がんばれ駿川君2号   作:深夜に食べるラーメンの味

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チャンミ育成がうまくいかないのでカッとなって書いた。


がんばれ駿川君2号

〇月〇日

 

トレーナーたるもの毎日日誌を書くべし。

その日のおもいを赤裸々につづるべし。

必ずすべし。

そう姉に念入りに厳命されたので、本日から日誌を書く。

とりあえずは、自分のことから。

 

トレーナー生活初日。

2号と呼ばれている。

影が薄いから。

以上。

 

 

〇月〇日

 

恥ずかしながらこの年になって初めて一人暮らしを経験することになり、右も左もわからない。

今日もとにかくペンをとる。

つい数か月前まで資格試験のために実家で猛勉強していたんだよなあ、と柄にもなく思う。

1時間に1度は必ず所在地を送るように、とこれも厳命されているため姉のアドレスへメッセージを。

簡潔に、トレーナー室にいる、とだけ。

あれこれ書いて、ホームシックになったのかと笑われるのはさすがに恥ずかしい。

即返信が届く。

さすが学園内の庶務等を一手に引き受ける理事長の右腕と称されるだけある。

 

 

〇月〇日

 

 

トレーナーバッジを掲げて数日、トレーナー室を掃除したらもうやることが無くなってしまった。

新米トレーナーなどこんなものである。正確に言うなら、新米サブトレーナーであるが。

で、あった、が・・・。

サブトレーナーでしかない自分が一室を構えているのは異例中の異例だ。

本来であれば、御高名であるというメイントレーナー殿の下で数年学び、そのまま独り立ちするという流れのはずだった。

ところが自分の就任寸前でメイントレーナー殿がなにやら重病となられ、復帰の目途がつかず、ご破算となってしまった。

もうすぐ繁忙期に入る学園で、一室を構えるほどのチームトレーナーの座を空席にしておくこともできず、こうして臨時で自分が就いたわけだ。

コネ入社の名ばかりなのは誰の目からみても明らかで、元から所属していたウマ娘たちも自分がくる前に離れていってしまったという。

泣いても笑っても、何の実績も経験も無い自分が何かしなければ、どうにもならない状況になってしまった。

 

 

〇月〇日

 

このまま都落ちかな、と思わなくもない。

実際そういうケースも多いのだ。

中央のトレーナー資格を取ったとしても、そのまま中央トレセンでトレーナーになれるかと言ったらそんなわけはない。

資格をもっていることは前提中の前提にすぎない。

その後、面接試験を経て、さらにはいくらかの実地試験もして、そうして合格通知を受けやっと中央に席が置かれることになる。

問題はまだあり、わが国の中央ウマ娘育成機関である中央トレセン学園は自由な校風がウリ、であるということ。

もちろん、それはトレーナーにも適応される。

よく言えば自由、悪く言えば放流。

自由にやれと言われ投げ出されるのである。

右も左もわからぬ新人がトレセン学園に放り出されて呆気にとられ、仕事を得られず、人事評価が揮わずそのまま自主退職に。

というのはよく聞くこと。

そうして元中央トレセンのトレーナー、という紙の勲章をもって地方に流れていくわけだ。

トレーナーを得られなかったウマ娘たちが地方に、というのと同じである。

 

 

〇月〇日

 

頭を抱えているのはもうやめだ。

駆けるウマ娘に夢があるように、トレーナーにも夢がある。

G1ウマ娘を育てる。誰よりも早いウマ娘になるよう鍛える。自分の実績のために。ライブが綺麗だから。富と名誉・・・など。

もちろん、自分にもある。

夢がある。

このバッジを掲げた以上は、夢がある。

ウマ娘と共に夢をみる、という夢が。

 

姉の七光りでこの場にいる自分だが。トレーナーの何たるかもわからない自分だが。

こんな自分にもついてきてくれるという子がいるのなら。

その子にすべてを捧げてもいい。そうとさえ思える。

いや、必ずそうする。自分の何もかもを投げうってさえも、まだ見ぬ彼女に尽くす。

こんなに長々と書きつづってしまうのやはりも不安だからだ。という自己分析。

 

