またしてもギャグ回…デュエル無くてスミマセン(汗)
(竜騎視点)
今日は良い日だ。ああ、まさしく良い日になるに違いない。この日を待ってたのだから…この時までは、そう思った。
「なんてったって今日は、新作のカードパックの発売日なんだから、テンション上がるよね」
デュエリストとして待ちに待った日。新しいカードを手に入れるのは、それだけ自分のデッキの世界が広がるということ。それに今日はバントの練習も学校も無い日、俺の日常の中で数少ない休日、いわゆるオールフリーってやつ。今日ばかりは自分の趣味に没頭できるはずだ。
「カードパックはボックスで予約済だし、あとはバイクのチューニングを終えて……と」
俺の愛車であるバイクのメンテナンスはいつだって欠かさない。最近では俺以外の相乗りが増えているのだからなおさらだ。まあ、今日は単純に自分のテンションがあがったというのもある。やはり最高の楽しみは、最高に響くエンジンと爽快感に酔いしれたいというものだ。
「行く前に給油もしとくかな……」
『マイロード、そろそろ出発されますか?本日のお帰りは何時ごろでしょう?』
「にー」
最後にメンテナンスに使っていたスパナを工具箱に戻し、手についたオイルなどをガレージの片隅にある手洗い場で洗っていると、ドラゾーが声を掛けて来た。
「ああ、今日は早く帰るよ。ボックス買って帰るだけだし……開封作業は家でゆっくりして、その後はドラゾーやムーナとね」
『かしこまりました。ではマイロードの端末情報をもとにガレージを開けておきますね』
「にー」
「ん、頼んだ」
カードパックの開封こそ、デュエリストの神聖な儀式というものだ。未知なるカード達との出会いを求めて、パッケージを破る瞬間は本当に楽しい。なので、今日は誘いとか有っても即答で断らせて貰う。そう、断らせて貰う。大事な事だから2回言う。
「流石に……今日だけは一人の時間を楽しみたいしね」
『最近は、イロイロお忙しいですもんねぇ……』
「ま、帰って来たらその分後でデュエルしたりしよう」
『そうですね、今度こそマイロードに勝って見せます!』
フン!とちょうど鼻の孔に当たるデザインのところからエアーを吹いて、ドラゾーは意気込んでいる。
「以前よりも意気込んでるな」
『マイロードに勝つ事が出来れば、紗夜様もきっと私に…ムフフ』
「自我を持った故の欲望ね…」
ドラゾーは紗夜のファンであるが故に、もっとお近づきになりたいんだろうな…うん。
「それじゃあ行って来るよ」
『行ってらっしゃいませ…ただ…』
「どうした?」
『本日、ご自慢のバイクでお出かけになるのは無理かと……』
「今日は1日中晴れだけど…」
『あ……』
ガラリとバイクの入ったガレージのシャッターを押し上げる。青空が目に飛び込んできて、まぶしいくらいだ。雲一つないその青はまるで俺の飛翔を待っているかのようで。
「さて、聖地目指して…」
「おはようございます!竜騎先輩!!!」
「「「「おはようございます!!!」」」」
そう、この時まではね……。
「……………」
……――――――ガラガラガラガラガラ。
「えぇ!?」
「閉めちゃった……?」
「竜騎先輩、どうしたのかな?」
「やっぱり玄関からチャイムを鳴らした方が良かったかな?」
「いや、常識だろ!?流石に竜騎先輩でも驚くだろ!?」
どうしよう、思わずシャッターを閉めてしまったぞ……(汗)
『マイロード、その様な“あしらい方”はいささか……』
「あしらった訳じゃないんだ……これは、その……圧に負けたというか……」
『今日は何せマイロードにとって神聖な日、ですからね……』
「やめろ、俺が卑しい人間みたいに言うなよ……」
実際、卑しくはないが、こんな休日にまで押しかけてくるとは。ある意味では香澄ちゃん達ポピパのフットワークの軽さに脱帽する。うん、確かに今のは香澄ちゃん達だったよな……。
……―――――っていやいやいや。
そんな場合じゃない。何か用事があって来たんだろう…それにしてはウキウキしてたな。だが、俺も優男じゃない。今日ばかりは断らせて貰う。
「……ご、ごめん。ちょっと忘れ物してたのを思い出した拍子に……」
分かりやすい嘘を盾に、再びガレージのシャッターを持ち上げる。一瞬、気のせいであって欲しかったが、ウキウキした顔で俺を待っていた。
「もー、いきなりシャッターが閉まるんですからびっくりしちゃいました!」
「忘れ物の方は大丈夫なんですか?」
単純で助かった。
「あ、ああ……おはよう、皆。こんな時間からどうしたの?」
「実は、竜騎先輩に一緒に来て貰いたい所ががあって!」
「俺に?」
「はい!行きましょー!」
例によって香澄ちゃんが何時もの様に、ビッタリとコアラのようにくっついてくる。いつだって俺は彼女の“ユーカリ”になってる…。
「香澄ちゃん……くっついたら動きにくいって……」
「そうだぞ、香澄、竜騎先輩との抜け駆けなんか許さねーんだから」
……ん?抜け駆け?
