怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース スピンオフ集 作:特撮恐竜
「宇宙に満ちる力を魔法に変える・・・か。不思議な人だったな・・・。」
『まさか彼女がサラサ星の生き残りだったとは思わなかったぜ。』
「宇宙は神秘で満ち溢れているって事だよね。」
ギマイラとの戦いから3日後、ヒロキはタイガと一緒にGIRLSの屋上で町を眺めながら先日の出来事を振り返っていた。
「それにしても・・・あの人・・・この現代で自身が魔法使いである事を明かすなんて・・・中々勇気あるよね。」
『確かに・・・魔法なんて普通は信じられないものだからな。』
『姉ちゃん達も最初は信じてなかったもんな。』
「でもさ・・・もしかしたら地球に伝わる魔法使いの伝説って・・・本当の事だったのかも・・・。」
『どうしてそう思うんだ?』
「大昔の地球に麻璃亜さんみたいな人がこの星に訪れて自身の力を当時の人達に見せて魔法使いと呼ばれるようになったんじゃないかな。やがて時代が流れて・・・それは空想上の伝説みたいに言い伝えられてきて・・・次第には・・・。」
『忘れ去られたという事か・・・マジャッパの件を考えると確かにあり得そうだな。』
ヒロキの推測にタイタスが頷く。するとアキがやってきてヒロキに話しかけた。
「あっ‼︎ヒロキさんこんなところに‼︎」
「アギラさん?どうした?」
「もう、キングジョーさんとピグモンさんが探してたよ。」
「クララちゃんとピグモンさんが?何の用で?」
「それはボクも分からないけど・・・早く行った方がいいと思うよ。」
「分かった、ありがとう‼︎」
ヒロキはアキに礼を言うと最上階のエレベーターに向かって走る。アキもそれに続いていった。
ヒロキはアキと別れるとクララとトモミがいる事務室に入っていく。2人はそこで資料を見ながら何かを話し合っていたが2人はヒロキに気付く。2人が自分に気付いたヒロキは2人に呼んだ理由を訊ねる。
「じゃあ、ボクはここで。」
「ああ・・・。」
「ヒロキ‼︎」
「あっ、ヒロヒロ‼︎」
「2人ともどうして僕を?もしかして・・・先日のギマイラの件の報告書で何か・・・。」
「あー、いえ、違います。あれはちゃんと出来ていますよ〜。」
「じゃあ何で呼んだんですか?僕・・・何かしました?」
クララとトモミはお互い顔を見合わせると一息つく。そして再び口を開き始めた。
「ヒロキ、アナタワタシ達に何か隠してる事ありマセンカ?」
「えっ?」
「先日のギマイラの事件で気になる事があるんです・・・。ヒロヒロ、あの時ギマイラがタイガさんに追い払われた後にわたし達と合流しましたよね?」
「ええ・・・それが何か?」
「あの時、少し足を引き摺っていませんでしたか?」
「ええ?・・・そう見えましたか?」
「はい・・・その時は出現した怪獣の事で目一杯で・・・余り気にしていませんでしたが・・・ヒロヒロ、実はあの時、怪我をしていませんでしたか?実はあの時、キンキンがヒロヒロが足を引き摺っているように見えたと言っていて・・・。」
ヒロキはトモミの疑問を聞いて目を見開きながら驚く。あの時、ダロンとの戦いで確かに足を痛めていたのは事実だったが誰からも追求が無いためまさか見透かされているとは思いもしなかったのだ。
「く、クララちゃん、そう見えたの?た、多分だけど・・・気のせいだと思うよ。」
「本当デスカ?でも・・・。」
「でも?」
「ヒロキ、怪獣とウルトラマンの戦いが終わった後、怪我して出て来る事多いように思えるんデス・・・。ガッツから聞いたのですが・・・最初にセグメゲルが現れた時、戦いがあった現場の近くでヒロキが大怪我した状態で見つかったと聞きマシタ・・・。以前から思っていたのですが・・・ヒロキ、アナタ何か隠していまセンカ?」
「⁉︎・・・いや、別に何も・・・。」
不安そうな表情で心配しながら質問してくるクララに目を見開くもヒロキは彼女の言葉を否定した。そこにトモミも加わってきた。
「ヒロヒロ、もし自身の身に何か起きたなら・・・早めにわたし達に伝えて下さい。以前、ガツガツがシャドウミストに取り憑かれた事があって・・・その時、本人の口から何も伝わらなかった事で大変な騒動になった事があります。何かあってからでは遅いんですよ。」
