トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第10話 鬼姫の休息

悠一Side

 

出雲奪還作戦終結から一ヶ月後

崇宰家次期当主である崇宰恭子は作戦遂行中に戦車級に喰われる寸前に俺は彼女を救助した。

が、その代償に戦車級に喰われそうになったトラウマを植え付けられ精神不安定に陥り戦線から退き休息の時を過ごしていた。

「……」

ここ第二首都として機能を始めた東京

その大学病院の病室で恭子は病室の窓で一つの木がある葉っぱを見つめていた

自分の命が散る時はその葉っぱが落ちた時だと自分で解釈し悟る

文部省唱歌の1つである『故郷』を口遊む

それだけではない、精神的ショックから幼児レベルへの精神退行を起こしてしまった。

欺衛軍衛士以前に崇宰家次期当主としての崇宰恭子はいない

今の彼女はただのか弱き女性だ。

業務をひと段落した佳織は病室に入り恭子の見舞いに来ていた

「恭子様……」

どこか寂しげな表情を浮かぶ

今の恭子を見た佳織は嘸無念と思ったのだろう

「……御守り出来ず大変申し訳ございません。一足早ければ私が助太刀していましたが状況が状況だったので無念としか言いようがありません故」

恭子は観察と好奇心と、信じる気持ちと、疑ってみる精密さの入りまじった表情をしつつ佳織の顔を見つめる

「恭子様?」

「お…父、様…」

「え?」

恭子は佳織の事を父親と思い込む

当然ながら佳織は困惑する

「何を……言って、るんです……か……?」

恭子は突如佳織に抱き着き甘えてきた

「怖かった……」

目を瞑り涙を流しながら佳織の事を「お父様」と思い込んだ。

「何を言ってるのですか!私は如月佳織中尉です!貴女の……」

恭子は幼い少女みたいな表情で駄々捏ねるように佳織を抱き締めそのまま号泣した

「怖かった、私…BETAに喰われそうになって……死ぬかと思った!うぅ…うあああああああああん」

佳織は困り果てつつ冷静に振舞い恭子を抱き締め背中を擦る

「もう安心してください、ここにはBETAはいないですし何より恭子様が生きて帰ってきてくれただけで私はとても嬉しく心の底から思ってます……」

佳織も涙を流しつつその表情は悔しいと表現してる顔だ。

後から来た唯依が病室に入り今の恭子を見て顔面蒼白しつつ驚愕しながら手で口を覆い涙を流し始めた

「恭子様、唯依は……唯依は…何も、出来ません……でした。悔やんで悔やんで悔やみきれない程…あぁ、良かった…恭子様が生きて帰ってきてくれて唯依は、とても…嬉しゅうございます…」

この病室は個室でありの中にいるのは恭子含め佳織と唯依の3人

2人共、泣き続け涙が止まらなかった

俺はと言うと病室の前で上総と話していた

「それでお医者様から何を言われたんですの?」

病状は精神疾患、幼児退行、記憶喪失

「山城、恐らくだが崇宰大尉はアンタの顔や名前は憶えて……ないんだ」

「ど、どういう事ですの?」

元の凛々しく気高く美しい顔を持つ女傑衛士に戻る可能性は低いとは言えない

50%確率だ。

「米子での戦闘で戦車級に喰われる寸前にトラウマを植え付けられて精神疾患発症して幼児退行、記憶の一部分が喪失したらしい」

残念だがこれは事実だ

「そんな……では崇宰大尉は」

「最悪の場合だが、衛士としての生命は途絶える。引退しそのまま生涯隠居生活を全うするだろう」

無事病気は改善し衛士として復帰する事を願ってるんだ

そう簡単に倒れる女じゃないだろ!恭子

皆、戻って欲しいと願ってる

斑鳩少佐もそうだ

彼も恭子の事心配しているに違いない、多分。

他の連中はどうだろう……上層部は重く受け止めているだろう

特に帝国軍本土防衛軍にいる鈴乃は複雑な心境になっている

都の死と駒木の件もあるが、今はそれどころじゃない

「大丈夫だ、崇宰大尉は必ず戻ってくる。必ずな」

俺は確証もないのに咄嗟に「大丈夫」と一言で添え上総を宥める

「……鬼姫は永遠に不滅……その血を分け与えたとしても彼女の意志を本当に信用できるのみの人間を継がせ永遠に刻む」

「何でもありませんわ、お気になさらないでくださいまし」

どういう意味か分からないが何となく察した

恭子が死んでも後に受け継ぐ者はいる。

鈴乃が恭子がいる病室の前に来て俺に話しかける

帝国軍に戻ったんじゃねぇのか?

