ウマ娘はさらなる実力主義へと飛躍する。 作:推しはキングヘイロー
『おかあちゃん、わたし、日本一のウマ娘になってくる!』
………
「お嬢ちゃん、もう学校ついたよ、起きなさい」
「ううーん…おかあちゃん…私…頑張るよ」
「ほら、ちゃんと起きなさい。今日が始業式でしょう」
「うん?あれ?もうついたんですか?あれ?なんでバスに?」
どうやらいつの間にか眠っていたようです。
でもあれ?
私、トレセン学園に行くために札幌から夜行列車に乗っていたはずなのに、なんでバスに乗ってるの?
わけがわからないけど、バスの運転手さんに促されて急いで降りたら、目の前に巨大な校門がありました。
うんしょ、うんしょ。
私は大きなバッグを抱えて校門に入ると周りには新入生らしい真新しい制服に身を包んだ子たちがたくさん居ます。
北海道では街でもめったに人なんて居ないのにいきなりこんなに大勢の人を見てしまって私はちょっと怯んでしまいます。
一番人を見たのだってここに来る前にはじめて札幌に行ったときに通勤時間帯の駅に30人ぐらい居て都会だーって驚いたぐらいなのにそれどころの比じゃないです。
「ねぇ、君。何ぼーっとしてるの?早く行かないと遅刻しちゃうよ、ほらあそこ、クラス割の掲示板があるから行きましょう」
戸惑って立ち竦んでいると、ピンク色の髪をしたちょっとお胸の大きい女の子が私の手を引いて掲示板まで連れて行ってくれました。
「えーと私は…Bクラスだね。君は何組?そういえば名前言ってなかったね、一之瀬帆波、15歳、誕生日は7月20日、よろしくね」
「あ、私はスペシャルウィークです!よろしくおねがいします!」
「スペシャルウィーク…じゃあスペちゃんって呼ぶね。えっと、スペちゃんは…あ、Dクラスだって」
そう言われて見ると確かにDクラスの所に私の名前があります。
あと何やら補足が書いてある。
『入試のミスでDクラスだけ生徒を1人カウント間違いがあり41人になったので初日に選抜試験があり1人退学になります』と書かれている。
ガーン!試験ってなに?もしかして私、退学になっちゃうの!
いきなりの出来事にショックを受けていると何やら足に変な感触が。
「この太ももの作り良いじゃないか。もちもちしていてそれでいてしっかり中の筋肉も鍛えられていて。これは世界を取れるエロさだ!」
恐る恐る見ると私の太ももに頬ずりしている男子生徒がいました。
「きゃーーーー!」パコーン!ギャーーー!
「あ!スペちゃーーーん!まってーーー!」
あまりの気持ち悪さに思わずその男子生徒の顔を蹴りぬいてしまいました。
その男子生徒の頭は花火のように真っ赤に弾け、後方に吹っ飛んでいったのを横目で見ながら私は怖くなって校舎に向かって駆け出しました。
ううう、なんでいきなりこんな酷い目に、おかあちゃんが言ってたとおり東京は怖いところなんだ。
恐る恐るとDクラスに入るともう結構な人数が居て仲良くおしゃべりをしていました。
私はちょっと出遅れてしまったようで、一人寂しく席に座りしょんぼりしていると、イケメンそうな男子が教卓の上に立ち、声を張り上げました。
「やあみんな。ぼくは平田洋平。みんなこれから3年間一緒のクラスだ。どうだろう、親睦を深めるために自己紹介をしようじゃないか」
爽やかな笑顔を浮かべファサっと髪をかきあげながら白い歯をキラリンと輝かせています。
イケメンさんだ。始めてみました。東京はやっぱり都会なんだな。
地元では丸刈りで真っ黒に日焼けして年中白Tシャツに短パンを履いた芋臭い男子しか居なかったのに。
それにしてもどうしてトレセン学園に男子生徒がいるんだろう?
そう疑問に思っているとそれを聞いた赤い髪の男の子が机を蹴り飛ばして立ち上がります。
「俺らは小学生じゃないだ!自己紹介なんてガキ臭いことなんてやってられるか!」
そう言って教室飛び出して走って行きました。
「そうね、私も自己紹介なんて合理的じゃないことは好きじゃないわ。そもそもあなた達劣等生と一緒に仲良くなんてするつもりもないもの」
キレイな長い黒髪の美人さんも続いて教室を飛び出していきました。
それに唖然としていると先生らしい女の人が教室に入ってきました。
「お前ら静かにしろ。あー、欠席は2名か。よーし、これから入学の説明をするぞ。私は担任の茶柱だ」
どうやら担任の先生らしいです。
「この学校は3年間ある。そしてSシステムがある。つまりこの学生証は電子マネーだ。いま、10万ポイントが入っている、確認しろ」
そう言われ、いつの間にかポケットに入ってた学生証を見ると表紙に「祝入学!10万ポイント!」と書かれている。無駄に達筆だ。
「お前らはこの学校に入学できた。つまりその10万の価値があると認められたのだ。この学校は実力主義だからな」
どうやら10万ポイントは10万円として使えるそうです。
どうしよう、10万円なんて大金、村には存在すらしていなかったよ!やっぱり都会は凄いよ!
