トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第15話 ESP

悠一Side

あのソ連の女衛士たちは、西側の間で紅の姉妹と呼ばれているそうだ。

姉のクリスカ・ビャーチェノワ。

妹のイーニァ・シェスチナ。

名字が違うので血は繋がっていないのかもしれないが、2人ともよく似ていることと、本当の姉妹のようにいつも一緒にいる事からそう呼ばれているそうだ。

秘密主義のソ連らしく彼女らの詳しいことは何もわからないが、訓練などを垣間見た者の話では相当のスゴ腕らしい。

……姉妹と言うより義理の姉妹だろ。

連中は便利な道具と扱っているだろう

恐らくだが、透視とテレパス……レーダーやセンサーの代わりに見て、無線の代わりに別の衛士と伝えられるし敵機がいたら確実に的確で狙い躊躇いもなく撃つ

……気に入らねぇな、特にクリスカって女は

能力を人為的に向上して実戦で使えるレベルの衛士だ

所謂扱いが難しい繊細な衛士って訳だ

あんな怪物を生んで作ったのがESP発現体

簡単に言えばデザインベビー…いやクローンと言うべきか?

俺が知ったこっちゃない!どうせ使い捨てられる

現在俺と鈴乃は基地の端の演習場にて、唯依の指揮のもと互いのガンダムの機動確認中。

実はこのアラスカの任務中は俺達は唯依の指揮下に入っているのだ。

演習の段取りなんかも彼女がやってくれている。

つまり彼女は指揮官として常にこちらをモニターしているのだ。

「鈴乃、一つ小話していいか?」

《任務中だぞ、私語を慎め》

「すぐ終わるから」

《……少しだけだぞ》

「ありがと、宇宙世紀と言う世界で1人のパイロットが『尖り帽子と噂されたジオンのニュータイプ…「ラ、ラ」って音が聞こえたらもう攻撃を受けて一巻の終わり………』」

《ふむ、それで?》

「『そんな神出鬼没の敵を倒したのは連邦のやはりニュータイプで…最初のガンダムを操るまだ十五、六歳の子供だった。あんな怪物共を養殖しようって事で作ったのが強化人間だろ?ゾッとする話だぜ』と」

俺は機動戦士ガンダムサンダーボルト第99話でとある人物が言った台詞を鈴乃に教えたが、クスっと笑みを浮かべる鈴乃はこう言い放った

《ふふ、そんなオカルト話誰が信じるのよ》

「俺も信じちゃいなかったが、ここにいてもおかしくはないくらいだぜ」

ニュータイプ……宇宙世紀においては、時空を超えた非言語的コミュニケーション能力を獲得し、超人的な直感力と洞察力を持つ、新しい人類とされる人間を指すが、その概念は明確にされず、さまざまな解釈が可能で想像の余地を残した形で描かれる。ニュータイプに対して、彼等のような特殊な能力を持たない従来の人類はオールドタイプと呼ばれ、やや軽蔑の意味合いを込めて使われるケースも多い。

つまりクリスカとイーニァは宇宙世紀の学者や研究者目線で言うとニュータイプだ

……多分。

《謎だな。けど今は演習に集中しろ。考えれば謎が解ける訳もなく私達に答えを知る術がある訳でもない》

小話を終え任務に集中しようとしたその時、そこには2機の戦術機が猛スピードでこちらに飛行してきていた。

それは撮影任務をしているはずの”猿丸”のアクティブイーグルとソ連のチェルミナートル。

それらが縺れるようにドッグファイトをしながらこちらへ向かっている。

追われるアクティブイーグルは高度な錐もみのような急速回避運動をとり続け、その動きは衛士の技量の高さを伺わせる。

されどそれを追うチェルミナートル。

それほどの動きを見せるアクティブイーグルに対し、なんと常に背後をとり続けている。

まさに、それは通常ではあり得ないほどの技量。

………………ニュータイプ? やはりか?

馬鹿が、あり得ない!

俺は顔から血の気が引いてきた。

――――――ゴオォォウッ!!

