未完短編集   作:ウミノ シオ

3 / 5
ふと「迅さんの弟で、話を書きたいな~」と思ったのと「真逆の副作用(サイドエフェクト)持ちって面白いかもw」で、今回の話が出来ました。
(あらすじにすらならなかった……)


※この話のオリ主は『転生者』です。
※タイトル通り、迅さんの弟に転生しています。
※SE持ち。
※体調不良(嘔吐)描写、ちょっと有り。
※前世の記憶は朧気だがある。
※原作知識は無さそう、だが……

◇◆◇

 明けまして おめでとうございます!
 昨年は、拙い文章にお付き合いしてくださり、ありがとうございました。
 本年も引き続き お付き合いしていただけると、幸いです。

『異世界転生⑩』が予定通りに投稿できなさそうなので、pixivに昨年の12月7日に投稿したやつを……

 今年も、よろしくお願いしますm(_ _)m

※pixivでは3話まで連載中です。


未来視の弟

 様々な可能性のある “未来が視える” 副作用(サイドエフェクト)――『未来視』を持つ(じん) 悠一(ゆういち)には、四つ、年の離れた弟がいる。

 その弟は、何の因果か、変えることの出来ない “過去を視る” サイドエフェクト――『過去視(かこみ)』を持っていた。

 

 ……まぁ、俺なんだけど。

 

 

◇◆◇

 

 

 いつの間にか死んで、転生して。

 美人な母と、幼いながらもイケメンな顔立ちの四つ上の兄と、俺との三人家族。

 

 父親? 前世を思い出した俺は、見た覚えがないですねー

 

 

 『迅』って云う苗字に、なんか引っかかりを覚えながらも、すくすく成長――したけれど。

 視界に入る人の()()()()()()のは、正直 発狂しそうだ。

 発狂しなかったのは前世の、大人の記憶を有していたから。でなければ、発狂してた。断言できる。

 

 ――いや、大人の方がヤバいかもしれない。色々分かるから……

 

 

 前世の記憶を思い出したのは三歳頃。

 それまでは外に出たがらない、癇癪が酷い子供だった。

 理由も原因も分からない母は、困っただろう……申し訳ない。

 

 “強制的に視せられる()()()過去” の情報(映像)によって引き起こされる頭痛と吐き気が癇癪の原因だ。

 そして外に出たがらなかったのは、()()()()()()()()()()から。

 視界に人が入ると “強制的に過去(知らないモノ)が視える” なんて、訳が分からないし気分も良くない。

 それが原因で、頭痛と吐き気にも襲われるとなれば、癇癪も起こすし、引きこもりにもなる。

 前世を思い出したのは、今世の俺―― “(じん) 智一(ともかず)” の心を守るためだったんだと思う。

 

 中身が大人の俺が「ヤベェ……」って青ざめるレベルなんだから、幼子に『人の過去が視える能力』ってのは――――ヤバい。

 

 前世の人格が出てきた おかげか、癇癪は起こさなくなった。まぁ、中身が大人になったから、なんだけど。――たまーにリバースは、している。……嘔吐(あれ)は仕方ないよ、不意打ちは仕方ない……

 

 

 

 

 

 

 

 転機が訪れたのは、兄が十二歳、俺が八歳の時だ。

 

 母の死――

 

 

 その頃は、兄に新たな友達が出来たのか、よく出掛けるようになった。

 学校にも友達は いるみたいだが、友達付き合いには一線を引いている感じで、「友達ンとこに行ってくる~」なんてことがなかったから良かったな~なんて “親目線” で みていた。

 

 その日も朝から出掛けていて、俺は留守の兄に代わり、母に頼まれた お使いに出ていたのだが……

 買い物を終え、家に向かって歩いていると、血相をかいた兄が家から勢いよく飛び出してくるところだった。

 

 どうしたのかな? と、訳が分からず、首を傾げ、兄に歩みよりながら声をかけると、力強く抱きしめられた。

 泣きそうな顔をした兄が、俺を抱きしめた途端に泣き出して、訳が分からなくチベスナ顔になっていると、家から成人男性が三人 出てきた。

 

 何者だ? 不審者……?

