合宿を終え、夏休みを終え、仮免取得を終え…あれよあれよという間に時間が進んでいく出久たちの学校生活。現在彼らは、インターンシップについての説明をイレイザーから受けていた。
「まあ、詳しいことは直に体験している人間から話してもらう。多忙な中都合を合わせてくれたんだ…心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名────通称『ビッグ3』の皆と…ついでにもう1人。『
イレイザーの紹介と共に入ってきたのは、男女2名ずつ計4人の生徒たち。最初に入ってきた3人の顔はあまり知られていなかったか、驚きと戸惑いが広がる。出久もその内の1人を体育祭での妙な印象から覚えていた程度で、詳しくは分からないようだ。対して後から入ってきた最後の1人には、違った意味での騒めきが起こる。
「あの人たちが…的な人がいるとは聞いてたけど…!」
「めっちゃキレーな人いるしそんな感じには見えねー…な?」
「!!…渡我先輩…!雄英体育祭2年連続優勝者だ!」
「1年で仮免取ったんだよな、確か。俺らと同じか」
生徒たちの反応を余所に、イレイザーが4人に自己紹介を促す。しかしその後は「天喰環」がノミの心臓を披露したり、「波動ねじれ」が自己紹介そっちのけで逆に質問を繰り返したり、「通形ミリオ」が盛大にスベるなど、色々とグダグダな展開が続く。A組の面々も段々とイメージが崩れる彼らにますます困惑を強めていた。それを受けて、ミリオが思わぬ台詞を口にする。
「君たちまとめて、俺と戦ってみようよ!!」
「ちょっと待て。渡我の紹介が済んでない」
「無くてもいいのです。私のこと、皆知ってるみたいですし」
「そういう訳にはいかん」
ミリオの提案を一旦遮り、置き去りにされた被身子に自己紹介をさせるイレイザー。被身子も一応という様子で一歩前に出た。
「有名人みたいですけど、改めて。渡我被身子です!気が合いそうだって思ってくれたら、お友達になりましょう!ついでにインターンのこととか教えてあげますね!」
「…まあ、いいだろう。前3人よりよっぽどまともだ」
本題をついでと言い切る彼女だが、めちゃくちゃだったビッグ3に比べればマシだと許容することにしたイレイザー。そのまま先程のミリオの提案を引き継ぐ。
「さて、確かにこれはいい機会だ。実際インターンでどれだけの経験が積めるのか…その身にしっかり叩き込んでおけ」
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「POWER!!」
────瞬殺。その言葉がA組vsミリオの結果を表すのに最も相応しいだろう。「原作」とは異なり仮免試験でイナサといざこざが無かった…むしろ仲良くなった轟は仮免を取得し、一方爆豪も出久に喧嘩をふっかけなかったために謹慎処分を下されておらず、2人も併せて彼と闘ったが…結果は変わらなかった。
「俺の『個性』、強かった?」
ミリオのそんな質問に、A組の生徒たちが次々と頷く。しかしながら爆豪はいち早くその個性の難しさに気付いていた。
「(何処をどう見りゃ強く見えんだよ馬鹿が…ありゃ相当頭と度胸がねえと使いこなせねえぞ…!)」
彼の考え通り、ミリオの説明はA組の生徒たちを驚かせるものであった。彼の「透過」の個性は、透過させてしまえばその部分は一切の感覚が失われる。攻撃を避けるにも応用を図るにも、並外れた努力が求められるのだ。
「俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!恐くてもやるべきだと思うよ1年生!!」
その努力を培えるインターンには是非行くべきだとミリオが上手くまとめた所で、授業の終わりが近づいてきた。
「そろそろ戻ろう」
「ねえ…!私たちいる意味あった?知ってる?」
「何もしなくて良かった…ミリオに感謝しよう」
天喰とねじれがそんな風に話す中、被身子もイレイザーに抗議する。
「相澤先生!先輩、楽しそうでした!私も皆と仲良くしたかったのです!」
「……悪いな。ただ、あの場は通形に任せるのが最も合理的だった。お前の天才性はインターンの説明にはならんだろう。あいつらには………まだまだ、眩しすぎる。後輩がお前んとこのインターンに来たらそん時可愛がってやってくれ」
「むうぅ…」
むくれる被身子から視線を外し、教室への歩みを進めるイレイザー。彼女の才能を知っているからこそ、彼は思う。
「(渡我のセンスは爆豪のそれに勝るとも劣らない。加えて個性に頼らなくてもアイツは強い。超えるためには相当な努力が必要だ。……全員の話を聞かせてやるなら…大人しく教室でやっとくべきだったか)」
折角呼んだ残りの3人にスポットを当ててやれなかったと反省するが…まずは1年生のインターンをどうするかという会議次第。イレイザーは放課後を思い、少しばかり辟易とするのだった。