それらは轟音とともに俺達の上空を走り抜け、彼方へと飛び去っていく。

あまりに信じられない光景に呆然となって見送った。

まさか戦術機でドッグファイトとはな、俺の予想すら越える、どこまでも恐るべき奴なんだ

《推進剤が切れるまでやらせておきなさい。実弾を装備している筈もないわ》

「被弾していた。このままでは墜とされるぞ!」

俺の言葉に戦慄が走った。

《しかし何故、実弾を…?》

「分からねぇ…」

俺がそう呟くと、唯依が説明してくれた

《撮影には銃撃シーンも予定されていた。突撃砲を斉射する派手な絵もほしいらしくてな。待っててくれ。とにかくCPに連絡をとって状況を聞いてみる》

だが状況を見たところ、あのソ連衛士……紅の姉妹とやらは相当ぶっとんだ奴だ。

何があったにしろ、実弾で相手を撃つなど普通ではない。

今すぐ動かなければ間に合わないかもしれない。

「俺達を救援に行かせてください。ガンダムでなら追いつけます」

俺は決断した

《いいのか?機体は…》

「構いません!」

《……………分かった。CPに要請しよう。CP、こちらP-11で訓練中の篁だ。現在、撮影任務のはずの2機の暴走を見た。それについてだが、こちらで……………》

通信の向こうで唯依が暫くのCPとの会話のあと、やがて待望していた答えがきた。

《許可が出た。行け!》

「了解しました!」

瞬間、互いのガンダムは目標が飛んでいった方向へ向け推進する。

《私が先行する、後ろは頼んだぞ。豊臣少尉》

「ああ、前は任せた!鈴乃」

《だから任務中だ》

「へいへい、よぉし…楽しい楽しい戦場へと行くぜ!」

そしてドッグファイトをしている2機に向け、まっしぐらに飛行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良平Side

 

俺はベアトリクスが下した命令を基づきユーコン基地へと派遣され、リルフォートという歓楽街で1人、難民解放戦線のメンバーであるナタリーが経営する『PoleStar』というバーに来ていた

「命令書通り、ここが……俺が入る潜入するところか」

嘆いても何も起こらないのでバーの中に入り、そこにはバーテンダー服を着ていたナタリーが待ち構えていた

「貴方がダリル・ローレンツね?ヴァレンタインから話は聞いたわ、丁度人手が足りなかったから勧誘しようと思ったのよ」

ヴァレンタイン……難民解放戦線の実行部隊のリーダーの事を指してるな。

俺がテログループを潰すとも知らずに……。

「一つ目の戦術機……貴方が乗ってるの?」

「サイコ・ザクの事を言ってるのか?」

「ん?それが貴方が乗ってる機体の名称なのね……それは置いといて早速だけど面接行うわ」

やっぱそっちからだよな……。

マニュアル通りにやれば…何とかなる

「分かりました」

「ふふ、いい返事ね。事務所に行きましょ」

そして俺は事務所に行き面接を受けた

その結果は合格

俺は住み込みの形でナタリーが経営するバーで雑用係として雇われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タリサSide

 

けたたましく鳴り響くロックオン警報。

ヘッドセットからは飛行計画にない行為を激しく咎める管制官の怒声。

狭い管制ユニット内にこれだけの騒音でおかしくなりそうだったが、そんなものに構っていられなかった。

「ちくしょうっ! 何でだ!? 何で振り切れねぇんだ!?」

背中にへばりつて離れず、ときどき的確に撃ってくるソ連機・チェルミナートル。

自身の技量の限りを尽くし、強度限界ギリギリの回避機動をとっているにもかかわらず、いつまでも引き剥がせない。

きっかけは、あのソ連の冷血女が、あたしの握手に出した手を思いっきりブッ叩いて拒否したことからだった。

機体に搭乗し任務にはいったあともムカつき、あの高圧的な冷血女の顔がまぶたにチラついた。

だから細やかな意趣返しにと、チェルミナートルにロックオンをしてビビらせてやろうとした。

だがその瞬間――――

視界から奴が消えたと見え、と同時にそいつに後背に回られ、さらに相手の火器管制が実戦モードになったと警告ダイアログが立ち上がる。

―――マジか!? ロックオンされたとはいえ、警告もナシに他国機に実弾向けるなんて!

無論、原因はどうあれ、こうなったからにはこちらも自衛のための回避機動にうつった。

失速起動、旋回、変則、コンビネーション。

技術の限界を駆使し、高Gに耐えながら、あらゆる回避起動でヤツを振り払おうと死力を尽くした。

紅の姉妹の異名をとる相手は、聞いた以上のスゴ腕。いや、もはやバケモノ!

此方の回避などものともせず後ろに張り付いてくる上、本当に撃ってきた!

結果、予定の空域を大きく逸脱し、演習場を横断し、とうとう航空路にまで来てしまった。

運悪く、目の前に大型輸送機が着陸寸前。

―――衝突!…………寸前だったが、何とかその上を超えて回避。

されど限界は近い。

後ろに注目し、どうにか奴から逃れる術を探していたその時だ、後ろから奇妙なものが接近してくるのが見えた。

「……………あれは?」

それは妙に未来的なデザインの戦闘機。

それがこちらのスピードをものともせず、迫ってきているのだ。

「――――なぁ!?」

驚いたことに、それはそのスピードのまま、チェルミナートルに向け右に装備してる光学兵器で威嚇射撃した

「はは………マジかよ。作った奴、何考えてんだ」

フルアーマーガンダムと呼ばれる、伝説ともなった戦術機だ。

そしてそこから、やはりあの”お姫様”が通信でがなり立てた。

もう一つの戦術機、アトラスガンダム

レールガンを構え射撃体勢に入っていた

《マナンダル少尉。何故、私の予言通りの展開になっているんだ!貴様は本当にサルなんだな…人間ならあそこまで言われたなら、意地でもちゃんと成功させてみせると努力はしないのか》

「うるさーい! あのソ連の馬鹿姉妹が悪い! こっちが友好的に握手しに来たのに、あの態度はないだろうっ! だから………っ」

そうだ、あの馬鹿姉妹が悪いんだ

《あれは、貴様の笑顔があまりに怪しく気持ち悪く何か企んでいそうだったからだ。私にも妹がいたら、絶対近寄らせない……坂崎大尉もそうすると思う》

「なんだとっ!? ゴラァア!…………うあっ!」

ドカンッ!

