トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第12話 出向

悠一Side

俺がこの世界に転生して3年が経ち帝国軍欺衛軍共同で毎日フルアーマーガンダムとアトラスガンダムの機動試験をやったり、ビームライフル等の射撃兵装の試射をしたり。要は2体のガンダムの構造を調べるテストパイロットをやっている。

俺と鈴乃のセッションはバッチリ合ってる、それだけでなく恭子から欺衛のいろはを教えたり作法やマナーを厳しく指導し竹刀での鍛錬を佳織や唯依等を参加を含めの3人…いや4人、ダブルスで修行を積み重ねていった

……が今日いきなり大きな転換期がきた。

俺と鈴乃は斑鳩少佐に呼び出され、欺衛軍本部の大隊執務室で唐突に海外派遣を命じられたのだ。

「アラスカのユーコン基地に2機のガンダムと共に出向…………ですか」

「うん、そうだよ」

アラスカって言ったよな……確かあそこって国連軍がいるところだよな

「あの……何故俺達2人が、それに大倉大尉は帝国軍本土防衛軍としての役割があり業務を抱えています」

鈴乃は帝国軍だ、普通なら一緒に行く筈がない

だが斑鳩少佐の顔つきを見ると、これは本気で言ってるようにしか見えない

「そうだったね、私が帝国軍上層部にいる将校達と話し合いしてその結果、大倉大尉は好きに使っていいという答えが返ってきたよ」

「え?斑鳩、閣下……それは本当、なんでしょうか」

「私が嘘吐く人間に見えると思ってるのかな、大倉鈴乃大尉」

鈴乃も驚いてる。スーパーのタイムセールで売ってる大根がいつも以上安売りしていてその価格を見た時みたいのようにだ。

「篁中尉は既にXFJ計画開発主任として先にユーコン基地に赴任している」

唯依は中尉に昇格した

努力の成果が実れたからか俺より更に上へと進み出世街道のレールに乗っている

俺もそのチャンスがあるという訳か

「君達は佐渡島同胞団所属の衛士としてユーコンへ出向、困惑してると思うけどこの任務を成功させれば、その功績で正式なモノに出来る」

俺は首を頷き納得したが鈴乃は何が言いたそうにハッキリと斑鳩少佐に向け言い放つ

「この時期に、ですか?」

「そうだよ、この任務を果たしその功績を帝国軍上層部に手土産として持ち帰れば少佐に昇格…いや中佐、大佐、それ以上の肩書や名誉をくれるかもしれないよ?」

「(確かに駒木は中尉に昇格したが、私はそこまで上へ行きたいという意思はない……が佐渡島奪還の近道になるなら受け入れる価値がある)崇宰大尉の恩返しはまだしておりません故、佐渡島奪還の近道になるならこの任務是非お受けさせてください!」

俺はアメリカへ行くのは気が進まない。それに日本を守る為に以前に恭子を愛し続ける事を前提にここに入ったのに。

何でアメリカなんだよ!

俺と鈴乃はいきなり斑鳩少佐からの命で戸惑いやる気は……下がっている

それを見た斑鳩少佐は笑いながら問いかける

「ははははは、やる気が出ないみたいだね。本来なら理由の説明なんてないけど、士気が落ちたまま向こうへ行かれても困るから説明しておくよ。昨日、夕方のニュースで東欧州社会主義同盟は一つ目の戦術機の機動試験をやったり、光学兵器の試射をしたり。要はその機体の構造を調べる様子が流れていたよ」

一つ目の戦術機だと!?

