トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第2部 ユーコン編
第13話 錚々たるユーコン


まさか日本から遥か離れたアラスカで、唯依とここで会うとは思わなかった。

分かっていたが…唯依は出世街道を歩いている

それだけではなかった。

格納庫を案内されている途中にダリルと666の3人とバッタリと会った

互いに闘志を燃やし、鈴乃が軽い会話で済ました後その場から去った

数分後、アルゴス試験小隊の三人に偶然出会った。

彼らはカリキュラムを終えた直後らしく、衛士強化装備で何やら話していた。

そこの北欧系美女の衛士が俺達に気がつき、声をかけてきた。

「あら、カナレス伍長。その二人が今日、日本からいらした?」

「はいブレーメル少尉。あ、本当は明日会う予定でしたけど、今紹介しちゃいますね」

紹介された三人は以下の通り。

イタリア軍から派遣されているヴァレリオ・ジアコーザ少尉。通称VG。ラテン系の兄ちゃんだ。

スウェーデン軍のステラ・ブレーメル少尉。北欧美人で巨乳。衛士強化装備だと目のやり場に困るぜ。

ネパール軍のタリサ・マナンダル少尉。アジア系の子供みたいな奴だ。

「よう、アンタらがアルゴス試験小隊の……」

1人の女の子が俺の前に歩み出て、顔を覗き込んで言った。

「何だよ、見かけない顔だな」

「豊臣悠一少尉だ、ジャズが聴こえたら俺が来た合図だぜ。覚えておきな」

「フン!」

何だ、いじけてるのか?

「お、唯依姫に続いて二人目のお姫様か…」

VGは鈴乃の顔を見る

「日本帝国軍本土防衛軍から派遣された大倉鈴乃大尉だ、佐渡島同胞団の長を務めている」

「佐渡島同胞団……よくわからないけど鈴姫と呼ぼう」

な!!!!!?鈴姫ってなんだよ!!

まるで大河ドラマに出てくるお姫様じゃないか!

「ふふっ。でも篁中尉より話しやすそうね。日本のお姫様の衛士ってちょっと興味があるから、色々聞いてみたいわ」

拙い……これは説明して訂正しなければ

俺は説明しようとするが鈴乃が先に言い放った

「私は”お姫様”などと呼ばれるようなものではない。全く的外れな認識だ」

「因みに俺は一般武家の息子だ。欺衛崩れの衛士だけどな」

鈴乃は俺の頭に拳骨を喰らわした

「いで!」

「私は本来なら帝国軍本土防衛軍の一衛士だ。"お姫様"と呼べる存在ではない」

ポカーーン

みんな一様に呆けた顔をしている。

そして一番に認識を改めさせたいタリサという女の子は……

「ムニャムニャ…………んん? 終わったか、お姫様?」

「マナンダル少尉! 貴様眠ってたのか!? 私が説明している間ずっと!?」

鈴乃は怒りを露にしタリサを睨みつける

おいおい、鈴乃は意外と怖いぞ?

「任務中でもねぇのに、いちいち呼び方めんどくせぇなぁ。タリサでいいよ。ふわーぁあ」

階級2つ上の鈴乃に対し平然と欠伸する

「貴様はプロゴルファー猿……所謂その主人公の猿谷猿丸だ!これから”猿丸”と呼ぶ」

「ぬわんだとぉう!? 上等だぁ!」

何でプロゴルファー猿の主人公の名前から取ったんだよ!