機体を揺さぶる激しい衝撃。

ダメージ警報が鳴り響き、またしても被弾した事を理解。今度は致命的だ。

機体の推力がおちて速度維持ができず、グングン高度が下がっていく。

《撃ってきたぞ! マナンダル少尉、そいつはこっちで引き受ける。貴様はそのまま着陸を!悠一行くわよ!》

《おう、アンタはそのまま帰んな》

「気をつけろ………っ。そいつはスゴ腕な上にいかれてやがる。本気で撃ってくるぞ」

そんな負け惜しみを言うので精一杯だった。

損傷チェックを見たところ、右肺面の強化スラスターと右の跳躍ユニットがやられていた。

お姫様が彼奴を引きつけてくれることを祈りつつ、姿勢制御に全力を尽くすしかない。

テストパイロットの意地として、機体を捨てて脱出なんてできないんだから。

――――悔しくて涙が出た。

彼奴にはあたしの何もかもが通用しない。

十数分のドッグファイトの中、それを嫌というほど思い知らされた。

渾身の回避機動も、アクティブイーグル限界までの加速も、まるでなかったかのようにチェルミナートルは、次の瞬間には背面にピッタリついている。

ここまであたしがどうしようもなかった相手はいなかった。

だけど”負け”を認めることだけは出来ない。

あたしの中の何かがそれを拒絶する。

これはあたしの中に流れる勇猛なグルカ族の血と誇りか。

だから叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぼえていろよっ チクショォーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滑走路脇のうずたかく盛り上がった土砂。

そこがあたしの不時着した場所だった。

無敵だったF-15・ACTVアクティブ・イーグル。

それは情けなくもジ・エンド……兵士の如く仰向けに空を仰いでいる状態だ。

どうにか機体の損壊は免れたが、復活できるかは整備次第だろう。

「ああ、くそっ! 彼奴ら………っ! そうだ、あのお姫様は無事か!? まさか、ここの上に落ちてきたりなんかしねぇよな?」

あたしはチェルミナートルを引きつけているはずのあのお姫様が気になり、上空の様子を拡大望遠で確認した。

その瞬間、機体の先行きより、これからのことより、そしてあたしをさんざん追い回して墜としてくれた、あの紅の姉妹の恨みより、なお―――

拡大望遠で見るその光景に、あたしは新たな悔しさが湧き上がった。

「チックショウ。やっぱあのお姫様、”本物”かよ」

その空中には、お姫様が駆るアトラスガンダムとチェルミナートルが猛烈なドッグファイトを繰り広げている光景があった。

そしてあたしの時とは逆に、チェルミナートルはアトラスガンダムに常に背後をとられ続けていた。

それを引き剥がそうと猛烈なスピードと旋回で動き回るチェルミナートル。

されどその背後に影のようについて離れないアトラスガンダム。

後方支援するフルアーマーガンダム

さながら1機は激しくドラムを叩いて演奏したりあとの2機は激しいダンスでも踊っているかように華麗に空中を舞っていた。

どこの国で作られたかもわからない、されど無敵の戦術機。

それはテレビのニュースで写ったそのままの姿だった。

「ちくしょう。あんなお姫様に負けているだなんて、信じたくなかったんだけどな………」

青い空の向こう。

幾つもの高難易度の回避機動を高スピードでくりかえす二機。

それはまるで終わりがないようだった。

いつしかあたしは悔しさも忘れ、ただ、その華麗な動きに吸い込まれるように見入っていた

「…………………綺麗だ。まるで舞踏会のダンスだな、お姫様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴乃Side

 

「くううっ! なんて機体だ!」

また何度目かになる、背後へまわってのロックオン。

アトラス相手にこの状態になったならば、この世界のいかなる戦術機も逃れる術などない。

――――その筈だった。

「うぐ!…またっ!」

だがチェルミナートルは、またしても瞬間にロックを外した。

あろうことか、ヤツは逆にこっちの背後へ回ろうとする!

その気配を瞬時に察知した私は、機体を最小半径で旋回させ、またしても相手の背後を狙う!

だが彼奴は複雑すぎる螺旋機動で回り込む!

―――――信じられない! 本当にコレが戦術機の動きか!?

「レールガンで仕留めて見せる!墜ちろ!」

私はアトラスガンダムの武装の一つであるレールガンを構え射撃した

が、チェルミナートルはそれを躱す

外れただと……!

だが、どれだけ難しかろうと、背後を完全にとって強引にでも奴を止めるしかない。

もう一発レールガンを構えチェルミナートルに照準を定めつつ射撃しようとした時――――

「!」

チェルミナートルからの殺気プレッシャーが増した!