決めた。

明日から、すぐにこれはと思ったウマ娘に声をかける。

一緒に夢をみようと言う。

誰も手をとってくれないかもしれない。

でももし、こんな自分についてきてくれると言ってくれる子がいたら・・・。

輝く未来を君と見たいから。

そう言おう。

 

未だ見ぬ君を信じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇月〇日

 

 

 

ゴールドシップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇月〇日

 

すげーヒマそうなヤツがいるなって思ったとか言われた。

ヒマじゃないが?

ないですが?

 

 

〇月〇日

 

ゴールドシップ

 

 

〇月〇日

 

アタシと出会えてアンタの人生、面白くなっただろ?

とのこと。

100年後もヒマだろとか言うのはやめろ。

その言葉はオレに効く。

 

 

〇月〇日

 

ゴールドシップの行動を記す。

 

考えている。

匂いをかいでいる。

同意している。

叩いている。

蹴っている。

考えている。

意見を求めている。

すごくうれしがっている。

 

新たなトレーナー室が完成した。

何が、いったい何が起きた・・・?

 

 

〇月〇日

 

 

新トレーナールームでは、天井吊り下げ型のモニタがまず目につく。

メンテナンスユーティリティーのドクターYという・・・ニュースでやっていたスマート家電だろうか?

AIが搭載された赤いモニタと、巨大なブチ猫のオブジェクト。

中には、人生ゲームのルーレットのような・・・青紫色をした巨大な物体が鎮座している。

 

ドクターYがやる気と空腹を回復してくれると語り掛けてくる。

ゴールドシップいわく、それやる気と空腹を回復してくれるとのこと。

だからそれはどういう意味だってんだ。

オレのやる気を上げてどうすんだ。

試しに好きにさせたところ、謎の怪光線を当てられ、空腹が回復した。

空腹が回復した。

 

怖い。

 

 

〇月〇日

 

耳をふさいで誰だとかしてくるのをやめろ。

人間かどうか確かめたとか何なんだ。

日誌をみるな勝手に書き込もうとするのもやめろ。

トレーナーの義務だから。

これも大事な仕事だから。

定期的に提出しなきゃいけないやつだから。

 

えっ、そんなの業務規程にないって?

なんでお前が知ってるの・・・適当言うんじゃありません。

姉さんがめちゃめちゃ念押ししてきたんだから、やらなきゃいけないことに決まってるじゃん。

 

 

 

〇月〇日

 

 

ゴルシ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇月〇日

 

 

ウェ~~~~イ!ねーちゃん見てる~~~~?

今からあんたの大事な弟くんと一緒に夜のトレーニングしちゃいま~~~~す!

もうあんたの弟くんは帰ってきませ~~~~ん!

今後はちゃんとトレーナー扱いしてやるんだな。

 

一緒に運動していい汗かいたトレピッピは~~~~今アタシの横で寝てま~~~~す!

げへへへ最高だったぜぇ、アンタの育てた男。

ピスピーーーーーーーースwwwwwwっうぇwwwwww

 

 

〇月〇日

 

 

覚えていること。

 

轟音。

はじけ飛ぶ扉。

緑色の風。

 

うっ頭が。

 

 

〇月〇日

 

先日ゴルシと一緒にトレーニングして気付いたことがある。

まず、自分にトレーナーとしての才能がないこと。

 

ゴルシはあれで優しいから最後まで付き合ってくれたが、こっちの方が疲労困憊になり倒れてしまった。

甘く見ていたという他ない。

ウマ娘の運動量についていくために声を上げ、移動先に先回りして指示を出し・・・これを続けていただけで体力がごっそりとなくなった。

自信を持てとゴルシは言ってくれたが、自分の考えたトレーニング方法より、ゴルシ自身に任せたほうがいいのかもしれない。

 

