・急遽思い付いたものなので穴はあると思います。
・ジェットマンを知っている人からすれば、すぐにあることに気づくと思います。
それでもよろしければ読んでいただけると幸いです。
「う~ん、こっちの方がいいかな? ……いや、こっちの方がいいかも……」
背中まで伸ばした艶やかな黒髪を首の後ろで結った16歳、吉川華凜は二種類の服を持って鏡の前に立ちながら悩んでいた。
この日は親の都合で引っ越すまでは幼稚園の頃から姉妹のように仲良くしていた同級生、
引っ越す前までは会おうと思えばいつでも会えた親友との久しぶりの再会。以前ならば当たり前と思って感じなかった親友の存在は、こうして気軽に会えなくなるほど離れ離れになったことで大事にしようという気持ちが高まる。
「う~ん、どっちにしようかな?」
悩む華凜の後ろで母親が声をかける。
「華凜、伊吹ちゃんが来ているわよ」
「えぇ!? うわあああぁぁぁっっっ!!」
華凜は左手に持っていた服を投げ捨て右手に持っていた服を急いで着ると転がるように階段を下りた。
玄関には肩にかかる潤いを帯びた黒髪で細い体つきで人形のように可愛らしい少女、華凜が無二の親友と豪語出来る
「ご、ごめん伊吹!!」
廊下を滑るように走った華凜はそのまま土下座に移行する。
「ふふっ。華凜ちゃんって器用だね」
そんな親友を伊吹は嬉しそうに笑う。
「大丈夫だよ。華凜ちゃんが準備に時間かかるの知っているから」
「ははっ……」
自分の行動を把握されていることに苦笑いを浮かべる華凜。
「それじゃあ行こう! 華凜ちゃん」
「えぇ!」
満面の笑みを浮かべる伊吹に、華凜もとびっきりの笑顔で返すと靴を履いて一緒に外に出た。
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202X年。凶悪化する犯罪を阻止するため日本政府は極秘にある計画を進めていた。その名を魔法少女計画。ある科学者が特殊な光線を浴びることで超人的な能力を発揮することを突き止めた。そして現時点では理由は定かではないが特殊な光線は男性よりも女性の方が悪影響が少ないことも分かった。
選ばれた五人の女性は魔法少女へと変身するべく、意図的に地図から排除された特殊な島に集められていた。
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「いよいよね!」
「そうですね」
興奮気味なショートヘアの女性をツインテールの女性が落ち着いた様子で答える。
「ゴホン」
二人の目の前に立つ中年男性がわざとらしく咳をする。二人は気を引き締める。
「では君達二人には先に光線を浴びる部屋に入ってもらう」
「あの
ツインテールの女性、赤城真白がいるはずの女性がいないことに気がつき質問する。
「彼女らは別の部屋で調整中だ。君達が終わったら彼女達が光線を浴びる予定だ」
「じゃあさっさと浴びて昼ご飯にしましょ♪」
ショートヘアの女性、夏目美冬はスキップでもしそうな勢いで光線を浴びる部屋に向かっていく。
「ちょ、ちょっと美冬先輩。待って下さい」
「ったく。アイツときたら」
呆れる二人は仕方なく美冬の跡を追うように部屋へと向かった。
数分後。
「どうだ、調子は?」
光線を浴びた二人に文木は二人を観察しながら問いかける。
「そうですね、何か強くなった気がします」
「抽象的な表現しか出来ませんが、何か内から力が湧いてくるような……そんな気がします」
「なるほど。まあ、こればかりは実際魔法少女になってみないとわからんか」
「「ま、魔法少女……」」
考えるよりも体が動く美冬と常に一歩下がって周りを見てから行動する真白がシンクロする。
彼女達が重々しく呟く理由を文木は知っていた。
二人とも20歳を超えた女性だからだ。魔法少女というくらいなのだから多くの人は未成年を思い浮かべるであろう。しかし夏目美冬は23歳。赤城真白は20歳。二人とも年齢よりは若く見えるがそれでも自分の中で折り合いをつけるのは難しい。
「う~ん、えっと。まあ、そんな暗い顔するな。昼ご飯何かおごってやるよ」
「本当ですか!? 嘘でしたなんて言ったら怒りますからね!」