と同時、奴はさらに荒れ狂い、動きは獣じみたものへと変化する。

攻撃が加速度的に増えていく。

雷の雨を捌いている気分だ。

躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す! 

「なっ!?此奴……」

完全な死角から38mm弾が飛んできた。

反射的に避けはしたものの驚いた。

《単機で彼奴では倒せない!俺達の連携プレーでいけばやれるかもしれない。鈴乃、力を貸してくれ!》

そうだ、連係プレーで攻撃を仕掛ければ

「いいわ、悠一!動きを合わせるわね?」

《俺達は息ピッタリ合うんだ!ケリをつけるぞ》

悠一はフルアーマーガンダムの二連装光学射撃兵装を構え連射し、私はレールガンを一発ずつ放った。

この攻防を穏便にすませることは不可能だ。そう見切った。

躱し躱されの螺旋から、ようやく2機が止まる瞬間がきた。

「残り18発……」

私はレールガンでチェルミナートルの管制ユニットへ。

チェルミナートルはアトラスのコクピットに突撃砲をロックオン。

ピタリ互いの急所を狙ったまま、どちらも微塵も動けない。

「佐渡島の奪還を夢のまた夢に終焉するなど私は……生きて日本に帰り異星起源種共を殲滅してみせる!」

レールガンで射撃しようとしたが、いきなり近距離通信が入った。

《待て!双方武器を下ろせ!互いにここで争う理由はない筈だ》

「え?何故だ」

《ユーコン基地の管制塔から演習中止と命令下った。アンタは俺より2つ上の階級だ。独断で止めることは出来ない》

「……分かった、これより帰還命令を下す」

私はレールガンを下げると、ゆっくりチェルミナートルから離れていく。

後方を確認したが、チェルミナートルはフルアーマーガンダムとアトラスガンダムの両方にしかける様子もなく、止まったままだ。

やがて悠一もこちらに来ると、チェルミナートルもソ連側の基地へと進路をとって小さくなっていった。

微かな戦闘の余韻を残してこちらも帰投していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《しかし乗ってたの、本当に人間か?》

帰還の途中、ポツリと悠一が言った。

「奇妙な感じがするわね。そう感じるほどの腕だったが、あれは人間だ」

《躊躇いもなく無慈悲で鈴乃を殺そうとしていた……的確な射撃、距離、判断力があるからあれはただの衛士じゃねぇ》

「ただの衛士ではない?」

《ああ、あれは殺戮者だ。ソ連だろうが日本だろうと関係ない》

「殺戮者………もしそうだとしたら本気でやらないといけないわね」

ソ連の衛士と戦ったが、確かにあの動きと射撃は今まで出会った衛士達と比べ物にならない

クリスカ・ビャーチェノワ、イーニァ・シェスチナ

見た目は普通の姉妹に見えるが、戦術機で戦ったら……戦いに慣れた真の殺戮者だ

「悠一、帰ったら私と付き合わない?」

《ああ、良いぜ。アラスカのサーモンを鱈腹食いたくなってきた》

私は和やかな笑みを浮かべ基地に帰投した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

チェルミナートルの件で鈴乃と共に帰投した後、リルフォートで『PoleStar』と言うバーに入り2人仲良くカウンター席に座り込んだ

鈴乃は俺とくっ付いて傍から離れず俺の腕を胸で挟んだ

「あら、お二人さん仲いいわね」

ナタリーは俺に話しかけ鈴乃の事を『彼女』と勘違いした

「はは、ただのパートナーだよ」

「彼女です」

な!!!!!!?

「ふふ、お熱い事。いっそ結婚しちゃいなさいよ」

「はは、なぁ鈴乃」

鈴乃は満面の笑みで俺に言い放つ

「そうね……私達結婚した方が楽になれるわ」

おいおい、俺には恭子がいるんだぜ

「で、何飲むの?」

「んじゃあ、バーボンウイスキーを頂戴するぜ」

「はいはい、バイト君出番よ」

ナタリーはそう言うと、一人の男がグラスに氷を入れバーボンウイスキーを注いだ

ん?此奴…どこかで見たような

「……」

俺はあいつの顔を見ようとしたがナタリーに遮られた

「どうしたの?」

「いや何でもないよ」

「そう?」

彼奴な訳ないか……少し冷や冷やしたぜ

とか言いつつ、彼奴もここにいる。

666の衛士達も

1人遠く離れた席に座ってる女性がぽつんとカクテルを飲んでいる

……此奴は、癖毛がある銀色の髪型、闘志を燃やすその目、戦闘服(BDU)を胸元開けてる姿

見間違えるわけがねぇ…この女はシルヴィアだ

俺はシルヴィアが座ってる席をチラリと見たが、気づかれたか彼女は俺が座ってる席に近づきその隣に座り鈴乃と挟み打ちされる形で身動き取れない状態となった

「少し良いかしら?」

「ん?」

「あまりジロジロ見ないでくれる?気持ち悪いのよ」

何だこの目は…復讐鬼!?

