今回の話を含めてサトシのポケモンたちとポケスペの図鑑所有者の出会いを中心とした話がしばらく続きます。
「ねぇタケシ、サトシがマサラタウンに帰ってきるってホントなの?」
「ああ、本当だぞ。昨日サトシから電話がかかってきてな。しばらくの間はマサラタウンにいるらしいぞ」
「全く!帰ってるんならタケシだけじゃなくて私たちにも連絡の1つぐらいよこしなさいよね!!」
そんなことを話しながらトキワの森を歩いているのはかつてサトシと共に旅をした仲間であるハナダジムジムリーダーのカスミと元ニビジムジムリーダーにして今はポケモンドクターを目指して勉強中のタケシ。
二人は久しぶりにサトシに会うためにマサラタウンへと向かっているのだった。
「そういえばハルカやヒカリたちも向かってるんだっけ?」
「ああ、他にもサトシがイッシュやカロス、アローラで一緒に旅した人たちも来るらしいぞ」
「イッシュとカロスの方は会ったことはないけどアローラってことはスイレン達のことよね。懐かしいわね~」
タケシとカスミは話しながら久しぶりに会うかつてサトシと旅をした仲間たちや初めて会うサトシの旅仲間との出会いを楽しみにしていた。
「そういえば最近、ポケモンの強奪や盗難の事件が多数あるらしいぞ。一部のジムでも被害があったそうだがハナダジムの方は大丈夫なのか?」
「今のところ大丈夫よ。けれど・・・なーんかサトシが巻き込まれてそうなのよね」
「確かにな・・・」
カスミとタケシは、ここ最近起こっている事件の中にかつてサトシと共に旅をして伝説や幻のポケモンとトラブルのあった場所を中心に発生しているためにカスミとタケシはサトシがこの事件に巻き込まれているのではないのかと考えしまい、互いに顔を引き攣らせてしまうのだった。
◆◆◆
マサラタウン、真っ白と言われている事も手伝って、マサラタウンと呼ばれる。
そこの有名なポケモントレーナー。名をレッドと言う。
レッドは普段はシロガネ山で修行をしているのだが、今日はオーキド博士に呼ばれて久しぶりに故郷であるマサラタウンへと帰ってきていた。
今は手持ちであるピカチュウのピカ、フシギバナのフッシー、ニョロボンのニョロ、カビゴンのゴン、ギャラドスのギャラ、プテラのプテ、エーフィのブイと戯れながらオーキド研究所へと向かっていた。
「ピカ?」
何かに気づいたのかピカは耳をピクピクと反応させると他のポケモンたちも何か気がついたのか周囲をキョロキョロと見渡す。そして何か見つけたのかピカを筆頭にレッドのポケモンたちは近くの森へと入っていく。
「どうしたんだ?みんな?」
レッドは突然のポケモンたちの行動に疑問を持ちながらもピカたちを追って森の中へと入っていく。しばらくの間森の中を歩いているとコツンと足に何かが当たった。レッドは当たった物を確認するとそれはモンスターボールだった。
「モンスターボール?どうしてこんなところに・・・」
レッドは不思議に思いながらボールを拾う。落ちていたボールは全部で6つありどれも傷ついていた。
「チャー!」
「なっ」
ピカの声を聞いたレッドは声の聞こえた場所へと向かう。そこにはレッドのポケモンと傷だらけで倒れているポケモンたちがいた。
「おい!大丈夫か?」
レッドは近くにいたピカチュウを抱えあげながら声をかけるが、気絶しているためか反応はなかった。レッドは慌てながら他のポケモンたちを見回す。そこにはピカチュウの他にフシギダネ、エーフィ、バシャーモ、そして見たことの無い鋼のような鎧をした鳥ポケモン、百足のような毒々しい色をした巨大な虫ポケモン、オレンジ色の毛並みをした狼のポケモンがいた。
「コイツらは一体・・・」
レッドは図鑑を取り出すと初めて見るポケモンたちを調べようと図鑑を掲げるが、なんの反応もなかった。
「図鑑に反応がない。ってことは俺の知らない地方のポケモンか」
