バンドリ-漆黒の竜王-(本編完結)   作:D・MAKER

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第11話です。
今回は竜騎の家族が増えます。


会長と風紀と仔猫

(紗夜視点)

 

 

「あのさぁ…俺達の言う事を聞けば問題ねぇって…な?」

 

「そうそう、ソイツが大事ならな?」

 

「っ…卑怯な、でも…“この子”の為にも…」

 

「氷川さん…ダメ、です。頷いたら…」

 

 

どうしたら良いの…。白金さんと一緒に“この子”を見守ってたら…如何にもな相手に2人掛かりで脅迫されてる。

このままだと白金さんが抱えている“この子”も危ないし…一体どうしたら…。

そんな事を考えてると…。

 

 

「「ギャアアアアア!?」」

 

「「……え?」」

 

 

何故かあの2人組は何処かへ吹っ飛んでしまった。一体何が起こったのかと思ったら…

 

 

「2人共…大丈夫?」

 

 

そう、其処には辰巳さんが居た。どうやら彼が助けてくれたらしい。

 

 

「……は、はい。危ない所をありがとうございます、辰巳さん」

 

「ありがとう……ございます。……でも、あの人達……大丈夫、なんでしょか……?」

 

 

突然の出来事で思わず唖然とした私と白金さんでしたが、お陰で助かりました。

 

 

「まぁ、法律に触れる事はせずに撃退してるから大丈夫」

 

「もしかして、何時もの、でしょうか…?」

 

「恐らく、白金さんの言う通りかも知れません…(汗)」

 

 

辰巳さんの事なので、恐らく何時もの撃退の仕方でしょう…。そんな事を考えてると、辰巳さんの足元には、何時の間にか白金さんが抱えていた“あの子”が居た。

 

 

「にー」

 

「あ、仔猫…誰かのペット?」

 

「いえ、親と逸れていたのか、弱って、たんです…」

 

「それで、私が仔猫用の餌を買ってきて白金さんが先程から面倒を見ていたんですが……そうしたら、さっきの人達がこっちに来て、仔猫にひどいことをされたくないなら、私達に付き合えと…」

 

 

そう、白金さんと一緒に先程から面倒を見ていた灰色の仔猫を守ってた。この子はまだ、生後1ヵ月過ぎ辺りかしら…。

 

 

「わぉ、撃退が遅れてたら大事にもなってた…。間に合って良かった。う~ん、さっきの撃退の仕方じゃ温かったかな?」

 

「い、いえ…十分に助かりましたよ?」

 

「えぇ、今回は大丈夫でしたし…」

 

「にー」

 

「お、擦り寄って来た」

 

 

仔猫は辰巳さんに擦り寄ってた。

 

 

「…この子、竜騎さんに…懐いてます…ね」

 

「辰巳さんは動物にも好かれてますね…。私は触れようとした時、怯えられてました(汗)」

 

「え、そうなの?」

 

「氷川さんは……その、緊張してるのが、この子に伝わったんじゃ、ないかと……思います」

 

「……その、こういう小さい子って、どう触れればいいか分からなくて……ケガとか、させたらまずいですし……」

 

「成程…」

 

「……ふふっ……」

 

「な、なんですか白金さん。辰巳さんも、そんな目で見ないでくださいっ/////」

 

 

真剣に話していると言うのに、2人揃って…

 

 

「にー?」

 

 

仔猫は辰巳さんを見ながら首を傾げてる。すると、彼は仔猫を抱き上げて…

 

 

「じゃあさ、家に来る?」

 

「にー」

 

 

仔猫は理解したのか、鳴いて直ぐに返事をした。

 

 

「え……竜騎さん、いいんですか……?実は 私の家、猫アレルギーの人がいたから、どうしようかと……」

 

「このまま放置すると、また酷い目に遭う可能性もあるからなぁ。俺の両親は動物好きだし、俺のアジトで飼うのは問題無いよ」

 

「……それは、助かります。私も飼うのは問題ないんですが、妹が振り回さないか、心配なので……」

 