いや、それよりも何故俺に近づいたか気になるな

「……何故俺に近づいたんだ?」

「別に…」

おいおい、不貞腐れた態度だな

俺も人の事言えないか

「アンタ、666のシルヴィア・クシャシンスカ…ポーランドの亡霊と異名取る歴戦の衛士」

「だから何?それ慣れ合い?やめてくれない、私は半端な衛士とは慣れ合わないの」

「なら本気で競い合ったらどうだ?慣れ合うよりそっちの方がマシだろ」

俺も慣れ合いは苦手だけど出来る限りの事はやっている

「それ本気で言ってるの?」

「おう、それよりさ…好きな音楽ジャンルは何だ?」

「一昔前は何も興味なかったけど今はジャズを好んで聴いてるわね」

「おお、俺もジャズ好きだぜ。爽快感で駆け巡り、自由に走り回るような感じがするんだ」

俺は豪語しつつ自慢げで言ったが、シルヴィアは不貞腐れた態度をやめ無愛想な態度を取り俺と話す

「貴方とは気が合いそうね……」

「違った出会いなら俺のバンドメンバー加えてやろうと思ったが残念だな」

「ごめんなさいね、あと私はポーランド人よ」

そう話してるうちにナタリーが氷割のバーボンウイスキーを3つ差し出した

「あら、頼んでないけど」

ナタリーはニッコリと笑顔を振る舞う

「私からのサービスよ」

「どうも」

「ん、ありがとう」

シルヴィアと鈴乃は感謝の言葉を述べる

ナタリーも気が利く女性だな

「私が気が利く女性?そんなことないわよ」

心の中を読まないでくれ……それにしてもよく見ると良い女だ

一人の男がナタリーに話しかけた

「ワインの補充した方が良いですか?」

「うん、お願いね」

やはりここにいてたか……ダリル・ローレンツ

だが何でナタリーと一緒に働いているんだ?

ダリルは俺がここにいる事を気が付き、顔を伺う

「お前も来てたのか」

「よう、サイコ・ザクの次はナタリーの彼氏ごっこか?呆れてもの言えないぜ」

ダリルは俺を睨む

「俺とナタリーの仲を馬鹿にするのか?」

「そう熱くなるなって、『俺達付き合ってます』って顔に書いてるぜ?」

「ジャズにしか取り柄がない男が何を言うんだ?」

「てめぇ、言ってくれるじゃねぇか!」

俺とダリルは互いに口喧嘩し始めたが、ナタリーはパンパンと手を叩いて仲裁した

「はいはい、喧嘩はやめなさい。ダリルはこの人とお知り合いなの?」

「……因縁の相手ですよ」

「豊臣悠一ね?ふふ、タリサから話聞いたわ。日本の帝都防衛戦や出雲奪還作戦で活躍した凄腕の衛士。合ってるかしら?」

まぁ、合ってるには合ってるが

「ああ、合ってるぜ」

俺はグラスに入ったバーボンウイスキーを一気飲みした

鈴乃もバーボンウイスキーを口に含み俺の唇を重ねつつ口に移した。

「!」

「……惚気てるわね」

「ふふ、熱いわね…」

「……」

口から離し、鈴乃は

「今夜はスローバラードを奏でて一緒に……」

と一言を添え、鈴乃は妖艶な笑みを浮かべるといきなり抱き締めた

酔い潰れたのか?まだ一口しか飲んでないじゃねぇか

「……お前は良いな、羨ましいよ」

ダリルは俺と鈴乃を見て羨んだ。

ホント、アンタと出会って良かったと思う…鈴乃。

最高の女だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤSide

 

「よお、ユウヤ。見てみろよ。雄大なアラスカの大自然ってやつだぜ」

またヴィンセントが声をあげた。

全くガキじゃあるまいし、何かを見つけてはいちいち声をあげるのはやめて欲しい。

ここは国連軍超大型輸送機An-225ムリーヤの客室。

間もなく目的地のユーコン陸軍基地へと到着するため、着陸態勢にはいっている。

さっきから煩いのは俺の専任整備士のヴィンセント・ローウェル軍曹だ。

「いやー楽しみだぜ。なんせあの噂の”FG”と”A”があるってんだからな!」

「あんなの与太に決まっているだろう。たった一機で要塞級7体倒しただなんて信じられねぇ」

「はははは。尾ひれつきまくってるねぇ。けどよ、発表の演習するってんならなら、それなりのモンが出てくるんじゃねぇか? せいぜい楽しもうじゃねぇか」

「こっちはその伝説をブッ潰すのが任務だ。ヴィンセント。ステージは明日だが、大丈夫か?」

「任せろ! パーティーまでにラプターを最強に仕上げてやるよ」

「よし。明日そいつをブッ倒したらすぐ帰るぞ。観光の時間はないからな」

「……………それだがよユウヤ。勝ったからって本当にクソ上官がお前を戻すと思うか? 彼奴、日頃から問題を起こすお前を相当嫌っていたからな。何らかの理由をつけて、戻さないつもりかもしれねぇぜ」

「…………なに? 何かそんな臭いでもあるのか?」

その時、到着を示すアナウンスが鳴った。外を見ると、目的のユーコン基地。その滑走路が見える。

相棒は顔を和らげ、ジェスチャーを取った。

「いや、なんとなくそう思っただけだ。悪かったな。勝負前に不安を煽っちまって」

「脅かすな。この輸送機が墜落したみたいな気分に………」

 

 

――――――――ガクゥッ!!!!