レッドはその事を確認するとピカチュウを抱き上げ、先程拾ってきたモンスターボールを倒れているポケモンたちに当てるとポケモンたちはモンスターボールの中へと入っていった。どうやらこのポケモンたちはトレーナーのポケモンたちのようだ。
「とりあえず、コイツらを治療しないとな」
レッドは空を飛べるプテ以外を一度ボールに戻すとピカチュウを抱えながらプテに掴まれながらオーキド研究所へと向かうのだった。
◆◆◆
「───ああ、わかった。用事を終えたらすぐにそちらに向かう。では失礼する」
トキワシティにあるトキワジムの入口にてトキワジムジムリーダーのグリーンはポケモン協会からの電話に対してそう答えて電話を切ると、グリーンの祖父であるオーキド博士から呼び出しを貰ったのでマサラタウンへと向かおうとしていた。
「頼むぞリザードン」
グリーンはそう言ってリザードンに乗ろうとしたが、リザードンは何かに反応したのかじっと目の前の茂みを見ていた。グリーンはリザードンの様子がおかしいのに気づき声をかけようとしたが、その前にリザードンが見ていた茂みがガサガサと動きそこから傷だらけのゼニガメとブラッキーがヨロヨロと現れるとそのまま地面に倒れた。
「これは・・・」
グリーンは傷だらけのゼニガメとブラッキーに驚きつつも近くに移動すると茂みの奥には他にも同じように傷だらけのメタグロスやゲンガー、そして見たことの無い二体のポケモンがいた。そしてそのポケモンたちの近くには6つのモンスターボールがあった。
「こいつらは・・・見たところトレーナーの手持ちだな。しかもかなりよく育てられている」
なつき進化のブラッキーがいることから予想はできていたが、モンスターボールを確認したことでそれは確信に変わった。そして『育てる者』であるグリーンの目からしてもこのポケモンたちはかなり育てられていることが分かっていた。
グリーンは落ちているボールの中から1つ取って見るが、長年使ったことによって使い古されただけでない傷だらけのボールに何か思うが、まずはポケモンたちの治療をしようと傷ついたポケモンたちをボールに戻してジムへと戻ろうとする。が、
「あ、ちょうどいい所にいたわねグリーン」
「ブルーか、何の用だ」
ジムに戻る前にグリーンに声をかけてきたのは同じカントーの図鑑所有者であるブルーだった。
「実はトキワの森を飛んでいる時に傷ついているポケモンたちの姿があったのよ。それで確認するために降りたら傷だらけのそのポケモンたちモンスターボールが落ちてたから一応ボールに入れたんだけど治療するためにジムの治療施設を使ってもいいかしら?」
ブルーはそう言いながら5つのモンスターボールとスピードボールを取り出した。ボールの中にいるのはカビゴン、オニゴーリ、オンバーン、グライオン、ハッサムだった。
カビゴンはカントーでも珍しいポケモンであり、他のポケモンたちも他の地方に生息しているポケモンだった。
「お前もか」
「お前『も』ってことはグリーンもなの?」
「ああ、さっき俺も傷だらけで倒れていたトレーナーのポケモンを保護したところでこれから治療するところだ」
「そうだったのね」
グリーンの言葉に納得したブルーはそのままグリーンと共にジムの中にある医療システムに傷だらけのポケモンたちのボールをセットする。
「それにしてもこの子たちのトレーナーはどうしたのかしらね?」
「さぁな。だがポケモンとボールの傷から見ても何かあったに違いない」
「そうね」
グリーンとブルーが現在治療中のポケモンたちに目を向けながらそんな事を話していた。
◆◆◆
「久しぶりにオーキド研究所に行くねチュチュ」
マサラタウンに続く森を歩いている麦わら帽子を被っている少女、イエローはパートナーであるピカチュウのチュチュを抱えながら楽しそうに歩いていた。
