トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第23話 The Dreaming Girl In Me

良平Side

 

俺はナタリーと行動を共にし運送業者に変装しつつウォークスルーバンに隠れつつ国連軍兵士の銃撃戦を繰り広げていた

「数が多いわね……」

「……ああ、これを乗り越えれば」

残弾は……あと1戦分か。

銃撃が鳴りやまない

俺はナタリーを守るために盾となり真正面から武器など持たず突っ込もうとしたその時、突如、思わぬ事態が発生した。

グォォォォォォ

上空から戦術機の飛行音が鳴り響く

あの機体は……。

「チボラシュカとアリゲートルにラーストチカ…………何でここに」

「分からないわ」

ナタリーは混乱している

何が何だか分からない

《リルフォート歓楽街にいる皆さん、安心してください。我々は東欧州社会主義同盟です!テロリストを鎮圧しに来ました!》

ニコラ!?

来てくれたのか!

12機って事はカタリーナや他の衛士も!?

「どうする?あの戦術機……」

「俺の味方だよ、ナタリー」

俺はナタリーに手を差し伸べる

「……」

しかしナタリーはウォークスルーバンの中から銃身を切り詰めた垂直二連式猟銃を取り出し握り構える

「ありがとうダリル、でも私の我儘だけど最後まで戦いたい」

俺はそれを見た瞬間、咄嗟に国連軍兵士達に銃口を向ける。

その直後、バーンという音とともに、国連軍兵士の一人は脇腹を焼けるような痛みに襲われ、ぶっ倒れた。

しかし一人倒れたところで増援が来るのも変わりはない

1人

また1人

また1人

また1人

しかし弾が切れ、ナタリーは俺の手を掴み握る

俺は頷き、ナタリーの手を握ったまま引っ張り逃げ走る

「これからどうするの?」

「俺の仲間のところに行く、大丈夫だ、俺が何とかする!」

ナタリーがやった事は敵前逃亡だ

当然ながら難民解放戦線の構成員の一人は逃げる隙を与えず咄嗟に拳銃を握り構えナタリーの後頭部に目掛けて射殺しようとするが……

ガガガガガガガガガガ

ニコラ機の120mm弾でテロリスト構成員が使用してる車両を目掛け発砲し爆風を起こす

幸い、ここは敵の戦術機はいない

命拾いした……もしニコラ達が来なかったら俺とナタリーは殺されてただろう

俺とナタリーの前にニコラが乗る紅いアリゲートルが降りて、跪き手を差し伸べる

《ダリル少尉、ご苦労だった。テロリストの連中を屠るの手間かけずに済んだ》

「これは運命だ、ナタリー。この先の未来がどうなるか確かめたいんだ」

ナタリーは黙り込む

「俺は難民解放戦線の連中が伝えたい事は分かるよ、でも無関係な人間を巻き込んで殺すのは間違ってる」

「……ダリル君……貴方…」

《貴様は利用されてたんだ、自分の脳みそ使って良く考えろ》

ニコラ、少し黙っててくれないか

話が抉れる

「その紅いアリゲートル……ウルスラ革命で活躍したシュタージのベアトリクス・ブレーメ専用機……図書館で本を見たからわかるわ」

ナタリーはそう言いつつ複雑な表情になる

「……タリサに申し訳ないわ。自分が間違ってる事をしてると気付かなかったのは事実よ」

ナタリー……そうだね、辛かったんだ

「私はマスターの為に忠誠を尽くし救われるべき者は救うべしと言い訳にしてずっと戦ってきた。今日までずっと……」

ナタリーは垂直二連式猟銃を捨てニコラ機の左掌に乗る

「それも今日で終わりよ。私は難民解放戦線を抜けて祖国フランスに帰りたい!誰の為でもないわ。今日から私は自分が望む平和な人生を送りたい!死ぬなんてまっぴらよ!!」

ナタリーは泣き崩れ俺は介抱する

「良く決心ついたね、一緒に行こう」

《ナタリー・デュクレール、安心しろ。私達は味方だ。テロリストに囚われ利用され、自由を奪われていた貴様を解放しただけだ》

ニコラ機は俺とナタリーが左掌に乗ったのを確認した後、離陸しゆっくりと上昇する

「(さよなら、タリサ……みんな)」

《大隊長!テロリストの声明文にアラスカにレッドシフトを実行するようです!》

レッドシフト……アラスカの大地に仕込まれた数戦の水爆が一斉起動しBETAを殲滅すると同時に新たな海峡を築き防衛線の再構築を図る事だ

《早く見せろ》

《は―――》

女性衛士の一人は難民解放戦線の実行部隊のリーダーであるヴァレンタインの声明と見られる映像を表示した

《……そこに住まう人々の犠牲を考慮せず、そして何よりこの事実はアメリカとソ連の共謀の元に全て隠匿されてきた。これら各国政府に我々の生命と地球の運命を任せるわけにはいかない》

