すべては君のために   作:eNueMu

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前話でミリオが電話を使っている描写がありましたが、変えました。携帯まで透過してるのはおかしいとかいう次元じゃなかったので。


100万を救うヒーロー

 遡ること、少し前。

 

 「夜間の八斎會周辺の哨戒任務、ですか。彼らの暴動を危惧しておいでで?」

 「いや……危惧しているのは八斎會への襲撃だ」

 

 ナイトアイはサイドキックのセンチピーダーに、1つの任務を課していた。

 

 「死穢八斎會はその性質上、裏社会との繋がりも多い。治崎はそこも利用して壊理ちゃんの個性についての問題を解決しようと試みている筈だ。逆を言えば、裏に彼女の情報が出回っていてもおかしくはない」

 「成程。仮に我々も知らぬ彼女の個性を知る者が居たとして……強力なものだと判断したならば誘拐を計画する可能性もあると」

 「そうだ。そしてそうなった場合、昼間に実行するとは考えにくい」

 

 推測を交えつつも、夜間哨戒の必要性を説くナイトアイ。センチピーダーも話を聞いて納得し、任務を受理する。

 

 「畏まりました。私センチピーダー、務めを果たしてみせましょう」

 「ああ。苦労をかけるが、頼んだ」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「────サー!!八斎會に敵連合が侵入!!目的は恐らく、壊理ちゃんかと!!!」

 「…分かった。バブルガール…それと、ルミリオンとデクにも連絡を」

 「はっ!」

 

 そしてその日の夜…ナイトアイの予測通り、夜間の襲撃が勃発した。その実行犯が敵連合だということまでは、想像もつかなかったが。

 

 

 

 ミリオの行動は実に迅速だった。彼の到着と同時にナイトアイたちは八斎會へ突入する。令状などは取れていないが、緊急性が極めて高く、門の状態からヴィランの存在は明白であるために問題はないというナイトアイの判断であった。

 

 「失礼。夜分遅く申し訳ないが、喫緊の案件故立ち入らせてもらう」

 「お、おお…!ウチのが玄関でやられちょる!!廊下に穴も空いて────」

 

 異常に気付き前庭に出てきていた組員に従い、屋内に入ろうとした3人だったが…直後、後方で地面を割り裂きながら石の棘が出現した。

 

 「これは…!」

 「若頭の個性じゃ!あっこで何かあったか!?」

 

 治崎の個性によるものだということはナイトアイも理解していた。しかし、玄関からはやや離れており、その辺りにあるという穴から地下に降りたのでは少々タイムロスが発生してしまう。ミリオもそれを理解し、ナイトアイに進言する。

 

 「俺、見てきます!!壊理ちゃんに危険が迫ってるんだとしたら…一刻も早く誰かが向かうべきです!!」

 「………分かった。任せたぞ」

 「はい!」

 

 ナイトアイはミリオを信頼し、彼に託す。そして、センチピーダーに地上を任せ、自身も玄関の穴から地下へ向かう。出久の到着には…もう少し時間がかかりそうだった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「ッソがあああッ!!!ハァッ…!!ハァッ…!!あり得ねえだろうが…!!やることなすこと全部邪魔されんのはどういうことだァァッ!!!」

 

 そうして連合と邂逅したミリオは、一方的に死柄木を叩きのめしている。彼もあまりに都合の悪い展開に怒りを抑えられないようだ。

 

 「死、柄木…逃げるぞ…!!」

 「!?…オイ…コンプレス!!正気かお前………ッだああァ!!こっちが喋ってんだろクソ野郎!!!」

 「ヴィランには一切行動させない!!恨むなら自分を恨め、死柄木!!」

 

 既にコンプレスとマグネはミリオから痛打を貰いダウンしている。それでもコンプレスは気力を振り絞って死柄木に撤退を提案したが、彼がそれに乗る素振りはない。────そんな時だった。

 

 

 

 「……治崎、さん?」

 

 

 

 現れたのは、白髪に柘榴のような瞳を持った小さな女の子。ミリオに岩塊…壁面の破片の下から救出され、それでも未だ意識を失ったままの治崎の姿を見て動きを止めてしまっている。運の悪いことに、彼女に近いのは連合側だった。

 

 「なっ…」

 「コ、ンプレスゥゥゥッ!!!そいつだァァァッ!!!」

 

 死柄木の絶叫。少女…壊理はその声にさらに身を竦ませ、逆にコンプレスは死力を尽くして壊理を確保せんと走り出す。

 

 「させな…」

 「良いのか!?後ろのボロ雑巾を見捨てちまってよォ!!?」

 

 それを阻止しようとしたミリオだが、死柄木の台詞に動きを止め…そうになり、しかしそのままコンプレスの元に透過を応用してワープ。即座に頭を揺らして意識を飛ばした。

 

 「がッ…」

 「命を天秤にかけたなぁヒーロー気取り!!!お前のせいでこいつは────」

 「死なないよ」

 

 ミリオの動きを見てから治崎に接近した死柄木。彼を手にかけようとして────足元から突然飛び出したミリオに頬を打ち抜かれた。

 

 「ギァァァァッ!?」

 「俺の方が速い!!!」

 

 無様な叫び声と共に通路の壁に叩きつけられた死柄木。その間にミリオは壊理を保護し、治崎の元まで連れて来ていた。

 

 「君が壊理ちゃんかな?どうしてこんな時間に?」

 「……音が、いっぱい聞こえて…怖くて、目が、覚めたの。あの……治崎さん、は……?」

 

 側に倒れた彼を見て、涙を溢しながらミリオに尋ねる壊理。彼女を安心させるべく、ミリオは笑顔で答える。

 

 「大丈夫。そこまで大変なことにはなってないからね、すぐ目を覚ますよ」

 「ほんと……?」

 

 治崎は岩塊の下敷きになりながらも、大した怪我は負っていなかった。意識を失う瞬間に己の個性で岩塊をU字状に分解しており、完全には潰されていなかったのだ。

 

 「ルミリオン!!」

 「サー!!治崎と壊理ちゃんを保護しました!!連合の狙いはやっぱりこの子でした!!」

 「よし……!!良くやった…!!……凄いぞ、ミリオ…!!」

 

 そこにナイトアイも合流し、ミリオが一時的な目的の達成を告げる。1人で連合を…あるいはナイトアイの視点から見れば治崎が倒したのかもしれなかったが、とにかく敵を抑え、守るべきものを守り抜いたミリオに称賛の言葉をかけるナイトアイ。だが……戦いはまだ終わってなどいなかった。

 

 

 

 

 

 「………暴、れろ……キュレートス」

 『ヴオオオオォォォォォォォォッ!!!!!』

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