トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第25話 星に願いを

悠一Side

2001年12月5日

帝国議事堂で銃声が響き、帝国軍将校は首相官邸含めそれを占拠し、一人の勇敢なる衛士が演説し日本国民全体に向けて自らの言葉を放った

帝都でのクーデター決起……12.5事件である

練馬駐屯地にいる俺は国連軍の横浜基地へ行く準備をしていたが、早乙女が血相な表情しつつ「今すぐ来てください!」と言葉を添え無言で俺の手を引っ張り第三会議室の中に入りその中にあるテレビに映ってる映像を見せられた

《国民の皆さん。私は帝国本土防衛軍、帝都守備連隊所属・沙霧尚哉大尉であります》

こ、此奴が沙霧尚哉か……クーデターの首謀者

鈴乃も第三会議室にいる

想いを伝えたい……日本国民全体を

《我が帝国は人類の存亡をかけた戦いの最前線となっており、我が輩は日夜生命を賭して戦っています》

日本は佐渡島ハイヴがある

横浜基地は横浜ハイヴ跡に建てられてる為か反応炉だけ存在する

人類一丸となってBETAと立ち向かう

西と東は関係ない……。

《しかしながら政府および帝国軍はその責務を十分に果たしておらず先日の災害救助作戦、報道では美辞麗句が並べられていましたが、しかし退去に応じない住民を就寝中に麻酔銃で襲撃、難民収容所に移送した。これが救助作戦の実態なのです》

軍のお家芸って奴か

横暴であることも含め非人道的だけど命あっての物種って言葉もあるし難しい

これが今の現状だ

《これは氷山の一角に過ぎない。作戦の多くが守るべき国民を蔑ろにしています!奸臣共はその事実を殿下にはお伝えしていないのです。このままでは…日本は滅びてしまうと断言せざるを得ない!》

沙霧大尉が言ってる事は一理ある

西側諸国だろうが東側諸国だろうと関係ない

征夷大将軍殿下の名を語り、「殿下の命令だ」とほざいて他人を傷付いてる連中もいるだろうさ

という訳で俺は単身、横浜基地に向かい香月副司令のアポがあると入り口に立ってる衛兵2人に許可を得てから中に入る

俺の前に待ち構えていたのは見た目はおっとりしているが、とても芯が強いロングヘアとホワイトリボンの女性兵士がいており敬礼した。

「特殊任務部隊A-01のCP将校の涼宮遥中尉です。戦域管制を担当しています。お待ちしてました豊臣少尉」

「あ、ああ…初めまして」

涼宮遥か……名前と顔覚えたぜ

可愛い女性だが、正直言えば俺のタイプではない

今度、音楽趣味は何が好みか聞いてみるか

それはさておき、俺は遥の後についていき伊隅大尉達がいるブリーフィングルームに向かった

到着した頃は遥はブリーフィングルームの扉を開き中へ招く

その中にいたのは言うまでもなくA-01部隊の衛士達だ

「我々に協力をしてくれて感謝するよ、豊臣少尉」

伊隅大尉は…改めてみるとホント、美人でカッコいい

少し揶揄ってみるか

「伊隅大尉と一緒に戦うことが出来て光栄です!」

俺は伊隅大尉に敬意を表し歓喜で敬礼した

「一度紹介したが改めて自己紹介する。A-01部隊部隊長の伊隅みちる大尉だ。今日は我々に協力してくれて感謝するよ。大倉大尉や崇宰大尉の話は全部聞かせて貰った……覚悟してもらうぞ。では次、速瀬」

あの伊隅みちる大尉と一緒に戦う事が出来るなんて光栄だね

アドレナリンが活発しそうだ!

言わなくても分かってると思うが、A-01部隊……伊隅戦乙女中隊…ヴァルキリーズは女ばかりだ

「はっ!A-01部隊副官を務めさせて貰っている速瀬水月中尉よ、腕に自信がある奴はタイマンでも何でも受けて立つわよ」

オラオラ系か?いや違うな

清楚……なのか?

……そこは想像に任せるぜ

「――そいつは楽しみですね速瀬中尉。期待していますよ。ところで好きな音楽は何です?」

「そうねぇ、ポップスに…オールディーズでしょ。あとGSね」

グループサウンズか……こりゃあ渋い音楽趣向の女性がいたな

しかも彼奴好みの音楽趣向でもあるな

「……私語はブリーフィング終了後で会話してくれ。では次、宗像」

「フフッ、A-01部隊の宗像美冴、階級は中尉だ。宜しく頼む」

何だ此奴は?宝塚歌劇団にいてそうな役者さんだな

男役で!