何かをおごる。その言葉にぱぁーと明るい表情を見せる美冬に苦笑いを浮かべる二人。
ぐらっ
建物が揺れる。
「じ、地震?」
「かもしれないな。でも大したこと──!?」
文木の予想に反し地震は立つのもやっとなほど揺れが大きくなっていく。そして遠くからの爆音。
「な、何が!?」
その場でしゃがみこむ真白を肩に手を回し立たせる美冬。
「文木博士。これは何か変です。ここは司令に──」
報告を。そういう前に部屋の隅に置かれたテレビが自動的に点く。
『魔法少女計画に携わる全員に命令する。この秘密基地は何者かの攻撃を受けた。この基地はまもなく爆発する。全員急いで基地から脱出しろ! 繰り返す。魔法少女計画に携わる全員に命令する。この秘密基地は何者かの攻撃を受けた。この基地はまもなく爆発する。全員急いで基地から脱出しろ! 以上!』
揺れが更に激しくなり爆音も徐々に近づいていく。
「……! 夏目隊員、赤城隊員。司令の言う通りこの基地は持ちそうにない。急いで脱出するぞ!」
「で、でも博士。他の基地の人達は?」
「皆きっと大丈夫よ。今こんな所で時間を無駄にするわけにはいかない。急ぐわよ、真白!」
美冬は後輩の手を引っ張ると先頭を走る博士の後についた。
どれくらいの時間が経過したのか。博士特製のラボ兼移動用ヘリに乗った三人があちこちで黒煙を上げる基地を見下ろす。
「皆は……皆は無事ですよね」
涙目になりながら問いかける真白を優しく、それでいて力強く抱きしめる。
「大丈夫よ。司令も三人も、他のスタッフも。この魔法少女計画のために集められたエリート中のエリートなのよ。大丈夫」
後輩に言うと同時に、自分に言い聞かせるように美冬は答える。
「ん、あれは?」
博士の視線を二人は見る。
そこはつい先ほどまで自分達がいた光線を浴びた部屋だった。光は黄色、白、黒に輝き目にも止まらぬ速さで四散した。
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繁華街。
「嬉しいな、やっぱり」
「嬉しい? 何が?」
嬉しそうな表情を浮かべる伊吹に華凜は首を傾げる。
「何がって……華凜ちゃんとこうやって一緒にいられることだよ」
「ああ……確かにそうだな」
「もう……感動が薄いなぁ、華凜ちゃん。私、華凜ちゃんと会えなくてすごく寂しかったんだよ。……華凜ちゃんは嬉しくないの?」
プクッと不機嫌そうに頬を膨らませた親友に華凜は「可愛いなぁ……」と内心思いながら苦笑する。
「そんなわけないでしょう。私だって嬉しいよ。大好きな伊吹と一緒にいられるんだから」
「えへへ、華凜ちゃん……大好き」
嬉しそうに微笑みながら、伊吹は華凜に身体を押しつけ、腕を組んできた。
「わ!? ちょ、伊吹! ……歩きづらいじゃない。離れなさいよ!」
「やだもん」
華凜の言葉に伊吹は離すどころかより強く腕をからめてくる。
「……もう、しょうがないな」
小さくため息をつき、親友の甘えた行動に諦めた華凜はデートをする恋人のように駅へと歩いていった。
そこで二人は色々なことを話す。
現在の状況からテレビで見た内容など。傍から見れば下らないように見える会話も、二人にとっては貴重な時間だった。
(気軽に会いにいけなくはなったけど。またこうして伊吹と話すことが出来る……逆に会えなくなることで、ただ話すという行為がこれほど幸せだと気づくとは皮肉だな)
腕を組む親友と会話を楽しみながら、華凜はそんなことを考えていた。
はしゃぐ伊吹に微笑ましさを感じつつ、華凜は伊吹に連れて行かれるようにぬいぐるみ専門店に足を踏み入れようとした。その時だった。
「え?」
空から前触れもなく紫の光が二人の方へ向かって行く。
「伊吹!」
華凜は親友を守るように抱きしめる。
「う……う、うぅっ!」
「あ……あ、あぁっ!」
何かが身体の中へと入っていく感覚に二人は声を漏らす。
「……何だったんだ、今のは?」
抱きしめていた華凜は伊吹を解放して自分の身体を調べる。同じように伊吹も自身の身体をくまなく見る。
「……本当に何だったんだ、今のは?」
「さぁ……」
何ともなかった二人が互いの顔を見合わせる。その時だった。
ドガアアアアアアァァァァァァンンンンンンッッッッッッ!!!!