「えっと……実は俺、今から行く所があって……」
有咲に何時ものように香澄ちゃんを引き剥がして貰いつつ、やんわりと視線をやる。どうやら休日にわざわざ俺の家に押しかけてきた割に、緊急性はないようだ。
「行く所?」
「ああ。俺がデュエリストなのは知ってるだろ?」
「はい!それも有名なカリスマデュエリストですよね!」
うん、ちゃんと理解してくれてる。さて、此処から大事な事だからちゃんと説明しないとなぁ。
「実は今日、俺の……デュエリストにとっては大切な日……新カードパックの発売日なんだ。予約してあるから無くなる事は無いけど、今すぐ取りに行って俺は今日1日じっくりデッキの再構築をするから行けないんだ」
「えーーーー!!来てくれないんですか!?」
「うん、行けないと言う事もあるけど…行く意思も無いんだよね。そう、行く意思もね」
「そんな2回もアッサリと言わなくても…」
「ごめんね、この間から計画してたからさ」
「予約してあるなら、今すぐじゃなくても良いじゃないですか!」
「2回目の説明になるけど、今日は1日中はデッキの調整をしたいんだよね。ドラゾーとムーナはウチの住人だから一緒に居て遊ぶくらいは……ね…」
「別にカードは逃げないんでしょう?じゃあ来てくれてもいいじゃないですか……」
「…もう1つ言えば、数ヶ月後には大会も控えてるから…本当に今日は…」
「ウチ…竜騎先輩なら絶対に来てくれると信じでたのに……」
「何だろう……正直に話したのに凄い罪悪感を感じる……」
なんか俺が悪いみたいな気分になって来た。正直に予約済なことまで言ったことが仇になったなぁ。でも…
此処は心を鬼にする。
「誘いは嬉しいけど、俺もそろそろ行かないと。じゃあ、またね…」
俺はそう言ってバイクを出そうと戻るが…
ガシッ!!
「…え?」
「一緒に来てくれるまで離しません!!」
「ええぇ!?」
香澄ちゃんが俺の後ろにしがみ付いて離れようとしない。そうしてると…
「竜騎先輩、お願いします!」
「逃がしませんよ~!」
「ちょ!?香澄ちゃんだけじゃ無くて、おたえとりーみんまで……!?」
両腕にりーみんとおたえまで一緒になってしがみ付いて来た。おいおい…これはロスタイムが出てる…。こうなれば…常識人枠の有咲とサヤに…
「えっと…有咲、サヤ…引き剥がして貰えない?」
「スミマセン、竜騎先輩!」
「今日ばかりは譲れないんです!!」
「えぇ~……」
有咲とサヤも、今回は譲れないと言い出して…身動きが出来ない状態に至る。
「参ったなぁ…」
どうしたものかと首筋を掻いていると、新たな足音が聞こえてくる。……非常に嫌な予感がする。
「あれ~?」
「ポピパが先に来てたなんて…ふふふ、儚いね」
後からやって来たのはアフグロ、パスパレ、ハロハピの面々。寄りにもよってなんでこの日なんだ。
「えっと……皆さんお揃いで……どうした訳?」
「竜騎さん、お願いがあって……」
「それならこっちも竜騎君に一緒に来て欲しいんだけど…」
「それは違うわ、リューキは私達と一緒にBBQをするのよ」
「あの……」
徐々に熱量が上がるガレージ前。いつの間にか燦燦たるメンバーで溢れ返った。観る人が見たらどういう状況かと思われるか……。
「えっと最初に来たのは私達ポピパなので!」
「でもアポとってないんだよね?」
「アポならそちらも取ってないですよね?」
「おーい……取り合えず落ち着けぇ……」
完全にヒートアップしてしまった女の子たち。誰が俺を連れて行くかで揉めているらしい。参ったな、こんなところ“彼女”に見られたら―――――……
「で?アタシ達“Roselia”を差し置いてナニをしようっていうの?竜騎ぃ~?」
「ギク!?!?」
毎回どうしてこうも間が悪いのか…。凍り付くような視線が背後から突き刺さる。背筋を走る悪寒に、思わずゾクリと肩を震わせてしまった。
「り、リサ……」
「“で?”」
ニッコリとと微笑んだ、たった一言の重圧。その冷たさに恐怖するのは俺だけでは無かったようだ。
「「「「「………………(震)」」」」」
これも何時もの如く、香澄ちゃん達も恐怖してる。
「さて、竜騎さん?」
「コレはどう言う事か、説明して貰えるかしら?」
「事の次第では…お仕置き、です…」
「りんりんの言う通りだよ!」
リサだけでは無い、ゆき達も怖い…(汗)
「じ、実は今日……」
俺は事を1から説明する事になった。
(竜騎視点END)
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(リサ視点)
「ふんふふ~ん♪」
折角の休日、アタシは何時もの様に…
「バンドの練習もバイトも無いから、今日は竜騎とランチに行って、その後は2人だけで過ごしたいなぁ♪」
アタシはルンルンな状態で竜騎の家に向かう。だけど…簡単には行かないらしい…。
「あら、リサじゃない」
「ゆ、友希那?どうしたの?」
「まさかとは思うけど…竜騎の所に行くのかしら?」
「友~希~那~?まさかとは思うけど、友希那も竜騎の所に行くって言わないよねぇ?」
「そのまさかよ。だって…」
「だって?」
「だって、竜騎と一緒に…ムーナちゃんと遊びたいんだもの」
「あぁ…そう来るか…」
友希那の場合はムーナも目的の1つかぁ。まぁ友希那だもんね……そう考えてたら……
「今井さん?湊さんも…?」
「何してるの~?」
「もしかして…お2人も、竜騎さんの…所に?」
「燐子!?紗夜とあこも…」
紗夜とあこ、燐子まで〜!?皆、考えてる事は一緒って事かぁ…。
「まぁ、折角だし皆で抜け駆け無しで竜騎と過ごすって事で良いんじゃないかしら?」
「そうだね~、喧嘩とかになっても竜騎が困るもんね~」
「では、竜騎さんの所に行きましょうか」
と言う形でRoselia全員で竜騎の家に行く事になったんだよねぇ。。は~、折角2人きりになれると思ったのに~!