「チュ?」
そろそろマサラタウンに着く頃だとイエローが思っていると、突然チュチュが何かに気づいたのかイエローの腕から抜け出すと森の中へと走り出した。
「チュチュ、どうしたの?」
イエローはいきなり走り出したチュチュの後を追いかける。しばらくの間森の中を歩くと開けた場所に辿り着き、そこには傷つき倒れているリザードン、ヘラクロス、クチート、シザリガー。がいた。その傍にはチュチュとそのポケモンたちのと思わしき傷ついたモンスターボールが4個転がっていた。
「大変だ!急いで治療しなきゃ!!」
イエローは傷ついたポケモンたちの横に座ると手をかざしてイエローの力の一つであるトキワの森の力を使ってポケモンたちの傷を癒していく。
そして全員の傷を癒すとポケモンたちは目を覚まし治してくれたイエローに礼をした。イエローは困惑しながらもそのお礼を受け止めるがこのポケモンたちをどうすればいいかと悩んでいた。
「ボールがあるって事はトレーナーのポケモンだよね。でもどうすればいいかな・・・」
もしかしたら近くにトレーナーがいるのではないかとイエローは思うが流石にこのままこの場にポケモンたちを放置するのは危険だと分かっているのでどうしようかと悩んでしまう。
「とりあえずオーキド博士の所に連れていった方がいいかな?もしかしたら何か知ってるかもしれないしね」
イエローがそう呟くとオーキド博士の名前に反応してリザードンたちが顔を見合せたがイエローはそれに気づいていなかった。そしてイエローはリザードンたちを1度ボールに戻すとマサラタウンのオーキド研究所へと向かった。
カントー地方、そこの有名なトレーナーであると同時に図鑑所有者として幾つもの騒動に巻き込まれた経験のあるレッド、グリーン、ブルー、そしてイエロー。彼らが見つけたポケモン達。その出会いは一つの物語の始まりに過ぎなかった。 そして、それはカントー地方だけではなかった。
あとがき
今回はポケスペメンバーであるカントーの図鑑所有者であるレッドたちとサトシのポケモンたちの出会いです。しばらくは地方ごとに図鑑所有者とサトシのポケモンたちの出会いの話を書き、それが終わってからストーリーを進めていこうと思っております。また、あとがきにてこの作品で登場したサトシがオリジナルでゲットしているポケモンたちの紹介を軽く行おうと思います。
ちなみにそれぞれ保護したポケモンは以下の通りです。
レッド:ピカチュウ、フシギダネ、エーフィ、バシャーモ、アーマーガア、ペンドラー、ルガルガン(黄昏の姿)
グリーン:ゼニガメ、ブラッキー、メタグロス、ゲンガー、ガマゲロゲ、ムンナ
ブルー:カビゴン、オニゴーリ、オンバーン、グライオン、ハッサム
イエロー:リザードン、ヘラクロス、クチート、シザリガー
サトシオリジナルゲットポケモン設定
・エーフィ♀
特性マジックミラー
イーブイ兄妹の長女でサトシのフシギダネやジャローダたちと共にオーキド研究所でポケモンたちの世話をしている。元々はイーブイを売り捌く非合法な育て屋によって金持ちに売られそうになる所をサトシに助けられた。最初の頃はサトシ以外の人間を恐れていたが徐々に慣れてきて今ではサトシの知り合い相手なら普通に接することができるようになった。
・バシャーモ♂
特性加速
アチャモの頃にホウエン地方のトウカの森でトレーナーに弱いと言われて捨てられ野生のポケモンに襲われていたところをサトシに助けられた。捨てられたことで人間を信じることができず治療してくれたサトシに対して攻撃してしまう。しかし、攻撃されても自分を心配するサトシと自分を捨てたトレーナーに対して怒ってくれたサトシに対して心を開き自らゲットされた。その後、サトシのポケモンたちと特訓をして心身ともに鍛えられ、捨てたトレーナーと再会した時にバトルの最中にバシャーモへと進化した。ちなみにバトルに負けたあと、サトシのリザードンやエンブオーを捨てたトレーナーのように厚かましく戻ってこないかと言ってきたが、容赦なくブレイズキックを決めた。右腕にバシャーモナイトが埋め込まれた腕輪を装着している。