「豊臣、崇宰大尉の容態はどうなの?」

「ああ……」

辛い……恭子があんな風になって俺は情けねぇよ

「自分を責めるな、貴方の所為じゃない」

そう言って両手で俺の肩を触れる

鈴乃……お前は優しいな

その目は、近所にいる母性溢れる包容力がある女性だ

「さっき、駒木と会った」

「え?駒木と会ったのか?」

鈴乃は頷く

「戦略研究会って知ってるか?」

……何だったっけな、ダリルの会話を思い出したが……彼奴は言及していない

俺は首を振った

「そうか、知らないなら教える。戦略研究会は帝国軍将校による勉強会よ」

勉強会か……。

「その主宰を務めてるのは、帝国本土防衛軍帝都防衛第1師団・第1戦術機甲連隊所属の沙霧尚哉大尉だ」

鈴乃は俺に向け真剣な表情になり淡々と話し続ける

「勉強会と表向きだが、その実態は征夷大将軍を蔑ろにして統帥権干犯を繰り返す内閣や軍上層部に反感を抱く集い……駒木は彼を慕わってる」

あの真面目な駒木が沙霧大尉の腹心になり彼の背中についてきてる

まぁ、お似合いのカップルだろうよ

とはいえ、まだ断言した訳ではない

「前は草野と相思相愛だったのによ……今は武人を装った紳士の男性将校にお熱があるってか?冗談にもほどがあるぜ」

鈴乃は難しい顔をして俺の顔をじっと見つめる

その目はどこか寂しいと思わせる目だ。

「……佐渡島同胞団は解散。私は帝国軍の衛士として沙霧大尉と駒木のところに行く」

え………おい、嘘だろ

だが、鈴乃の放った言葉が嘘に言ってるようには見えない

「……それは、本気で言ってるのか?」

鈴乃は頷く

「佐渡島同胞団はアンタが長として佐渡島奪還と願望を成し遂げるために恭子や斑鳩少佐が帝国軍上層部と掛け合って築き上げた一団だぞ!」

俺は鈴乃に言葉を投げた

鈴乃は悔しい表情をしている

「分かっている…そんな事分かっている!でも私は帝国軍の衛士よ!」

「だから何だってんだ!?俺はアンタがいなきゃ佐渡島同胞団は纏らねぇ。内部分裂する可能性だってある」

お前がいなきゃ、佐渡島は取り戻せない

「これは欺衛軍の九條中佐と帝国軍の上層部が下した決定事項よ。撤回は……望めない」

九條中佐……?

何だよそりゃ……じゃあ、その九條中佐が圧力をかけてまで俺達をバラバラに散らそうってか?

「圧力をかけられたから解散を命じられたのか?」

そうとしか考えられない

「九條中佐の他に佐渡島ハイヴの存在を蔑ろにしようとしている将校がいる。恐らくだが……」

「目障りだから佐渡島同胞団を解散させて自分たちの利益を得ることで佐渡島ハイヴを放置する…か」

佐渡島を放棄……このままBETAの住処のままでいいって事か!?

冗談じゃねぇ!

俺は鈴乃の言葉を聞いて帝国軍や欺衛軍の上層部に対し怒りを露にする

ならやる事は一つだけ……貯金は溜まってきたな

そろそろ実行する時だ

「鈴乃、お前がそう言うなら俺は止めないぜ」

「すまない……」

上総は俺と鈴乃の会話を表情一つ変わらず何も言わぬまま立ち聞きしている

「俺、元の顔に戻して整形手術を受ける」

鈴乃は「え?」とキョトンとした表情を浮かべるが上総は何を言ってるか分からないと悟った

丁度、佳織と唯依が恭子の病室から出て俺はこう言い放った

「篁、如月中尉、俺が今から話すことをよく聞いて欲しい」

「何だ?」

唐突に言葉投げたが、恭子のそばにいる佳織なら理解してくれるだろう……多分

「上層部から佐渡島同胞団の解散命令とか出したのか?」

佳織は真顔で「は?」と一言添えつつ俺の顔を見つつ顎を撫でる

「何を言っているんだ、そんな報告受けてないぞ」

その言葉を聞いた途端、鈴乃は戸惑いを隠せずキョトンとした

「如月中尉……それは本当か?」

佳織も欺衛軍だ

内部事情は把握してる筈だ

「本当だ、九條中佐って九條卿の事を指してるのか?」

「あ、ああ」

「……欺瞞情報だな」

な!?

「九條卿が嘘を吐くとは思えない。誰かに脅されて言わせたか…それとも他国のスパイが九條卿に変装し我々を欺こうとしたか。その2つしか考えられん」

……。

「東欧州社会主義同盟側に付いた北の連中が日本に送り込んだ可能性は否定できん」

唯依は空気を読み黙り込んだ

上総も同じだ

鈴乃は北の国という言葉を聞くと怒りを込み上げ睨む

北の国……北朝鮮か

本来ならば、存在しない筈の国の連中がベアトリクスに流れ着いた

そしてその国家を築き上げたのはベアトリクスだって事を

ダリルはそこまでの事は知らないだろう

知ってるのは原作本編の結末や情報のみ

「如月中尉、それが事実だとしたら日本は…」

鈴乃は真剣な表情で佳織に言い放つ

「属国化になる……とまではいかないがこれはシュミットやアクスマンみたいな最悪の指導者に変わった場合だ。案ずるな、ベアトリクスは日本本土は手出ししない。これだけは断言する」

あのベアトリクスが日本本土を侵攻するなんてしない筈だ

何かしらの理由がない限りは……。

「私達をバラバラに散らそうと目論んでる黒幕がいるのか?」

鈴乃は佳織に真剣な眼差しで言い放つ

「黒幕がいる事は間違いない、佐渡島を蔑ろにし島ごと消滅されそれを歓喜するのは誰だと思う?いや誰とは言わないが何の組織だと思う?」

つまり佐渡島ハイヴを島ごと消滅させることが出来るのは……?

「国連軍」

鈴乃は難しい表情で佳織に向け話し続ける

「だが副司令である香月夕呼は対BETA戦に備えハイヴ攻略の為に開発してる兵器の存在がある。万が一の為に仮にその兵器を放棄し意図的に佐渡島丸ごと消滅出来る特殊な自爆装置がある…噂レベルの情報だが」

島ごと消滅……?