「妹さんって言うと、もしかしてアイドルの?」

 

「はい、Pastel*Palettes の氷川日菜です」

 

「……パスパレ、か…」

 

「辰巳さん?」

 

「……いや、何でもないよ」

 

 

辰巳さんは何か思い出してた様だが、余計な詮索はしない事にした。

 

 

「さて、今日から家族だな、宜しく」

 

「にー、にー」

 

 

胸に抱えられ、嬉しそうに鳴き続ける仔猫。その光景を私達も微笑ましそうに見た。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『氷川家:紗夜の部屋』

 

 

 

「お姉ちゃん!!変なのに襲われたって本当なの!?」

 

「日菜、いつも言うけどノックくらいして!?」

 

 

その日の夜、妹の日菜が何時も通りノックをせずに入って来た。

 

 

「大丈夫だったの!?」

 

「大丈夫よ、ちょっと危なかったけど、途中で辰巳さんが助けてくれたから何とも無かったわ」

 

「そっか、良かったあ!」

 

「分かったら、離してくれる……」

 

「えー? いいじゃん、もうちょっとお姉ちゃんにくっつかせてよー」

 

「ひ、日菜!? ああもう、悪ふざけは程々にしなさいって!」

 

「あたしは本気だもーん! るんっ♪ てするもん!」

 

 

そう言って日菜は何時もの口癖を言う。

 

 

(……良くも悪くも真っ直ぐなのよね、この娘は)

 

 

好意も指摘も、怖いくらい真っ直ぐ。昔はそれが疎ましくて仕方なかったが、今はその好意が、嬉しくもある。もちろん、妹の才能が羨ましくないと言えば、嘘になる。まして(私から見て)何でも出来る『あの人』と自分を比べてしまうのは、仕方のないことだ…。

 

 

(もし、日菜と和解する前にあの人と会っていたら……)

 

 

きっと日菜と同等か、それ以上の醜い感情をぶつけてしまっただろう。

 

 

(あんな優しい人に嫉妬をぶつける……我ながら、そうならなくて良かったと思うわ)

 

「……んー?」

 

「……どうしたの? 日菜」

 

 

引っ付こうとするのをやめ、じっとこちらを見つめてくる日菜。顔が近いというか間近なのだが、最近慣れてきている自分がいることを自覚した。

 

「んー、何というか……お姉ちゃんからるんっ♪ って感じがするんだよねー。あたしじゃなくて、さっき言ってた辰巳さんのことかな?最近、良く聞くし」

 

「……よく分かるわね」

 

「ねーお姉ちゃん?」

 

 

勘の良さというか、とにかくそういうものに感心していると、

 

 

 

 

 

「もしかしてお姉ちゃん、その人のことが好きなの?」

 

 

 

「!?…ケホッ!ケホッ!」

 

「お、お姉ちゃん大丈夫!?」

 

 

貴女の所為でしょ…とツッコミを入れたい所だけど、止めた。

 

 

「大丈夫よ…予想外の質問に少し驚いただけ」

 

「本当? それなら良かったあ……で、どうなのお姉ちゃん?」

 

「え……ちょっと、そんなに聞きたいの?」

 

「だって、お姉ちゃんからるん♪ って感じがするんだもん! お姉ちゃんが嬉しいなら、あたしも嬉しいしー♪」

 

「分からないわよ……」

 

 

赤い顔を誤魔化すように一度深呼吸をし、落ち着かせる。

 

 

「……辰巳さんのことは尊敬しているし、友人として好ましいとは思っているわ。ただ、異性として好きかというと……違うわね…」

 

「あれ、違うの? 」

 

「違うわね。大体、あの人には……今井さんがいるから、入り込む余地なんてないわよ」

 

 

一瞬、湊さんや宇田川さん、戸山さん達の顔も浮かんだが、ややこしくなりそうなので濁しておく。

 

 

お姉ちゃんは遠慮しすぎだと思うよー」

 

「あなたはもう少し遠慮を覚えなさい」

 

 

これは心から何時も思うことである。

 

 

「……」

 

 

まだ聞きたがる妹を部屋から追い出し、私はベッドで横になって枕を抱えながら、先程の話を思い出す。

 

 

(本当、いきなり過ぎるのよあの子は。私が、辰巳さんを好きなんて、そんな……)

 

 

練習時の真剣にギターを奏でる顔、今井さんや私達に向ける優しい顔、危ないところから救ってくれ、自分のために怒ってくれた顔……

 

 

(……え?)

