ウマ娘はさらなる実力主義へと飛躍する。 作:推しはキングヘイロー
入学二日目、朝早く起きた私はトレーニング用のジャージに着替えて日課の走り込みをすることにしました。
都会はやっぱりすごい、道が全部舗装されています。
私の住んでいた北海道にはアスファルトで舗装された道なんて札幌にもなかったよ。
おかげで雨の日なんて泥だらけになってシューズの手入れが大変でした。
でもその御蔭でか入学テストのレースでは土砂降りだったけど苦もなく走れて一着を取れたのであれはあれで良かったのかな。
そんなことを考えながら走っていると筋肉マッチョな金髪ロン毛の人が併走してきて声を掛けてきました。
「やぁ馬耳ガール。そのキュートな馬耳と尻尾のアクセサリー、素敵だね。それにしてもこんな朝からトレーニングとは感心するよ」
「えっと、確か同じクラスの」
「改めて挨拶しよう、私は高円寺六助。高円寺コンチェルンの御曹司さ」
「高円寺さんですね。私はスペシャルウィークです!よろしくおねがいします!」
「私の走りについてこれるとはなかなか見込みがあるじゃないか。走るのは好きなのかい?」
「はい!私、おかあちゃんに日本一のウマ娘になるって約束してきたんです!」
「ウマ娘?よく分からないが君のその走りなら世界一だって狙えるだろうね。では私はそろそろ御暇するよ、また会おう馬耳ガール!」
高円寺さんは気取った態度で寮の方に走っていきました。
私はまだ走り足りないのでこのまま食堂が開く時間まで走り込みを続けました。
それにしてもそんなにウマ娘の耳が珍しいのかな?
もしかしたら高円寺さんも私みたいにウマ娘があまり居ない田舎出身なんだろうか?
でもわたしの走りを褒めてくれたし良い人そう。
もしかしたらトレセン学園ってウマ娘の育成だけじゃなくてトレーナーの育成もやってて、彼はそのトレーナーになるためにここに入ったのかな?
まぁ人間がトレセン学園にいるのってそれ以外考えられないよね。
寮に戻り、帆波ちゃんと一緒に食堂に行き、山菜定食を100人前食べて教室に向かいました。
教室に入ると何やら男子が集まり女子をチラチラ見ながら話し合っています。
黒板には『第一回!おっぱいいっぱい夢いっぱいコンテスト!』とデカデカと書かれてあり、男子たちがどの女子生徒の胸が一番大きいか掛けをしていました。
一番は佐倉さんで長谷川さん、櫛田さんの名前が続いています。
「うむむ128票、やはり佐倉氏が一番でござるか」
「俺の櫛田ちゃんは83票!誰か他に投票するやつはいるか?」
「おい、綾小路!お前まだ投票してないだろう!誰のおっぱいが一番デケーか掛けるんだよ!一口1万ポイントな!なに?ポイントがない?ジャンプしてみろ!ほら、ちゃんとポイント残ってるじゃねーか!」
外村くんや池くんに須藤くんが嫌がる綾小路くんの肩を抱いてわいのわいのと騒いでいるのを女子たちは軽蔑した目で見ていました。
平田くんは困ったような顔をしてファサァっと髪をかき上げているだけ。
高円寺くんは醜いねぇと言いながら我関せずと爪の手入れをしています。
「男子ってサイテーよね」
隣の席の篠原さんが話しかけてきてので私も困った顔をして苦笑してしまいました。
どうやら今日はプールトレーニングがあるそうで、その時に誰のおっぱいが大きいかを賭けているそうです。
でもわたしの居た中学校の男子もあんな感じでバカだったのでそういうものなんだろうと思っていたので今更です。
それよりも早く水着に着替えてプールに行きましょう。
私はササッと制服を脱ぎ水着に着替えます。
プールトレーニングは冷たくて気持ちがいいので大好きです。
まだ男子は黒板でああでもないこうでもないと言い合っているのを横目で見ながら私は教室を出ました。
プールには一番乗りだったようで、まだ誰もいませんでした。残念。
しばらくプールサイドにいると櫛田さんがやってきました。
帆波ちゃんほどじゃないけど彼女もナイスバディです。大人です。
「スペシャルウィークさん、早いね。すぐ着替えて教室出てちゃうんだもん、そんなにプール楽しみだったの?」
「はい!プールトレーニングは足に負荷がかからないし冷たくて気持ちいいし大好きです!」
「そうなんだ、それにしてもそのアクセサリー、水着でも取らないんだね?」
「???」
アクセサリーってなんだろう?