彼奴の機体……サイコ・ザクだ

「情報省の職員や裏社会の情報屋から聞いた内容によると、東欧州社会主義同盟のベアトリクス・ブレーメ総帥は将来的に四肢欠損の衛士をサポートする戦術機を開発すると誇らしげに宣言したよ」

「四肢欠損の衛士が乗る戦術機…………そんな機体作れる訳がありません!不可能です!!」

鈴乃は声荒げ、四肢欠損でも操れる戦術機の開発の存在を否定した

そりゃそうだろ……現実的に考えれば戦術機に乗るには適性がいる

それを四肢欠損の衛士を乗せてまでBETAと戦う……狂気の沙汰だ

だが斑鳩少佐は冷静を振る舞い、話を続ける

「うん、普通ならこう思うだろうね。でもベアトリクス・ブレーメと言う女傑は不可能を可能にさせる指導者だ。大倉大尉は不可能だと言ったね?逆に考えると四肢欠損でも操れる戦術機があってもおかしくはないし寧ろサポート出来れば良いと思ってる」

「はぁ…しかし私、いや我々日本帝国軍の衛士達には理解し難いです」

「崇宰大尉はその戦術機開発の存在は否定してはいないよ」

「え?恭子様…崇宰大尉がですか?」

「そうだよ」

おいおい、恭子も知ってたのかよ

夕方のニュースは流石に見るよな……知ってるも無理はないか

「向こうにガンダムを持って行ってデモンストレーションをして貰う。要するに今君達がやっている事をユーコン基地で崇宰大尉の修行の成果を発揮してほしい。戦術機開発に大きな発展があることを見せ、危険なG弾を使用せずともハイヴを攻略できる可能性を示して貰えば、有力者が向こうに流れるのを止める事が出来る……私が言ってることは間違ってるかな?」

「いいえ、間違ってはおりません」

その後、軽く現地での予定を聞いた。

現在そのユーコン基地では、帝国陸軍技術厰が米国企業と共同で主力戦術機である不知火の改修計画XFJ計画というプロジェクトをしている。そこの日本側開発責任者の中尉に俺達の世話を頼むのだそうだ。

その中尉は当然だが、唯依の事を指してる

斑鳩少佐の手腕ならやれない事はない

話が一段落した時、斑鳩少佐はふいに思い出したように言った。

「君達の機体についているガンダムと言う名称。どういう意味なのか…どういった意図が込められてるのかな?」

鈴乃は何か言おうとしたが、俺は軽く手で制した。

ガンダムを問われて、他人に答えを任せる訳にはいかない。

俺は少し考えて、こう答えた。

「人類が描いた戦争の夢と悪夢。その物語の名称……崇宰大尉がそう言ってましたが自分は『殺し合う運命の為に作られた機体』と解釈しています。BETA大戦という大きな悲劇の異星起源種との戦争。その終わりを齎す夢になれたら……それだけで充分です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くは慌しくアラスカ行きの準備の日々が続いた。

そして今日。出発の日を迎えることができた。

この海外行きは急遽決められたものだったのだが、向こうの技術者が早くガンダムを見たいとのことで、これだけ短い期間で行けることになった。

そして現在 帝国軍入間基地滑走路

出発準備をした俺と鈴乃は待機所にて、軍用輸送機に物々しくガンダムが搭載されるのをなんとなく見ていた。

機体全体を防護シートにくるまれ、厳重な警戒のなか輸送機に運ばれている。

「アラスカか……サーモンとか上手い料理食いながら酒とか進んで飲みたいな」

「観光に行くんじゃないのよ。全く恭子様が言った事忘れたの?」

「恭子が?」

「はぁ、その様子だと忘れてるみたいね。ふふ、だったら教えてあげる」

鈴乃はクスっと笑みを浮かびつつ、俺に恭子が言った事を教えた

何の事だ?