冗談じゃねぇ!あそこには都の思い出が沢山詰まってるんだ

そんな事はさせない……とは口では言えるが所詮俺達は衛士……パイロットだ。

止める権限なんて一切ない

「……我々を切り捨てようとする黒幕を探る。大倉大尉は帝国軍本部に戻らない方が良い…」

その言葉の意味は俺と鈴乃、恭子や佳織を陥れようとする黒幕には近づくな…そうだろ、佳織

「俺の顔、この顔でお前達と話すのも最後だな」

俺は正直に鈴乃、佳織、唯依に言った

「……如月中尉、私は豊臣少尉がこの世界に来る前の写真を見ました」

鈴乃は強張った表情で言うが、俺は元の世界似た頃の俺とダリルの写真を佳織に見せる

「今まで騙してすまねぇ、これが俺の本当の顔だ」

「……」

佳織は真顔で写真を見つめる

「元の顔に戻す……私は貴様の本当の顔を見たい。大倉大尉もそうだろう」

鈴乃は「はい」と一言添えて頷く

「じゃあな、また会う時は元の顔に戻ってるだろうさ」

俺はそう言って整形外科に向かって歩き去ろうとするが、上総に止められ一枚の紙を俺に渡した

「お待ちなさいな、わたくしの知り合いに美容整形外科運営してる人がいますわ。『山城上総の紹介出来ました』と言えば高杉院長に問診し手術して貰えますわ」

その紙に書かれたのは上総の知り合いである高杉院長が経営してる美容整形外科の住所と電話番号があった。

「お前、そこまで良くして……俺はお前の音楽趣向と真逆だぞ」

上総はジト目で小さな笑みを浮かべ俺に向け言い放つ

「そうですわね、わたくしの音楽趣味は清く正しく美しい音を奏でる曲を聴きます……が、貴方は…軽快で陽気な曲をよくお聴きになされていますわね」

上総はジャズを興味持とうとしている

あの山城上総がジャズを?

想像つかないしお嬢様と裏腹に理解ある優越な衛士だぜ

「わたくしにもジャズの名盤、教えてくださらない」

「いいぜ、整形手術終わったらゆっくりと教えてやるよ」

俺は上総に認められた……んだな

唯依、良い親友持ったな

ホント羨ましいよ

鈴乃は突如、俺の顔を見つつ目を瞑り抱き締めた

「鈴乃?」

「最後くらい私に甘えて良いのよ」

俺は鈴乃を抱き締め返す

「ああ、顔変えるだけだからすぐ戻ってくる」

「そうじゃなくて、私付添人として一緒に行くわ」

鈴乃………。

「ありがとう、一緒についてきてくれるか?」

「勿論よ」

と鈴乃はとびっきりの笑顔を浮かべ俺の手を握り引っ張りつつ上総が紹介した美容整形外科に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良平Side

 

ソ連領 カムチャッカ半島

カムチャッカ州 ペトロパブロフスク・カムチャツキー

カムチャツカ半島南東部にあり、太平洋に面している。アバチャ湾の奥にあり、天然の良港であり不凍港である。ただしロシアの他の都市と連絡する陸路はなく、生活物資の輸送や産業活動の展開は海路と空路に完全に依存している。

首都だったモスクワからの距離は約6200km、時差は+9時間。北海道からの距離は約1500km。

ペトロパブロフスク・カムチャツキー市の現在の人口は21万人

BETAが地球に降下する前は27万3000人と最大の人口を記録したが、1990年代半ばに突入すると、BETA大戦激化による失業と生活水準の低下によって人口が大量に流出した。

1999年には19万6700人と20万人を割ってしまった。2000年代になると人口の大きな減少は落ち着きを見せ、その後は増加と減少を繰り返し、人口は停滞している。また、日本の中核市程度の規模を持ち、ペトロパブロフスク・カムチャツキー市内の人口密度は約500人/km²とロシア国内ではもちろん、日本でも高い部類に入る。なお、カムチャツカ州全体の人口密度は0.7人/km²であり、州全体と州都の人口密度の差は、およそ700倍も開きがある。カムチャツカに住むほとんどの人が州都であるペトロパブロフスク・カムチャツキー市内に居住していることが分かる。

カムチャツカ州の首府として、カムチャツカ州全体の行政の中心となっている。

そのカムチャッカ州は街の一部を東欧州社会主義同盟に租借している

ソ連は東ドイツの同胞国だが、アラスカ・ユーコンに避難している政治官僚達が猛反発

当然、総帥であるベアトリクスは官僚達に半ば脅迫紛いで強制的に租借を承認した

そんな俺だが、ペトロパブロフスク・カムチャツキー市街でファムとアネットと共に買い物に出かけていた。

青空が綺麗だ……街の皆はBETAの脅威を知りつつ平和に過ごしていた

しかし、それは作り物の平和の光景だ

裏では軍人崩れを中心とした半グレ集団が女性衛士複数人を強姦したと言う事件が頻発している

中には少年兵数人が含まれていた。

俺は守り切れるだろうか?

