トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第17話 My Favorite Things

鈴乃Side

 

「広報任務のやり直し………だと? それに私も参加するのか!?」

「申し訳ありません大倉大尉。前回の失態で国連軍広報官オルソン大尉の面目を大分潰してしまった。故にアルゴス小隊としては、彼の要請を断る事は出来ないんです」

”猿丸”の尻拭いだと……!

「因みにこの任務にドーゥル中尉は参加しません。あまりに専門外だというので。全て私が指揮をとり、達成に導かねばなりません」

ドーゥル中尉にしては無責任な。

凄く納得できないが、監督責任で痛い立場に立っている篁中尉を見捨てる訳にもいかない。

撮影任務なんてサクッと片づけて終わらすとしよう。

そう軽い気持ちで引き受けたが……………

「これは軍の広報撮影だろ? 何故水着に、それもこんな破廉恥なものを身につけねばならないんだ!!」

私がそう言うと悠一が会話に介入してきた

「鈴乃も破廉恥な服着てるじゃないか?☆」

馬鹿悠一……空気を読め!空気を!

私は顔が赤くなり悠一の頭に目掛けて拳骨を喰らった

「いで!何しやがるんだ!」

「デリカシーって言葉の意味をそろそろ覚えたら如何か?」

「へいへい、どうやら俺は邪魔者だったようで」

そう言うと悠一は敷地の隅にあるフェンスに行った

任務の指定場所に着くと、私は水着に着替えさせられた。

篁中尉、ブレーメル少尉に”猿丸”もアルゴス女性陣全員が水着となり集合。

それも軍の競泳水着などではなく、露出度の高いビキニ

敷地の隅にあるフェンス向こうでは、もの凄い数の男性ギャラリーが、各々カメラやビデオを手に持ち、任務の開始を待ちわびていた。

今はまだバスタオルを羽織っているが、任務開始と同時にバスタオルを外さなければならない

くっ…獣が!

そして、半裸のビキニ姿があの無数のカメラの餌食にされてしまう

「あ、ああ。この水着に関しては一応説明は貰ったのだが、まるで理解できなかった。とにかくこの水着でなければいけないらしい。ほら、東側の彼女らもだ」

私達とは少し離れた場所には途方にくれたように水着姿で佇む2人のソ連衛士がいた。

紅の姉妹の2人だ。

それは良いのだが、何故か2人の水着は日本のスクール水着だった。

しかも旧型だ!

広報官のオルソン大尉という方、妙な方向でセンスがあるらしい。

「とにかくこの姿で、我々が世界一致する友情団結の表現を示すのだそうだ。いつもとは勝手の違う任務ではあるが、各々は各自役目を果たすように!」

アルゴス小隊女性陣は「了解」と一言を添え篁中尉に敬礼する

私は、呆然とした。

問題の企画人、オルソン大尉が重々しく登場した。

濃い眼鏡をかけたキレ者の顔をしており、威風堂々とした軍人の風格だ。

こんな馬鹿な事を考えた奴なのに、有能そうな軍人に見えるからタチが悪い。

私の苦手なタイプね

「諸君!今回、この撮影のテーマは『肉体』だ!」

は?これ、軍の広報……よね?

『エロティシズム』を求めてるのか!?

だが違った

「君たち鍛え上げた衛士の肉体を堂々と晒し! BETAに対する人類の不屈の闘志を表現する!さらに各民族が一体となった姿を表現し!全世界一致の団結を見せるのだ!」

この任務だが、実は女性だけの参加ではない。

青一点で参加している奴もいる。それが――――

「オルソン大尉殿!質問です!どうして自分もこの撮影に参加するのです!?」

ユウヤ・ブリッジス少尉だ。

少し離れた場所で男性水着を着用し、私達半裸の女性陣を微妙な目で睨んでいる。

「適任なアメリカ軍衛士が君しかおらんのだ。それに、女性ばかりではこちらの意図と外れたスチールになってしまう可能性がある。故にブリッジス少尉。栄光あるアメリカ軍代表として、中心で大きく構えてくれたまえ」 

「いやいや!明らかに男女比がおかしくあります!自分が彼女らの中心になったスチールや映像など、それこそ目的と大きく外れたものになってしまうと、愚考致します!」

ブリッジス少尉の言う通りだな

あのギャラリー共のオカズにされているのは、ビキニ姿の私達だけじゃない。

並んで撮られるユウヤも同様だ!