 

 

 兄の話によると――母が死ぬ未来が()()()

 だから慌てて家に戻ると、途中で母の()()()()()()()()

 高い確率で俺も()()()()、または()()()()未来がある。

 家に俺の()()()()() イコール ()()()()――と、思ったらしい。

 

 泣いてるから、翻訳するのに時間がかかった……(抱き)しめられてるから苦しいし。

 

 

 家から出てきた成人男性三人は、不審者……ではなく、兄の仲間――母を殺した奴らと対峙している組織の人たちだった。

 

 ……十分、不審者ですけどね……

 

 

 

 さて。母が亡くなり、保護者がいなくなってしまった俺たち兄弟。

 施設送りか……? と、思っていたのだが……なんと! 兄の仲間だと云う組織(ボーダー)に引き取られることになった。

 

 え……? そんな事できるん?

 

 父親はおろか、親戚の存在も判らずじまいで、施設に行ったら離ればなれになるかもなーと、途方にくれてたから正直、ありがたい。

 

 どんな手を使ったのか知らないけど。

 

 

 ボーダーで生活するようになって――兄が母の死を受け入れ、落ち着いてから『未来が視える』ことについて告白された。

 

 だから俺も『過去が視える』こと、『前世の記憶』のことを告白した――

 

 

 

 

 

 

 

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 俺たちがボーダーで生活するようになって七年――

 

 約四年半前、(のち)に『大規模侵攻』と呼ばれる近界民(ネイバー)による大規模な侵略が起きた。

 それを きっかけに、ボーダーは表立って活動するようになった。

 

 『境界防衛機関ボーダー』として――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所属している玉狛支部での防衛任務を終え、午後の授業に間に合うよう、通っている中学校へ徒歩で向かっていると

 

『緊急警報! 緊急警報!

市街地に(ゲート)が発生します! 市民の皆様は直ちに避難してください! 繰り返します! 市街地に――――』

 

 警報が鳴り、アナウンスが流れてきた。

 ここ最近 起こっているイレギュラー門だ。

 

 大規模侵攻の後、近界民の攻撃が酷かった一帯を “警戒区域” とし、その中心部にボーダーの本部を建造。人の侵入を制限した。

 本部が出来てからは、警戒区域に門が開くよう誘導する装置が出来たため、この四年近くは市街地に門が開くことは無かった。

 それが ここ最近、警戒区域()に門が開くようになった。

 過去五回――今回ので六回目だ。

 

――トリガー起動(オン)

 

 制服のポケットに入れていたトリガーを握り、念じる。

 

 生身からトリオンで出来た身体――戦闘体に換装。

 “移動用トリガー”『グラスホッパー』を展開し、空中を移動する。

 

「本部、こちら玉狛の迅。現場に向かうんで門の開いた場所、教えてください」

《智一くん? そうね、智一くんが一番近いわ。場所は――『三門市第三中学校』よ》

 

「三門市第三中学校……?」

 

 ――通っている学校だ。

 

三門第三中(そこ)に正隊員は居ないの?」

《――C級隊員(訓練生)は 居るみたいだけど……》

「――直ぐ行く!」

 

 

◇◆◇

 

 

 ボーダー本部所属のC級隊員 三雲 修は、ボーダーの関係者で父親の友人に会うため、遠路はるばる近界(向こう側)からやって来た近界民 空閑遊真の忠告を無視……というより、分かっているけど やらなければ後悔する、という思いから、逃げ遅れた生徒を助けに向かった。

 

 近界民――トリオン兵が侵入した校舎内では、生徒たちが逃げまどう。

 戦闘用トリオン兵 “モールモッド” の攻撃が生徒に くり出される。

 三雲は、へっぴり腰ながらモールモッドの振り上げた刃物のような足を『レイガスト』と云う、剣にも盾にもなる攻撃手(アタッカー)用トリガーで斬る。そして、レイガストを構えて生徒たちを背に庇った。

 

 因みに。三雲は、レイガスト(これ)に『盾モード』なるモノがあるのを()()()()

 

 

「ここは、ぼくが抑えるから……皆は早く避難を!」

「三雲……!?」

「三雲くん!?」

 

(正隊員が到着するまで、なんとか時間を稼がないと……!)

 

 C級隊員のトリガーは訓練用で、正隊員――B級以上の隊員が持つトリガーと違って、威力も出力も弱い。

 その上、訓練で相手にしているトリオン兵よりも動きが早い、攻撃力も高い。()()()トリオン兵を相手に、いつまでも持たないことは三雲自身も分かっていた。

 

 

――死ぬぞ?

 

――モールモッド一匹殺すのに、オサムだと二十人いて やっと、って感じじゃないか?

