すべては君のために   作:eNueMu

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断ち切る因縁

 

 「ラァァァア!!!!」

 「メテオライト!!!こいつの動き止められるか!!?」

 「やってみる、けど!!!!大丈夫なの!!!?」

 

 再びメテオルインの2人に襲いかかるナナ。どちらかと言えば、転弧の方に執着しているようではあるが。

 

 「たりめえだろ!!!死人は蘇らねえ!!!!仮にこいつが『おばあちゃん』だとして!!!!俺がやることは変わんねぇよ!!!!」

 

 姿勢を低く、いざとなれば回避に敵の風を利用出来るように。必死にナナの怪力と気流操作から逃れながら、転弧は美智榴に言い放つ。

 

 「むしろ…!!!さっさと終わらせてやんなきゃなんねえ!!!もうこれ以上!!!おばあちゃんの誇りは穢させねえッ!!!」

 「…!!!うん、そうだねっ!!!」

 「ラァ!!」

 

 転弧を狙って背を見せたナナに、組み付かんと急接近する美智榴。しかし、ナナは唐突に跳び上がりそれを躱す。

 

 「げっ!!」

 「目も耳もよろしいようで、全く!!!正面からやり合わねえと取り合ってくれねえぞ!!!」

 「ずるいよぉ!!!」

 「(そりゃ俺たちだろ)」

 

 死角からの攻撃が悉く避けられてしまうことに、もどかしさを感じる2人。一方ナナはすぐに着地し、反撃に転じた。更に、木々が彼女の生み出す風に耐えきれず次々と倒れ始める。

 

 「ラァ!ヱェェッ!!」

 「クッ…!!!…やっべえな…!!いっそ禿山にしちまうか!!?」

 「Mt.レディが似たようなことしてすっごいお金払わされてたよ!!!」

 「それよか被害縮小優先だ!!!」

 「!!」

 

 地に手を触れ、瞬く間に周辺の樹木を崩壊させた転弧。ナナも巻き込もうとしたが、跳躍からの転弧への急襲という毎度のセットアップを許してしまう。しかし、視界も開けたことで戦いやすさは劇的に向上した。

 

 「よし!!!」

 「よくないよ!!?しょうがないけどさ!!!」

 「心配すんな!!!全部あいつのせいにすりゃバレねえよ!!!」

 「ラァァ!!」

 

 転弧も上からの風圧に縫い付けられないよう早急にその場から離脱。直後、地面を捲り上げる程の暴風と共にナナが再び降り立った。かと思えば、よく見ると浮遊している。

 

 「ああ…!?これは……」

 「風を外に吹かせるだけじゃないんだよ、多分!!自分を浮かせるぐらいは出来るんだ!!」

 「ヮラ…」

 

 地面以外の足場を失ったことで、崩壊への警戒をより一層強めたナナ。ここからは浮いたまま戦おうというのだ。

 

 「けど……流石にそれは、甘いんじゃない!!?」

 「ラァァァ!!!」

 

 またしても激突するナナと美智榴。だが、今度はナナが呆気なく吹き飛ばされる。

 

 「ラァ……!」

 「軽い軽いッ!!」

 

 原因は、地に足をつけた踏ん張りの有無。全身の力をフルに使って攻撃を放つことが出来る美智榴に対し、ナナは拳を振るうにしろ蹴りを放つにしろ、その部位の筋肉と僅かな風圧でのブーストしか攻撃に用いることは出来ない。

 周囲には、屋根も塀も崖も樹木も存在しない。だからといって接地したまま戦うには崩壊の伝播が危険すぎる。転弧たちは期せずして、一気に戦局を傾けたのである。

 

 「ラ、ラ…!!!」

 「!行かせない……」

 「いや、メテオライト!!!俺に任せろ!!!」

 「!?」

 

 現状が如何に不利なのかはナナも理解している。故に、どうあっても転弧の排除は達成しなければならないと、彼目掛けて一直線に飛翔した。それを阻止しようとした美智榴を制し、転弧は1人ナナを迎え撃つ。

 