「私は貴方の為について行く。恭子様は激務で一緒に行けないから斑鳩閣下の命で」

「分かった分かった。鈴乃、お前は俺のパートナーだ」

「ええ、メンバー…沢山増えると良いわね」

「ああ、バンドをまた作って楽しくセッションしたいぜ。オリジナルでのメンバーでの演奏はもう二度と出来ねぇからな」

都は佐渡島で戦死

駒木は沙霧大尉のところに

草野は駒木を庇って戦死

村田は光線級に照射されて管制ユニットを貫き蒸発

早乙女は消息不明

鈴乃は今俺の隣にいてパートナーとして振る舞っている

「ま、悩んでもしょうがないな。恭子と斑鳩少佐なら上手くやってくれるだろう。俺達は戦術機開発の総本山にフルアーマーガンダムとアトラスガンダムを見せつけてやろうぜ!」

「ガンダムを見てどんな反応をするのか実に楽しみね。あと帝国第壱技術厰の巌谷中佐の姪に篁唯依中尉ってのがいるのよ。貴方は勿論知ってるわね」

「ああ、今は試験小隊の長だ」

「国連軍に出向してユーコン基地でXFJ計画の責任者……開発エリートの家系なのね。我が日本にも恩を売れる」

唯依が武家出身だって事は知ってたが、まさかエリートの家系とはな……。

どんだけ恵まれてるんだ?

父親は明星作戦で戦死

父親の意思を継ぎ、篁家としての誇りを忘れずにユーコンで出世街道か

母親も泣いて喜んでるだろう

大和魂誇る女性衛士ってか、凄過ぎるぜ篁唯依

帝国技術厰もガンダムの情報は欲しいだろうし、唯依なら抜かりなく徹底的に調べてくれるだろう。

搭乗時間になる少し前になった

白衣を着た女性が2人の国連軍の制服を着た女性を伴って俺達の見送りに来るのが見えた。

一人は短めの髪で凜々しい顔立ち。もう一人はポニーテールで気の強そうな女性。

「……!」

曲者の香月夕呼だ

そして背後にいるのは国連軍A-01部隊の長、伊隅みちる

その副官の速瀬水月

これから知り合いになるという意味か?

どういう風の吹き回しだ……。

3人が俺達の前に来ると、俺達は敬礼で挨拶をする。

「香月副司令、お見送り感謝します。私、大倉鈴乃大尉と豊臣悠一少尉はただいまよりアラスカ、ユーコン基地へ行って参ります」

「敬礼は良いわ、ここには、あたしらしかいないし」

香月副司令は軍人の敬礼が嫌いらしい

そう言うが、そうもいかないんだよ。

一応軍人だし。後ろの2人もやってる。

むしろそっちが敬礼に慣れてほしい。

はは、その様子だと無理のようだな……考えてることが分からないぜ

「で、何で国連軍であるアンタらが俺達のところまできて見送りに来てるんだ?話が出来過ぎてるぜ」

「帝国欺衛軍の斑鳩崇継少佐からの頼みがあって来ただけよ、別に貴方達の為に来た訳じゃないのよ。研究だってやらなきゃいけないし難題が次々とあるのよ」

………。

「A-01部隊指揮官の伊隅みちる大尉だ。香月博士と崇宰大尉から話は聞いている、豊臣悠一少尉……お前は衛士界隈から嫌われてるそうだが我々には無関係だ。好印象持つよう努力すればいい。大倉鈴乃大尉も佐渡島防衛戦で生き延びた衛士……そうだな?」