 

――倒せたとしても、二十人中十八人のオサムは死ぬ。

 

 

 校舎へ向かう前、三雲が空閑に言われたことだ。

 

 だから、正隊員が到着するまで。生徒たちが避難するまで、時間を稼ごうと、モールモッドの相手をすることにした。

 

(それでも――ぼくが やるべきだと思ったから、やっているんだ)

 

 

 

 モールモッドの攻撃を防いでいると

 

「屈め」

 

 後方から声がした。

 

 その声の通りに、三雲はレイガストを持ったまま屈むと、頭上を午後の授業を受けるために学校へ向かっていたボーダー隊員の迅 智一が越える。

 智一はトリオン兵の “弱点” である()に、刃を変幻自在に変えれる攻撃手用トリガー『スコーピオン』を突き刺し、切り裂いた。

 

 

「迅、現着。敵勢 一体の沈黙を確認。残りの敵の排除に向かう」

 

 力無く、崩れるように伏せたモールモッドの前に着地した智一が耳に手を当て、本部へ連絡を入れる。

 

「――キミ、名前は?」

「え……三雲、修、です」

 

 報告を終えた智一は三雲たちの方へ振り向き、三雲に名前を訪ねると

 

「到着が遅くなりました。これから残りの近界民を排除に向かいます。皆さんは彼、三雲くんの誘導で避難してください――三雲くん、お願いします」

「あ、はい!」

 

 到着の遅れの謝罪をした智一は、三雲に指示を出してトリオン兵の排除に向かった。

 

 

 

 

 

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「珍しいな。智一がトリオン体のままで報告にくるだなんて……どうした?」

 

 バレてらぁ……はぁ……

 

 

 本部長の忍田さんに、イレギュラー門の報告にきたのだが……トリオン体なのがバレた。

 

 ……バレバレか。

 

「……今、トリガー解除(オフ)っちゃったら盛大にゲロっちゃうんで。カンベンしてください。いやホント。わりとマジで」

「三門第三中学校で何があった……?」

 

 いやー……コレ……言っていいのかな?

 

「う~ん……兄さんから連絡ないから、言っても問題ない……のかなぁ……」

 

 ダメなら連絡よこすよね? 大丈夫だよね? 忍田さんだし……

 

「……学校に近界民が居たんですよ」

「? 門が開いたからな」

 

「いやいや……()()()()()()()()()、だよ」

 

「!」

「久々に、エッグい()()だったわ……あれ、トリオン体じゃなかったら その場で盛大にリバースしてたね」

 

 近界民が居るなんて、思わないじゃん。

 

「心の準備、なしで視ちゃったもんだから、生身に戻ったらヤバいかも……」

 

 トリオン体の胸元を撫でる。

 ヤバい、ヤバい……思い出したら吐き気ぶり返してきた。

 トリオン体だから吐かないけど、こりゃあ 解除(オフ)った瞬間にリバースしちゃうわ……

 玉狛(ウチ)に戻ったら即、洗面所だな……

 

「本当に、()()()()()()……なのか?」

「あららら……忍田さん、疑っちゃう? 俺のサイドエフェクト――()()()()()()んだよ?」

 

 

 『サイドエフェクト』――

 

 トリオン能力が優れた者に稀に あらわれる “副作用” ―― “サイドエフェクト” と、云うらしい。

 (旧)ボーダーに入った頃、教えてもらった。

 

 兄のサイドエフェクトは、様々な可能性の “未来が視える”『未来視』。

 そんな兄とは真逆の、変えることの出来ない “過去を視る”『過去視』が俺のサイドエフェクトだ。

 

 超能力みたいなもの? と訊ねたら、人間の持つ能力の延長線上のモノで「空を飛んだり、火を吹いたりは出来ない」と言われた。

 幼いながらに(それは、超能力ではないと思うんですが?)と思ったものだ。――魔法かな?

 

 俺的にはサイコキネス的なのモノ? って訊いたつもりだったんだけど……訊き方が悪かったかな?