・ペンドラー
特性毒の棘
サトシがイッシュ地方を旅していた時にヒウンシティで出会ったフシデがペンドラーに進化した。サトシがゴウとリサーチフェローとしてヒウンシティに訪れた時に再開し、その時サトシの手持ちとなった。
・アーマーガア
特性ミラーアーマー
ガラル地方のアーマーガアタクシーとして将来働くことを目的とした育成所にいたココガラだったが、本人はバトルすることの方が好きだったために育成所を抜け出しては近くのトレーナーにバトルを仕掛けているために育成所の人々を困らせていた。そんなある日、リサーチフェローとして育成所の近くを通っていたサトシにバトルをしかけた。そのバトルでサトシに負けてしまい、その後ロケット団によるいつもの襲撃を受けた際にサトシと共にココガラは見事ロケット団を迎撃することが出来た。そのバトルを見ていたアーマーガアタクシー会社の社長がココガラをサトシに託し、ココガラはサトシのポケモンとなった。その後、特訓中にアオガラスへと進化し、WCSのマクワとのバトルでアーマーガアへと進化し、キョダイマックスの姿へとなってその試合を勝ち取った。
・ブラッキー♂
特性シンクロ
イーブイ兄妹の長男。イタズラ好きでよくサトシの水ポケモンや弟のサンダースと共にイタズラをしてフシギダネやエーフィに説教をくらってしまっている。加入歴はエーフィと一緒。
・メタグロス
特性クリアボディ
アローラ地方から帰ってきたサトシ宛にダイゴがアローラチャンピオン就任のお祝いとして送ったふたつのポケモンの卵の内の1つから孵ったダンバルが進化した。生まれたばかりだと言うのにサトシのリザードンやジュカインに対してバトルを仕掛けるなどズルッグを思い出すようなやんちゃっぷりを見てサトシや生まれたばかりのズルッグを知っているピカチュウやエンブオーたちは思わず笑ってしまった。ライバルのマサムネと再開した時のバトルにてメタングへと進化し、リサーチフェローとして活動していた時に崖から落下したサトシを助けるためにメタグロスへと進化した。
進化してからは落ち着きを見せるようになったが、生まれたばかりなのでサトシに甘えるしズルズキンやドンファンたち卵組とも仲良く遊んでいる姿がオーキド研究所でよく見られている。また、顔の中心のところにメタグロスナイトがついた飾りが装飾されている。
・ムンナ
特性シンクロ
リサーチフェローとしてイッシュ地方のムンナとムシャーナの出す煙、夢の煙の調査をするために迷いの森に来た時に出会い、気に入られてそのままゲットした。サトシの頭に乗るのが好きなので今のところ進化する気は無いようだ。
・ハッサム
特性テクニシャン
ゴウとコガネシティに訪れた際に参加した虫取り大会でゲットしたハッサム。サトシのジュカインとゲッコウガをライバル視しており、一緒に特訓をする姿がオーキド研究所内でよく見られる。一見クールに見えるが、過去にサトシのバタフリーのお嫁さんであるピンクちゃんに一目惚れして告白したことがあり、旦那がいるからと振られたショックでしばらくの間まともに技を出せなくなったが、サトシやサトシのポケモンたちの励ましのおかげでショックから立ち直っている。
・クチート
特性力ずく
石の洞窟で出会った個体。ロケット団が捕獲しようとしたが失敗して暴走させてしまったボスゴドラに踏み潰されそうになったところをサトシに助けられてサトシに惚れて騒動の後自らゲットされにいった。サトシに惚れているメガニウムを筆頭としたメスポケたちとはよく女子会をする位に仲がいい。