聞こうと思ったら男子たちがドドドッと駆け寄ってきました。
「櫛田ちゃん見つけたー!」
「うひょーー!おっぱいぼいんぼいんじゃん!」
「お前ら!俺の櫛田ちゃんをエロい目で見るな!触って良いのは俺だけだからな!」
「いや・・・池くんにも触られるのはちょっと嫌かなー」
池くんが櫛田さんに抱きつきながら彼女のおっぱいを後ろから揉みしだくと櫛田さんは嫌がって身を捩って逃げてしまいました。
ああ、もう少しお喋りしたかったです。
「ああー俺の櫛田ちゃん。くそー!お前らが気持ち悪い目で見るから俺の櫛田ちゃんが逃げちゃったじゃないか!」
池くんが怒りながら通りかかった綾小路くんにドロップキックをしているのを私は冷ややかな目で見るだけでした。
そうこうしていると茶柱先生がやってきました。
「これから体育の授業を始める。えーっと見学者は男子1人と女子17人か」
よく見ると、女子で参加しているのは私と櫛田さんと自己紹介を拒否した黒髪ロングの子だけです。
「ではこれよりテストを行う。実はプールのテストの予定だったんだが、今日は昨日死んだ山内の死体が葬式まで腐らないように保管するためにプールを使用しているのでプールは使用できない。なのでそのまま校庭に向かってもらう、駆け足!」
よく見るとプールには頭部のない死体がプカプカ浮いてました。
みんな悲鳴を上げて駆け出していきます。
私も恐ろしくて校庭までダッシュで向かいました。
「はーい、みんなが校庭に集まるまで3分かかりました。マイナス30っとカキカキ。ではこれよりテストを行う。今日のテストは芝2000右回りだ。ちゃんとタイムは測るから真面目に走るように」
「先生!おれ2000メートルも走れません!」
「ダメだ!どんなやつでも夏までには走れるようにしてやる!絶対だ、絶対にだ!」
茶柱先生は念を押すように絶対に走れるようにしてやると言っています。夏になにかあるんでしょうか?
「このテストは成績には関係しないが、一位には特別に私から人参500本をやろう。昨日実家から見合い写真と一緒に送られてきて邪魔だったんだ。なんならどっかの豚みたいなボンボンの写真もつけてやる」
おお!人参500本!