 

 

 『耳が すごく良い』とか『目が すごく良い』とかって云う例を出されたが、どっちも すっごく脳に負担がありそうだ。

 

 兄も多分、そうなんだと思うけど。俺のサイドエフェクトも頭に負担が かかるヤツだと思う。

 ちょっと……数秒ぐらい視ちゃった時は そうでもないけど、分単位で視ちゃうと頭が痛くなる。多分、情報を処理するために脳がフル回転しているから、なんだと思うけど……

 だから、なるべく人を視ないように、ガン見しないようにしている。

 

 うっかり、がっつり過去が視えちゃうから……

 

 おかげで気配察知できるようになったけどね。

 

 

 閑話休題。

 

 

 情報処理に頭痛、吐き気。ごく稀に視えるR-18Gな過去に吐き気、嘔吐――サイドエフェクトによる副作用。幼少期の癇癪はコレだった。

 

 遠征や、今回の近界民の場合、後者が強く出る。

 近界民の過去映像は、ほぼほぼR-18Gになる……戦争の弊害だね。

 

 

「風景が()()()じゃないみたいだし、あっちこっち移動してる。それに、トリオン兵もバラエティー豊かだしねー ――トリガー普通に使ってるから、向こうの人でしょ」

「…………」

 

 視えた過去について話すと、忍田さんが何やら考え込んじゃったな……

 

「あー……あと、城戸さんたちには()()言わない方がいいかな?」

「まだ……?」

「うん。その子……知り合いに会うために、こっちに来たっぽいんだよね」

「知り合い? それは――」

「“肝心の、大事な部分が聞こえない” ってのが、俺のサイドエフェクトの悪いとこ……

『……友人の居るニホンに行ってみては』ってのが聞こえたから、多分、父親の知り合いに会いに来たんだと思う」

「――その近界民に、害意は無いんだな?」

「無い無い。あったら、わざわざ学校に通わないでしょ……俺だったら、暴れてるね! それに、今回トリガー使っちゃったC級の子と仲良いみたいで、何かと木虎から庇ってたし」

「そうか……」

「多分、城戸さんたちにバラす時は、兄さんが なんとかすると思う」

 

 今、城戸さんたちが知ったらヤバい未来が待ってる気がする……

 

「わかった。取り敢えず お前は、玉狛に戻って安静にしてなさい――学校の方へは、こちらから連絡を入れておくから……」

「了解でーす。あ、C級の子のことなんだけど――――」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 ガチャ、バタンという戸の開け閉めの音。

 

「? 迅でも帰ってきたのかしら?」

 

 玉狛支部にいたのは『玉狛第一』の攻撃手、すぐに騙されちゃう女子高校生『小南(こなみ) 桐絵(きりえ)』だ。

 

 小南が廊下に出ると、一時間ぐらい前に学校に向かったはずの迅 智一が顔を青くし、玄関を慌てて上がるところだった。

 

「智一じゃない! アンタどうしたのよ!? さっき学校に行ったばっかでしょ?!」

「ちょ、ごめ……むり」

 

 小南の質問に答えず、真っ直ぐに洗面所に智一は向かっていった。

 

「……何があったのよ……」

 

(さっきのイレギュラー門が原因? それとも学校で何かあった?)

 

 智一を見送りながら小南は独りごちた。

 

 

 

 

 

 

 

「小南~、トモ帰ってる~?」

「智一なら洗面所に籠城してるわよ」

 

 智一が洗面所に消えて数分後、兄の迅 悠一が玉狛に帰宅した。

 

「何があったのよ。智一のやつ、顔 真っ青だったんだけど」

 

 洗い物をしながら、智一が洗面所から出てくるのを待っていた小南だが、いっこうに出てくる気配がない。

 こんな時に限って、ボスもレイジも(頼れる大人が)不在で、どうしたものか……と悩んでいた。

 そこに智一の兄の帰還だ。

 

 普段、ふらふら していて頼りなさげだが、やる時は やる男――いないより、マシである。

 

 そんな迅に丸投げしようと思っていた小南だが、智一とは七年の付き合いになる。

 

 昔は よく(近界民関連で)ゲロっていたが、最近は無くなっていた。それが、ここ最近みなくなった青ざめた顔で帰ってきて、洗面所に籠城だ。

 二つ下の弟のような智一のことを心配しない訳がない。

 

「んー……中学校に開いた門が原因ちゃー原因なんだけど……本人に訊いてみないと なんとも……」

「もう! 役に立たないわねっ」

 

 未来が まだ確定していないため、迂闊に空閑 遊真(近界民)のことが口に出来ない。

 智一が視た内容は、本人に訊かなくては分からないのも事実だ。

 だから迅は、ふわっとしたことしか小南に説明出来なかった。

 

(昔のことを思い出せば、あいつが吐くのは近界民関連しかないって気付くハズなんだけどね~……)

 

 

 

 

「生きてるか~?」

 

 コンコンと洗面所の戸をノックする。

 

「……」

 

 返事がない。

 

「へんじ がない。ただの しかばね のようだ……」

「――って、返せるなら余裕だな」

 