ん?竜騎の家の前が騒がしいね…どうしたんだろう?
「おーい……取り合えず落ち着けぇ……」
竜騎と香澄達や他のバンドの娘達が居た。何で竜騎の所に!?しかもあんな大勢で!?
「で?」
いけない、いけない。竜騎を怖がらせちゃったかなぁ?でも、竜騎の家に来たら、ほかのバンドメンバーが勢ぞろいしてるんだもの。しかも、ポピパのメンバーは竜騎にくっ付いてるし。一体アタシという存在が居ながら竜騎は何を考えているんだろう?
「と、言う訳で……お誘いは嬉しいんだけど、今日はどうしてもカードショップに行きたいから……パス」
今日は久々の休日で新作カードの予約をしていたということ。カードパックの開封とデッキの再構築の時間が欲しいということ。そう言えば、竜騎はカリスマデュエリストでもあったから、数か月後は大会とかあるもんね。
ゆっくりと話す竜騎の説明を、漸く聞いた面々。なーんだ。竜騎が呼んだわけじゃないんだね。安心安心☆
「確かに最近、竜騎さんお休みなかったですもんね。今日くらい好きなことさせてあげては……?」
漸く竜騎の予定を理解したらしいそれぞれの中で、紗夜が口を開く。
「そうそう、竜騎のせっかくの休みを邪魔するなんてアタシ以外許されないんだから☆」
「え~、でも……お休みじゃないと私たち相手してもらえないじゃないですか……ずるいです」
「そうね……コラボもそうだけど、確かに一部ばっかり仲良くするっていうのはちょっとずるいかも…」
…………何でそうなるのかなぁ?
「でも、アタシたちも竜騎とどうこうしようなんて思ってないよ?まあ、お昼くらいどうかなって思ったけど……」
「だから、それがズルいんだってば~」
アタシが竜騎の彼女なのに何がずるいっていうの?次第に苛々とした怒りが湧いてくるアタシを尻目に、今度は友希那が手を上げる。こういう時は味方だと思ってるよ。
「じゃあ、竜騎を一番に捕まえた人が今日一日好きにできるってことにすればいいんじゃない?」
「!?」
だからなんでそうなるのかなぁ?!前言撤回…やはりポンコツには変わりなかったかも。
「で、でも竜騎はそんなの認める訳……あれ?」
竜騎に友希那の提案を却下してもらおうと振り返るも、先ほどまでいたはずの竜騎の姿は空中でホバリングするドラゾーと抱かれてるムーナにすり替わっていた。
「あれ?ドラゾー、竜騎は?」
『マイロードなら皆さまのお話で、“捕まえた人が一日好きにできる”のくだりから、全速力で屋根からカードショップへ向かわれましたが…(汗)』
「にー」
「なっ……」
逃げちゃったら“追いかけっこ”が始まっちゃうじゃない。まあ、そうなったらアタシが一番最初に捕まえちゃえばいいだけだけど。
「やったー!じゃあ竜騎先輩を捕まえに行こー!!」
「「「「おー!!」」」」
「ちょっと!アタシを差し置いて許さないからね!!」
早速走り出す香澄達を追いかける。こうして、第一回(?)竜騎争奪戦が幕を開けたのだった。
(リサ視点END)
第18話:完
「竜騎と…」
「リサの…」
「「今日のカード紹介コーナー!!」
「今回は“DMZドラゴン”!」
「1ターンに1度、レベル4以下のドラゴン族1体を、自分フィールドのドラゴン族の装備カードとして装備出来るんだ。装備した場合、攻撃力が500アップ!」
「更に装備カードを装備した自分のモンスターが攻撃したダメージステップ終了時に、墓地のDMZを除外してから、装備モンスターの装備を全て破壊する事で、もう1回攻撃出来る様になるんだ☆」
「トドメを刺すのにうってつけの1枚だね!」
「次回、逃げる黒竜と25人の追跡者!……まだ続くの?(汗)」
ご観覧、ありがとうございます!
次回、オリ主は25人に追い掛けられます。