義手義足で、ファムとアネットを守り切れるか心配だ

そんなこと思い込んでた次の瞬間、ファムが衛士1人の肩にぶつかり買い物かごを落とした

いや、あれは態とぶつかってるな

図体デカい体格してるのはリーダーだろうか

他はひよっこ……まだ子供じゃないか

それを含めて5人

「いってぇな、何するんだ!ボケ」

リーダー格の男は臭い息を吐きつつファムに怒鳴っていた

「ご、ごめんなさい…」

アネットは男が態とぶつかった光景を見て怒りを露にした

「ファム姉、謝る事ないよ。此奴態とぶつけてきたよ」

アネットはリーダー格の男と立ち向かった

当然リーダー格の男は快く謝罪することなく

「うるせぇんだよ、このアマ!」

バシィッ!

「ひゃぁっ」

「ひゃひゃ、ひでぇ鬼」

なんとアネットの頬を平手で叩いたのだ

流石にこれにはファムも見ないふりは出来なかった

「何をやってるの、相手は女性よ!」

「何だこのベトナム人が」

「どうした、死にたいの?」

ファムはアネットを救うべく半グレ5人へと抗議を行った。

しかしファムの言葉を聞くような奴ならアネットに手を上げたりはしない

「なぁにデカい口叩いてんだ、黄色い猿が!」

「う!」

半グレ衛士共が振るう暴力の矛先はファムに向いてしまった

子供に比べて暴力を振るう方も抵抗はなかっただろう

「もういっぺん言ってみろや!ゴラァ!」

リーダー格の男はファムに向け拳を握りそれを振るった

その半グレ少年衛士の一人がファムを羽交い締めし身動き取れないようガッツリと力を入れた

「ぐ!」

「ぎゃはははは」

半グレ衛士達の暴力は苛烈であり罪悪感は無いようだ

俺は見ていられずファムとアネットを助けるべく半グレ衛士達に立ち向かった。

「お前達、何をしているんだ!」

「あ?」

「何だこの雑魚は」

しかし俺の行いが悪夢のトリガーとなった

「オラァ!どうしたこのガイジが!」

ガッ!

「ぐあああああ」

「テメェもあのアマと一緒に地獄へ送ってやるよ!……がはっ!」

半グレ衛士達は角材を持ち出し俺に身体障害そのものを馬鹿にしつつ常軌を逸した暴力を振るった一瞬後、今度は女兵士の一人が背中から吹き飛ばされた

何が起こったのか分からない。そこにいたのは……。

「シルヴィア!?」

俺も、ファムも、アネットも、シルヴィアのいきなりの登場に、言葉を失っている。

「やめてくれない?街中で騒々しいのよ……クズ共が」

拒絶するような瞳で、全員を見回す。

「喧嘩なら他に当たりなさい。全く……」

「てめぇ……」

シルヴィアは軽蔑した目線で半グレ衛士と立ち向かうが、角材でシルヴィアの頭を目掛けて殴打しようとする。

しかしシルヴィアはそれを回避しその力いっぱい握ってる拳でリーダー格の男の顔面に向けフルスイングした

「女に手を出して……どういう神経してるのよ!ゴラァ!」

「ぶほぉっ!」

シルヴィアが振ったパンチは鋼鉄のように固い

絶対に避けれない速さだ

リーダー格の男は顔面陥没し再起不能となった

「アンタ達もよ…」

今度は半グレ少年衛士に向け1人ずつ顔面をフルスイングで拳を振るい膝蹴りした

「買い物してる女に暴力振う等言語道断よ!」

「ぐへぇ!」

な、なんて強さだ……。

あれがポーランドの亡霊……す、凄過ぎる。

30秒でシルヴィアはファムとアネットに暴力を振るい絡んでいた半グレ衛士全員を地べたに這わせていた。

言葉を失うほどの速さだ

「あ、ありがとうシルヴィア。助けてくれて…」

アネットの方を振り向くと、愛想笑いを浮かべ肩を両手で触れた

「……ああいう場合は早く逃げた方がいいのよ。それとダリル少尉」

「はい!」

シルヴィアの目線は俺の方に向いた

殴られるのか……?

まぁ、彼女は暴力系姉さんと一部のファンから呼ばれてるからな

本人の前で言ったら即死だ

「貴方、本当に守りたいと思えるなら、判断を誤らないで。自分は障害を持っていますと言う言い訳はあの外道共には通用しないわよ」

今まで義手義足になったのは障害者だからと言う理由で通っていたかもしれないが、この世界では通用しないんだな

戦術機に乗れるのは五体満足の身体を持ってる人間だ

義手義足は乗れないという訳ではないが操縦する時、操縦桿が上手く握れない

そもそも俺みたいな義手義足は適正あるだろうか?

ないに等しい。普通なら……。

「申し訳ありません…自分は理解しています」

「……」

シルヴィアは俺の義手をそっと触れる

「義手、磨いてる?磨かなきゃ錆が付くわよ」

「え……はい。毎日欠かさず磨いています」

「暇潰しに街へ出てみればこれね……全く、これだから…」

そう言ってシルヴィアは俺達に背を向けて去って行った

シルヴィアが叩きのめした半グレ衛士達は……いつの間にかいなくなっている。

ファムは、立ち上がろうとしていた俺に近づき両腕でぎゅっと抱き締める

「ファム…姉?」

「ごめんなさい、私の所為で……」

「ファム姉は何も悪くないよ。俺がこんな体で、自分が弱かったから……!」

「でも、とても嬉しかったわ。お姉さんとアネットちゃんを守ろうとしてくれたのから」

「え……」

「ありがとう、ダリル君……」

言葉を失う俺と、涙ぐむファム

アネットが、ふたりの会話に込められた何かを察し、ほっとしたように微笑む

だが俺は、ファムの表情に、悲しげな決意を宿っている事に気付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソ連の戦線に東欧州社会主義同盟と手を組んだ

これは現実なのか?