「はい」

「帝国軍本土防衛軍であるお前がアラスカに出向するとは……帝国軍上層部はそれを承認済みしたか?」

「斑鳩少佐の計らいで上層部は好きに使っていいと承認しました」

「帰国したら、佐渡島を」

「勿論です、伊隅大尉。貴女と共に戦える日を楽しみにしています」

と鈴乃は伊隅大尉に敬礼する。

「副官の速瀬水月中尉よ。あたしも扱き使ってやるから覚悟しなさい」

扱き使うって……俺は欺衛軍で鈴乃は帝国軍だぞ

「そうだな、共に戦えることを常に願っています。伊隅大尉、速瀬中尉」

俺も2人に向け敬礼する

伊隅みちる……『デキる女』そのものだ。

それに挨拶を返す鈴乃も貫禄負けしてない。やっぱり凄い奴だ。

「じゃ、あたしはそろそろ行くわね。色々忙しいのよ」

香月副司令はそう言って2人を連れ去って行った。

その後、恭子と佳織が俺達の見送りに来た

「豊臣、必ず生きて帰ってきて。約束できるかしら?」

恭子は俺に詰め寄る

「ああ、勿論だ。恭子」

佳織はただ恭子を見ているだけだ

「絶対に…私と一緒にいたいでしょ?だから生きて帰って…悠一」

そういうと恭子は目を瞑り俺の唇を重ね抱き締めた

俺は目を瞑り恭子を抱き締め返す

5分…10分……

佳織は目を瞑り見ないふりをした

唇から離し、和やかな笑みを浮かべる恭子は鈴乃に俺の事を託した

「大倉大尉、豊臣少尉の事頼んだわよ」

「ハッ、承服しました」

「ふふ、不定期で連絡するからそのつもりでいなさい」

「りょーかい」

俺は軽く敬礼し軽い口調で恭子に言い放った

「行ってくるぜ、斑鳩少佐に恭子の事宜しく頼みますと伝えてくれ」

「分かったわ」

恭子はそう言って、面白そうな顔で俺達を眺めていた。

俺と鈴乃は輸送機に搭乗し、2人に見送られて出発した。

高度が上がり、離れていく滑走路を見ながら思う。

まさかこういう形で日本を出るとは思わなかったな。

鈴乃も何やら思うことがあるのか、窓の外を名残惜しそうに見ている。

ふと俺の方に向き、陰りのある顔で言った。

「私達の任務は帰ってきてからが本番。この先、相当キツイ戦いが待っているわ……一応覚悟した方が良いわよ」

何なんだ。そのミステリアスな言い方。

俺の答えは既に決まってる

「ああ、この先、何処へでもついて行く。俺の傍から離れないでくれ鈴乃」

「ええ、勿論よ。離れたりはしないわ」

鈴乃は俺の隣に寄り添い俺の手を握った

俺達は航空戦術機輸送機でアラスカのユーコン基地へと向かっている。

数時間の空路での狭い客室の中。俺と鈴乃とつまらん会話……いや音楽の話でもするしかやる事がない

「海外は初めて?」

「ん、おう…そうだな。そもそも海外へ行く機会なんて滅多になかったからな」

「そうだったのね」

鈴乃はクスっと笑みを浮かび楽しそうな表情をした

「あ、言い忘れてたけど駒木も誘ったわ。『佐渡島奪還を志す意思があるなら同胞団に入らないか?』と」

駒木がそんな得体のしれない集団に入る訳がない

沙霧大尉が黙ってはいないし、一歩間違えると……処刑される

「駒木は何て言ったんだ?」

「『御誘致は感謝しますが、大倉大尉がいる佐渡島同胞団には入りません。私には沙霧尚哉大尉と言う一軍人を支えなければなりませんので』と」

まぁ、駒木らしい答えだな

その答えの方が妥当だろう。

「駒木は自分の道へ進んだわ、それだけよ」

鈴乃は優しい笑みを浮かびつつ言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良平Side

東欧州社会主義同盟所属戦艦『カール・マルクス』の艦長室にいるベアトリクスは俺を直接出頭させた

艦長室の椅子に座ってるベアトリクスの表情は難色を示していた

「ダリル・ローレンツ少尉」

「ハッ!」

「明星作戦におけるアメリカの無警告によるG弾投下、あまりに強引すぎる気がしてブロニコフスキー少尉が調査してくれたわ」

ブロニコフスキー……イングヒルトの事を指してるのか?