「がんばれユウヤぁ! アメリカ代表として、堂々と世界の女共を従えてみせろ!」

「アルゴス代表男の勇姿を見せつけてやれ! お前もついでにバッチリ撮ってやるからよ!」

ジアコーザ少尉と、ブリッジス少尉と共にきた整備士のヴィンセント・ローウェル軍曹はあそこか。ついでに悠一もヤレヤレといった感じでいる。

「ヴィンセント、VG! てめぇらっ!!」

ブリッジス少尉の絶叫が響くなか、撮影任務は始まった。

私達が囲って、嬉しそうにニッコリ。

……………なんだか、まるで自分がブリッジス少尉の彼女にでもなった気分だ。

篁中尉は心なしかちょっと嬉しそう。

「うむ。篁中尉の表情は実に良い。心からの歓喜が表れているようだ。それに比べブリッジス少尉、ビャーチェノワ少尉。もっと表情を柔らかくしたまえ。これは国籍を越えた友情の撮影なのだぞ!」

この男……センスが変だ。

「でもこういう撮影なら、ユウヤだけじゃなく悠一もいてほしいわね。欲張りなのはわかっているけど」

「そうだよなぁ。オルソン大尉、こういう所が片手落ちって感じだよなぁ。悠一がいりゃ完璧なのに」

ブレーメル少尉、マナンダル少尉まで何を言っている!?

「…………む? まぁ撮影だけなら、豊臣少尉の参加もアリか?」

篁中尉……。

「お誘いは感謝するが、俺は遠慮しておくぜ」

悠一は国連軍の簡易ジャンパーを私に着させ手を繋がれ引っ張られていく

「行くぞ鈴乃、茶番に付き合ってる暇はないんだ」

そう言って私は悠一に引っ張られ去って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

俺はオルソン大尉っていう胡散臭い男の茶番に付き合ってられないから鈴乃を強引に連れ引っ張っていた

鈴乃を公然の面前で醜態を晒す訳にはいかない

何せ俺のパートナーで姉弟の契りを交わしてくれた女衛士だ

基地内の部屋に入り、鈴乃を服を着させようとしたが、振り払われた

「自分で着る」

「ああ、すまねぇ」

俺は後ろを向いた

今後の事について俺は推測した

まず、アルゴス小隊とは別行動になる可能性が大

クリスカとイーニァと言うガキと仲良くしてるからだ

毛嫌いしてるわけではないが、正直言って俺との相性は最悪だ

仲良く出来る訳がない

序でに俺と鈴乃以外の佐渡島同胞団に属する衛士と整備兵がユーコンに到着し佐渡島同胞団専用格納庫にいる

紅林が既に恭子と連絡し承諾済みだ

鈴乃が着替え終え、その服装は帝国軍の簡易ジャンパーとタートルネックを着ていた

ここ国連軍の拠点の一つだぞ

「私には国連軍の制服は性に合わない。この服装が気に入ってるよ」

そう言うと鈴乃は両手を広げ笑みを浮かべる

「?」

「遠慮せず私の胸に飛び込め」

俺は鈴乃の胸に飛び込み抱き着こうとしたがパソコンの画面から衛星経由で恭子から通信が来た

俺は画面に映る恭子と通信する

「はい」

《豊臣少尉、唯依と上手くやれてるかしら?》

「……まぁ、ぼちぼちと」

衛星経由の通信状態はあまり良くないのかスクリーン上の恭子の映像はノイズ混じりだったが、音声は問題なく会話ができた。

《……その様子だと上手くやれてないみたいね》

「ソ連の紅の姉妹、厄介だ……あれはとてもじゃないが仲良く出来る訳がない。距離を置きたいのですが…」

俺はアルゴス小隊の連中と距離を置こうと考えた

もう一度言うがクリスカとイーニァが共に付いてきてるからか、このままだと険悪な雰囲気になる

一緒に行動できるわけがない

特にユウヤはイーニァに好かれている

邪魔はしたくないんだよな……

《ソ連の?あの2人がどうかしたのかしら?まさか嫌だからとでも言うんじゃないでしょうね》

恭子は画面越しで俺に向け睨み付ける

画面越しでも怖ぇ……鬼だ

「え…と…何かやりづらくて」

下手に言えねぇ…

《……まぁいいでしょう。崇宰家次期当主としてある程度のことを話す。此方の状況が上向いたために、少しは話せるようになった。但しあまり此方側を覗き込むな。私に万一のことがあったら、情報を元に自分で活路を見つけるのよ》

「恭子……?」

《以前から私は、佐渡島同胞団本部の進めている計画の為に働いている。見返りは”FG”と”A”の派生技術を帝国技術厰が優先的に貰う事だ》

計画……?

