すべては君のために   作:eNueMu

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完全防備の林間合宿

 

 職場体験が終わり、雄英高校1年生たちが臨む期末試験。ヒーロー科の面々はかつて転弧と美智榴が経験した、プロヒーローとの2対1での実技試験を受けることになった。とはいえ、「原作」と特に大きな変化はない。爆豪と出久は微妙な精神状態の差異から本来よりもやや早く協力態勢に入ったが、結末はほぼ同じ。芦戸と切島も少しばかり奮闘したが、クリアには至らなかった。そして迎える夏休み直前…

 

 「林間合宿は全員行きます」

 「どんでんがえしだあぁ!!」

 

 いつものノリが炸裂しつつ、留意事項を生徒たちに告げるイレイザー。

 

 「ただし、例年の林間合宿よりも教師側の人員を増やして行うことになった。雄英の教師は俺とブラドキングに加えて、オールマイトとラウドクラウドが。ヒーローは毎年協力してくれてる事務所に加えて信頼のおけるヒーローたちがそれぞれ同行する。面子は内緒な」

 

 彼の説明を聞いて、出久は何となくの予想を立てる。

 

 「(多分ダストは来るはずだ。あとは……雄英の卒業生とかだろうか?他の先生たちから推薦があったりしたのかもしれない。職場体験期間中も随分忙しいみたいだったし、グラントリノは難しそうだ)」

 

 出久が考え事をしている横で、合宿中に補習があることを知らされ撃沈する不合格組。その後も様々な説明が続き、しおりが配られる。

 迫るその日に生徒たちが各々の想いを抱くのも束の間…気付けば、林間合宿は始まっていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「それじゃ、念のためにということで同行するプロたちにも分かれてバスに乗ってもらう。どうぞ」

 

 当日。A組のバスに後から乗ってきたのは、3人のプロヒーロー。

 

 「ダストだよ。皆、合宿中はよろしくね」

 「うおお…!チャート3位かよ…!!」

 

 「ルイングレイ。一応雄英(ここ)の先輩だ。よろしくな」

 「ミーティア!右斜め前に同じく!」

 「あ!」

 「あの人ら…!!」

 

 千雨に対してはかなり賑やかな反応が見られたが、未だ活動範囲の狭い転弧と美智榴はそれなりといったところ。それでも特定の人物たちが際立った反応を示した。

 

 「あの、私のこと覚えてますか!?中学の時、救けてもらったんですけど!」

 「ルイングレイ!!ずっとあんたに礼が言いたかった!!」

 

 芦戸と切島。2人が転弧たちに声をかける。

 

 「あぁ!あの時の!久しぶりー!!」

 「!ピンクの…やっぱ雄英志望だったか。………赤髪の方は…ああ!勇気がどうのとか言ってた…!!」

 「ウッス!俺がここに居られるのは…ルイングレイのおかげだ!!半分ぐらいは!!」

 「そこは全部じゃねえのか…ま、無事合格できたようで何よりだぜ」

 

 これには千雨も目を丸くして転弧たちに尋ねた。

 

 「……知り合いだったのかい?」

 「あー…まあ、そうだな。去年脳無に襲われてたのを救けたんだ」

 「…ふぅん。私たちも感動の再会なんだけどなー。インパクトが薄れちゃうなー」

 「週一で電話掛けてきてる癖に何言ってんだ…」

 「はは、冗談だよ。……ありがとね、2人とも」

 「…?」

 

 「……御三方。さっさと座ってくださいよ」

 「ちょっとぐらいいいじゃねえかショータ。俺たちもたまには学生時代の思い出に浸ろうぜ!」

 「お前に引っ張り回された思い出しか無え」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 かくして合宿先に到着した一同を出迎えたのは、転弧たちの時から変わらぬ4人組。…の内の2人。

 

 「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」

 

 出久が興奮して彼女らのキャリアまで口にした所を、ピクシーボブが制する。

 

 「心は18!」

 「いいじゃないかピクシーボブ。私なんてもう17年はこの仕事してるよ?」

 「貴女とは違うんですよダスト!」

 

 30代に入り、色々と焦りが見え始めたピクシーボブ。対して千雨は特に気にしていないらしい。

 

 「こういうのは…こう、どっしりと構えておくのが大事なんじゃないかな?ガツガツいくと怖がられるよ、多分」

 「え…そ、そうですかね…?」

 「その辺にしといてくださいピクシーボブ。生徒たちがバスに逃げ込みます」

 

 「白雲先生!!後生だ、中に入れてくれェ!!」

 「ダメダメ。この雲は邪念を持つ者には通り抜けられないようになってるんだ」

 「それどっかで聞いたことあるような無いような!!」

 

 アバウトな助言をピクシーボブに施す千雨。彼女もそれを真に受け、早速実践に移そうと考えているようだ。

 

 「え〜?でもぉ、突然土砂に巻き込まれたら生徒たちもびっくりしちゃうかな〜って」

 「………」

 「ピクシーボブ、多分そういうことじゃないよ」

 「…ううぅぅ……!!」

 

 あまりにも冷たい視線をピクシーボブに向けるイレイザー。少々方向性が間違っていたことに気付いた彼女は、ようやく「土流」で生徒たちを押し流した。

 

 「わああぁぁ……!!」

 「……ピクシーボブってあんな人だったっけ?」

 「4年の歳月はどうしようもなく人を変えるんだぜ、ミーティア」

 

 一部始終を目の当たりにした転弧と美智榴も、複雑な気持ちを抱かずにはいられなかった。





投稿時間がちょっとばかし遅れた理由と致しましては、スマブラ の最後のスペシャル番組を見ていたせいです()
言い訳はするまいよ
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