ある都市伝説が広まる所から始まります。
とある町の夜…
パラリラパラリラ~♪
「ヒャッハー!!」
「バイクが通るぜ~!」
今時になって古臭い“暴走族”が夜の街を騒がせている。こんな真夜中に五月蠅くされれば近所も黙っては無いだろうが…。
「総長!今日もテンション上がってやすねぇ!!」
「バッキャロウ!!俺達に敵う奴なんざ居ねえんだよ!!」
ギュイイイイン
「ん?おい、何か言ったか?」
「え?何も言ってませんぜ?」
「な、何か光った!?」
「あん?…何だ?」
そこには何か赤い光が2つ…更には…
ギュイイイイイイインン
「ギャアアアアア!?」
「か、怪獣だああああああ!?」
「に、逃げろおおおお!!」
大きな音を鳴き、暴走族達は転倒し、バイクを置いて逃げて行った。更に偶然にも警察に捕まったと言う不運の連続だった。
そして、今回の話は…“この事で広まった都市伝説”から始まる。
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『美咲視点』
「これはきっと、“ミュッシー”よ!!」
「ミュッシー?面白そう!」
「は?いやいや、何それ!?」
花咲川女子学園で昼休憩で…私、奥沢美咲は“弦巻こころ”の発言に困惑している。(何時もの事だけど)
「そもそもこころ、ミュッシーって何?」
「音楽の精霊と呼ばれる謎の存在よ!音楽を聴かせたら願いが叶うって言う噂もあるのよ!」
「今、とっても有名な都市伝説だよみーくん!」
「そんなのあるの!?まさかとは思うけど……」
「えぇ、今度の休みに探しに行きましょう!世界中を笑顔してってお願いをするのよ!」
「流石こころん!」
「いやいや、急過ぎるでしょ!?」
やっぱりこうなるオチか…。どうせ花音さんや薫さんも誘って、全員で行こうってオチ何だろうな…。
「そうだわ!この際だから“漆黒の魔竜”も呼んだら楽しくなるわ!」
「ソレ良いね!」
「はい!?」
え?漆黒の魔竜って、Roseliaやポピパとコラボしてりしてるって言う、あの有名な仮面のソロバンドを!?
私もファンだから嬉しいと言えば嬉しいけどさ…。
「ミュッシーが恐竜やドラゴンだとしたら、ドラゴンである漆黒の魔竜が一緒なら見つけられるかも知れないわ!」
「いやいや、どう言う根拠!?そもそも、漆黒の魔竜は竜の仮面を付けてるだけで人間だから!!第一、正体だって分からないんだし…」
「大丈夫よ、私は去年会ってるし正体だって知ってるもの!」
「え?…えええええ!?」
「こころん、会った事あるの~!?」
正体を知ってる……!?だって、実際にファンが正体を探ろうとしても…本人はライブが終わると何時の間にか消えるし、インターネットやSNSで探しても全然分からない位だよ?
「あ、そう言えばみーくんは漆黒の魔竜さんに会いたいって言ってたもんね!」
「ちょっ、はぐみ!?今ここで言わなくても…」
「そうなの?大丈夫よ美咲!必ず来てくれるわよ!」
その自信は何処から来るの?と何時も思うが、でも…こころなら本当にやりかねない…。
「そ、そう…」
でも、会えるのなら会えるで嬉しい私であった…
(美咲視点END)
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(竜騎視点)
「一通り、こんな所かな?」
『はい、デートスポットには最適かと思います」
「にー」
今日の俺は、リサとのデートを計画にドラゾーとムーナを連れて水族館に来ていた。(犬や猫は連れても大丈夫との事)リサにはデートの話を出しては居ないが、きっとリサなら喜んでくれるだろう。そ思って、今はデートスポットになりそうな場所を時々偵察に行く。
「と言っても、カップルも何組かは居るな…。」
『そうですね、平日の放課後とは言えカップルが居ますねぇ…』
「にー」
俺の場合は、彼女は今日居ないにしても、ロボットと猫を連れて来てると言う。正直浮いてる気がするが…そんな時だった…。
「ふえぇ、ここどこぉ……?」
水色の髪の少女が目に入ったというか、明らかに涙声で周囲を見回し困っている様子だったからだが。
『マイロード、どうされますか?』
「放って置く訳にもなぁ…」
「にー」
取り合えず、水色の髪の少女の元まで歩み寄ってみるか。
「どうかしたの?」
「ふぇ…?」
『何かお困りの様でしたので、お声を掛けさせて頂きました」
「にー」
「ふぇ…?えっと…ロボットに仔猫ちゃん…???その……千聖ちゃ、友達と待ち合わせしてるんですけど……クラゲコーナーってどこか、分かりますか?」
(千聖…パスパレのチサの事?)