どう言う事だ、話が見えてこないぞ

《計画については、私もどんなものか知らされていないから何とも言えない。貴方が国連を不審抱いてる事は承知の上。私は外交官のような真似もする。BETAへ反撃を望む技術を、日本に齎す為に》

成る程な、要するにガンダムの技術は一部国連側に提供して後は全て日本帝国軍に渡りそれを応用しつつ開発するって事だ

ビームライフルやビームサーベル等の兵装はこの世界ではまだ難しいと考え、その代わりに突撃砲や追加装甲を装備した機体を作る

そんなところだな

「俺達はこのままユーコンに滞在するのか?そろそろ帰国の予定の話があってもおかしくないが」

《この愚か者!まだ日本に戻せないわ。ガンダムが日本に持ち込まれた経緯。製造した機関。そういった事をまだ問題にする人間が多数いる。だから其方で唯依が預かるのよ》

おいおい、冗談じゃないぜ

だが恭子の歯切れが悪くなったような?

気のせいか

鈴乃が会話に割り込む

「正直、私も問題だと思います。有耶無耶にしていい問題だとは思えません」

《正論は向こうにあるわね。だが、それを有耶無耶にする代わりに日本には多くの見返りがきた。斑鳩少佐から聞いたけど『日米戦術機共同改修計画は日本の大きな分岐点になる』と言った。あのガンダムはそれ以上の分岐点よ》

あのガンダムはこの世界における分岐点の一つとなる

戦争ジャンキーの俺が乗っても自由に戦場へ駆ける……彼奴との決着があるしな

《国連の香月女史はG弾使わず戦術機だけでハイヴを攻略させようと目論んでるわ。何れ佐渡島も攻略すると思うけどいい結果にはならないわ……》

あの香月博士だ

戦術機より凄い兵器を開発してそれを利用しハイヴを攻略した後、島ごと自爆させ消滅する

残念だがそうはいかない。

何か手はないのか?

《…とにかく次の任務はその程度の協力じゃない。今ここで私が言う訳にはいかない》

「と言いますと」

鈴乃は真顔で疑問を抱く

《強いて言うなら…カムチャッカ半島よ》

「え?それは……」

《ソ連政府からの要請で前線に行って共闘作戦に参加して欲しいとの事よ。無論、アルゴス小隊の皆と別行動になる。戦術機揚陸艦『司馬』に乗艦しなさい》

前線を駆り出しか……国連軍の連中も当然ながらカムチャッカに来る

「……ですが、別行動とは言えアルゴス小隊の皆との接触は避けられません」

《避けられないなら……そうね、出来る限りあの2人の接触は避けた方がいいわね》

クリスカとイーニァだな

俺はあの2人がどうなろうが死のうがどうでも良い

初めて見た時、こう思った。

此奴らは本気で俺達を殺そうとしてる

「了解致しました、その……我々は国連軍の管轄下なんですか?」

《今はそうね、何れにせよ国連軍の言いなりになる訳にはいかない。今は耐えるのよ。佐渡島奪還作戦の時、国連軍の管轄下から抜ける》

抜けたら、香月博士は流石に手出ししないだろう

あの女はそこまで馬鹿じゃない

《私も香月博士は信用出来ない。彼女は佐渡島がどうなろうと知った事ではないと振る舞う。が、彼女がいる横浜基地は最新の設備を備え新たな戦術機の開発を積極的にやってるわ》

「…………我々はどうすれば?」

《従うフリをしなさい。そうすれば国連軍の連中は貴方達を信用を得る事が出来るわ。数多の戦場で甚大な命が散り、生き残った者はBETAがいつ襲われるか怯え、辛酸を舐めている。この佐渡島を奪還する事は貴女達の天命である筈よ!》