 

 

いきなり機内が激しく揺れた!

「なッ!! どうしたッ!? 再アプローチか!?」

ヴィンセントが叫んだ。

だが違う。衛士の直感がそう告げる。

こいつは再アプローチなんて生易しいもんじゃない!

状況を知るため、すぐさま操縦室へ向かった。そこに入ると、パイロット達が管制と緊迫したやりとりをしていた。

その話の内容によると、訓練空域を外れた戦術機が2機、こちらの後方から急接近しているらしい。

「ちっ、どこのバカだ! …………マズイ! おいっ、ここで上昇するな!」

噴射音から、後方から来る戦術機の動きは、輸送機を飛び越えようと上昇することを予測しパイロットが操縦桿を引いて上昇するのを手で押さえて止めた。

俺の予想通り、2機はこちらを飛び越え衝突は回避された。

しかしその後、その2機は滑走路上空でメチャクチャに飛び回りながらドッグファイトを始めやがった。

「これでは滑走路を使えません! 予測不能の動きに、衝突の可能性が付き纏います」

…………ったく。ここの基地の衛士管理はどうなっているんだ。

ともかく俺はこう提案した。

「とにかく距離をとって観察しよう。あれがどうなるか報告は必要だろう。撮影ができるなら撮っておいてくれ」

「ユウヤの言う通り! ぜひ観察しましょう!」

いつの間にか来ていたヴィンセントが言った。

「ヴィンセント、お前も来たのか」

「おおよっ。俺達の歓迎にしちゃ、随分と手荒いじゃねぇか。それよりあのドッグファイト、ちょっと凄ぇぞ」

ヴィンセントは嬉しそうだ。こんなわけの分からない危機に巻き込まれたってのに。

もっとも、俺もあの戦術機どもの動きには目が離せない。

とくにソ連製らしき戦術機の技量には目を見張るものがある。

そのとき、格闘機動している2機の後ろから、飛来するものが見えた。

「おっ? なんだあの航空機は。見たことない形式……………なぁ!?」

その戦術機はレールガンを構えソ連製の戦術機に向け射撃していた

「バカな…………レールガン装備の戦術機ッ!? そんなものが既に実現しているなんて!」

「おいっ! アレってよ。噂の………まさかマジとは思わなかったぜッ」

「…………ああ、”A"だ」

やがてイーグル改修機の方はソ連機より被弾し地上へ。無事着陸できるだろうか。

それはともかく。あのイワン野郎、本気でイカレてやがる。

そいつは”A”とまでドッグファイトにかかりやがったのだ。

あんなふざけた機構をつけた戦術機が真面に戦えるわけがない

そう思ったのだが…………

「なんだよ、ありゃあ――――――」

ヴィンセントの呟きは俺の心も代弁していた。

空中で2機の戦術機は、信じられないほどの高速で格闘戦機動をしたのだ。

信じられないことに、”A”の方は先ほどイーグル改修機を圧倒したソ連機を相手に、レールガンで挑んでいる。

さらに信じられないことに、それで完全に優勢に戦っている!

目まぐるしく前後を入れ替え、互いの死角にはいらんと旋回をくりかえす。

さながら狂走のジャズダンス。

「お、おいユウヤ。衛士として聞きたいんだが、お前がアレに乗ってたらどうなっている?」

「無事なわけ………ないだろうッ!」 

管制ユニット内のGの変化は縦横に目まぐるしくきているはずだ。

強化装備のフィードバックでも打ち消せないだろう。

たとえ鍛え抜かれた衛士といえども、とっくにブラックアウトしていなければおかしい。

「まさか無人機? 操作はどこか別の場所で…………いや、遠隔操作では操作が反映されるのにラグがでる」

とすると、やはりアレを可能にする技量とGに耐えられる人間がいるのか?

俺はあの2体の戦術機の中にいる人間に、畏怖とも嫉妬ともいえるような感情を覚えた。

引き込まれたように目が離せない。

やがて超常の戦術機のジャズダンスにもフィナーレの瞬間がきた。

互いの管制ユニットに向け、互いに武器を差し向け合い止まったのだ。

だが、またしても目を見張る出来事がおこる。

一方がもう一方のユニットに銃口を突きつけているのに対し、もう一方はレールガンを構えもう一方のユニットに突きつけていた。

しかし”A”の後ろに重武装した戦術機”FG”が発光する弾丸を放ってきた。

「あれはビームライフルだ!2連装のだ」

「はぁ? SFじゃねぇか!」

「フィクションの技術を本当にしちまうなんざ、よくあることだろう? 戦術機だってSFのロボットを本当にしたものだしよ」

「それは…………」

いや、あの機動もSF染みていないか?