 開けるぞ~と、迅が洗面所の戸を開けると、顔を白くした智一が力無く洗面台に手をついていた。

 

「ちょ! おま、大丈夫か!? 顔、真っ白なんだけど!」

「……これが、大丈夫に、見えるなら……その目……ぉぇ」

「無理しなーい、無理しなーい」

「……おまゆー? ぅぇー……」

 

(こんな真っ白な顔 見るの、いつぶりだろ……)

 

 迅は、第何波めかの吐き気に襲われる智一の背中を擦る。

 「無理するな」と言えば「お前が、それ言うの?」と智一が返すのため、迅は何も言えなくなる。

 

 

「こりゃ、相当だねぇ……」

「近界民、まじ、戦争、弊害……」

 

 とうとう、単語での返事になってしまった。

 

 

「……落ち着いた?」

「はぁ……ぁ゛ー……なんとか?」

 

 口を(ゆす)ぐ智一に迅が声をかけると、智一は水を一口飲んで、鳩尾(みぞおち)の辺りを撫でながら返事をするが、声が ちょっと掠れてる。

 

「この後、どうする? 何か食べる?」

「んー……あー……多分、また吐いちゃうかもだから、横になってる」

「ん、わかった。小南にも そう言っておこうか。……あぁ、そうだ。おれ、この後 本部に行くんだけど、何か食べたい物とかある? 買ってくるけど……ゼリーとかプリンとか」

「サッパリしたのが 良い(いー)……」

「さっぱりしたやつ、ね」

「……炭酸、飲みたい」

「炭酸かー……無難にサイダーかなぁ……飲むか飲まないかは、その時の体調次第だけど」

「うん、わかってる……」

 

 迅と智一は洗面所を出て、会話をしながら小南の居るリビングへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

「小南~」

 

 智一は、ひょこっとリビングの出入口から顔を出し、中を覗く。

 

「さっきは ごめんねー。緊急事態だったからさ……」

 

 目当ての小南が居たため、そちらに向かいながら謝罪をした。

 

「いいわよ。あんな顔のアンタ引き止めた、こっちが悪いもの……それより、もう大丈夫なの?」

「まあまあ? ……しばらく部屋で横になってる」

「そうね……さっきよりマシにはなってるけど……大人しくしてる方が良さそうよね」

 

 小南は、顔に手を当てながら智一の顔を見る。

 帰ってきた当初に比べれば、マシな顔付きになっていた。若干白いが。

 喋るのも億劫ではないようだ。

 

「ん。じゃあ二人とも、また後で……」

 

 そう言って、智一は二階へと上がっていった。

 

 

 

 

 

「……何か作っとく?」

 

 智一を見送った小南が迅に訊く。

 

「いや~……夜まで多分、ぐっすり だろうから作らなくていいよ。それに、“また吐いちゃうかも” って言ってた」

「そう……なら、しばらくは お腹に優しい物がいいかしら? ――3日ぐらいダメでしょ、あいつ」

「まぁ、久々だったしねー……ご飯は体調みて、かな。おれ、これから本部に行くから、帰りに何か買ってくるよ」

「わかったわ」

 

 小南との話を終えた迅は、玉狛支部を後にし、ボーダー本部へと向かった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ん? うわ、真っ暗……」

 

 体調不良により横になっていた智一だが、うとうとしてるうちに寝てしまったようで、目を覚ますと すっかり日が暮れ、部屋が真っ暗になっていた。

 

 

「あ、起きた?」

「……兄さん?」

 

 智一が寝ているベッドの傍から声がした。

 暗いので、智一にはシルエットにしか見えないが、声は迅のものだ。

 

「体調は、どう?」

「んー……まあ、昼よりかは楽になったかな?」

「そりゃ良かった」

 

 ガタッという音。迅がベッドの近くに椅子を持ってきて座ったようだ。

 

「……何時?」

「もうちょいで9時になるよ」

「うわ、がっつり寝てる!」

 

 二時頃に横になって、目が覚めたのが九時前……一日の四分の一を寝ていたという事実に、智一は頭を抱えたくなった。

 

「まあ、仕方ないでしょ。がっつりキツい()()()()()なんて、久しぶりだったんだし」

「……まあ、ね……」

「体も頭も、寝なきゃ回復しないよ」

「兄さん……それ、ブーメランになってるって、気付いてる?」

「……」

 

 智一には部屋が暗くて見えていないが、迅が無言で目を反らしたことは気配で察した。

 

「そうだ、何か食べる? それとも このまま、また寝る?」

「……お風呂入って寝るよ」

 

 あからさまな話題転換に無言になりそうだった智一だが、なんとか返事を返した。

 

「あ! そうだ、C級の……三雲、のことだけど」

 

 智一は体を起こし、ベッドから足を出しながら昼間、ボーダー本部で本部長の忍田に言ったことを思い出した。

 

(……みくも?)

