TS魔王は勇者に靡かない   作:しぇしぇしぇのしぇ

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5話

「……わたしの名は、リリ」

「ふむ」

 

 リーシェの前には、幼女が居た。

 

 幼女は子供ながらに短剣を構え、真剣な顔でリーシェを見上げていた。

 

「……わたしは西方七剣が一人、ワイズリーフのいちばん弟子のエレンメート、の教えを受けたことがある剣士ダッカルのひとりむすめ!」

「ふぅむ」

 

 拙い活舌にしては、随分としっかりとした自己紹介であった。何度か名乗る練習をしたのだろう。

 

 まだ歳は5つ6つあたりだろうか。ざっくばらんに切られた金髪を跳ねさせて、リリと名乗った少女は数回短剣をふるった。

 

 ……危なっかしい手つきであった。

 

「父ダッカルは、オトラ警ら部隊の副長だった」

「なるほど、兵士の娘か」

「みんなを逃がすため、ゆうかんにたたかった」

 

 そこまで言うと、じんわり幼女の目に涙が浮かぶ。

 

 ……その表情を見て、周囲の兵士は察した。おそらく、もう彼女の父親はこの世にいないのだろう。

 

「ようし、貴様は見習い兵士じゃ。隊長であるワシに追従すると良い」

「わかり、ました」

 

 こうして兵士として志願してきたのも何かの縁。

 

 出来れば一人前になるまで、世話をしてやろう。

 

 リーシェは心のうちに、そう考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修道女リーシェ隊長の率いる『難民保護部隊』は遠征を初めて3日目、デベロー領を脱して西部都市のオトラ領内へと進軍した。

 

 この付近になると、デベロー領へ行く民の数は大きく減っていた。逃げる体力があるものは、もうデベロー領内に逃げているということだろう。

 

 今、この地に残っている人間は、何かしらの理由があって残らざるを得ない人達ばかりだ。

 

「リーシェ隊長。この道を真っすぐ行けば、西領土の都────オトラへと辿り着く」

「うむ」

「で? 俺たちはこのまま、オトラへまっすぐ行くつもりですかい? あの街はもう、魔物どもの餌場になっているようだが」

「いや、向かわぬ。まだ襲われていない町に行って、難民脱出の支援を行うつもりじゃ」

 

 リーシェら遠征部隊の目的は、敵の撃退ではなく難民の保護だ。

 

 身も蓋もない言い方をすると、多くの死者を出したデベロー領の再興のために、民を集めてこいという指令だ。

 

 まだ逃げ遅れている民がいるやもしれないが、リーシェはオトラに出向くつもりはなかった。

 

「領主様より言伝があってな。西の森林内部には、独立した集落があるらしい」

「そうなのか?」

「集落は森の奥深くに存在しているので、まだ魔族に蹂躙されていない可能性が高い。その連中を保護し、物資や資源を輸送しながらデベロー領に帰還するのが今回の最優先目標だ」

「へー、そんな話を聞いたことはなかった。木こりの一族か何かか?」

「いや、反乱軍の残党だ」

「ぶぅっっ!!?」

 

 しれっと凄まじい真実を告げられ、テュッペルは飲んでいた水を噴出した。

 

「ちょ、は、はぁあ!? 俺たち、反乱軍を助けに行くのか!?」

「正確には、反乱軍には加わったが戦う能力のない女子供の集落だな。旧魔王軍と呼ばれた連中の、家族達だよ」

「そ、そんな奴等を保護して大丈夫なのか?」

「問題ない。……反乱軍とレッテルを張られてはいるが、元は西の領主ヴァルガド伯爵の圧政に耐えかねて、逃げ出した善良な民だ」

 

 スッ、と。リーシェはどこか遠くを見るような目つきで、テュッペルに語り掛けた。

 

「ヴァルガドは、日常的に税の横領を繰り返していた。そのしわ寄せとして重税を民に押し付けたので、やがて民は逃げ出した」

「……そんな馬鹿な。税の横領なんてしたら、国王に誅殺されるだろうに」

「ところがどっこい、首都では公然の秘密だったそうだよ。ヴァルガド家と言えば、国王直臣の家系だ。好きなだけ握りつぶせただろうさ」

 

 リーシェは、いやバロンは思い出していた。

 

 彼がかつて、民を貧困から救うために農地や牧畜の技術を研究し調べあげ、技術提供のために領主の居る官舎へ訪れたその日のことを。

 

 そこで彼が見たモノは、目隠しされて激しく暴行された百姓の女を肴に、宴会を開く領主ヴァルガドの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

『これだけ予算をいただければ、収穫高は10年後には倍近くに────』

『あ~?』

 

 

 その醜悪な宴に声を震わせながら、かつてバロンは領主へ進言を行った。

 

