(竜騎視点)
「ヒックっ…イヤだよぉ…りゅうき~。行っちゃやだぁ…」
「そんな泣かれたら…俺だって…」
コレは10年も前の話になるが、仲良くしていた幼馴染の女の子が居た。その子は俺と仲が良く、よく遊んでいた。
ただ、何故こんな事になっているのかと言うと…親の仕事の都合で広島に引っ越す形となった。それを伝えると…大泣きし始めたと言う事だ。
「ねぇ…りゅうき?」
「どうしたの?」
「あのさ…アタシを…お嫁さんにして!」
突然の“お嫁さんにして発言”に…
「ク…アハハ」
「な、何で笑うの!?アタシは本気なんだよ!?」
「ご、ゴメン…いきなり結婚の話になるからw」
この時の俺は子供だった故にデリカシーは無かったなぁと、今でも思う。でも、俺はこの頃から彼女、“今井リサ”が好きだった。そしてリサの“お嫁さんにして発言”に対して俺は…
「うん、じゃあ約束する!必ず帰って来るからさ、待っててくれる?」
「うん!アタシ待ってる!友希那や竜騎のお母さんより綺麗になって待ってるから!」
もう1人の幼馴染は兎も角、何故俺の母親が出て来たのか…まぁ良いけど。
「じゃあさ、俺が作った“天使の羽のキーホルダー”あげる!次に会った時に分かる様にさ。」
「じゃあアタシもコレあげる!竜騎はドラゴンさん好きだから、“ドラゴンさんのキーホルダー”だよ!次に会う時まで持っててね!それと約束…絶対にぜ~~ったいに、マモッテネ?」
この時の俺は最後の守ってねに、違和感があった気もしたが…今でも気のせいだと思いたい。
ーーーーーーーーーーー
「ん…仮眠で懐かしい夢を見たなぁ…」
軽く欠伸をして水筒のお茶を飲みながら、鞄の中にある自分のでは無いCDを見た。
ジャケットに映っていたのは、5人の少女で結成された『Roselia』と呼ばれたおり、注目を集めているガールズバンド。圧倒的な技術力を持ち、『F.W.F』にも出場した程だ。
ボーカルとその隣に居るベーシストは誰だか直ぐに分かった。今思うと綺麗になったなぁ…“特にベースの子”は。
今でも、昔の約束を覚えてくれてるだろうか…
「さて、そろそろ仮面も付けて…コイツをギターに変えよう。」
俺が取り出したのは“デュエルディスク”。パーツを君変えると、“エレキギター”に変えた。このギターは自身で作った“デュエルディスク変形ギター”『ブラックヴルム』だ。どうしても“野望”に必要なんでな…。その時…
「漆黒の魔竜さん、準備お願いします」
「はい、行きます!」
さて、生まれた故郷での初ライブ…おっぱじめますか!
(竜騎視点END)
ーーーーーーーーーー
(リサ視点)
それは2日前の事…
「明日は練習オフだけど、何か予定有る?」
「いえ、私は特にありませんが…」
「私も特に…」
「あ、それだったらライブを見に行きませんか?」
「ライブって誰のかしら?」
「“漆黒の魔竜”です!」
「あ…そう言えば、土曜日…だったよね…」
「まさか、あの“漆黒の魔竜”が…?」
「「漆黒の魔竜???」」
明日は練習が無いから皆に予定を聞いたりしてる所、あこがライブを見に行かないかと言って来た。その人物の名は“漆黒の魔竜”(ヘイロン)と言う名前らしい。紗夜と燐子は知ってる様だけど、アタシと友希那は全然分からなかった。
「それであこ、どんな人物なの?」
「はい!すっごくカッコイイ男性のソロバンドです!漆黒の鱗を纏いし、魔の竜は…我らと…えっと…」
「共鳴する…かな?」
「そうそれ!流石りんりん!」
「…」
友希那がアタシに目配りしていた。まぁ、その説明だと分からないからなぁ。」
「あこ~、ちゃんと説明してくれないと分からないぞ~?」
「紗夜、お願いしても良いかしら?」
「え、ええ。広島県を中心に活動されていると言うソロバンドです。プロからスカウトに来る程の技量だと言う話です。ただ…」
「ただ…どうしたの?」
「顔に竜の仮面を付けていて、正体が、分からないんです…。取材しようにも…何時の間にか、居なくなってるので…謎に包まれて居ます…。あこちゃんは…すっかり、カッコイイって言ってます…」
紗夜と燐子がそこまで言うって事は、相当なんだろうねぇ。するとあこが、携帯を取り出す。
「この間のイベントライブでの映像が少しだけ出てたんです!」
あこは「どうぞ!」と言って動画を見せてくれた。
「へぇ…コレは…」
「ほうほう…凄いねぇ!」
友希那でさえも興味を示しているんだから、相当なんだろうね。アタシも思わず納得した。
「じゃあ、土曜日はこの人のライブを見に行くけど、皆はそれで良いかしら?」
「あ、それだったらチケット早く予約しないと直ぐに売り切れちゃいますよ!」
「OK!じゃあライブハウスのページで……ん?」
「今井さん…?」
「リサ姉、どうしたの?」
「え?ううん、何でも無いよ!じゃあ、予約してから当日の打ち合わせだね!」
彼を見ると、何か引っ掛かったんだけど、今はまぁ…良いかな。
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『リサの部屋』
打ち合わせが終わり、アタシはベッドに横になって枕を抱き締める。
「さっきの漆黒の魔竜って人、何だろう…懐かしいって言うか…」
あこに見せて貰った動画を見て、何だか落ち着かなかった…
「竜騎…なのかな…?」
そう思いながらアタシは携帯に付いている“天使の羽根のキーホルダー”を見る。コレは再会の約束とも言える大事な物。今までバンドでも部活でも、アタシにとってのお守りなのだから…。
「10年も長かったなぁ、竜騎…まだ迎えに来てくれないのかな?早く会いたいよ…」
そう言いながら、アタシは彼を…竜騎を思う。ねぇ竜騎、アタシは今でも頑張ってるんだよ?アタシとの約束…覚エテル…ヨネ…?