 「コタロォォォォッ!!!」

 「(解るぜ……焦ってんだろ?那珂が滅茶苦茶に強えんでよ…。……………俺も、逃げ続けんのは止めだ)」

 「ロォォ!!!」

 

 

 屈んだ転弧を暴風が襲う。煽られることを危惧しての体勢だが、すぐさまナナも気流を操り上から地面に押し付けるように風を叩きつけた。

 

 「うぁ…!や、べ────」

 「ラァァ!!」

 

 転弧に向かって踵を振り下ろすナナ。直撃するかと思われたが…彼は地面を砕いてそれを躱す。

 

 「っぶねえッ!!!」

 

 横に転がり、ナナを視界に捉える。脚が空振った彼女は動きを止めることなく転弧に気流をぶつけ、矢継ぎ早に追撃を仕掛けていく。

 

 「(まだ………まだだ!!!もう少しだけ、俺がこいつを引きつける!!!その分だけこいつは必死になる!!!五感全部、俺を仕留めるのに費やす程に……!!!)」

 

 

 

 眼前で、背後で、何度も何度も己を掠める死の具現。体力と精神を擦り減らしながら、最短の勝利を見据え続ける。

 

 「(那珂が殴り続けたってきっと勝てる!!けど!!それじゃダメな気がする!!!俺の因縁だってのもそうだが……妙な胸騒ぎが、いつまで経っても消えてくれねえ!!!)」

 「ラァァァァッ!!!」

 「!!!」

 

 転弧は、考え事をしていたせいで風でバランスを崩した。正対したナナの拳が振りかぶられるのを、ただひたすらに見つめて────

 

 

 

 

 

 

 

 「────だから、こうやってらしくもねぇタイマン勝負に乗ってやったんだよ」

 「コ、タ…」

 

 「『ネビュラグラビティ』」

 

 殺せる。

 

 その確信と油断が、ナナの個性行使を鈍らせた。背後から美智榴に四肢を絡め取られ、突然の超重量が負担となって…一瞬、動きを封じられてしまう。あるいは普通の脳無ならば、そんなミスはしなかったのかもしれない。なまじ人間に近かったせいで、感情がはっきりしてしまっていたせいで、致命的な隙を晒してしまった。

 

 美智榴を振り払うことが出来ず、地面に落下する。その瞬間から、ナナの崩壊は始まった。

 

 「ふぅ…これで良かった?」

 「おう。完璧なタイミングだったぜ」

 「コタロ…」

 

 転弧も激しく消耗したために、座り込んだまま美智榴に応える。しかしながら蓋を開けてみれば、両者ほぼ無傷での完勝だった。

 

 「……………なあ、おばあちゃん。聞こえてるか知らねえがよ……あんたの子供も孫も元気してるからさ、心配しねえでくれ。……もう、大丈夫だ」

 「────ダイ、スキ

 

 

 

 小さな呟きは、散りゆくナナと共に風に乗って消えていった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「!!?デク、どうした!!!」

 「すみませんエンデヴァー!!か、身体が浮いて!!すぐに何とかします、大丈夫です!!」

 「…お前、個性3つも持ってたのか」

 「(だからズレてんだよ半分野郎)」

 

 

 

 『ごめんな、転弧。ありがとう』

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「悪い、立てねえ。おぶってくれ」

 「よいとも。いつものことであるからの」

 「なんだその喋り方」

 

 力を使い果たした転弧を背負う美智榴。そのまま、次の目的地へ駆け出す。

 

 「ホントにダストさんの家に行くの?」

 「ああ。俺があいつと遭遇したぐらいの時、千雨さんはいつもはまだ事務所にはいない時間だった。多分、今も家の近くで………AFOと戦ってる筈だ」

 「………どうして分かるの?」

 「勘」

 「成程!じゃあ間違いないね!」





Q.美智榴強すぎない?
A.原作USJ時点のオールマイトぐらいです。相手にもよりますがフルパワーで戦える時間も大体そのぐらい。

ちなみにネビュラグラビティは子泣き爺的な技です。
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