 

 

胸に手を当てると、落ち着いたと思った鼓動が、また早鐘を打ち始める。それを感じながら、最近は彼のことばかり考えている自分がいることを自覚した。

同時、今井さんや湊さんが彼と楽しそうにくっついている時、言葉にできないわだかまりを感じている事も。

 

(……そっか、私は)

 

妹の言葉ではあったが、自覚した、自覚してしまった。

 

 

 

私、氷川紗夜は …辰巳竜騎さんに…どうしようもなく恋をしているのだと。

 

 

(……どうしよう……)

 

 

思い返すのは妹の何気ない言葉。

 

 

『お姉ちゃんは遠慮しすぎだと思うよー』

 

 

それは暗に、遠慮することはないと言っているのだろう。

 

 

「……無理よ、そんなの」

 

 

枕をより強く抱きしめる。結局どうすればいいのか、その日答えは出なかった。

 

 

 

(紗夜視点END)

 

 

 

第11話:完

 

 

 

 

「竜騎と…」

 

 

 

 

 

 

 

「リサの…」

 

 

 

 

 

 

 

「「今日のカード紹介コーナー!!」

 

「今日紹介するのは、“スクイブ・ドロー”!」

 

「魔法カードの紹介は初だね!確か速攻魔法だったよね?」

 

「そう、セットしてれば相手ターンでも使えるんだ!自分の“ヴァレット”を破壊して2枚ドロー!」

 

「破壊されたヴァレットの効果も使えるから、展開と補充の2つが出来るね!」

 

 

「次回!想いを旋律に乗せて…!」

 

「え?嘘…(汗)」

 

 

 

おまけ

 

『竜騎と人間関係③』

 

 

美竹蘭

 

 

Afterglowのギターボーカル。竜騎が“漆黒の魔竜”だと見破る。その後は何度もコーチになる様に頼んでいる。

有咲同様に竜騎に対してはデレる。

 

 

 

青葉モカ

 

Afterglowのギタリスト。竜騎とはコンビニで出会い、リサから竜騎の話を聞いていた。

竜騎に引っ付く事もあり、一緒に美味しいパン巡りをしたいと言う願望も。

 

 

 

上原ひまり

 

Afterglowのベーシストでリーダー。竜騎に一番ベタ惚れしており、竜騎にあの手この手でアピールしているが、毎回失敗に終わる。

『Afterglow』内での『漆黒の魔竜』ファン1号。

 

 

 

宇田川巴

 

Afterglowのドラマー。竜騎とラーメンを食べる機会があり、竜騎を兄貴分としても尊敬している。

最近、過去の竜騎のデュエルを見て勉強してるとか。

 

 

 

羽沢つぐみ

 

Afterglowのキーボーダー。竜騎にクレーマーから助けて貰って以来、竜騎に珈琲を淹れたりして距離を縮めている模様。

『Afterglow』内での『漆黒の魔竜』ファン2号でもあり、2年前からデュエルでの竜騎の活躍も観ており、Afterglow内ではデュエルに詳しい方。

 

 

 

『呼び方・呼ばれ方③』

 

 

蘭:竜騎さん   竜騎:蘭

 

モカ:リューさん 竜騎:モカっち

 

ひまり:竜騎先輩 竜騎:マリ

 

巴:竜騎さん   竜騎:トモ

 

つぐみ:竜騎先輩 竜騎:つぐみん

 

 




ご観覧ありがとうございます!
次回、“あるキャラ”が爆弾発言します…。
そして…新キャラも…?

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