 

「あぁ、メガネくんね。“メガネくんが お前の指示でトリガー使った” って、忍田さんや嵐山の報告で そうなってたよ」

 

 一瞬(三雲って誰だっけ?)となった迅だが、メガネくんがそう(三雲)だったと気付いた。

 智一も一瞬、名前が出てこなかったので、迅に対して何も言えない。

 

「昼、言おうと思ってたんだけど忘れてた――誤魔化せてないだろ……」

「まあ、けど、メガネくんの処分は保留にしてもらったから、大丈夫」

「……なら、いいけど」

「着替え、後で持ってくから お風呂で ゆっくりしておいで」

「……はーい」

 

 迅は、智一の手を引いて立たせると二人で部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きは、イルガーの爆撃により焼却されました。




 オッサムと玉狛のところを三人称にしてみたんだけど…………いや、これ、三人称になってる?

 三人称って、やっぱ難しい……(´∀`;)

◇◆◇

 ふと「迅さんの弟で話、書きたいな~」と。「真逆のSE持ちって面白いかもw」で、今回の話が出来ました。

 『過去視』のSEは、別キャラで考えてたんですけどね。“太刀川さんの一コ下の幼馴染み” 設定で。
 『弟』と『幼馴染み』では、過去の視え方が違ってたりします。

 幼馴染みの方も書きたいな(書くとも、いつ投稿するとも言っていない)

◇◆◇

 名前、悩んだ。
 ユウかイチの字を付けたかったんだ……でも、浮かばなくって……
 だから「イメージボイス決めるか~」って。だって、迅さんと中の人はファーストネームが同じじゃん? だったら声優さんの下の名前にしよう!兄弟(設定)だしね!ってw
(一の字が付いてたw)



◆PROFILE◆
(じん) 智一(ともかず)

◇ポジション:アタッカー
◇年齢:15歳 ◇誕生日:8月23日
◇身長:163㎝ ◇血液型:O型
◇星座:おおかみ座 ◇職業:中学生
◇好きなもの:和菓子、ほうじ茶、ぼんち揚
◇家族構成:母、兄

◇トリオン:9 ◇攻撃:13
◇防御・援護:7 ◇機動:9
◇技術:9 ◇射程:2
◇指揮:4 ◇特殊戦術:2
◇トータル:55

◇サイドエフェクト:過去視

◇主/弧月、シールド、旋空、メテオラ
◇副/スコーピオン、シールド、グラスホッパー、バッグワーム

◇RELATION◇
 →迅悠一(実兄、ほっとけない)
 →城戸正宗(師匠、今は ちょっと怖い……けど尊敬してる)
 →東、風間、木崎、忍田(尊敬)
 →生駒、影浦、小南、太刀川(戦ってて楽しい、面白い対戦相手)
 →嵐山、柿崎(頼りになる お兄さん)
※五十音順
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇玉狛支部所属のA級ソロ隊員。
玉狛支部に住んでる。

◇迅 悠一の四つ下の弟で、三門市第三中学校に通う、中学三年生。

◇三雲 修、空閑遊真とはクラスが違う。

◇変えることの出来ない “過去が視える” サイドエフェクト『過去視(かこみ)』を持つ。

◇黒髪に青い目。
視界に人が入らないようにするため、小学生の頃は前髪を伸ばしていた。

◇髪型は兄弟だからか似ているが、顔は兄の悠一よりも、その友人である嵐山 准に似ている。

◇声が “某英雄王”

◇転生者。前世は、“まあまあ大人” だったらしい。記憶は朧気……?
原作知識は無さそう、だが……




※城戸さんが剣の師匠。
 城戸さん、強いと思うんだ(と云う願望w)
 たまに相手してくれるよ!(弧月振り回して欲しいんだ……w)

※三門市第三中学校にしたのは、嵐山弟妹がいるから……「ってことは、嵐山さんも第三中出身か!?」「ザキさんと迅さんも(第三中出身の)可能性あるな?!」ってことで、第三中になりましたw
(どこ中出身とか書いてたかな……)
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