見下げた奴だな、ヴァレンタイン

お前を見限って正解だよ。

《―――我々は最後の一人が討ち滅ぼされるまで戦い続ける。心ある方々は我々と共に戦って欲しい。それが我々の願いです》

テオドール・エーベルバッハ―――――ナタリーを利用した憎き相手

俺達の………敵だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

「おいおい、マジかよ!アラスカが真っ二つに割れるっていうのか!」

俺はアルゴス試験小隊との合流は成功したものの、状況が悪くなる一方だ

アメリカが極秘裏に抱えていたBETA研究所のセキュリティを解除された

という事で俺は独断でアルゴス試験小隊と別行動に

ここはユウヤに任せるとしよう

幾ら東側諸国のファルクラムでも追いつけない

しかしそこに待ち構えていたのはテロリストに墜ちたラーストチカ5機だ

「邪魔だ!」

俺は2連装ビームライフルで連射し5機全部撃墜

そして鈴乃がいる666中隊専用格納庫に向かおうとするが

《悠一、聞こえるか?》

鈴乃、来てくれたんだな

「はは、先回りしてきたわけって事か」

《他の連中もいるわよ》

鈴乃のアトラスガンダムのコクピットの中に身に覚えがある女性が衛士強化装備着用で乗り込んでいた

ん?何でそこにいるんだと突っ込みたくなるがそれどころじゃない

《まぁ、本人が望んでた事だから》

「それよりBETAだ!早くやっちまわないと他の皆が」

《大丈夫よ、あたし達がぜーんぶやっつけちゃうんだから。ね?ファム姉》

《ごめんなさいね、お楽しみのところ邪魔して》

ここから先はユウヤ、お前の物語だ!

唯依、俺はお前が武家出身とか何たらと拘ってはいない

自由に駆け回りたいだけだ

”猿丸”、ステラ、VG、ヴィンセント、ラトロワ中佐、イヴァノワ大尉、ドーゥル中尉、ナタリー

自分の人生は自分で築き上げる

まだ終わらないこのBETA大戦で俺は不自由なく興奮してきた

だがな、俺だって愛すべき人がいるんだ!

退くわけにはいかない……。

「鈴乃、迎撃命令を出してくれ。俺はいつでも行ける」

《……異星起源種共を迎撃しろ》

「よっしゃあ!行くぜ!おい脳筋女!グズグズするなよ」

《脳筋言うな!》

ユウヤ、唯依の事は任せたぜ

俺は何も知らないし聞きたくもない

だがそこから先は衝撃的な事実を知ることになる

クリスカ、アンタとは最後まで敵視してた

イーニァってガキの子守りはアンタが適任だ

そして俺達は北米大陸に迫りくるBETA群に立ち向かい666のラーストチカ2機とフルアーマーガンダム、アトラスガンダムの4機で迎撃していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクスSide

 

リルフォートで三個中隊に別れ、研究施設から放たれたBETAを殲滅

テロリストの連中も全て屠った

《総帥、BETA反応が薄れていきます!》

「……アルゴスの連中が始末してくれたみたいね。状況報告を」

《は―――、ダリル少尉は難民解放戦線の構成員であるナタリー・デュクレールを拘束。それに加えこれは地上部隊の報告と情報屋の伍代によると、ユーコン基地司令部でテロリストの実行部隊のリーダーらしき女性が死亡、その他は自決しました》

「そう、ご苦労様」

《観測班からの情報です、BETA殲滅に加わったソ連軍のチェルミナートルが暴走しその現場に駆け付けたカタリーナ小隊は7機共大破、衛士は無事です》

カタリーナがやられた……?

恐らくそれに乗ってるのは……。

《あとインペリアルガードの武御雷と日米共同開発の実験機、不知火弐型がチェルミナートルに立ち向かい奮闘しましたがそれも虚しく……》

ふーん、そうなの?

どうでもいい報告ね、カタリーナの件を除いて

それほどまで強い衛士……以前、ロザリンデにブルーフラッグでの模擬戦中継見たわ

”悪魔”だと

「……紅の姉妹ね」

《?》

「我々で数がどれだけ多くても必ずしも絶対に勝てないわ。そんな相手に立ち向かうのは無謀だと思わないかしら?」

下手に介入したらどれだけ損害が出るか予想するまでもない

「総員撤収」

《は――》

あとは、あの2人に任せるわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?????Side

 

景色は綺麗な空とは言えないが平和で長閑な山がある風景を見て列車の特等席で私の同志たちとワイングラスに注がれた赤ワインを片手に持ち冷静を振る舞った

「――――今回の成果は如何でしたか?マスター」

「……皮肉はやめてくれ、マスターなど柄ではないと言っただろう。―――目的を同じくする者達の失われた血と魂の総量に見合う十分なモノを得る事はできた。我々はこれより『本国』へ帰投する。原隊復帰までの36時間は休息に当てて欲しい」