だが、それは事実だと俺は理解した

俺は戦術機空母『ヴィリー・シュトフ』に戻った直後、ロザリンデと言う茶髪ベリーショートヘアの女性がベアトリクスから呼び出し戦艦『カール・マルクス』の艦長室に出頭した。

「総帥、ダリル少尉を連れて参りました」

「入って良いわよ」

扉を開け、ロザリンデは「失礼します」と一言を添え、俺は艦長椅子に座ってるベアトリクスの前に立った

「何故態々、貴方を呼んだか?理解してるかしら」

ベアトリクスの行動、思考パターンは読めない

何仕掛けてくるか分からない……。

「いえ、全く理解できません。自分をここに呼び出したという事は…」

まさかとは思うが……この世界でリユース・サイコ・デバイスみたいなモノを作り上げる気なのか?

俺は「無理だ」と理解しつつ悟っていた

ロザリンデは俺の隣にいる

……俺は逃げないよ、こうやって話す機会与えられたのは神様のおかげかもしれないな

「……サイコ・ザク、貴方の機体調べさせて貰ったわ。そのリユース・サイコ・デバイスだけどこの世界で作り上げるのは無理だと思い込んでたわ」

”思い込んでた”?

この世界でも作れることが出来るのか?

だとしたら、今までBETA戦闘に参加した衛士が手足を失っても戦線復帰できるようサポートをするつもりなのか

「……作れるわ、障害と立ち向かう衛士としてまた戦えるなら戦力の要の一つとして利用する」

言ったな?あれを開発したら、国連から猛抗議されるのがオチだがそれでもこの状況下でやらざるを得ないだろう

「作れるんですか?」

「貴方の機体に搭載してるリユース・サイコ・デバイスはこの世界で…私達がいる世界で完全に再現するのは無理に等しい……が、私の戦闘データを参考にして開発する事は可能だ」

「……別世界で作られたモノが完全再現は無理でもこの世界でこの世界なりの技術で開発する事は可能と言いたいのでしょうか?」

ベアトリクスの戦闘データか……それを踏まえて作られるなら俺の手足は自由に動ける

四肢欠損でしか動かせない前代未聞の技術で作られた究極の戦術機に乗って戦える

「アイルランドの本部に詳細のデータを送った。総書記であるアイリスディーナの承諾を待つだけ…」

決定権はアイリスディーナにあるのか

俺は内心、義手義足で戦術機に乗って動かせるのが期待感を上げた。

「そうなると……このまま作っても貴方の体に合う機体はないと思うから…」

ん?何が言いたいんだ

何を発言しようとしてるのか読めない

「型を取らせて貰うわ」

シリコンで型を取るだと…。

まぁ、開発進むにはそれだと理解できなくはない

ベアトリクス・ブレーメ、世界の未来の先へ読んでる女だ

「自分がお役に立てるなら是非やらせてください」

四肢欠損でも戦術機を動かせる

俺でも役に立てることがあるんだ

俺がベアトリクスに何か言おうとしたその時、扉が叩き女の声が聞こえた

「失礼します、総帥少し宜しいでしょうか?」

ベアトリクスは「入って」と一言を添えつつ大隊指揮官らしき女性衛士が艦長室に入った

その女性の顔をよく見ると……ニコラだった

ニコラはヴェアヴォルフ大隊創設時にいるベアトリクスの側近として仕える衛士だ

ベアトリクスはニコラの顔を見た途端、棘が入る笑みを浮かべ妖艶にニコラに近づき目と目を合わせる

何なんだこれは……。

「収穫は取れたかしら?」

「はい、今日は外道5人を屠ってきました……ブレーメ総帥」

屠った?

ファムとアネットを襲った5人か

自業自得だな…手出しして暴力を振るうからこうなるんだ

「その外道はソ連の衛士?」

「はい」

「ふふ、大丈夫よ。ソ連軍の上層部には適当に言い包めたわ」

ソ連軍の上の連中に見捨てられたか……。

俺はただ2人の様子をじっと見ていた

ベアトリクスはニコラに手招きし「こっちへいらっしゃい」と猫撫で声で笑みを浮かべる

ニコラもベアトリクスの近くに…いやもっと近くに行き彼女を両腕を回しぎゅっと抱き締めた

ん?上官と部下……だよな。

こんな密着してまで接することもあるのか……。

俺がベアトリクス視点でならニコラの傍に近づき強くぎゅっと抱き締めてるだろう

ベアトリクスは真顔で俺に「下がって良いわ」と一言を添えロザリンデも含め艦長室から退室させ、2人きりの時間を過ごしていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恭子Side

 

私は出雲奪還作戦で戦車級BETAに喰われそうになり、そのトラウマを植え付けられ精神不安定に陥った。

大学病院の病室で私は虚ろな目で窓の外から見える景色を眺めていた

我ながら情けない感情だ

毎日唯依や佳織が見舞いに来てくれる……欺衛の衛士として無様な姿になった私を赦してくれるかしら?