思い返せばあの戦術機は、俺が知る戦術機の限界を超えている。

機体技術も衛士の技量も理解不能なあれは…………あの未知の戦術機に見入っている俺達にクルーが言った。

「再アプローチします。今なら安全に滑走路が使えますので」

「あ、ああ、頼んだ。ヴィンセント、席に戻るぞ」

客席に向かいながらも、ヴィンセントは名残惜しそうにフロントガラスの向こうを見続ける。

「くううっ、もっと見ていたかったぜ! あの未知の技術、機動。間違いなくあれが…………ッ」

もはや疑う気持ちはなかった。

「ああ”FG”と”A”だ」

「多分だが、ありゃあ地球の技術じゃないぜ。俺はそれなりに戦術機の技術に触れてきた整備屋だがよ。あんな技術体系は見たことがねぇ。たぶんどっか別の世界のモンだ」

「はぁ? 別の世界って何処のだよ」

「さあな。ま、そいつは機密だろうが、乗っている衛士にでも会えりゃ少しは由来がわかるかもな。それより大丈夫か? 明日、あれとやるんだろ」

……………そうだった。

今夜は体調を整えるために休もうと思ったが、それどころじゃない。

一晩かけて対策を考えなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とヴィンセントが無事着陸したムリーヤから出ると、迎えの軍用四駆が来ていた。

「到着御苦労様ですブリッジス少尉、ローウェル軍曹。これからお二人を基地へご案内いたしますが、その前に寄り道をします。先ほど撃墜された衛士を回収して欲しいと要請がありました。お二人にも手伝ってほしいのですが」

ああ、そういや墜とされたイーグル改修機がいたな。

軍用四駆で航空路脇のイーグル改修機の不時着した場所へと赴き、ヴィンセントと協力して機体のハッチを開けた。

墜とされたとはいえ、あの機体の衛士も相当の技量を持っていた。どんなヤツなのか興味はあった。

だが、まさかあのハイレベル回避機動をとっていた衛士が…………

「ちっくしょぉぉぉ! あのイワン女どもめぇ!!」

まさかこんな子供………いや悪ガキみたいなヤツとは思わなかったぜ。

しかもなお悪いことに、そいつは女だった。

ともかくコイツを拾って基地に向かったのだが、車内でヴィンセントと喧嘩を始めて実に煩かった。

だが基地に到着し、コイツの上官らしき中東系の士官から怒鳴りつけられ青くなったサマを見ると、実に爽快だった。いい気味だ。

「名誉ある国連軍広報任務を任されながらこの体たらく。結局大倉大尉の言葉通りになってしまったな。貴様は自分が何をやらかしたのか理解しているのか?」

「あ…………ひっ…………」

「まずは医務局へ向かい精密検査を受けろ。貴様を締め上げるのはその後だッ。駆け足!」

”悪ガキ”は勢いよく敬礼。だが勢いつけすぎて、自分の顔に手刀くらわせて悶絶。

痛そうに片眼を抑えたが、上官に睨まれ、涙目になりながら駆けていった。

本当に悪ガキみたいなヤツだ。

アイツを呆れた目で見送ったその男は、こちらへ向き直った。

「さて、君達が米国からのお客さんだな。日本の試作戦術機の相手をしてくれるという」

「はい。テストパイロットのユウヤ・ブリッジス少尉及び整備のヴィンセント・ローウェル軍曹です。宜しくお願い致します」

「イブラヒム・ドーゥル中尉だ。試作戦術機のテストパイロットは現在ウチの試験小隊と行動を共にしている。おっと、丁度良く彼らがきた」

ドーゥル中尉の促す方を見ると、国連軍の軍装を纏った女が、衛士強化装備を身につけた一組の男女を連れてこちらにやってくるのを見た。三人ともやけに若い

1人は高校生あたりの年齢だが、あとの2人は20代前後だな。

だが問題なのは、三人ともおそらくは日本人。日系の俺に近い1人除いて肌と黒髪と顔立ちをしている。俺にとっては因縁のある国の人間だろうということだ。

「ドーゥル中尉。試作戦術機テストパイロットの大倉大尉、豊臣少尉2名ともただ今戻りました」

「ご苦労だった篁中尉。ウチの跳ねっ返りが迷惑をかけたな。このあとソ連への対応を協議したい。時間はとれるか?」

「はい。勿論です」

 ――――なっ!? 中尉だと!? こんなガキが!?

そう驚いた俺だったが、ドーゥル中尉はさらに驚くべきことを言った。

「大倉大尉、体に異常はないのか? あんなドッグファイトをやっていながら、普通に立って歩いているが」

「ご心配して頂き感謝します。宜しければ明日の演習の訓練に戻らせて頂きたいのですが」

何だとッ!? まさか、あの”A”に乗っていたのがそいつ!?