 自分が研究し、知りえた知識を使えば国はもっと豊かになると、そう領主を説得した。

 

 

『却下だ。私はもう、十分に満ち足りている。この優雅で甘美な日々の暮らしに、不満はない』

『だが、民は貧困に喘いでいる! この方策を使えば────』

『それでいい』

 

 しかし、バロンが数年がかりで調べ上げた画期的な農耕の技術をまとめた書類は、その場でヴァルガドに破り捨てられた。

 

『民は貧しい方がいいのだ。反乱を起こす気力もなくなり、財ある者に逆らわなくなるからな』

『……』

『それに、こうして盗みを働いた者をいたぶるのが何よりの楽しみでね。人は貧しくないと、そう簡単に罪を犯さない』

 

 そういった領主ヴァルガドの顔を、バロンは一生忘れないだろう。

 

『そこのボロキレのような姿になった女は、飢えた子を食わすため盗みを働いたのだ。ははは、愉快だろう』

『……』

『この重傷ではもう助からぬ。このまま道に放り出せば、出血で死ぬだろう。だが、その前に────』

 

 その男は、醜悪な笑みを浮かべて、

 

 

『彼女が今まで何で殴られていたかを、知ってもらわねばならない』

 

 

 百姓の女を百叩きするのに使われたその赤子(ぶき)を、心底楽しそうに持ち上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴァルガドの悪行は、当然デベロー伯爵も存じていたようだ。証拠がないし、密告しても握りつぶされるだけなので、何も出来なかったそうだが」

「……マジかよ。本当に、そんな事する貴族がいるのか? いくら何でも、誇張入ってんじゃないの?」

「だと良いがの」

 

 むろん、誇張などはない。

 

 それはバロン自身がしっかりと、その目で見た光景だ。

 

 彼が国に見切りをつけるに至った、一つのきっかけだ。

 

「もしかして俺らの親玉の貴族の嬢ちゃん、スッゲーまともな部類?」

「少なくとも西よりかは遥かにまともじゃろうな」

「たはー」

 

 西の都市の壊滅により、現在ヴァルガドの生死は不明だ。

 

 出来るだけ惨めにくたばっていてくれと、バロンは願っていた。

 

「そんな訳で、ワシらが保護しに行く連中は死ぬほど貴族嫌いであることが予想される。無論、貴族の手先であるワシらもな」

「じゃあどうするんだよ」

「そこはワシに任せろ。修道女であるワシが丸腰で出向いて行って、紳士的に説得を行えばきっとわかってくれるじゃろう」

「そんなに上手く行くか?」

「大丈夫、大丈夫」

 

 そのヴァルガドの暴威から逃れるために建築された集落、それが魔王バロンの本拠地でもある『隠れ村落ハイドリバー』である。

 

 ハイドリバーに住む者は、ほとんどがバロンの顔見知りだ。彼らを治める立場の者は、魔王バロンが復活した際の『合言葉』も継承しているはずである。

 

 ゆえに、まずはバロン一人で村に接触する必要があった。

 

「なので、村人との最初の接触はワシがやる」

「もし、あんたが殺されたらどうする」

「その時は、お前らは逃げよ。ワシが責任をとってやろう」

「あんた死んどるやないか」

 

 本当に大丈夫なのか? というテュッペルの疑惑の目を受け流しながら、リーシェはカラカラと笑っていた。

 

「リリは、ついて行かなくていい?」

「おう、危ないからな」

「でもわたしがついて行った方が、警戒されないとおもう、よ?」

「であろう。だが不自然だ」

 

 幼女はリーシェの役に立ちたいのだろう、ぴょいぴょいと跳ねながら自己アピールしてきたがリーシェはソレを断った。

 

 かつての仲間に自らの正体を語るにあたり、リリの存在は不都合なのだ。

 

「だが、ありがとうな。リリの勇気に感謝を」

 

 何かをごまかしたことを悟られぬよう、リーシェは不安げな顔のリリの髪を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「獣の肉、というのも悪くはないだろう」

「……なんで修道女が、肉の解体なんてできるんだ?」

「経験じゃ」

 

 リーシェは宣言通り、オトラへ続く街道を行かずに森の中へと進路を取った。

 

 森の中は、まだ魔族に荒らされていなかった。都市オトラにある豊富な食料が、狼の魔族達の足を止めているのだろう。

 

 荒らされていない森とは言うのは、食料の宝庫だ。

 

 リーシェは川沿いに進んで熊の餌場となっていた場所を見つけると、罠を張って魚と熊を捕獲してしまった。

 

 2匹の熊と十数匹の魚ではあるが、数日分の部隊の食料としては十分だった。

 