みんなも10万円と聞いて驚いたり喜んだりしています。
「あと、掲示板に書かれていたと思うが、このクラスは手違いで41人入学させてしまった。なので1人退学にするはずだったんだが、今朝、クラスの1人の山内が原因不明の事故で頭が吹き飛んで死んだ。よって予定通り40人になったので選抜試験は無しだ。良かったなスペシャルウィーク。お前の頭だと退学になっていたぞ」
ガーン!やっぱり私が退学候補だったようだ!
勉強ももっと頑張っておくべきでした。
「では解散」
ショックでお腹が空いてきたので、まずは食堂に行ってご飯を食べましょう。
えーと、スペシャル定食はー1000ポイント、お刺身定食は900ポイント、ハンバーグ定食は800ポイントかー、あれ?この山菜定食って…表示ミスかな?
「おばちゃーん、この山菜定食って0ポイントって書かれているんですが、無料ってことなんですか?」
厨房のおばちゃんに確認してみたら、本当に0ポイントでした。
しかも野菜たっぷりで私の好物の人参がまるごと1本入っています。なんてお得なんでしょう!さすが都会です!
さっそく私は山菜定食を注文して食べ、また注文して食べ、再度おかわりして食べ、それでももっともっとおかわりして…
…
……
………
ざわ…ざわ…
もぐもぐ、ん?どうしたんだろう、なんだかすごく視線を感じます。
ちょうど山菜定食をまた一人前食べ終えたところで視線を上げると周りに人だかりが出来ていました。
そして目の前には空になったおひつを持った厨房のおばちゃんが立っていました。
「お嬢ちゃん、申し訳ないけどお米も材料もなくなったからそれで最後にしておくれ、明日はもっと入荷しておくから」
「うーん、たったの100回ぐらいしかおかわりしてないから満腹じゃないけど、まぁ腹八分目っていうし。また明日来ますね」
「できれば来ないでくれた方が…いや、まぁ無料だからしょうがないね。これも学校の決めたことさ」
何故か黄昏れているおばちゃんと、もう食材がないから店仕舞いだと言われて驚いている他の生徒を不思議そうに見ながら食堂をあとにしました。
「えっと、入学のしおりによると、寮はこっちかな・・・ってこのビルがそうなの!」
天高く雲すら貫く高層ビルがあり、そこに寮と看板がありました。
「おや、君は新入生のスペシャルウィーク君だね。実は入学のミスで女子生徒の部屋が1つ足りなくてね、君は相部屋になるんだ、仲良くしてくださいね。40010号室だよ」
寮の管理人さんにそう言われ、私はエレベータに乗るとギューンと登っていきます。
さすが都会の寮です。エレベーターなんて産まれて初めて乗りました。ガラス張りの窓からは地面がどんどん離れて行き、人が米粒ぐらいの小ささになるのに興奮していると、『40010号室に到着しました』という音声が流れドアが空きました。
恐る恐るエレベーターを降りると、全体的にピンクの色調の部屋が広がっていました。
「あ!スペちゃん!」
中には先に来ていた同居人が居て、驚くことに朝に会った帆波さんです!
「よかったー、同居人って聞いてたから怖い人だったらどうしようってドキドキしちゃってました」
私は安堵して同じく喜んでいる帆波さんと手を合わせて小躍りしちゃいました。
「私はもう私物とか届いてるのは片付けちゃったんで、スペちゃんも荷物の整理しちゃってね、管理人さんが収納棚足りないなら追加してくれるって」
「えーと、このリュック分の荷物しか私物がないから開いてるスペースで大丈夫ですよ。それにほとんど人参なので」
リュックを開けると、おかあちゃんが買ってくれたシューズと、それとトレーニング用のジャージや数枚の下着類の他は全部人参です。
なのでシューズを大事に棚の上に置いて、ジャージと下着を棚の空いている所に入れると片付けは終わりました。
机は二人分用意してくれたけど、ベッドはもともと全部屋ダブルサイズだからそのまま二人で一緒に寝ることになりました。
本当は寝る前にトレーニングしたかったけど、今日は色々あって疲れてしまったのでそのまま寝ることにします。
明日からメイクデビューに向かって頑張るぞ。
ちなみに、帆波ちゃんはいい匂いがしました。さすが都会!
誤字修正しました。
巨大な肛門>巨大な校門
報告ありがとうございます。