特に変わり映えのない日々が続き、気付けば転弧は7歳になっていた。「原作」の開始から13年前、今年も千雨にとって重要な出来事が訪れる。
「ダストさん、今年のインターンシップ候補生一覧が届いていますよ。今回はどうなさいますか?」
「当然パス。もっと転弧くんが大きくなってからでないとインターンの子達もちゃんと面倒見てあげられないでしょ?あと5年ぐらいは…いや。ちょっと雄英の名簿見せて」
「?はい。こちらです」
「2-A…あった。……ビンゴだ」
「…
「ううん、必要ないよ。ただほんの少し手を貸すだけさ」
「了解です」
「(雄英の先輩として、見過ごせないからね。インターンシップが始まったらあの辺りには気を配っておこう)」
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「ミッドナイト!避難誘導と増援要請を!」
「社長!?」
「時間を稼ぐわ!」
田曽宮市に侵入した大型の異形ヴィランを止めるべく、ハイネス・パープルは一人立ち向かう。ミッドナイトと呼ばれた少女は直ぐにヒーローネットワークを通して他のヒーローたちに応援を要請し、そのまま市民に避難を指示する。
ヴィランはその巨体さ故猛烈な速度で市内を進み、児童たちの避難を誘導していたインターン生…相澤消太と白雲朧の前に現れる。
「ヴィランがこんなに早く…!」
「しかもこいつ…デカい!」
「ここはまかせなさい!」
子供たちを遠くへ避難させるべく、無謀にも巨躯に向かって飛びかかるパープル。本来ならばそのまま反撃を受け、建物諸共崩れ落ちる…はずだった。
「『
「〜〜!!」
個性による迎撃を行うために背中のコブを放とうとしたヴィラン。しかし上空より延びてきた巨大な鎖によって全身を拘束され、衝撃で暴発した無数のコブが彼に大きなダメージを与える。
「ダ…ダスト!?」
「やあ。迅速な増援要請感謝するよ。お陰で間に合った」
驚くパープルを尻目に、千雨は避難の動きを止めたインターン生たちに目を向ける。
「ダメだよ立ち止まっちゃ。早くその子らを連れていってやりな」
「あ…はい!ありがとうございますッ!行くぞショータ!」
「お、おう」
再び離れていく二人を眺め、彼女は思索に耽る。
「(結構危なかったね。連絡が来た瞬間速攻で飛んできたつもりだったんだけど…。予めパープル事務所の動向も確かめておくべきだったかな)」
「ダスト!ヴィランが暴れ出すわ!」
「!」
反省中の千雨の耳に届くパープルの警告。すぐさま「天絞の鎖塵」で締め上げ、ヴィランの全身を軋ませて抵抗を止めさせる。
「『ガーヴィー』。殺人及び器物損壊等々…延15件の前科あり。君にかけてやれる慈悲は無さそうだ」
「〜〜!!」
ヴィランに冷たい眼差しを向ける千雨。そのまま手を翳し彼の身体に触れようとして、
「待ちなさいッ!」
パープルに止められる。
「心配ないよ。命まで取るつもりじゃないさ。ちょっと大変な思いはしてもらうことになるだろうけどね」
「それもダメよ。彼にもう抵抗は不可能だわ。後は警察が来るまでそのままにしておきましょう」
「…もし彼が君の大切なものを奪っていても同じことが言えるかい?」
「当然。私はここにヒーローとして立っている。そこに私情を挟むつもりはないわ。…貴女が他のどこかで彼をどうしようとそれは貴女の自由だけれど…ここにいる以上私の指示には従ってもらうわよ。これでも一応ウチの事務所はここの管轄なんだから」
視線を逸らすことなく互いの意見をぶつけ合う2人。幾許かののち、折れたのは千雨の方だった。
「………あぁ…。全くその通りだよ……君が正しい。ここは素直に引き下がるとするよ」
「ありがとう。…まだ若いんだから無茶しないの。答えを出すには早すぎる。生き急ぎすぎよ」
「…覚えておこう。参考程度にはするよ」
「可愛くないわね」
「よく言われるよ」
雨は優しく二人を包む。
感想で突っ込まれることもあったのでこういう人もいますよとちょっとだけ描写を。一応千雨もまだ20前後なので考えが浅いこともあります。