「旨いか、リリ」

「……肉の味が、くちゃい」

「それが自然の味だ。肉ってのは臭くて硬いもんだ。調味料なんて贅沢品よ」

「でも。……おいしい」

 

 腹を空かせていたのだろう、熊肉を焼いただけの食事にリリはがっついていた。

 

 目に涙を浮かべ、美味しそうにコンガリ焼けた赤身肉の骨をカジカジとしゃぶっていた。

 

「その骨は、明日の朝食のスープになる。楽しみにしておれ」

「骨も食べるの?」

「いや、出汁にするだけじゃ。油が浮いて、栄養になる」

 

 かつてリーシェは魔王バロンだった時代に、何度もサバイバルを経験してきた。

 

 それは貴族の兵に襲われ、山奥に逃げ込まざるを得なかった時。

 

 バロンは共に逃げた仲間の漁師から、狩人から、肉屋から、魚や獣の捕り方や捌き方をよく学んだ。

 

 その知識は、後々何度もバロンを食料の危機から救っていた。

 

「たまにゃこういうのも悪くないが、これが毎日続くとなれば憂鬱だね。俺はグルメじゃないが、人間の食うものを食いたいって程度の味覚を持ってる」

「やれやれ。明日には、森の奥の集落に到着するだろう。そしたら、集落から食料を分けてもらえるかもしれん」

「だと良いがな。そこはアンタの説得にかかってるぞ、リーシェ隊長」

「おお、任せるがいい」

 

 そして明日は、いよいよかつての仲間との再会の日。

 

 信じてもらえるだろうか。どんな言葉をかけられるだろうか。

 

 リーシェは懐かしい友の顔を脳裏に浮かべ、胸を踊らせながら床についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────翌、明朝。

 

「……何奴!!」

 

 不穏な気配を察知してリーシェは、朝日も十分に照らぬまま飛び起きた。

 

「……んがが? 何だ隊長さんよぉ」

「ドサクサでワシの尻を触るなアホ。起きろ」

 

 何者かに、囲まれている。

 

 敵の気配に敏感だったリーシェは、寝惚けながらに鎧を手にとって周囲を見渡した。

 

「これはどうなっとる。見張りの兵は何してた」

 

 ワラワラ、と感じる敵の気配。

 

 それは冷たく、静かに、リーシェ達テベロー衛兵部隊を監視していた。

 

「見張り? ……ああ、彼処で眠っとりますな」

「……」

 

 ……リーシェは、貴族の私兵を舐めていた。

 

 この連中は、サボれるとあらば極限までサボる事を常識としている。

 

 見張りなんて仕事は、朝リーシェ達が起きるまでに早起きして「見張ってる振りをしておけば良い」くらいの認識であった。

 

 要はこの衛兵達は、まったく実戦というものを知らない素人集団だったのだ。

 

「……はぁ。もう良い、向こうの責任者と話してくる」

「何? どういうことだ?」

「包囲されておるんじゃよ、ワシらは」

「えええ!?」

 

 こと、今になってやっと窮地に立っていることを認識したテュッペルにため息を吐く。

 

 囲まれてしまったものは仕方ない。出来れば秘密裏に「敵」と会って話がしたかったが、是非もない。

 

 リーシェは飛び起きて寝癖のついた髪の毛のまま、テントを出ると。

 

「兵を起こして纏めておれ、テュッペル」

 

 ポリポリ頭を掻いて、敵の潜む方向へと歩いていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう諸君。……我らに敵意はない、まずは話が出来る奴を出してくれないか」

「……」

 

 リーシェは両手を開いて武器を持っていない事をアピールしながら、一人で何かが潜む森の茂みへと進んだ。

 

 もし、今リーシェが矢で射られたら即死だ。

 

 若干緊張を押し殺しながらも、にこやかな笑みを浮かべて魔王はかつての仲間達へと近付いた。

 

「……止まれ」

「はいはい」

 

 リーシェは自分達を包囲したこの連中が、バロンのかつての仲間達である事にすぐ気づいていた。

 

 何せ、かつて自分が頼りにした仲間の気配が有ることに気付いたからだ。

 

 その男は、素晴らしい腕の剣士だった。

 

 しかし、リーシェが反乱軍を蜂起したタイミングは、彼が最愛の妻と結婚した直後であった。

 

 彼は乳児と妻を残して死に行けぬと、バロンに慚愧して軍に加わらず村に残ったのだ。

 

 バロンはそんな彼に『皆の家族を守ってくれ』と、自らの愛剣を与えたのだ。

 

「話を聞いてやる、女。だが、話し合いに鎧も武器も不要だろう」

「む? 武器なんぞ持っておらんぞ」

「まず、その着こんだ鎧を落とせ」

 

 ああ、その声は彼のモノだ。

 