あれだけの空中機動テクを……しかも、あんな死んでもおかしくない格闘機動をしてなお、訓練を続けるだと!?

此奴の体はいったいどうなっているんだ!!!?

「ドーゥル中尉、発言の許可を」

「ん?何だ豊臣少尉、発言を許可するから言ってみろ」

「許可頂き感謝します、大倉大尉はそう言ってますがいつ体の体調を崩してもおかしくはありません。マナンダル少尉同様精密検査受けた方が良いかと」

「確かに…大倉大尉は申し訳ないが精密検査を受けて貰います」

「しかし…」

「私もドーゥル中尉と同意見だ。あんな無茶なドッグファイトをやったあとに演習など許可できん。明日は豊臣少尉のみで演習に出てもらう」

「大丈夫だ鈴乃、演習は明日だけじゃないんだ。任せろ」

もう一機の試作戦術機のテストパイロットがこの男か。そして明日の俺の相手。

見た目は不良に見えるが口が軽いだけの男ではなさそうだ

本当にここのテストパイロットはどうなっている?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴乃Side

 

結局、検査室に詰めることに。

夕暮れ時の現在、ガンダムの整備の名目でこの格納庫に逃れてはいるが、この後を考えると実に気が重い。

そんな訳で私と悠一は、格納庫にて明日に備えたフルアーマーガンダムの整備点検を行っている最中だ。主にやっているのは悠一だが。

”猿丸”の失敗はまぁ予想通りだが、そのとばっちりで私まで演習に出られなくなった

「残念だったな。それで今日だけじゃなく、明日もまた一日中検査だって?」

「元凶の貴様さえもう終わったというのに。着任してから検査ばかりで、やっと解放されてアトラスに乗れると思ったら、また検査室に逆戻りか」

赤髪の青年整備兵である紅林二郎少尉が話に加わった。

紅林は佐渡基地でB中隊の戦術機を点検、調整した1人の整備兵だ

佐渡島陥落以降、彼は私について行き佐渡島同胞団の一員として再び整備兵としてやってる

「大倉大尉、貴女は無茶し過ぎですよ。明日の演習のことを話します。豊臣少尉がユウヤ・ブリッジスってアメリカの衛士と一対一でやり合いするみたいですがどっちが勝つんですか?」

「本来の実戦で、戦術機が1機単独で戦いをすることなど、まずありえない」

「どういう意味です?」

「演習でもこんな状況で行うことなど殆どないが、今回はガンダムの機動性能を見せることが目的だ。故にこんな特殊な演習が行われることになったのよ」

紅林はポカンとした表情をしている

「それに、相手は米国の最新鋭機ラプターだ。しかも衛士は合衆国陸軍戦技研部隊の人間。フルアーマーガンダムでも絶対はない」

「何故です?それに負けたら拙いんじゃないんスか。下手になったら日本帝国軍衛士の恥晒しと貶されてしまいますよ」

「だから絶対に勝たなければならない。悠一は勝つわ……」

私はそう言ったが、紅林は何故か気が進まなそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

ユーコン陸軍基地・アルゴス小隊専用格納庫

俺はフルアーマーガンダムのコクピットの中でラジオの音楽番組で流れているジャズを聴きつつドラムスティックで軽快に機器に叩き込みながら演奏している

演習開始15分前。

開始位置へと移動させ待機。

そこは崩落したダミービルを模した建造物が一面に広がる演習場。

さて、このフルアーマーガンダム。演習のために、普段とは大きく変更されている。

まず大型ランドセルに左右付いてるビームサーベルは外し、代わりに65式近接戦闘短刀を装備。

ただし仮付けのため、一度外したら元へ戻せない。

さらに銃器も2連装ビームライフルではなく87式突撃砲。

機動試験のため、武装も標準装備にされている。

ビームライフルとビームサーベルが外れただけだ。

バックパックの右肩部には暗礁宙域の大型デブリを貫くほどの威力を持つ大型ビームキャノン、左肩部に多弾頭型の6連装ミサイルポッドが外したのは少し痛手だな……代わりに92式多目的自律誘導弾システムを装備

「………よし、演習場全体のマッピング及び敵の移動ルートの予想が終わったな」

相手はアメリカの戦技開発部隊でしかも相手は最新鋭ラプター。実戦ならともかく、こういった模擬戦じゃフルアーマーガンダムでも分が悪い

「だが、たった1機の戦術機相手に誰かに頼らなきゃならないような俺じゃ、フルアーマーガンダムに認められるなんて夢になっちまうな」

こんな人間同士の演習に、勝つこと以外に意味なんてない。

意味なんてない

……いいねぇ、この感じのノリ…まさしく戦場だ!ジャズが鳴り響いてヒートアップするぜ

――――――やがて開始の号令が演習場に鳴り響いた。

 

さあ、セッション開始だ!

 

 




次回はフルアーマーガンダムvsラプターとの演習です
お楽しみに!
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