトレーナーIDはその名の通りその人物がポケモンリーグから認定を受けたポケモントレーナーであることを証明するものよ。ようするに"ポケモントレーナーの資格"ね。ジムチャレンジ、コンテスト出場なんかにはもちろん必要だし、持ってるとポケモンセンターでポケモン達をタダで治療してもらえたりするトレーナーに欠かせないものなの。」
"ジムチャレンジ"という単語にアオイとクレアの表情が変わった。
「そのIDはどこでもらえるんですか」
クレアが前のめりに尋ねると、博士はふふんと笑った
「今あなたたちがその手に持ってるわよ」
受付でショウコさんに挨拶をして研究所を後にした、クレアも一度家に戻るらしく途中まで一緒に帰ることになった。
「まさかIDだけじゃなくてモンスターボールまでくれるなんて」
クレアが空のモンスターボールを掌で転がしながら言った。
トレーナーIDの発行は本来各町のポケモンセンターやジムで行うらしいが、電子版に対応しているところは未だ少なく時間も掛かるため、事前に博士が準備しておいてくれたらしい。1ヶ月ほど前にトレーナーの登録手続きだからと2人であれこれ書かされたのを思い出した。
「いよいよって感じがするな」
アオイはミズゴロウの入ったモンスターボールを右手で軽く握りながら答えた。
「じゃあ、準備したら101番道路で」
クレアは手を振って小走りに自宅の方へ向かっていった。
「ただいまー」
玄関のドアを開けるとガーディがお座りしていた、短く吠えてアオイを見つめている。
リビングのドアが開き、母さんが出てきた。アオイには心なしか、母が少し寂しそうに見えた。
「おかえり」
廊下の向こう、リビングの机の上にきれいなベージュのリュックサックと白いニット帽が見える。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「まだ旅立たんのかい」とお思いでしょうがいよいよ次回は旅立ち、そして初バトルが書ければ良いなと思っています。
それではまた次回。