必死になって考えたトレーニングメニューだったが、正直なところ、教科書通りでしかなかったようだ。

人間ならともかく、といったものであった。

マニュアルをそのままトレーニングに持ち込もうなど、発想のレベルで劣っていたのだ。

人間と同じ手足があり、体つきもまったく同一、なら効果的なメニューは・・・と、その考え自体が間違っていた。

ウマ娘と人間は似て非なるという大前提を、真なる意味で理解していなかった。

 

ゴルシの言うこっちのほーがいいんじゃねえの、という言葉を受け試しに自主練を任せてみたら、自分がどれだけ思い上がっていたかを知った。

カワラ割りだとか将棋だとかが何の意味があるのかと思ったが、自分が愚かだった。

その後の心拍数や乳酸値などをみるに、ぐうの音も出ぬ圧倒的効果である。

 

ゴルシはトレーナーよりもトレーナーだった。

大口を叩いておいてこの体たらく。ゴルシに申し訳ない。

メイクデビュー前であり時間的余裕がかなりあることと、ゴルシがなぜか非常に高度なトレーニング知識を備えていたことから、しばらく自主トレーニングしてもらうことになった。

 

自分の方が基礎からやり直さねば・・・。

 

 

〇月〇日

 

基礎の基礎からやり直すことを決めた。

しかし、基礎の基礎とは何だろうか。

恥を忍んでゴルシに聞く。

そりゃおめー、とゴルシが、そんなことも知らないのかとあきれたように答えたのが印象的だった。

ゴルシが続けたのは、的を射た答えだった。

 

トレーニング、すなわち体つくり。

体つくりの基礎とは、食べることから始まる。

食事とはウマ娘にとって最重要かつ最も基礎的な体つくりだ。

 

つまり、トレーニングの基礎とは食事メニューの徹底であることは言うまでもない。

故に、トレーナーの基礎とは、食に通ず。

 

つまり、最高のニンジン・・・野菜を作ることが、トレーナーとしての基礎かつ至高だということだ。

そのために自分は何をすべきか。

なるほど真理である。

理事長が趣味でやっている活動は正しかった。

本当に頭が下がる思いである。

 

今後自分と同じく迷えるサブトレーナーに、トレーナーって何からするの? と聞かれたら、こう答えよう。

 

畑から。

 

 

〇月〇日

 

実験畑ということで、理事長が行っているものと同程度の敷地を融通して頂いた。

土まで融通して頂いて有難い限り。

タネの方はといえば、ゴルシに購入してきてもらうことにした。

野菜を育てるなども初めての自分のために、初心者でも簡単なものにしてくれたらしい。

ゴルシから手渡されたのは、二袋のタネ。

 

シマ模様が描かれたイモのタネ。

星のマークが書かれたカブのタネ。

超速成かつ年中収穫可と書かれている。

 

属性・・・重さと大きさ・・・?

農作業は本当に無知なためよくわからない。

 

今日からもう一度始めよう。

本当の意味で、トレーナーになろうという気持ちになれたかもしれない。

 

 

〇月〇日

 

農林ゴルシちゃん1号。

オレは2号だから1号・・・釈然としない。

正式名称はPiT、ピットあるいはピートだとか。

ゴルシちゃん1号ではなく、ピート君と呼ぶことにする。

 

農業の世界にもスマート家電・・・スマート農機具?が広がってきているんだなあ。

 

 

〇月〇日

 

どうやら日本のイモとは違い、地表に成る種のイモであるらしい。

日に日に大きくなっていくイモを見ると、胸が高鳴ってくる。

おおよそ3日で成熟するらしい。なるほど超速成だ。

大人が一抱えするほどの大きさになるそうだ。

 

ということは明日が収穫日となる。

すでにかなりの大きさになっている。

うっすらと見えるシマ模様が美しい。

シマイモとはこのシマを指して名付けられた和名だろうか。

 

明日が待ち遠しい。

 

 

〇月〇日

 

二足歩行の・・・なんだあれは?

知っているのかゴルシ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇月〇日

 

 

バブぅううううううううっああああああああああああ

うああっうああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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