棘のない夏雄くんが想像し辛くて喋らせにくいです(悲)
「皆、今日はありがとう。色んな話が聞けて楽しかったわ。良ければこれからも焦凍と仲良くしてあげてね」
「私からもありがとう!お父さんも、お仕事頑張ってね!」
「焦凍!友達は大事にしろよ!」
片付けも終え、少しばかり談笑したのちに轟家を後にするエンデヴァーとインターン組。彼らはこれから事務所の宿泊施設に帰り、再びヒーロー活動の日々に戻っていくのだ。
「…緑谷くん。サンキュな」
「……!はい!」
歯を見せて出久に笑いかける燈矢。
一方で…爆豪は静かに、出久を後ろから見つめていた。
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「明日も早い。各々済ませるべきことを済ませてすぐに寝るように」
「はい!
「待てデク。ちょっと来い」
「え!?か、かっちゃんんんー!!!」
「バクゴー!!所用は手短にな!!」
エンデヴァー事務所にて。エンデヴァーからの言いつけに従おうとした出久を引き摺っていく爆豪。何か訳ありだと感じた轟は、2人について行こうとはしなかった。
「そ、それで…どうしたの、急に」
「……………ずっと考えてた。屋内戦闘訓練の時の『個性を授かった』っつう台詞。やけにてめェのことを気にかけるオールマイトと
「…!!」
出久は爆豪の独白から、彼が何を言わんとしているのかを理解して…それでもじっとその時を待つ。
「こないだ、オールマイトたちから聞き出そうとした。ロクなことは教えちゃくんなかったが……粉が最後のヒントをくれた。てめェの個性にオールマイトが関わってんだとよ」
「…」
「これだけの情報だ……繋ぎ合わせるにゃ十分すぎる。────────オールマイトから貰ったんだろ。その『個性』」
全ての核心に迫る爆豪の問いかけ。出久はそれを沈黙で肯定した。…力強い視線を、彼に向けながら。
「……否定しねェってこたァ……そういうことだな」
「………かっちゃん。信じてもらえるかは分からないけど…この個性は、もう無個性の人間にしか扱えないんだって。だから…」
「だからてめェが選ばれたのは仕方ねェってか?そんなことが聞きたくて呼び出したんじゃねえよ」
「!」
出久の弁解を遮り、爆豪は言葉を続ける。
「────自分のモンに出来てんのか、それ」
「え…?」
「てめェはオールマイトになれんのかって聞いてんだよ。わざわざ渡すってのァつまりオールマイト自身ずっとナンバー1で居られる訳じゃなかったってことだ。跡を継ぐ誰かが居なきゃなんなかったってことだ。てめェはどうなんだよ?」
事務所内には人も居るため、大声で怒鳴りつけるようなことはしない爆豪。しかしその目は出久を鋭く見定めていた。
「………まだ、完全には…でも、なってみせるよ。……オールマイトだって、越えてやる」
「………そうかよ。なら俺が目指すのはそのてめェを越えての完全なるナンバー1だ」
「え、えぇ!?」
出久は困惑の声を上げながらも、すぐに気を取り直して爆豪に問う。
「……かっちゃんは…怒らないの?」
「…バカかてめェ。イラついてしょうがねえよクソが」
「…」
「………ただ、てめェがどうして来たかは全部見てた。それで当たり散らすのは止めにした。そんだけだ」
「…かっちゃん…」
彼は、出久のことを…少しだけ対等な目で見られるようになったのだ。これで2人の関係を歪める要因は、過去の蟠りを残すのみとなった。そしてそれも、いずれは時間が解決するだろう。
踵を返して歩き出した爆豪の隣に、出久が並んで追いかける。もう誰も、後ろを歩けとは言わなかった。
時は流れ、3月下旬。
『心求党党首・
全ての決着の刻が、訪れる。
短めで申し訳ありません。ここで区切るのがキリが良かったので。