だが彼女は既に亡き者……いや俺が知ってる世界線とは別だからか生存している

どういう経緯でイングヒルトは生き延びたかは俺は分からない

「その調査結果は?」

「キリスト教恭順派……『BETAは神の使いで、人類はBETAに滅ぼされるのが神のご意志』とほざいてる外道ばかりの集いでテロ組織でもある。中には半グレ集団が何人かはその組織にいるわ」

恭順派……

「目的は何でしょうか?」

「全人類の抹殺。それがBETAであれG弾であれ方法は問わない……我々も賛同してるわけではないのだけどそれよりもっと凄い兵器を作ったわ」

凄い兵器……まさかとは思うが

「核ミサイル……」

「BETAは核弾頭は有効ではない。仮に使うとしても小型種しか殲滅出来ない……これではシュミットみたいね」

ソ連のスパイだった売国奴……彼は東ドイツを乗っ取り全人類を破滅の道へ辿ろうとした鬼畜指導者だ

「だが、ハイヴごと殲滅出来る……ツァーリ・ボンバという水素爆弾は知ってるかしら?」

ツァーリ・ボンバ……ソ連が開発した人類史上最大の水素爆弾だ

その核爆発は2,000キロメートル離れた場所からも確認され、衝撃波は地球を3周した。

所謂ヤバい兵器だ

俺は警戒し強張る

「強張ってるわね?ツァーリ・ボンバはソ連が開発した人類史上最大の水素爆弾、我々はそれをG元素を含んだ水爆を開発した。それとキリスト教恭順派をまとめたテロリストのリーダーは指導者…マスターと呼ばれているわ。高いカリスマと不可能なはずの陰謀をなし得る恐るべき者。当時、小さな信仰集団だった【キリスト教恭順派】を世界最悪のテロ組織にまで育て上げた人類の敵……」

「そのテロリストのリーダーの名前は分かったんですか?」

「裏社会の情報屋の伍代という男によるとそのリーダーの名前はかつて第666戦術機中隊に属したテオドール・エーベルバッハ……その男がテロリストのリーダーの名よ」

テオドールは確かに666の衛士として活躍し、今俺の目の前にいるベアトリクスを倒した衛士でもある。

どの分岐でもテロリストになる事は避けられないのか

「彼は東ドイツ反体制派に属し反体制派のリーダーだったズーズィ・ツァプと共に我々には向かってまで私を倒そうとしていた。特にズーズィは半グレ集団と結託し我々の同胞を嬲り殺しした。顔が原型がなくなる程にね……」

テオドールも悪魔に魂を売ったって訳なのか

義妹であったリィズを失ったショックでテロリストに成り下がった

「先手は打たなければならない。世間は貴方のお母さんではないのよ?1人の義妹を失ったショックだけでテロリストに成り下がり堕ちるところまで堕ちたわ。エーベルバッハはリィズ・ホーエンシュタインを義妹として好意を抱いていた。本命であるアイリスディーナがいるのにホーエンシュタインを抱いた。それはもう義兄妹の一線を越えてるわ」

「自分は何をすれば宜しいのでしょうか?」

テオドール……指導者…マスター。

あの男がテロ組織の長だったのか

猶更、放っておく訳にはいかない

「ユーコン基地でサイコ・ザクを持ち込み、デモンストレーションをして貰う。要するに今貴方がやっている事をユーコン基地で我々に対する貢献や成果を発揮してほしい。戦術機開発に大きな発展があることを見せ、危険なG弾を使用せずともハイヴを攻略できる可能性を示して貰えば、有力者が向こうに流れるのを止める事が出来る……G弾使用せずハイヴを攻略すると言ったら嘘になるけど時にはやらざるを得ない時もある」

成る程、要するにG元素を含んだ水素爆弾……ツァーリ・ボンバツヴァイって事か

それにユーコン基地でサイコ・ザクを見せつけるのか……彼奴を倒す機会が与えられる

「貴方は666の衛士と一緒にユーコン基地に行くのよ。それとキリスト教恭順派の連中を全員粛清、テオドール・エーベルバッハの暗殺任務の命令を下す。これは今までにない極めて危険な任務よ、出来るわね?」

出来ません……とは言える訳がない

ベアトリクスの目を見ると、これは冗談ではなく本気の目をしている

やるしかない……いいややらなければいけない!

