「不変の事実」にて、転弧が死柄木の顔に言及する描写を追加しました。展開的にも反応無しはおかしいと思ったので。
「そんなに躍起になるなよ極道。お前を殺したい訳じゃないんだ」
「そうか。だがこっちはお前らを生かしておく理由がない」
どうにか隙を作れないかと歩み寄る素振りを示す死柄木だが、治崎はそれをにべもなく切り捨てる。再び石の棘を死柄木に差し向け、死柄木の方もそれを躱し、腐らせ、治崎に接近していく。
「何を焦ってやがる!?見られたくないモンでもあるのか!?」
「チッ」
死柄木の掌はまたしても届かない。ヒーローもかくやという身のこなしで彼から距離を取る治崎。報道を通して死柄木の個性は既に把握している。
「…まあ、そんな所だ。特にお前のような輩にはどうしても知られる訳にはいかない」
「へぇ……そんなにガキが大事か…よッ!!」
「!!」
駆け出し、治崎の攻撃を掻い潜りながら核心に迫る死柄木。彼の台詞に治崎は目を瞠り、攻撃を激化させる。
「壊理を狙ってるのか…!?あの子に一体何を求めてる!?」
「グゥゥッ…!ハァ…ハハハッ。分かるだろ?こっちも戦力が欲しいのさ。まさか『巻き戻し』なんつうぶっ飛んだチート個性が飛び出してくるとは思ってもみなかったけどな」
「!……見られたのか…!!」
死柄木は石の棘を完全には回避出来ず、僅かに脇腹を抉られる。それでも彼は治崎を挑発することを選んだ。地力が上の治崎を彼が破るには、今はそうやって冷静さを奪うぐらいしかなかったのだ。
「心配すんなよ…殺しやしねえ。お前も一緒に来てくれるってんなら大歓迎だ。悪くねえ話だと思うぜ?」
「黙れ。壊理は渡さない。俺が八斎會を去ることもない。お前が俺に如何なる提案をしようと降参以外は聞き入れない」
彼の提案に一切耳を貸さない治崎。彼にとっては八斎會の組長も壊理と同様に大切な存在だ。そんな人物を裏切るなどもってのほかだった。
「クソ…!無限に攻撃して来やがって……ターン守れよ極道」
「降参以外は聞き入れないと…たった今言ったばかりだ外道!!」
死柄木目掛けて殺到する棘の波。彼はこれを床に潜り込んでやり過ごし、そのまま腐食を治崎の足元まで及ばせる。
それに対して落下を避けるべく、すぐに足場を変える治崎。自ら創り上げた土台の上で、地中に潜ったままの死柄木を仕留めようと床面ごと大量の石の棘で貫いた。
「残念ハズレだ…なッ!?」
「遅いな」
しかし、死柄木は意表を突いて治崎の側の壁面を溶かしながら姿を見せた。…が、治崎もそれに落ち着いて対処し、死柄木に素早く棘を放つ。上手く躱せなかった彼は、四肢を棘で拘束される形になってしまった。
「マジ、かよ…!!…何で悉く上手くいかねえんだ────」
「死柄木!!!」
絶望しかけた死柄木だったが、そこに届くコンプレスの声。彼がマグネと共に現れたのは、先程まで居た部屋の中からではなく…通路の向こう側からだった。
「いつの間に…!?」
「…そういやコンプレスの個性はまだ殆ど表に出してなかったか…!!」
激戦を繰り広げていた2人がそれぞれの驚きを示す中、彼はビー玉状の物体を死柄木に見せる。
「『目的のガキ』!!!回収したぞ!!!」
「ッ!?」
「────良くやったッ!!!!」
快哉の声を上げる死柄木。治崎の注意が逸れた瞬間に何とか左腕の拘束を脱し、他の棘を腐らせて全身の自由を取り戻す。
「逃げるわよ!」
「言われなくとも!」
「ふざけるな……!!壊理を…返せェェッ!!!」
コンプレスに向けて棘の集中砲火をぶつけようとした治崎。しかしコンプレスが自身を「圧縮」したことでそれらは回避されてしまう。
「オイ馬鹿!!手放すんじゃねえ!!」
だが、これに焦ったのは死柄木だ。自身が圧縮されたことで先程のビー玉を取り落としてしまったコンプレスに、叱責を浴びせる。当然その隙を逃す治崎ではない。
「詰めが甘いな敵連合!!!」
分解によって床を変形させ、落ちたビー玉を手元まで手繰り寄せる。コンプレスはその間に自身の圧縮を解除し、治崎に向き直った。
「クッソ…!やっちまった…!」
「…間抜けが」
「……
治崎がコンプレスに問いかけるが…本人は死柄木に何やら耳打ちをしている。
するといきなり、連合の3人は正面から治崎に突撃し始めた。
「教えるつもりはない…か。どのみちお前を殺せば元に戻るだろうがな……壊理にはあまり見せたくない」
「いいや?教えてやるぜ…こうするのさ」
指を鳴らすコンプレス。…次の瞬間、治崎の手元にあったビー玉は…巨大な岩塊へと変化した。
「な────」
反応が遅れ、仰向けに押し潰される治崎。衝撃で既に意識を失ってしまっているが、トドメを刺すべく死柄木が近寄った。
「やれやれ…いくらなんでもあんな短時間で見つけられる訳ねえのにな……焦りは禁物だぜ?極道」
「お前らはガキ探してろ。コイツ殺して俺もすぐに…」
「POWERRRRR!!!!!」
「は!?」
それを阻んだのは…突如上から現れた1人の男。人が出て来ることなど出来る筈のない場所から飛び出した彼…『ルミリオン』は、死柄木の姿を確認すると迷いなく彼に拳を叩き込んだ。
「グァァッ!!?」
「死柄木!!!」
動揺する連合に対し、ルミリオンは宣言する。
「敵連合……こんな所で遭遇するとは思わなかったけれど!!これ以上の勝手は許さないぞ!!ナイトアイ事務所はもう既に…全員出動している!!」
戦いの勝者は────治崎。念のために地上に示しておいたSOSのサインは…しっかりとヒーローたちに届いていた。
Q. 夜中の筈では?
A. POWERRR!!
(追記)ミリオが携帯を使っていたので修正。透過する携帯はいかんでしょ