すべては君のために   作:eNueMu

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OFAの秘密:その2

 

 「それでは、話を続けますが……歴代継承者たちの個性は、OFAに強く結びつくことで当人たちが使っていた時よりもずっと強力なものに変化しています。…考え無しに使えば、周囲に被害をもたらすことも十分考えられる程に」

 「そんな…」

 「…出久くんにそれらが発現する際にも、恐らく最初は暴走する形での発動となる筈です。すぐに治まるとは思いますから、それからは歴代継承者たちの個性を制御する訓練もしていくべきかと」

 

 話を再開した千雨は、歴代継承者の個性を使うことの困難さを述べつつ、大まかなアドバイスを施していく。

 

 「く、訓練って…一体どうすれば?」

 「うーん…気合い?」

 「…えぇ…?」

 

 しかし、具体的な訓練法を聞きたかった出久に返された言葉はこの上なく抽象的なものだった。

 

 「雑念のある状態で使うのが良くないみたいだからさ。まあ、慣れってことだね」

 「はあ…」

 

 千雨が多少の補足を行い、とりあえず納得した様子を見せる出久。その時、しばらく沈黙していたナイトアイが口を開いた。

 

 「……例えば、だが…そこの彼よりももっと相応しい人物が9代目の継承者だったなら…その特訓の必要はあったのか?」

 「!!」

 

 暗に暴走は継承者の力量不足が原因なのではないかと千雨に問うナイトアイ。出久がギクリとするのを尻目に、千雨は質問に答えた。

 

 「誰がOFAを継承していようと特訓の必要はあったと思うよ。いきなり複数の個性を十全に扱える人間なんていやしないだろう?それに、彼以上の適任なんて居ないよ…こと此処に至ってはね」

 「……何か根拠が?」

 

 緑谷出久こそ理想的な継承者なのだと断言してのける千雨に、ナイトアイは彼女が恩人といえども怪訝な視線を向けてしまう。だが、直後の彼女の発言で硬直せざるを得なかった。

 

 「────OFAはもう、無個性の人間でなければまともに扱えない。元より個性を有した人間が今のOFAを継承すれば…大幅に自らの命を削ることになる」

 「………何、だと…?」

 「無個性で、なければ…!?」

 「…一体どういうことだ、嬢ちゃん」

 

 グラントリノの質問に、実例を挙げて答える千雨。

 

 「どうして今の脳無があんなにも脆いかは分かっている筈ですよ?普通にやっても個性の複数所持に身体が耐えられない…そしてそれは、OFAとて同じこと。無個性の人間だけが、許容量内に収められるということです」

 「……何という…!!」

 「…ダスト」

 

 衝撃の真実に驚きを隠せないオールマイトたち。一方ナイトアイは、千雨に更なる質問を重ねた。

 

 「……何故…もっと早くそのことを教えてくれなかったんだ?私が継承者探しと育成をしていたことは知っていた筈だ。…私が今までしてきたことは、何の────」

 「ナイトアイ。その先は言っちゃあいけないな」

 

 彼の発言を遮り、窘める千雨。

 

 「悪かったとは思ってるよ。君の想いを利用する形になってしまったからね…けど、無駄でも無意味でもないだろう?君の選んだヒーローは、OFAの継承者でなければならないのかい?最高のヒーローになるためには、OFAの継承者でなければならないのかい?………ミリオくんは、君にとっての何なのかな?」

 「!……そんなことまで…知っていたのか」

 

 千雨の言葉に頭を冷やしつつ、継承者候補としていた人物の名前まで知られていたことに戦慄すら覚えるナイトアイ。すると、今度は出久が千雨に尋ねた。

 

 「………あの…ひょっとして、ダストの記憶にあった9代目の継承者も、僕だったんですか…!?オールマイトは、貴女から僕のことを聞いて…!!」

 「違うよ。…記憶で見た継承者は、確かに君だ。でも、オールマイトに教えたことはなかった。……1度聞かれたことはあったけど、それで選ばせてしまったら君にとってもオールマイトにとっても良くないと思ってね」

 

 出久はそう言った彼女から視線をオールマイトに移し、真偽を問う。

 

 「!!オ、オールマイト…!!」

 「嘘じゃないさ。ダストの言ってることは本当だよ、緑谷少年。私は私の意思で君を選んだんだ」

 「あ、あぁ…オールマイトォォ!!」

 「ははは、言葉が出てきてないぞ。泣き虫は治そうって言ったろ?」

 

 改めて自分がナンバー1に認めてもらったのだと理解し、涙を流す出久。その後、立ち直ったナイトアイも交えて千雨は残りの話しておくべきだと思った諸々の事柄を一通り話し終えたのだった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「それじゃ、この辺りにしておこうか。細かいことは継承者たちが直接教えてくれる日が来るだろう。訓練頑張ってね」

 「はい、ありがとうございます。……あの、ダスト」

 「ん?何だい?」

 

 話が終わり、それぞれのやるべきことを成すために解散する彼ら。オールマイトと一緒に去ろうとした出久が、千雨に一言告げる。

 

 「『不思議な記憶』の持ち主が…貴女で良かったです」

 「!」

 「…確かにそうだね。悪用しようと思えばできただろうに……こうして正しいことのためにその知識を使おうとしてくれている君には、感謝してもし切れないな」

 「……私は…ただ、そうしたいと思ったから…それだけですよ。………でも、ありがとうございます」

 

 出久の言葉に共感するオールマイト。2人の想いは、千雨にもしっかりと届いていた。





しばらく朝1夜2のペースでしたが、これからは朝夜1ずつになります。終わりも近づいて来ているので、じっくり進めていきたいです。
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