「その任務、是非やらせてください!」

「手始めに難民解放戦線のメンバーであるナタリー・デュクレールが経営している『Polestar』のバイト店員として潜入調査を行って貰うわ。彼女だけは生かしなさい」

「え?何故です」

何でナタリーだけを生かすんだ?

「哀しき境遇があり過ぎるからよ。ニコラ」

ベアトリクスと俺の会話に静聴したニコラはある衣服とエプロンを差し出す

これは……ソムリエの服装だ

「店の制服よ、大切にしまっておきなさい」

一度受けた任務だ、俺はやってやる

やって見せる!

彼奴を……彼奴が乗るガンダムを倒すなら何だってやって見せる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

アラスカ ユーコン基地

 

輸送機は無事ユーコン基地の滑走路に着き、俺達はその地に降り立った。

アラスカの広大ですばらしい大自然は、俺を圧倒した。

しかし、季節はもう冬……景色は冬の寒々しいものになっており、空気も冴え渡り冷たい。思わず身震いするほどに寒い。

そんな俺の内心も知らず、鈴乃は、出迎えにわざわざ航空路にきた彼女に元気よく挨拶をする。

唯依だ

国連軍の制服なんか着て、高みの見物してる気分になってるのか?

少し悔しいぜ

「出迎え、感謝致します。佐渡島同胞団試作戦術機ガンダムタイプ2機のテストパイロットを務めます大倉鈴乃大尉及び豊臣悠一少尉。ただいまユーコン基地に着任致しました。どうかアラスカ滞在中は宜しくお願いいたします。篁唯依中尉」

世話をしてくれる唯依の心情を聞くまでもない

日本にいる恭子と佳織、上総、志摩子、和泉、安芸の意思を尊重しこのユーコン基地にいる

相変わらず幼い顔立ちながら、凜々しく成長したよく知る彼女。

髪は長く伸ばし、冷ややかな強い眼差しで俺を睨んでいる。

あのヒヨッコだった唯依とは180度変わっている

成長した……か。

「……………………ああ、君達の滞在中は私が責任をもって面倒見ます。宜しくお願いします大倉大尉。そして…………豊臣悠一少尉。XFJ計画の現場責任の任務についている篁唯依中尉だ」

「佐渡島同胞団の豊臣悠一少尉です」

遠い異国アラスカにて俺と唯依は巡り逢った。

俺の前に立って敬礼する唯依

俺は敬礼し返す

おまけに彼女の部下みたいな国連軍の制服を纏った少女も……日本人ではないな

……アメリカ人か?

そんな事はどうでもいい、と思ったがやはり気になる

鈴乃は唯依の隣にいる少女の事を聞き出した

「篁中尉、その方は?」

「リダ・カナレス伍長だ、彼女はスペイン出身のCPだ」

「スペイン……欧州西部にある国ね」

鈴乃、察しようぜ

ともかく無事にアラスカ・ユーコン基地に到着した俺達。

車で司令部ビルへ連れていかれ、まずはプロミネンス計画の責任者であるクラウス・ハルトウィック大佐に着任の挨拶へと向かった。

そこで受けた説明によると、フルアーマーガンダムとアトラスガンダムの活躍は戦術機開発の業界を大きく刺激したようだ。

このXFJ計画も、通常なら1,2年は先になる見通しだったのに驚くほど早く進んで、現在はテストパイロットによる調整段階に移行しているのだという。

ガンダム様々だな

『戦術機技術の発展でG弾不要論を高める』

これは香月副司令の理論だ

しかし俺はG弾でハイヴを攻略しても良いという考えどころかそれを使用する事は正直どうでもいい

俺はあくまでも一衛士だ。

何使おうが手段選ばない

次に案内されたのは、テストパイロットの試験小隊隊長のところだった。

彼は中東系の壮健な士官で、『中尉』という階級も低すぎると思えるほどに戦士の貫禄のある男だった

「私はトルコ軍から派遣されているイブラヒム・ドーゥル。階級は中尉だ。試験部隊アルゴス小隊のまとめ役のようなものだと思ってほしい」

鈴乃は彼の自己紹介した名前に、ふと聞き覚えがあることに気がついた。

何だ鈴乃、彼の事知ってるのか?