爆発音のようなものが街中に響き渡った。
「な、何だ!?」
「ば……爆発!?」
爆音と共に地面が揺れる。
「くっ!!」
華凜は倒れそうになるのを自慢の脚力で耐えながら親友を守るように抱き寄せる。
「え……嘘……」
華凜の腕の中で、伊吹が呆然と呟く。親友が見る光景を華凜も見て
「……」
固まった。
街の様子は先ほどまでと変わっていた。
大きく穴の開いた建物に煙と炎が立ち上がる自動車。そして
「ウアアアァァァッッッ…………──―」
「た、助け…………──―」
「ヒイイイィィィッッッ…………──―」
逃げ惑う人々を気絶させて身柄を抑える、黒ずくめの衣装にマスクをつけた異形の者達。
「か、華凜ちゃん……」
腕の中にいる伊吹の震えで華凜はハッと我に返る。
どうしてこんな状況になってしまったのかは分からない。しかしそれでも分かることはある。それは自分と腕の中にいる親友の安全。
(何を呆けている、吉川華凜! 今するべきことは何故このような事態になったかを知ることではない! 伊吹を守ることだ!!)
「伊吹、安心して! 貴女は私が絶対に守るから!!」
「……あ、ありがとう。華凛ちゃん!」
華凛の言葉に安心した伊吹は力強く頷く。
「とりあえずこの場から離れるわよ!」
華凜は親友の手を走り出す。しかしその足はすぐに止まってしまった。
「ゲゲゲ! 逃がざないぞぉ!」
そこには人よりも遥かに大きな身体に、臭い体臭を放つ豚にも似た巨人が二人を遮るように立っていたからだ。
「え? な……なに……?」
瞳を見開き呆然とその怪物を見る伊吹。
「後ば若い女を確保ずればいいがらな」
ジュルリと舌なめずりしながら伊吹を見る怪物に、華凜が吠えた。
「伊吹に手を出すなぁぁぁっっっ!!」
華凜は豚の怪物の頬に鉄拳をめり込ませようと跳びかかる。
「邪魔だ!」
豚の怪物は丸太のように太い棍棒を振り下ろした。
「うぐああああああっ!!」
殴りかかろうとした華凜の身体は弾丸のように吹き飛ばされて電柱にぶつかる。その衝撃に堪えきれず、電柱はバギッ!! という音を立てて折れて地面に落ちた。
「うぐ……あがっ……」
全身がバラバラになってしまったのでは? と錯覚するような痛みが身体中に駆け抜け、華凜は言葉にならない声を漏らす。
「華凜ちゃん!!」
薄れていく意識の中で聞こえる親友の悲痛な叫び。
(い、伊吹……)
助けないと。伊吹を守らないと。その使命感をあざ笑うかのように痛みは華凜の意識をシャットダウンさせていく。
(い、伊吹……)
「私のことはほっといて逃げろ」という言葉を投げかけることも、親友の姿を確認することも出来ず、華凜の意識はは痛みで呑まれてしまった。
Bパートに続きます。