と言うか漫画も詳しいんだな鈴乃は

鈴乃に飛びかかろうとした”猿丸”だったが瞬間、見事なコンビネーションでVGとステラが抑えた。

迎撃体勢をとった鈴乃には俺が抑えていた。

”猿丸”を抑えながらVGはヤレヤレといった感じで鈴乃に言った。

「あんたも、お互い苦労するな」

「いや、鈴乃は普段は苦労をかけるような奴じゃないんだが…………」

俺はチラリと"猿丸"を見た。

「そいつと壊滅的に相性が悪いらしい。俺の腐れ縁にもこんな感じの奴がいてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜。

俺達はアルゴス小隊の連中に連れられ、リルフォートの街へと来た。

ここはユーコン基地に所属する軍人・軍属とその家族を支える、基地内に造られた都市だ。

そしてそこにある『PoleStar』というバーで歓迎をうけた。

「それじゃ、お二人さんの着任を祝ってカンパーイ!」

「よろしくね。今日はいないけど、ここにはナタリーって友達の子が働いているから、あとで紹介するわね」

「ま、来たんならしょうがねぇ。せいぜい、がんばんな」

アルゴス小隊はそんな歓迎の言葉を述べる。

気のいい奴らみたいで、暫く共にするのは申し分ない連中だ、”猿丸”を除いて

「貴方方と行動を共にしますけど、ここのテストパイロットになった訳じゃないのよ」

「あーあ、そうなんだってな。お二人さんの任務ってのがイマイチわかんねぇんだが、機密じゃなけりゃ説明して頂けないかい?」

「ええ。俺達の任務は『ガンダム』という新概念の試作戦術機の演習をして…………」

つまり俺達はガンダムの演習をしてその圧倒的な力を見せつける。

そして別便できている政治家や技術者が、その派生技術をここに集まっている各国の戦術機屋に売りつけるのだ。

日本帝国の貢献として、同胞団の目的悲願達成の為に

商売を通じて各国への繋ぎを作ると同時に、各国の戦術機技術の底上げだ。

「つまり、お二人さんはセールスマンって訳か。しかし世界中の戦術機技術が集まっているこのユーコン基地で、売れるようなモンなんて出せるのかねぇ」

「あらVG。貴方聞いたことないの? たった1機で京都にいた学徒兵を守り抜きもう1機は単機で要塞級7体を殲滅したって噂の戦術機のことを。その”FG"と”A”が来てるのよ」

「あれか!? けどよ。そんなトンデモ戦術機がここ以外でできてりゃ、プロミネンスもアメリカも何なんだって話だぜ。なぁ悠一。いくらなんでもそりゃガセだろ?」

「それは演習を見て判断した方が早いと思うぜ」

さっきまで気持ち良さそうに酔っ払いの顔をしていたVGもシラフの顔になって俺を見つめている。

「その試作戦術機って…………」

「此方の機密に関わる事だ。豊臣少尉の言う通り演習をお待ちになって頂きたい」

鈴乃がそう言うと、アルゴスの皆はハッとしたような顔をした。

「あ、ああ、そうだったな。酔いがまわって脇が甘くなってたぜ」

「テストパイロットとして失態ね。それじゃ話をかえて、コイバナでもしましょうか」

コイバナか………ないな

「残念だが、聞かせられるような睦事など経験した事がないんだ」

鈴乃は凛々しい表情でステラに言い放った

嘘吐け!都と散々激しく抱き締め合ってた仲だっただろうが!

「同胞団の長である私がユーコンの試験小隊と行動を共にするなんて皮肉よね…悠一」

鈴乃は俺の顔を見てニヤリとほくそ笑んだ

何だよ?

「ふふ」

「強いて聞かせられる話なら私の隣にいる男と抱いた事かな?」

な!!?

おいおい、パートナーだからと言ってそれは恥ずかしいだろうが

「それよりさ、好きな音楽ジャンル聞きたいな」

俺は強引に音楽の話を振った

「ん?音楽かい、俺は……特にないかな」

「私は好きな音楽なら何でもいいわよ」

「あたしは優しく包まれる音楽が好きだな」

ん?”猿丸”よ、言ってくれるじゃねぇか

「オールディーズね?」

ステラはとびっきりな笑顔を振る舞う

「彼奴好みの音楽趣向か……まぁいいさ。見せてやるよ、俺達の実力が上だと思い知らせてやる」

俺は安堵な表情で”猿丸”に向け言い放った。

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