「佐渡島同胞団の長を務める大倉鈴乃大尉です、あの少しお聞きして宜しいでしょうか?」

「大倉大尉、どうかしましたか?」

「ーーー松本駐屯地の司令だった豊田中将が大東派連合での共闘作戦を参加し中東から流れてきた者に、『イブラヒム・ドーゥル大尉』という高潔な部隊指揮官のお話を聞いたことがあります。その英雄的活躍に助けられた者は多く、大変尊敬していると仰っていました。貴方はその『イブラヒム・ドーゥル大尉』ではないのですか?」

「…………………私は中尉だよ。大倉大尉、軍人にとって階級は重大な意味をもつ。今後、私を『大尉』とは呼ばないように」

なんだ人違いか。つまらねぇ事を言ってドーゥル中尉の機嫌を損ねてしまったな。

俺も気を付けなければ

「さて。今日はうちの小隊と君らを会わせようと思ったが、明日にした方がよさそうだな。今日の所は基地及び格納庫の案内をさせよう」

格納庫か、確かここユーコン基地は各国の戦術機が次々と勢揃いしている

アメリカは勿論のことだが、西ドイツ、イタリア、フランス、イギリス、ソ連、東欧州社会主義同盟……ベアトリクスが率いる組織もいる

「どのみち君らの試作戦術機を披露するのはもうしばらく後のことになる。アメリカ側のスタッフがまだ到着していないのでな。こちらの立場的に、アメリカより先に見るわけにはいかんのだよ。ではカナレス伍長。あとは頼んだ」

ドーゥル中尉が俺達の後ろに控えていたカナレス伍長に言うと、彼女は元気よく応えた。

「了解しました中尉。では私、リダ・カナレス伍長がご案内いたします。お二人とも、ついて来てください」

俺達は彼女の後について行き基地の中へと案内していった。

数分後、格納庫を案内されている途中で彼奴と会ってしまった

しかも666の衛士もいる

ん?1人は見かけない顔だな……写真集で見た事あるぞ

「よう、久しぶりだな……ダリル・ローレンツ」

「お前もここに来てたのか?」

鈴乃は666の衛士と初対面だろう

写真でしか見た事がなかったからな

少し驚愕している

「……佐渡島同胞団の長を務める大倉鈴乃大尉だ、お初にお目にかかります、第666戦術機中隊のファム・ティ・ラン大尉、アネット・ホーゼンフェルト中尉、シルヴィア・クシャシンスカ中尉」

「宜しく頼むわね、大倉大尉」

「……よろしく」

ファムとアネットは笑顔で振る舞ったがシルヴィアだけはふてぶてしい態度で挨拶していた

しかし俺の顔を見た途端、アネットは睨み付ける

「……俺とお前は殺し合う運命なんだ!まだ戦争は終わらねぇ」

「………俺はお前をいつも狙ってる!」

俺とダリルは闘志を燃やし互いに睨み付ける

此奴は、倒さなければならない

「ダリル・ローレンツ、俺はお前との決着をつけるまで死ぬ訳にはいかない!演習でケリをつける!」

「俺も、死なない……ファム、アネット、シルヴィ……いやクシャシンスカ中尉を守らなきゃいけないんだ!」

「なら俺は大倉鈴乃を守り切る、これでお互い様だ」

俺と此奴は殺し合う運命だ

俺は負けられないんだ……此奴だけは!

 

 

 

 

 

 

 

 

The end of Part 1




インペリアルガード編はこれで終了です!
長かった……3か月掛かってしまいました
マブラヴアニメ放送される一か月前で書き始めて漸く終わりました
裏話は活動報告で言います。
第2部はユーコン編です!
ユウヤとヴィンセント、V.Gも出てきますよ
どう戦うのかが問題ですね……TEサンボルはまだまだ続きますよ
では次回のお楽しみに!
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