同志達に乾杯の言葉を送る

「―――諸君、ご苦労だった。では………殉教者たちに――――」

私は、いや俺はもう今までの俺と決別した

「友よ……楽しみにしといてくれ。我等が再び世界の表舞台に立つ。その日を―――」

かつての仲間たちと決別し俺の唯一の肉親だった義妹を喪った事により今までの俺と変わった。

心の底から愛した女性は「何やってるんだ?」と言われるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

テロが終息した後、俺は佐渡島同胞団専用格納庫として使っていた場所にフルアーマーガンダムをただ見つめていた

つまり帰国命令が出された

俺と鈴乃、紅林は日本に帰国するが鬼頭だけ「私には数々の秘境や寄食が待っている」と言って長期休暇を取り旅に出かけた

いつ戻ってくるか分からないと本人が言った

そんな中、ダリル1人だけ俺の元に近づき話しかけた

「……こんなところで暇を持て余してるとはいつからお前は偉くなったんだ」

「……」

「ユウヤ・ブリッジス……あの衛士は将来、出世街道に入ってお前より偉くなるかもな」

……ダリルには申し訳ないがこんなところで油売ってる場合じゃない

「ダリル、悪いが今日だけは大人しくしてくれ。お前のくだらない音楽趣味の話を付き合う気分じゃないんだ」

と俺は言ったが、ダリルは急に黙り込み口籠らす

そして正直な気持ちでこう言い放った

「………俺はテロを許さない。国民の安全と財産を守るのが俺達の仕事だ」

「仕事ね……お前らしくないな」

「らしさってのは自分の個性それぞれだ。それらを否定する奴等は”本当の生きる資格がない外道”……黒の宣告の鉄槌を下す」

生きる価値がない外道……か。

確かに言えるな、難民解放戦線の連中もそれに該当する

でも好きでここに入った人は少ない

大半が信仰心がある狂気を持つ人間だ

「法を逃れ罪なき人間の人生を台無しにする奴は許せないしそれ相応の罰を下し外道を屠る……それがベアトリクス・ブレーメと言う女傑衛士だ」

成る程な、俺は理解できないぜ

だがな、やっぱひとりじゃ手が届かない時もある

「俺は日本へ帰るがお前はどうすんだ?」

「ここに残るよ、次の命令下るまで動けないから」

「そうかい、ほとぼり冷めたら欧州に行くんだろ?その時は……」

「俺とお前は殺し合う運命だろ?お前が言った事じゃないか」

そうだったな……忘れてはいけねぇ事を忘れそうになったぜ

そうだ、ダリル・ローレンツ……俺とお前は殺し合う運命だ

「ああ、そうだな。俺とお前は殺し合う運命だ、ダリル・ローレンツ」

戦争は終わらない

まだ終わらない

こうしてユーコンテロ事件は多くの犠牲者を出し幕を閉じた

辿り着くべき場所は遥か多い

困難な坂道のまたずっと先にあるのかもしれない

例え回り道によってその道のりが遠のいたとしても距離だけは確実に縮まることが出来る

俺は歩き続け戦い続ける

最後まで諦めることなく彼奴を倒すまで戦い続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクスSide

 

戦艦『カール・マルクス』の艦長室で私はとある女性とオンライン通信でやり取りしていた

《臨時政府の公式発表で聞いた、説明して貰おう。ユーコンテロ襲撃は私のかつての同志の一人が仕組んだ事だと言いたいのか?》

「そう簡単に私の口から言えると思ってるのかしら?総書記閣下」

《総書記はやめろ、私には性が合わない》

「革命終結から何年経った?もうあの男は幾ら貴女が待ち続けても戻ってこないわ」

彼の今の姿見れば、私の親友は絶句するだろう。

無論、666の衛士達もだ

「1人の唯一の肉親を喪っただけでテロリストに成り下がった男なんか見たくないでしょ?」

《………》

「キリスト恭順派、難民解放戦線を纏めたカリスマ的な存在になり何れ自分が『キリストの生まれ変わり』と自称してる男の正体はテオドール・エーベルバッハ、あの男はかつて私を倒そうとした貴女が鍛えた教え子同然の衛士よ」

《……!》

「貴女は彼を殺す覚悟があるの?アイリスディーナ」

《………欺萬情報だな》

「真実かどうか確かめてみる?」

《………》

「……彼は全世界に敵回した典型的なテロリストであり外道の一人よ。貴女が悪くはない……彼の日頃の行いが悪かったのよ」

――――異星起源種『BETA』の侵攻により人類は未だに滅亡の淵に立たされていた――――

 

 

 

 

 

 

 

The end of Part 2




TEの中で一番肝心な場面であるユウヤ、唯依とクリスカ、イーニァの戦闘場面は全部カットしました、申し訳ありません
理由としてはやはり悠一が介入しても話が変わってしまうからです(特に戦闘時に敵味方問わず盾扱いし無慈悲でやるから、悠一が介入したらクリスカとイーニァは死んでしまうから)
という訳でユーコン編はこれで終了です!
一か月も経っていないかな……裏話は活動報告で言います。
第3部はインペリアルアーミー編です!
時系列はオルタ本編ですね
タケルちゃんは……一応出てくるかな
頻繁には出さないけど(-_-;)
帝都クーデターからですかね……因みに鈴乃は関与しません
どうしようかな……伊隅大尉(国連軍)側に付くか、クーデター軍(沙霧大尉や駒木中尉等)側に付くか迷ってるんです(-_-;)
それを見た恭子はどう思うかですね……TEサンボルはまだまだ続きますよ
では次回のお楽しみに!
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