未曾有の大事件から、およそ2ヶ月。未だ各地に爪痕は残っているが、そんな中でも一大イベントは欠かさず行われた。
『ついに今年度の上半期ビルボードチャート発表の日がやって参りました!果たしてどんな顔ぶれがトップ10に並ぶのかァァッ!?それでは早速ご覧下さいッ!!』
そして現れる、
『No.10!!去年下半期での支持率大幅アップに加え、「
少し恥ずかしげに前に出る転弧、対して堂々と正面を向く美智榴。ホークスなどの前例があるために霞んでいるが、3年目にしてここまで到達するのは並ならぬことであった。
原因の大部分を占めているのは、前年の秋にSNSで激写された2人の画像。なんと『プリユアの映画上映してたスクリーンのとこから地元のヒーロー出て来たwwwwwwwwww』という内容で投稿された呟きが爆発的に話題になり、特に転弧のクールな外見からのギャップに注目が集まったことで、知名度が飛躍的に高まったのである。
「公開処刑だ………去年の下半期はギリセーフだったのにな」
「気にしなくていいじゃん!プリユア、面白かったよ?」
「時々お前が羨ましくなるぜ」
その後はスタンダールやホークスといった若手ながら馴染みの面々が続き、様式美となりつつあるトップ3の発表に移る。
『No.3!!多少のゴタゴタはありましたが、のちに大乱での戦闘区域にて死者を出さなかったことが広く評価され順位をキープ!!塵化ヒーロー『ダスト』!!」
『No.2!!インターン期間中には彼のお子さんである『ショート』くんにもスポットライトが当たっていたのは記憶に新しいです!!フレイムヒーロー『エンデヴァー』!!」
『No.1!!大乱で見せたその姿!!その背中!!未だ平和の象徴、健在!!『オールマイト』ッ!!!」
皆が各々に大喝采を贈る中、彼らへのインタビューが始まる。
『それではメテオルインのお2人!今回の結果を受けて一言!』
『私たちを有名にしてくれたプリユアに恥じない活躍をしていきたいですっ!!』
『…ゴホン。こいつのはまあ…冗談半分ってことで頼みます』
『なんでぇ!?』
『あっバカ…!』
マイクが入ったまま美智榴が叫んだせいで、ハウリングが会場に響く。少し間を置いて、再び司会者が話し始めた。
『アハハ…では、ルイングレイもどうぞ』
『はい』
数瞬の沈黙を破り、転弧もインタビューに答える。
『……………皆さんにとって……最高のヒーローとは、誰でしょうか。多くの人はきっと、オールマイトと答えるでしょう。あるいは海外のヒーローを挙げる人も居るかもしれません。………でも、俺にとっては……15年前のあの日からずっと、ダストこそが最高のヒーローなんです。────いつも隣に立ちたいと思っていました。いつかこの場に立ちたいと思っていました。それが今、こうして叶っている。………憧れは、時に無謀さを生んでしまうかもしれない。ただ同時に、凄まじい原動力にもなり得るんです。俺のインタビューを聞いている人には、知っておいてほしい。自分にとっての最高のヒーローっていうのはきっと………誰よりもその人自身に力をくれた人なんだってことを。だから、俺も誰かにとってそうであれるように。そのつもりで、これからもヒーロー活動を続けていきたいと思います』
会場には、万雷の拍手が轟いた。一緒に手を叩く千雨に、隣のホークスが話しかける。
「イイコト言いますね、ダストさんのお弟子さん」
「ふ、ふふっ、だろ?転弧くんは、自慢だからね。私の」
「………相変わらずガチガチッスね」
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インタビューも(本人としては)しっかりとこなし(たつもりで)、式典を終えた千雨。会場からの帰路、待ち合わせの最中にグラントリノと電話していた。
「ええ、もうオールマイト本人からも聞きました。残り火も随分小さくなった感覚がある、今年いっぱいが精々だと」
『そうか。………なあ、嬢ちゃん。俺は…AFOはやっぱり仕留めちまうべきだったんじゃねえかと思う。隠れたままのシンパ共が暴れる可能性を考慮した上でな』
「…私もそう思いますよ。けれど、オールマイトがそうしたのであればそれで構いません。どの道奴にもうAFOの個性は残っちゃいない…ただの怪力男に過ぎません。…それに」
『それに?』
「もし他に何か個性を秘めたままだったとしても…それでタルタロスを脱獄して来たとしても。今度は出久くんがいます。転弧くんがいます。次世代のヒーローたちがいます。心配することは無いでしょう」
『……そうだな。それもそうか。ありがとな、嬢ちゃん。また俊典とナイトアイも連れて飯でも行こう』
「ええ、是非。では」
電話を切った千雨の元に、2人の声が届く。
「千雨さん、待たせた!」
「スタンダールがすっごい詰め寄って来たんだよ!!もうびっくりしちゃった!!」
「あははは、彼も中々目敏いな。さあ、行こうか。何気に志村家にお邪魔するのは初めてだ」
3人が向かうのは、転弧の実家。トップ10お祝いパーティーの開催に、転弧が長い間お世話になったとしてダスト事務所のメンバーも招待されているのだ。
「よーし、レッツゴー…あっ!!!」
いざ歩を進めようとした美智榴の目に留まったのは、青信号の横断歩道に突っ込もうとしている乗用車。アクセルとブレーキを踏み間違えたか、このままでは歩行者を…幼い少女を轢いてしまう。
「────大丈夫、私がいる」
いち早く少女を救け、車を止める千雨。抱き抱えたその子に向かって、優しく笑いかける。
「怪我は無いかい?」
「う、うん!ありがとう…!」
────今度は、誰一人傷付くことなく救えた。
これにてひとまず完結となります。
勢いだけで投稿を始めたのですが、思っていたよりずっとたくさんの人に見てもらえて嬉しかったです。何とか毎日欠かさず投稿出来たことについては、それなりに頑張ったな、と思います。
番外編は今のところ考えていませんが、ワールドヒーローズミッションの話とか、被身子と原作A組のエキシビションマッチとか、千雨の掲示板での反応とか、ひょっとしたら上げるかもしれません。あまり期待せずに待っていてください()
最後に、ここまで見て下さった方、本当にありがとうございました。