ま、従うしかねえよな

都や草野の仇を取らないと……国連軍側が先回りされたら佐渡島の再建は……ない。

《そろそろ通信切るわね、では》

「ハッ!佐渡島に再びの栄光を!!異星起源種に死を!!」

鈴乃はキリっとした表情でそう言い放ち恭子からの通信は終了した

「悠一、聞いての通りだ。カムチャッカでアルゴス小隊との支援とBETAの「場繋ぎ」「間引き」が主な任務だ」

唯依や”猿丸”達を支援任務か、悪くない任務内容だ。

「同胞団の威信を懸けて…必ず日本の貢献を!佐渡島奪還の為に!」

引き下がるわけにはいかない

鈴乃の願いを叶えなければならない

佐渡島奪還、再建を目指して

俺は鈴乃の命令に承諾し、敬礼した

「了解しました、大倉大尉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクスSide

 

東欧州社会主義同盟所属艦『カール・マルクス』艦長室

東欧州社会主義同盟総帥、私ベアトリクス・ブレーメは寝返った各国の要人のリストを見て、渋い顔をしていた。

「ふむ、憂慮すべき事態ね。ニコラ」

私の側近であるヴェアヴォルフ大隊大隊指揮官の二コラは直立不動のまま私の言葉を受けた。

「引き込んだ筈の各国の政治派閥が、次々に向こうへ流れていっているそうです。これでは香月夕呼を弾劾するための連携など不可能です。もはやこの計画は捨てるべきかと」

「重装備やレールガン等の戦術機技術を惜しみなくバラまき、前線国家の支持を大きく取り付けている。加えてプロミネンス計画の方も活気付いているわ。外道共はアメリカ主導であるオルタネイティヴ5を非難してる。自分らの手で祖国を守り取り戻すと」

「『戦術機の新たな可能性』……ですか。愚かな。戦術機がいかに進歩しようと、BETAの物量に抗しきれる訳がありません」

「外道共は香月夕呼を支持しているのが問題だ。このままでは本当にオルタネイティヴ5が潰されてしまう。それだけは避けなければならない……!何の為にツァーリ・ボンバツヴァイを開発し多額な金を積んだと思ってる」

「もはや時期を待っては状況は悪くなるばかりです」

「そうね、インペリアルアーミーの上層部は今頃焦ってるわ……」

長い時間をかけて切り崩してきた各国の要人を短い期間に逆に寝返らせ、彼女に仕掛けた政治攻勢の殆どが潰されてしまった。

彼女の勢いは止まらず、アメリカ主導のオルタネイティヴ5は瀕死の状態へと追いやられる寸前。

気に入らないわね……早く手を打たないと

「それとサイコ・ザクの構造を何度も確認しましたが、私達の世界では計り知れない技術です」

「それは既に知ってるわ、人権無視なのは承知の上……使えるだけの技術で四肢欠損になった衛士が扱える戦術機開発を積極的に実行する。貴女も賛同してくれるわね?ニコラ」

私の問いに、ニコラはニヤリと嗤って答えた。

「勿論です、ブレーメ総帥。私はどこまでもついて行きます!では『香月夕呼暗殺計画』の実行に移しますか?」

「そう焦らないの、日本政府を交渉して……佐渡島同胞団という得体のしれない組織を利用して佐渡島ハイヴ上空にツァーリ・ボンバツヴァイを投下しBETA群諸共殲滅…そして島を一時的に占領し再建を図る。どうかしら?」

「素晴らしい提案ですが、佐渡島は日本帝国領土です。我々が無暗に入ったら日本政府から何言われるか」

「それを黙らすのが我々の役目よ、そして我々の最終目的は国連軍の横浜基地を撃滅しその技術データを奪取、真の平和を達成する」

香月夕呼暗殺計画の実行の時は……まだまだ先

焦ってはいけない、慎重に進める

話を終えた私はニコラに近づき抱き締める

「総帥?」

「ニコラ、貴女はよく頑張ってると理解してるわ。だから私の傍から離れないで」

「……勿論です、私は傍に離れたくはありません」

ニコラも抱き締め返す

 

四肢欠損の衛士をサポートし戦場へ駆ける為の戦術機開発を実行した




クリスカとイーニァに関するエピソードは全部カットしました。
理由は本作主人公の一人である悠一との相性が悪いからです
個人的にカットしたくなかったのですが、残念ながらカットせざるを得ない事に(-_-;)
クリスカクラスタとイーニァクラスタの皆様ごめんなさい
次回からはソ連の戦線での話です
ラトロワさん、出てくるかもしれません
お楽しみに!
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