戦線復帰は、症状が安定しない限り厳しいだろう

ある日、唯依は病室に置いてある花瓶をある花を飾り入れる

その花とは、スパイダーガーベラだ

花言葉は崇高な美と言う意味を持っている

正直、この崇高な美の花言葉を持つ花を飾られてとても嬉しかった

思わず涙を流した

感情を殺し、顔を隠さず……。

幼児レベルへの精神退行を起こしてしまった私は衛士として何も役に立てない

記憶は……覚えていない

如月中尉の事を「お父様」と思い込み唯依以外誰も覚えていない

花を持ってきてくれたのは初めてではない

唯依が沢山の花を私がいる病室に持ってきてくれたのだ

こんなに沢山の花、もう置き場所がなくて困ったわ

でも唯依がくれた花だから安易に捨てるわけにはいかない

「篁少尉……恭子様の為だからと言って毎回お見舞いを持ってこなくても大丈夫だ。そんなに持ってきても世話はできないぞ」

「恭子様が元気になってくれるまで、私は毎日お見舞いに来ます」

「もう花はいいぞ。次からは果物とか持ってきてくれれば恭子様はきっとお喜びになると思うぞ」

唯依が全くの親切心でやっているとは思っていなかったが、無下にもできない。そんな気持ちから、やんわりとしか伝えないでいたツケが今の病室だった。

頭を抱える佳織を、どうにかして新しい花瓶を置こうとしていた唯依が振り返る。

「ちゃんと鉢植えも椿の花も持ってきてないですよ」

一瞬何のことだか分からなかった。記憶を辿ると山城少尉にお見舞いのルールについて話をしたのを思い出す。何気ない会話だったが、覚えていてくれたことは嬉しい。嬉しいのだが

「それを覚えてたんだったら、常識の範囲内で花を持ってきて欲しかったよ」

佳織は思わず溜息をつく。きょとんとした顔は愛らしいが裏を知ればあざといとも言える。丸い目はすぐに細められ、笑った。その顔はいたずらを思いついた子どものようでもあった。

こんなやり取りができるようになったのはいつ頃からだろう? はじめの頃は少し話せばすぐに帰っていたような気がする。それが今では病室に上がり込み、唯依の持ってきた花を眺めている。枯れていく花たちを見ると胸の奥がきしむように痛んだが、その度に唯依が現れるので豊臣や大倉大尉の事はどうでもよくなっていた。

唯依はいつものように花を置くと、そろそろ帰りますねと言って腰を上げた。時計を見るといつもよりも遅い時間になっていた。

「もうちょっと居てもいいのに」

私は唯依に一言を添え、呼び止める

「え?」

少しずつ思い出していく……焦らずゆっくりと

「………唯依」

私は唯依の手を握りじっと顔を見つめる

「ありがとう、唯依。お父様の言う通り次からは花ではなく果物とか持ってきてくれるかしら?」

和やかな笑みを浮かべ唯依の顔を見つめる

「恭子様……」

喜びながら涙を流し前向きな姿勢で私の手を握り返した

「はい、必ず…必ず持ってきます。唯依は恭子様のご活躍をもっと、もっと見たいのです。だから…」

唯依と話していると心が安らぎ、少しずつ記憶を思い出しつつ欺衛の鬼姫としての崇宰恭子に戻りつつあった。

「恭子様は本当にカッコよくて気品で崇高な美の顔をお持ちする私が尊敬してる女性です!」

不意打ちの唯依の言葉が心に突き刺さる

「ありがとう唯依……本当にありがとう」

私は和やかな笑みで唯依に感謝の言葉を送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

俺は上総に紹介された『高杉美容整形外科』という場所で鈴乃が付き添いする形で待合室で医師に呼ばれるまで待機していた

顔の整形するのはこの世界では初めてだ

元にいた世界はケヤルガに顔変えられる前だったから、今まで整形するという事はなかった

万が一整形失敗したら、そこが不安で恐怖を襲い掛かる

「手術中にさ、整形失敗したら俺の顔崩れるだろうな」

「そんな不吉な事言わないで!私が傍にいるから、崇宰大尉に振り向かなくとも私が貴方を支える」

普通の美容整形外科での手術後は必ず定期的にメンテナンス行わなければならない

しかしあの山城財閥のお嬢様のお墨付きの整形美容外科だ。

噂によれば術後はメンテナンスはしなくていいとの事だ

胡散臭い感じするが、元の顔戻すには受ける必要がある。

恐らく手術中に麻酔で俺を眠らせた後は、夢の中でケヤルガが現れる

ケヤルガは俺の顔を変えた神であり回復術士だ。

彼奴が俺の顔を元に戻してくれるとは易々と思えないが、覚悟は決めたんだ

「元の顔戻ったら俺は『欺衛崩れ』の衛士として、武家の恥晒しの一人となる。でもそんな事はどうでもいい!豊臣家の為とか欺衛の為ではなく俺個人の意思だ」

「豊臣……貴方は」

鈴乃は俺に寄り添い手を握る

その手は温かさを包む込む感じだ

「何回も顔弄り回すわけではないし、それに若返りなんて手間かかる。人間はいつか歳を取って生涯過ごすんだ。これは一度きりだ。二度目はない」

そう、一度だけだ、二度目はない。

待合室で待ち続けるうちに、慌てて走り血相を変えた表情で荒い息を吐いた上総が俺の元に来た

「はぁ…はぁ…」

急いで来たみたいだ

まさか佳織が何か掴んだのか?

「貴方達を陥れようとした真の首謀者が、分かりましたわ」

鈴乃は鋭い目線で上総に言い放つ

「誰なの?その首謀者は」

「豊臣少尉は獅子堂家存じて?」

獅子堂……?