「僕の事は大丈夫です‼︎極めて平気ですよ‼︎」
ヒロキの声にクララとトモミは顔を見合わせる。暫く顔を見合わせていると2人は再びヒロキに向き合った。
「分かりマシタ・・・今はその言葉を信じまショウ。」
「ただし、本当に自身の身に何かありましたらわたし達に必ず知らせて下さい‼︎本当に大変な事になってからでは遅いんですから‼︎」
「だ・・・大丈夫です‼︎必ず伝えますから‼︎」
ヒロキはトモミの後押ししてくる言い方に戸惑いながら話す。そして2人から解放されるとヒロキはGIRLSを後にした。
GIRLSからの帰り道、夕焼けの河原でヒロキは立っていた。ヒロキは自身の相棒に呼び掛ける。
「ねえ、タイガ・・・。」
『どうした?』
「あのさ・・・・・・僕達の関係、少なくともクララちゃん達GIRLSの皆には話した方がいいんじゃないかな?」
ヒロキの言葉にトライスクワッドの面子は驚きながら言葉を放った。
『ばっ・・・馬鹿言うな‼︎何考えてんだ‼︎』
『そうだ‼︎前にも言った筈だ‼︎私達が君と一体化している事は絶対に話してはならないと‼︎』
『もし、俺達の正体が知られたら・・・・・・どうなるか分かってるだろ‼︎』
『この宇宙に俺達ウルトラマンに恨みを持つ奴なんて数え切れない程いる・・・・・・‼︎もし、俺達の正体が知られたら・・・そういう奴らがお前の身の回りの人達にも危害を及ぼすかもしれない‼︎・・・クララ達怪獣娘だけじゃない・・・お前の家族や学校のクラスメート・・・彼らがどんな目に遭わされる事か・・・‼︎』
『最悪、私達の正体を知った事で・・・君の周りの人達が消されてしまうかもしれないのだぞ‼︎』
『お前それでも話せるのかよ‼︎』
「でも正直辛いよ‼︎これ以上隠し続けるのは‼︎・・・君達も見ただろ‼︎さっきのクララちゃんのあの顔を‼︎」
『ヒロキ・・・。』
「それに・・・クララちゃん達少し勘付いているようだった・・・。正直これ以上隠し切るのは・・・限界だと思う・・・。」
ヒロキの言葉にタイガ達は先程のクララの顔を思い出す。タイガは苦悩した声でヒロキに呼び掛けた。
『ヒロキ・・・耐えてくれ‼︎あいつらを守るためには仕方ないんだ‼︎』
「タイガ・・・・・・。」
タイガの言葉にヒロキは言葉を失う。そこにタイタスも加わってきた。
『ヒロキ・・・君の気持ちは分かる。・・・確かに辛いだろうが・・・今は我慢するしかない・・・。』
「タイタス・・・。」
タイタスの言葉にヒロキは押し黙ってしまう。暫く夕日を眺めながら川沿いを歩いていると再びヒロキが口を開いた。
「・・・・・・分かったよ。まだ僕達の正体は秘密だ。」
『ヒロキ‼︎』
「ただ・・・さっきのクララちゃん達の様子からして・・・いつかは隠し切れなくなる日がくると思う・・・。その時は・・・話してもいいよね・・・?」
『ああ・・・その時が来たら・・・構わないぜ。そうなったら俺達からも話さなきゃいけない事もあるからな。』
タイガの声を聞いたヒロキは静かになると再び立ち止まる。そして再び3人に口を開いた。
「・・・・・・僕達の正体がバレる時が来たら・・・クララちゃん達・・・怒るかな・・・。」
『さぁ、どうだろうな・・・もしものその先の事なんて分かんねえよ。』
「うん・・・そうだよね・・・御免、フーマ。」
『ただし・・・怒られる事があったとしても・・・今まで町の人達を守るために戦ってきた事は評価してくれると思うぞ。流石に頭ごなしに怒られる事はない筈だ。』
『そうだぜ。だから・・・元気出せよ。いざとなったら俺達からも話してやるからさ。お前が俺達との事を黙ってた理由をよ。』
「タイタス・・・タイガ・・・うん、ありがと。」
ヒロキはトライスクワッドの声を聞くと立ち止まり、その場に腰掛けた。そして自身に支給されたソウルライザーを立ち上げると以前のマジャッパの事件のデータを開く。そして事件のデータを見ながら話し出した。
「・・・・・・いざ、自身の正体を話すとなると・・・絶対に緊張するんだろうな・・・。」
『何だよ、いきなり?』
「この間のマジャッパの事件の時に会った舞子さんは覚えてる?」