思いっきり知り合いと同じ名前に内心首を傾げるが、わざわざ言い直したのだから聞くことでもないだろう。そうして彼女の言うクラゲコーナーを調べていたのだが…
『ここから真逆の様ですね』
「にー」
「そ、そうですか……」
ドラゾーがはっきり告げると、少女は目に見えて落ち込み始めた。
(迷子……だよな、どう見ても。極度の方向音痴なのだろうか?)
同年代の少女に対して失礼な予想だが、出会った時の態度といい今の自信なさげな様子といい、そうとしか判断出来ない。
(……まあ、放っておく訳にもいかないなぁ…)
これ以上女性の知り合いが増えるとリサまた嫉妬するかもしないが、人助けだから仕方ないと割り切ることにしよう。うん、しよう…。
「良かったら、そこまで案内るけど?」
「……え? で、でも、迷惑かけちゃいますし……それに、お友達がいるんじゃ……」
「今日は下見で来ただけなんだ。連れてるのはお手伝いロボットと仔猫だけ」
「にー」
遠慮がちに顔を伏せて言う少女に対し、出来るだけ優しい声音で問題ないと告げる俺。少女はそれでも葛藤があるのか唸っていたが、
「じゃ、じゃあ……よろしく、お願いします」
「うん、お願いされた。ドラゾーはサーチを頼む」
『了解しました』
最終的には折れて、申し訳なさそうながらも頭を下げた。そうして俺自身が先導でクラゲコーナーへ向かったのだが想像以上に少女が方向音痴だったため、その度にドラゾーが上空から探し出して、思ったより時間が掛かってしまった。
「あう、本当にごめんなさい……」
「気にしないで。とりあえず、もう少しで到着ーー」
『あ、居ました』
「ーー花音! それに竜騎さん!?とドラゾーとムーナまで…」
「! 千聖ちゃん!」
(……やっぱりチサだった)
目的の人物ーーパスパレのベース担当にして現役アイドルの白鷺千聖(流石に軽い変装はしている)がこちらに驚いた様子で近寄り、それに花音と呼ばれた少女は花が咲いたような笑顔を浮かべ、俺の前に出ていく。
「千聖ちゃんごめんね、遅くなっちゃって」
「ううん、私もごめんなさいね。分かりやすいよう、入口で待ち合わせにすれば良かったのに。それで、竜騎さんに案内して貰ったの?」
「うん、迷ってるところに声かけて貰って。……あ、親切にありがとうございました。千聖ちゃんのお知り合いですか?」
「あーうん、ちょっとした知り合いで…」
「ええ、よーく知ってるちょっとした知り合いよ何せ…」
「チサ、それ以上は……(汗)」
意味深な笑みで自分達の関係を告げるチサに、隠し事をしていた俺は焦って止める。
竜騎の表情を見て「冗談よ」と悪戯っぽい笑みに変わるチサ。花音が不思議そうに首を傾げているだけで、何も聞いてこないのは幸いだった。
「でも、助かったわ。今度お礼させて貰うわね」
「あ、私もさせて下さい…」
「いいよ、たまたま見かけただけだしな。気にしないでくれ」
「お礼は遠慮せず、受け取るものよ?」
「いやまあ、そう言われるとそうなんだが……」
『マイロードにも、色々とございますので…』
「にー」