滋賀県大津市、徳島県三好市、大阪府。事物。滋賀県大津市京町にある浄土真宗の栄泉寺の僧侶による明治新姓だ。

所謂一般家出身……黒服の衛士だ

「ああ、だが豊臣家とは既に縁を切っているし関わりたくねぇ連中だ」

「その関わりたくない連中が貴方達を陥れようとしたのですわ」

その名を聞いた鈴乃は難しい表情になる

「その名は……」

上総が放った言葉に、トラウマが蘇って来た

決して口にしてはならない名前……。

「彼奴か……明星作戦が終わった後、いきなり突っかかって来た奴か」

「獅子堂響鬼……貴方と揉めた黒服の衛士であり佐渡島同胞団を解散仕向けたのは長女である風音から圧力をかけたと思いますわ。響鬼は一番下の弟に当たりますわね」

響鬼

確か、最新鋭の機体に与えられ乗ってばかりいる衛士だったな。

……厄介な奴だ、挙げ句の果てに「斯衛の恥晒しが!お前なんていなくなれば良いのによ!」「俺の唯依に近付くな!」「お前とはもう既に絶縁してるから復縁はないし衛士界隈から消えろ!戦術機の事忘れてさ」とあらゆる誹謗中傷な言葉を連発した下衆野郎だ

付き合ってもいないのに唯依の事を狂信的に愛を語り独り占めしている

正直、二度と顔見たくない

「情報屋によると、獅子堂家の長女は黒い交際をしていますわ」

黒い交際……ヤクザか

欺衛軍の衛士の姉が暴力団と繋がりがあるっていうのか!?

ん?それにしても何故上総がこの情報を持ち込んだんだ

「わたくしは如月中尉から貰った情報を言ったまで…裏の世界にいる人達に協力してくれましたわ。正直言えば怖かったんですけど、表の情報屋……帝国情報省の人間が握ってるのは僅かな情報量ですわ」

上総は淡々と話し続ける

凛々しく

「そうか……山城少尉、危ねぇ事は程々にしとけよ。隙を狙われ殺されるぞ」

「分かっていますわ。唯依は私を止めようとしましたが、真実を知る為に探ると言ったら理解してくれましたわ」

鈴乃は突如、俺に抱き着きぎゅっと締め付けるように自分の豊満な胸を態と当てさせる

「鈴乃?どうしたんだ」

「不安なのよ」

「?」

「私は貴方がいなくなると……豊臣、いいえ悠一」

「なんだ?」

鈴乃は目を瞑り唇を重ねた

俺は鈴乃を抱き締める

その光景を見た上総は「お熱いですこと」と小さい笑みを浮かびながら一言を添える

「ん…続きは手術終わってからにしましょ」

鈴乃は満面の笑みを浮かべ恍惚に言い放った。

「ああ、付き合ってやるさ」

「ではわたくしはこれで失礼しますわ」

上総は言い残し、去って行った

数分経った後、漸く診察の準備が回り、看護婦が診察室から出てきた呼び出しする

「豊臣さーん、豊臣悠一さーん」

「んじゃ、行ってくるよ」

そして、元の顔を戻すために診察室へ入り医師から説明受けた後、手術した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中に浸った後そこは、何もないただ白い空間が続くだけの世界だった。

声は果てしなく続く白の空間から響いてくる。

ここにいるのは俺だけだ

「ケヤルガ、何処にいる!出て来い!」

俺の顔を変えた奴を大声で叫び睨んだ

すると、面倒臭い態度を取る青年の姿が現れた

ケヤルガ……彼奴だ!

「久しぶりだな、随分と御活躍してるそうじゃないか」

「てめぇ、俺の顔を元に戻しやがれ!でないとぶっ殺すぞ」

「お前、そんな口で俺に歯向かうのか?」

ケヤルガは下種な笑みを浮かび見下す態度を取る

ムカつくな…此奴!

「で?元の顔を戻したいのか?」

ん?自棄に聞き訳が良いな

「ん?ああ、そうだ」

「そんな事したらお前は『欺衛軍崩れ』になるぞ」

「構わねぇ!俺は佐渡島で大切な人を失う意味が分かったんだ、鈴乃と姉弟の契りを交わして本当に大切な人を失う哀しみを知ったんだ!人類の為に戦っていると言ったら嘘になるが…愛すべき人を、守りたい!俺は俺の意思で自由に生きたいんだ!」

俺はケヤルガに言葉をぶつけた

しかし鼻で笑われる

「…フッ、お前が言いたい事は理解した。もう一度言うがお前は『欺衛軍崩れ』になるぞ」

「何度も言わせるな!早く顔を元に戻せ」

俺がそう言うとケヤルガは近づき顔面に右掌を翳す

ジト目で俺を睨みつき問いかける

「折角、俺が欺衛に相応しい髪型や顔を変えたのに……」

「俺とダリル……いや良平がマブラヴ世界だっけ…?その世界に転生する時も最初からやろうとしたのか?」

「……お前の髪型や顔は最初から変えるつもりだったよ。欺衛の衛士として転生させたの含めてだ。崇宰恭子と上手くいってるか?何なら勇者であった俺の恋愛テクニックを伝授してやってもいいぜ」