その破格の報酬にみんなざわめいています。
「その代わり、ビリのやつは補修だ、頑張るように」
女子は3人しか居ないので男子と一緒に走ることになりました。ハンデとして女子はビリでも補習なしだそうです。
「ふふ、馬耳ガール、また一緒に走ることになったね」
どうやら私は高円寺くんと一緒に走るようです。他にも須藤くんや綾小路くん、そしてわたしの胸をガン見している池くんもいます。うえーんせめてジャージに着替えさせてよ先生。
綾小路くんがこそっと池くんに「普通のやつはどれぐらい速いんだ」と聞いています。
「あー?このメンツだとお前以外の男子は普通じゃないからな。もちろん俺はダントツだぜ!そうだな、スペシャルウィークは女の子だし、普通の速さだと思うぞ。そんなに自信ないならせめて彼女ぐらいは抜いて男を見せてみろよ」
「分かった、なら彼女を基準に走ってみる」
そういって綾小路くんがわたしを凝視してきます。
でも彼、人間だし追いつけるはず無いんだけどなぁ。でも手を抜くなんてしたら日本一なんて無理だし。ごめんね、置いていっちゃうよ。
私はスタートの合図がなると同時に駆け出しました。
俺は綾小路清隆、極めて普通の男子高校生だ。
俺は今、非常にピンチである。
というのも、体育の授業で2000メートル走のテストを受けているのだが、普通の速さの少女に追いつける気配が見えないのだ。
俺の後ろには少し遅れて高円寺が、その遥か彼方に須藤。その更に後ろに池がいる。
池いわく、どうやら俺以外の男子は全員普通より鈍足らしく、池はダントツで走るのが苦手だそうだ。
俺は普通の男子高校生として青春を謳歌するためにも負けることなどできない。
普通の少女に走りで負けたなんて言ったら堀北(自己紹介拒否ガール)にどれだけ馬鹿にされるか。
そうなったら俺の青春はあっけなく崩壊するだろう。
それにしても速い。
あの場所でひたすらトレーニングしてきた俺が全く追いつけず、ジリジリと離されている。
俺はあの場所で一番だったので外に出れば負けることなど無いだろうと高をくくっていたがどうやら世界というのは甘くないらしい。
あいつが俺は優秀だが、まだまだ未完成だと言っていた意味がなんとなく分かった。
これが優秀な生徒が集まる高度育成高等学校。
普通の少女でもこんなに凄まじい脚力があるのか。
やっと俺が1500メートル走りきったちょうどその時、彼女はゴール地点を駆け抜けたのだった。
「やったー!一着だ!」
私は思わずガッツポーズを取る。
「うおおお!スペシャルウィークちゃんすげー!」
「スペシャルウィークさんって凄い足速いね!」
見ていたクラスのみんなも駆け寄ってきて私を讃えてくれる。
「な・・・なんと、タイム2分5秒だと・・・日本記録を更新してるじゃないか…お前、今すぐ陸上部に入らないか?」
茶柱先生が面白い変顔をして私の肩を掴んでガックンガックン頭を前後に揺らしてきます。
「あわわわわ・・・よくわからないけど。わたし。メイクデビューするのででで。どこかのチームにははははは所属したいですすすす」
「チーム?(実業団チーム入りをしてオリンピックを目指すのか?)ならばアマチュアの陸上部に入っている暇はないな。よし、ならば私がプロのトレーナーを紹介する!お前は日本一、いや世界一を取るんだ!」
「ははははいいいい、わたし、にっぽんいちのうまむすめになるのでええええ。そのそのあたまゆらさないでええええ、きゅぅぅぅ」
茶柱先生に頭を高速で揺さぶられて私の意識は遠のいて行きました。
「知らない天井だ」
昔見たアニメのセリフを言うことになるなんて。
いやよく見たら寮の自室です。
まだ一日しか経ってないので忘れてました。
「あ、スペちゃん目が醒めた?指何本か分かる?うん大丈夫だね。茶柱先生が気絶したスペちゃんを背負って連れてきてくれたんだ。申し訳ないって言ってたよ。今日は公欠ってことでそのまま休んでいて良いって、良かったね」
どうやら帆波ちゃんが看病していてくれたようです。
彼女が差し出してくれた人参をポリポリかじりながら説明を聞きました。
人間相手に勝つのは当たり前だけど、今日は自己ベストを更新出来たようなのでとても嬉しいです。
そういえばまだウマ娘の子と会ってないなぁ。
わたしのクラス、人数ミスが有ったらしいし、もしかしたら他にウマ娘の子が集まってるクラスがあって、そこからわたしだけあぶれちゃったのかな?
まぁチームに所属しちゃえばウマ娘の子たちと走ることになるし、座学は人間の子たちと一緒でも特に問題はないから良いよね。トレーナー育成もウマ娘育成も座学は結局レースに勝つ勉強をするんだし。
とりあえず、軽く自己練習とストレッチをして私は今日も帆波ちゃんと一緒に寝ました。
やっぱり帆波ちゃんいい匂い。
レース回です。プールを使えなくするために山内くんは犠牲になりました。南無。