またリサが暴走してしまうのを考えると、申し訳なく思いながらも素直に頷くことができなくなってしまう。
チサも俺の態度から何となく察したのか苦笑し、機会があればお礼をさせて頂戴と言い直してから、花音を伴って去っていった。
「……帰るか」
『はい』
「にー」
チサ達とは反対方向の出口へ向かう中、竜騎が思い出すのは、案内した花音という少女の事。
(確か…ハロー、ハッピーワールドのドラム……だったよな)
Circle を拠点とするガールズバンドの一つであり、リサ達から聞いたぶっ飛んだ逸話を思い出す。
「……また何か起こりそうだなぁ」
そう思って俺はドラゾーとムーナを連れて帰宅する。
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『羽丘女子学園』
「はい竜騎、あーん」
「あむ。うん、相変わらずうまいな」
「ホント? 良かったー♪」
現在、昼食中の俺達。リサが作ったお弁当を俺に食べさせてる所。周りから見れば砂糖製造機になってしまうのかも。
「……ところでリサ。近い、というかくっ付きすぎじゃないか?」
「え? これくらい普通だよ♪それとも、竜騎はアタシがくっついてるの、嫌……?」
「……その聞き方は反則だろ。嫌じゃない、寧ろ嬉しいさ。ただ、ちょっと恥ずかしいだけで///」
「ふふ、なら良かった♪」
「……湊さん、アタシ達リサさんに無視されてませんか…?」
「私達……蚊帳の外ですよね…」
「無視というより、竜騎に夢中で他が見えてないのよ。昔からそうだったわ」
最初は約束していた俺とリサ、ゆきの三人だけだったのだが、偶然通りかかったアフグロの面々も加わることになる。
「んふふー♪」
「ちょ、リサ、食べづらいって……」
最初はゆき以外の面子が集まって不満そうにしていたリサだったが、俺とくっついていて満足したのか、今は上機嫌である。
「昼食中に失礼、お似合いのお二人。ちょっといいかな?」
「ん?」
女子にしてはイケボと言っていい声が聞こえて振り返ると、そこに立っていたのは、芝居がかった表情でこちらを興味深そうに見ている女子生徒。
「あ、薫じゃん。どうしたの?」
「確か、瀬田薫さん……だったよね?」
「覚えててくれて嬉しいよ、辰巳竜騎くん」
「まあ、何時も目立ってるから……」
目の前の彼女のファンなのか、女生徒に囲まれて黄色い歓声を受けている姿を度々目にすれば、覚えてしまう。
「改めて瀬田薫だ、以後お見知りおきを。演劇部に所属している。……いや、君にはハロー、ハッピーワールドのギター担当、と言った方がいいかな?」
「……まあ、音楽は多少齧ってるし、ハロハピのことは知ってるよ」
主にぶっ飛んだ話云々で、というのは口にしないでおいた。ちなみに、俺が他の女子と話しているとあまりいい顔をしないリサだが、
「や、やだ薫ったら、お似合いのカップルだなんて……えへへ~」
瀬田さんから、お似合いという言葉が気に入ったのか、顔を赤くして締まりのない笑みを浮かべていた。
「ふっ。リサの反応、とても儚いね……」
(儚い……? どこに儚い要素が?)