「要らねぇよ、自分の人生は自分で切り開く。例え豊臣家の直接的な血縁者であろうが、そうでなかろうが俺は振り回されねぇ!」

人生に棒を振った……元にいた世界で良平と仲良く出来ただろうか

ちゃんと本人の意見を聞くべきだったよな

「後悔するぞ?」

「構わない」

ケヤルガは「ヒール」と呟き、俺は閃光に包まれたその瞬間、意識は暗くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴乃Side

 

欺衛軍の山城上総少尉の紹介でお墨付きである高杉美容整形外科に来て、悠一の付き添いとして待合室で手術終えるのを待っていた

「……」

不安を募る表情、正直不安ばかり襲い掛かる

5時間後、執刀医が手術着のまま私の元に来て話しかける

「手術は無事成功しました。あとは経過観察するだけです」

それを聞いた瞬間、私は胸を撫で下ろし安堵な表情を浮かべた

「それと彼に鏡を見せないようにしてください」

「分かりました……」

見せないようにって言われても……

崇宰大尉の件もあるし、今の悠一の顔を見せるわけにはいかない

顔が膨れてるのもある、すぐ治まるだろう。

偶然通りかかった看護婦に悠一の病室は何処にあるかを聞いてみた

「あの…豊臣悠一がいる病室って何処ですか?」

「向こうの廊下をそこに右に曲がってその突き当りですね」

「ありがとう」

私は急いで、悠一がいる病室に向かい鏡を撤去しようとしたが、病室に入ったら既に遅かった

「!(手鏡で顔を見てる…遅かった)」

顔を包帯にぐるぐる巻きした悠一は私の方に振り向いた

視線が見えないからか、鏡は手に持ったままだ

「鏡見るのは後にして」

「……分かってるよ」

「大丈夫よ」

悠一は包帯を取り、自分の顔がどうなったか確認する

そして手鏡を持ち自分の顔を見て落胆したと思われたが……

「……元に戻った……?」

何と顔の腫れが一つもなく悠一が元の世界にいた頃の顔に戻ったと悟り涙を流しながら喜んだ

「(流石山城財閥がお墨付きの美容整形外科と言うべきか……)」

私は悠一の顔をじっと見た

「ん?鼻に線みたいなモノ付いてるわよ」

線というより傷跡みたいね

「あ、ホントだ(ケヤルガの野郎、余計な事しやがって…!)」

「でも、元に戻ったなら良いんじゃない?厳つい顔だけど、前の顔よりカッコいいわ」

「お世辞は要らないぜ?」

「お世辞じゃないわよ、ふふふ」

私はクスっと笑みを浮かべ悠一の髪を触れる

「あとは、髪型を変えるだけね」

「そうだな、んじゃあ、少し休んだ後驚かしに行こうぜ」

欺衛軍らしくない顔、反抗的な態度、武家の為ではなく自由に生きる為

私は彼の事を理解していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良平Side

 

東欧州社会主義同盟戦術機空母『ヴィリー・シュトフ』の艦内で俺はファムの部屋でベッドに座り会話を楽しんでいた

俺は恵まれてるんだな

何だか幸せに感じるよ

ファムの顔を見るといつもニコニコと笑顔を浮かべている

「俺がここに来てから2年経った」

「そうね……貴方と初めてあった時、驚いたわ」

サイコ・ザクの事か?

「資料室でとある本を少しだけ見ましたが…こんなこと言うのも何ですが」

俺は話し続けるとファムは人差し指で額にツンと触れる

「溜口で話していいわよ」

俺はファムの顔をじっと見つめ頬を赤らめる

「……」

「言葉が詰まったみたいね」

「すみません」

俺は言葉を詰まり、ファムは俺の義手を触れる

少し緊張するな……。

資料室にあった本の内容を言おうとしたが、この雰囲気では言い辛い

もうこの際、どうでもいい

俺はファムの胸を飛び込み、身を寄せながら強くぎゅっと抱き締める

「ひゃん、どうしたの?いきなり抱き締めてきて…」

「甘えたくなってきたんだ」

「?」

「BETAを倒せば戦争っていう悪夢から解放される気がするんだ」

そうだ、BETAをこの世から消滅すれば皆が笑顔になれる世界を描ける。

そう思い込んだ

「そうなるといいわね……」

ファムはクスっと笑みを浮かび抱き締め返す

「目を閉じてくれるかしら?」

俺はそういわれると互いに目を瞑り、ゆっくりと顔を近づき唇を重ねる

ファムは俺の腕を掴み自らの胸を触らせた

「……」

「触ってもいいのよ?」

心臓がドキッとしつつ、反射的に俺の義手はファムの胸を揉んだ

「あぁん……ちょっと冷たい感触ね…」

胸を揉まれた途端、冷たい触感をしたファムは吐息する

俺は少し落ち込んだ

「ごめん、生身の肌で触れなくて……」

「あ、落ち込まないで……お姉さんは気にしてないわ」

良い雰囲気だ……

「俺は、今ドキドキしてるんだ。この胸の高鳴りが……ファム姉の事が好きになってしまった」

「ダリル君……」

俺はファムをベッドに押し倒し、BDU(戦闘服)を脱がそうとするが義手で上手く脱がせられない

「ふふ、自分で脱ぐわ」

そう言うとファムは、BDU(戦闘服)を脱ぎ黒いタンクトップとなり、恍惚な表情で笑みを浮かんだ

そして、俺とファムは激しい営みをした。




次回からは恭子が復帰し帝都城で集った軍上層部と会議を行い、出雲奪還作戦時に戦死せず生き残った事を糾弾される話となります
お楽しみに!
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