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『ライブハウス』
さて、当日のライブにやって来た。どうやら順番によれば次らしい。
「目ぼしいバンドは特に居ないわね…」
「友希那は変わらず厳しいねぇ」
「今井さんも、特に興味を示してなさそうですが…」
「え?…そうかなぁ?」
「もしかしてリサ姉、漆黒の魔竜に惚れたとか?」
「あ~こ~?アタシをからかってるの~?」
「そ、そうじゃないよ~!?」
「今井さん…?どうか、しましたか?」
「え?…いやぁ、アハハ…本当に何でも無いからさぁw」
「…?」
「あ、出て来るみたいですよ!」
あこが言うと、本命の“漆黒の魔竜”が出て来た。本当に仮面を被ってるし、鱗の様な模様と丈の長いコートも羽織ってた。持ってるギターは随分と変わってるけど、特注かな?
「黒く染まったこの鱗、竜の咆哮がビートを刻む!初めまして、そしてお久しぶりの方はお久しぶり。俺の名は“漆黒の魔竜”!窮屈な音楽の息の根を止める黒竜だ!!」
『キャアアアアッ!!』
『漆黒の魔竜様~!!』
『私の息の根を止めて下さ~い♡』
息の根を止めるとか、随分と変わった台詞だなぁ…。そしてファンが様を付けたり、自分の息の根を止めてくれって…。でも、何あろう…彼が他の誰かにチヤホヤされてると…胸が締め付けられる…。
「何だか今までに無いタイプですね…。」
「そうね、彼はどれだけの実力かしら?」
「あ、始まり、ます…」
紗夜や友希那も不思議に思いながら言う。そして燐子が始まる事を教えてくれた。
「それでは1曲目、------です!」
「♪~♪♪」
「コレは…」
「す、凄い…」
歌もそうだけど、ギターの腕も相当だった。友希那と紗夜も必死に聴いてるから相当なものだった。
そしてラストまで続き、彼のライブで今回のイベントは幕を閉じた。終わった後に…
「りんり~ん、凄かったねぇ!」
「うん、カッコ良かったね…」
「彼1人であの技量と歌唱力、私達5人分に匹敵しますね。もしくは…それ以上でしょうか…」
「でも、私達だって頂点を目指してるのよ。…リサ、どうかしたの?」
「え?な、何の事かな?」
「一昨日から、ずっと考え事してたから…気になったのよ」
「友希那~、アタシの事を心配してくれてるの~?」
「ちょ、ちょっとリサ…、そんなにくっ付かなくても…」
「嬉しい事言うからさ~、ホレホレ~♪」
「も、もう…」
「今井さん、湊さん…イチャイチャするのは家でして下さい…」
「私は別に…」
「ふふ……!?…今井さん、後ろ…!」
「え?…イタッ!?」
燐子がアタシに言った瞬間に、誰かが後ろからぶつかって来た。
「今井さん、大丈夫ですか!?」
「う…うん、大丈夫…アレ?アタシのバッグは!?」
「え?さっきまで…」
「あーーーーーー!?」
「宇田川さん、どうしたの?」
「…!!アタシのバッグ!?」
「え、リサ!?」
「今井さん、待って下さい!!」
「リサ姉!1人じゃ危ないよ~!」
「引ったくり…」
アタシは友希那達の静止を聞かず、引ったくりを追い掛ける。
「待って!返して!!」
「げっ!?追いかけて来やがった!!」
引ったくりはアタシが追い掛けてる事に気付いて、更に足を速くする。だって、あのバッグには…“大事な約束”が…
(リサ視点END)
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仮面を付けたままライブハウスを後にしようとする竜騎。
「ん?騒がしいな…」
何やら入口から少し離れた場所でザワザワと騒々しい。
「引っ手繰りだってよ…」
「しかも被害に遭ったのって…」
「うん、Roseliaのベースの子じゃなかった…?」
Roseliaのベーシスト、間違い無くリサだと言う事が分かった。
(リサが引っ手繰りに…犯罪者ってのは、本当に存在自体が鬱陶しいなぁ…)
そう思いながら、瞬時に仮面を取ってバイクに跨り、ヘルメットを被る。
(リサは…俺が守る!)
竜騎は約束した人の元へ、バイクで掛ける。
第1話:完
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「次回、黒竜と女神の再会!遂に再会するんだなぁ……俺達」
第1話、ご観覧ありがとうございました!
次回はリサと再会です!(他のRoseliaメンバーも会います)