「ああ、彼女か。覚えてるぜ。それがどうかしたのかよ?」
「マガジャッパさんから聞いたんだけど・・・彼女・・・凄いよね。宇宙人の血を継いでいて・・・あのタリスマンを通して今でもその力を使える事、彼氏に話してたってさ・・・。」
『確かに・・・怪獣娘ならまだしも・・・そうでない者があんな力を持っていたら・・・恐れられてもおかしくはないな・・・。』
「その怪獣娘だって今でも・・・人によってはまだ恐れている人もいるからね・・・。クララちゃんやゴモたんさん、レッドキングさんのようによくメディアに出る人達のお陰でそういう人は減ってはいるらしいけど・・・。」
「そう考えたら・・・舞子さんも絶対に彼氏さんに説明する時に緊張したんじゃないかって思ってさ・・・。」
『まっ、人間は自分とは違う者を嫌うらしいからな・・・。俺も宇宙を旅して自分と姿が違ったり、他の奴らには使えない力を使えるからってそいつを追い出したり排除しようとしたりする奴らを見てきたからな。』
「うん・・・だから・・・今思えば舞子さんは凄いと思う。自分の恋人に自身にとっては普通だからって自分に備わった特殊な力の事を話せるって。」
様々な星を訪れた経験のあるフーマの説得力がある言葉を聞いてヒロキは思わず言葉に出さずにはいられなかった。
『そうだな・・・打ち明けられる勇気があるのは確かに凄い事なのかもしれないな。』
『そしてそれを受け入れだ彼氏の方も凄いと思うぜ。』
「確かにね・・・それにこの間の麻璃亜さんも同じくらい凄いと思う。」
『確かに・・・科学が発達したこの時代で魔法・・・だもんな。』
「普通なら馬鹿にされるからって・・・言えないよね。魔法なんて・・・。きっと怖がられる事もあっただろうしさ・・・。」
『あの時の彼女の様子からして記憶を消せる魔法もあるみたいだったから自身が魔法を使う姿は基本的には消していたのかもな。』
「で 魔法の元となる宇宙に満ちるエネルギーをギマイラに吸い取られて・・・魔法が使えなくなって・・・そしてGIRLSに自身の事が知られたのに・・・魔法使いである事の記憶を消さずにいてくれたものね。』
『自分にとっての普通を隠さないですむ相手に会えたから消さなかったのかもしれないな。』
ヒロキは下に流れる川に1度目を向ける。そして自身の周りで座り込みタイガ達を眺めると再び彼らに話しかけた。
「ねえ、もし僕達の事がバレたとしても・・・クララちゃん達は今までのように接してくれるかな?」
『大丈夫だよ‼︎問題ねえって‼︎』
『そうだ‼︎君は何度も彼女達を救ってるのだぞ‼︎』
『もし、俺達の正体がバレたとしても今までのように受け入れてくれるって‼︎だって・・・ヒロキはヒロキだろ‼︎』
「タイガ・・・タイタス・・・・・・フーマ・・・・・・・・・そうだね、受け入れてくれるよね・・・!」
ヒロキは立ち上がり夕焼けの空を見つめる。そして力強く決意した。
「今は話せないけど・・・その時が来たら必ず全て包み隠さず話すさ‼︎これが・・・僕にとっての普通だからね‼︎」
『おお・・・そうか‼︎』
『その心意気はいい事だ・・・しかし、だからといって今すぐに話すのはいかんぞ。』
『ああ、旦那の言う通りだ。・・・あくまで俺達の正体を話してもいい時か・・・どうしても話さなければならない時にしろよ。』
「分かってるって、タイタス、フーマ。」
「さてと・・・まもなく日も暮れるし、帰ろうぜ。』
『おお‼︎』
『よし‼︎ならば私は帰ったらトレーニングだな‼︎』
『旦那、トレーニングも結構だが・・・筋肉の話に持っていくのも程々にな。』
『分かってる‼︎』
「僕はご飯かな・・・お腹空いたし・・・。」
『食べすぎんなよ。』
「分かってるって‼︎」
夕日を背中にヒロキは走り出す。タイガ達もヒロキ達に続いて走って帰路に着いて行った。しかし、この時4人は知らなかった。自分達の正体がクララ達に知られてしまう日は4人が思ったよりも近いうちに来る事を。そしてその日はタイガにとって最悪な事になるを知る由も無かった。
ゴールデンウィーク中は毎日投稿する予定だったのですが・・・諸事情で出来なかったので、何処かでその日の分を取り返すべく連投したいと思います。