 懐かしい声に何とも言えぬ郷愁を感じつつ、リーシェは指示通りに鎧を脱いだ。

 

 身に付けるは修道服のみ、黒髪の少女(リーシェ)が無数の兵の前に立つ。

 

「……袖が長い。暗器を仕込んでいるかもしれぬ」

「なら、修道服も脱ごうか」

「ああ」

 

 彼の用心深さは、まったく変わっていない様だ。

 

 クックッ、と恥じらう様子もなくリーシェは修道服を脱ぎ捨てた。

 

 リーシェは服の下に、簡素な下着を身に付けているのみだ。

 

「ようし、そのまま両手を上げて組め。そして、ゆっくり歩いてこい」

「承知した」

 

 こうして、久方ぶりに。

 

 リーシェは、いやバロンはその男と再会するに至った。

 

 かつて魔王の右腕と呼ばれた、その天下無双の剣士に。

 

 

 

 

 

 

 

「用件を問おう、貴族の尖兵よ」

「汝らを保護しに来た」

「保護だと?」

 

 下着姿のリーシェは、涼しげな笑みを崩さず剣士ラキに話し掛けた。

 

 短い黒髪、鋭い目付きの壮年の男。

 

 バロンが彼と最後に会った時は、まだ青年と言える年齢だった。随分と老けたものだ。

 

「ああ、騙すつもりなんて無い。まずは話を聞いてくれ、ラキ」

「……」

 

 よくぞここまで育ったものだ。リーシェは剣を突きつけられる恐怖より、懐かしい顔を見れた嬉しさが勝っていた。

 

 ラキ、と言われた目付きの鋭い剣士はピクリと眉を動かした。

 

「おい、女。何故ラキ様の名前を知っている」

「おう、こいつとは旧知の仲でな」

「……貴様、名を名乗れ」

「おう、今はリーシェと言う」

 

 リーシェにとって、この場にラキが居てくれたのは幸いだった。

 

 かつて、バロンであった時にラキ本人に伝えた事があったからだ。

 

 自分が死んでしまった時、何らかに身体を変えて蘇るだろうと。

 

「リーシェなんて名の女を、俺は知らぬが。俺の知っている名は無いか?」

「無論有る。貴様も胸に浮かんでおろう」

 

 かつて魔王は、ラキへこう告げた。もし仮に自分が死に、蘇った時には以下の3つの約束をもって貴様の前に姿を見せる、と。

 

 ────1つ。ワシは決して何を問われても、バロンの名前を出さぬ。我が名を名乗って貴様らの前に現れるものを、決して信用するな。

 

「いや、分からんな。リーシェとやら、数多の兵を率い我々の村落を目指して進んできている様子だが、何が目的だ」

「理由は後程、しっかり告げるつもりじゃが。……約束を守れんですまなんだ、明日ワシ一人で貴様らの村落へ赴くつもりじゃったのじゃ」

 

 ────2つ。ワシは仲間を連れず、一人で里を赴くじゃろう。ワシが貴様らの長に合言葉を告げるまで、一人で現れた不審者を敵として扱い油断するな。

 

「……」

「ラキさん、この女は一体何を言ってるんだ……?」

 

 見れば目の前の剣士には、脂汗が浮かんでいた。

 

 無論、剣士の頭には1つの想像が思い描かれていたのだ。

 

 

 

 

 ────目の前の小娘は、かつての主バロンでは無いのか? と。

 

 

 

 

 ラキは葛藤していた。目の前のリーシェと名乗った女を信用しても良いものかと。

 

 本当に自らの主が復活したのか、それとも目の前の女はバロンを騙る詐欺師なのか。

 

 彼はバロンから背後を預けられるだけあって、慎重で用心深い性格なのだ。

 

「囲まれたのはワシの落ち度よな。ようし、こうなれば一丁揉んでやろう」

「揉んでやる?」

「ラキよ、剣を取るが良い。……まだ、大事にしていてくれたのだな、その剣」

 

 まだ判断しかねている剣士ラキに、手ぶらのリーシェは抜刀を促した。

 

 不敵な表情を浮かべ、ラキを眺めながら。

 

 

 

 

「ワシが今から、お前がどれほど成長したか確かめてやる」

「……」

寂郷(せききょう)、同胞愛を以て鉄打破(てっだは)の御心を貫かん。この誓いを言葉ではなく、行動で示そう」

 

 

 ハッ、と剣士ラキの顔が驚愕に染まる。

 

 たった今、リーシェという少女が放ったその言葉は、かつて魔王バロンが信用のおける仲間にのみ伝えた『合言葉』。

 

 

「さあ来い、ラキ」

 

 

 小柄でお世辞に強そうに見えない下着姿の小娘は、慈愛に溢れた目で熟練の剣士をそう誘った。

 

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