ツッコミを入れるべきか迷う俺だけど、大して意味がない気がするので、心の中にとどめておいた。
「それで瀬田さん、俺達に何か用?」
「っと、そうだった。すまないね、時間を取らせてしまって。君達、というより漆黒の魔竜に伝えて欲しいことがあるんだ」
「……はい? 漆黒の魔竜に?」
一瞬正体がバレたのかと思って焦ったが、瀬田さんの話からして俺=漆黒の魔竜と思われているわけではないらしい。
「ああ、ウチのお姫様ーーこころからでね。『ミュッシー』は知っているかい?」
「ミュッシー? アタシは知らないけど、竜騎は?」
「一応、最近噂になってる音楽の精霊だって…、噂では音楽を聴かせると願いが叶うとか…」
正直、願いが叶うって噂は怪しいと思うのだが。リサは「動物かな? どんな子なんだろ?」と興味はあるようだ。
「そう、そのミュッシーさ。ハロハピのメンバーで今度探しに行くんだが、お姫様が漆黒の魔竜を誘わないかと言っているんだ」
「……え? なんで?」
そう言えば、去年偶然にも彼女に会って…その時に正体がバレたけど、内緒にして貰ってたなぁ。
リサの目が冷ややかなものになってる(汗)しかし瀬田さんは気付いていないのか気にしていないのか、変わらず大仰な仕草を交えながら…
「ミュッシーの正体は竜に近いものだと言う説があるから、同じ竜が出会えたらとても儚いことになるから、と言っていたよ」
「「…………?」」
よく分からない理由に怒りも吹き飛んだのか、リサと二人顔を見合わせて首を傾げる。少し離れたところにいるゆき達に視線を向けるが、無言で首を横に振られた。
言いたいことは言ったのか、「良い返事を期待しているよ」と瀬田さんは背を向け去っていった。
「リサ……ハロハピのメンバーって、みんなあんな感じ?」
「いやあ……花音とか美咲は全然普通だよ?……で、竜騎どうするの? 行くの?」
「行く理由はないんだが……なんか、行かなくても巻き込まれる気がする…」
「あー……まあ、こころだしねえ」
(それで納得して良いのか…)
周囲を見渡してみれば、皆…リサと同じような表情になっていた。
(竜騎視点END)
第15話:完
「竜騎と…」
「リサの…」
「「今日のカード紹介コーナー!!」
「今回は“デモンズ・チェーン”!」
「対象のモンスターの効果を無効にして、攻撃も封じてしまう永続罠!」
「場にある限り、ずっと続くから対象になったら厳しい状態になるよ!」
「ただし、サイクロン等の破壊効果には注意が必要だよ☆」
「次回、ミュッシー探検隊:前編!……わぉ…何だこのカオス…(汗)」
おまけ
『竜騎と人間関係④』
丸山彩
Pastel*Palettesのボーカル。竜騎が漆黒の魔竜で無いかと見破った。
失敗しても竜騎に励まされてたりして、頑張っていた。
氷川日菜
Pastel*Palettesのギタリスト。双子の姉の紗夜を助けて貰って以来、気になっており、紗夜の恋の成就を応援しており、パスパレの中では竜騎をコーチになってとスカウトしている。
また、竜騎の『ヒナナ』と言う呼び方がバナナっぽくて嫌だと言っている事があるが、リサの圧力で渋々了承してる。
白鷺千聖
Pastel*Palettesのベーシスト。
竜騎(漆黒の竜帝)を先生として尊敬している。竜騎に時々、ボディガードを頼む事も多い。(理由は2人で居たいから)
大和麻弥
Pastel*Palettesのドラマー。竜騎とは機械関係の話で意気投合しており、その事で話が長くなる。
その度に千聖から抜け駆けと思われ、説教される。
若宮イヴ
Pastel*Palettesのキーボーダー。1年前の竜騎の活躍以来、竜騎を『日本のブシドーの鏡』と思っている。
またデュエリストとしての竜騎の事も尊敬しており、パスパレ内ではデュエルが1番強い。
『呼び方・呼ばれ方④』
彩:竜騎君 竜騎:彩
日菜:リュっ君 竜騎:ヒナナ
千聖:竜騎さん 竜騎:チサ
麻弥:師匠 竜騎:麻弥
イヴ:オシショー様 竜騎:イヴっち
※彩・日菜・千聖の場合、漆黒の魔竜時は先生と呼んでいる。
ご観覧、ありがとうございました!
次回はハロハピも混ざって短剣です!