どの組にいてそうなのかは………わからん

「失礼、宗像中尉。少し聞きたい事ありますが」

俺は宗像中尉に問いかけ、揶揄った。

「何だい?」

「その…宗像中尉は宝塚に入ったご経験とかは?」

「ないよ」

即答かよ!

宗像中尉は少しずつ俺に近づいていき顔を近づけた

なんだなんだ?

「中々の逸材じゃないか……ん~」

「ほ、誉め言葉として受け取っておくぜ」

「口が軽い男は運がいいとでも?」

そういうと宗像中尉は俺の唇を重ねようとするが伊隅大尉に止められる

「何バカやっている、次!」

「次は私ですね。A-01部隊の制圧支援を担当させてもらっている風間祷子少尉です。趣味はクラシックとか音楽全般です。宜しくお願いします、豊臣少尉」

ほぅ、彼奴とは全く異なる音楽趣向をお持ちのようだ

だが、悪くはない!

「クラシックか…悪くはないな。落ち着いて和やかになれるよな。でも俺はジャズが好みなんだぜ」

「あら?そうなの?」

「おう、こっちはいつでもいいぜ!宜しくな!」

風間少尉…祷子…彼女とセッションするのもいいかもな

クラシックジャズで奏でたいぜ

「……次!」

「はい!A-01部隊の強襲掃討を担当を務める涼宮茜少尉です!」

ん?此奴も小さな愛国者ってか…?冗談じゃないぜ!

ツンデレ娘か……だがな、これは戦争なんだ。恨みっこなしだぜ?

「おう、宜しくな!」

彼女に聞きたいことは何もないな

でも気になる。茜はどんな音楽趣向なんだ?

どうせ彼奴みたいな音楽趣向だろうよ

「次、柏木」

「砲撃支援を務める柏木晴子少尉です、宜しくね!」

ほぅ、人懐っこい女性か

常に冷静な視点で物を捉え、時には非情とも思える考えを持っているな

「豊臣悠一少尉だ、ジャズが聴こえたら俺が来た合図だ!」

バスケ部にいそうな女性でもある。運動神経はかなり高いと推測する

この女も一筋縄ではいかねぇな

「豊臣は本当にジャズが好きなんだな…次、築地と高原」

俺をフォローした伊隅大尉は2人同時に自己紹介させる

「築地多恵少尉です!」

「た、高原萌香少尉です!」

おおっ、この2人は逸材のメンバーに相応しい

勧誘したいぜ!

……っとそれはブリーフィングの後にするか

「ブリーフィングを始める!」

伊隅大尉の声でここに集ってる衛士達は速やかに着席した

「……現在帝都はクーデター部隊によってほぼ制圧されている。最後まで抵抗を続けていた国防省が先程陥落した」

国防省陥落…嫌な予感しかしないな

「臨時政府はクーデター部隊により…榊首相をはじめとする閣僚数名が暗殺されたことを確認した!」

伊隅大尉の一言でざわつき困惑し始めるが俺だけは冷静に振る舞った

榊首相の死は俺には関係ない事だ。

「沙霧大尉以下自ら首相以下の閣僚を殺害した……この状況になった今は我々はクーデターに介入することもあり得る。心してよく聞け!国連は日本が不安定な状態に陥ることを望んではいない」

大方そうだろうな

沙霧大尉の行動を見て知った軍の上層部は大慌てし真面な対応は出来なくなっている

日本を盾としてしか考えていない……俺が言える事ではないが混乱してるのは確かだ。

日本を切り捨て逃げ出した国…アメリカ

俺は伊隅大尉の話を聞き、内容を纏めた

クーデター勃発し榊首相やその他もろもろの政府官僚、その関係者は死亡

沙霧大尉は日本の為に征夷大将軍の為に自ら動き出した

国連は帝都でのクーデターを介入しようと試みている

しかもアメリカ太平洋艦隊が展開しているという情報があった

佐渡島陥落と同時に日米安保条約を破棄したアメリカはその義務と権利の一切を大東亜連合に委譲した

そんな国が国連の要請で日本の地に踏み入れた

馬鹿馬鹿しいぜ…アメリカは独自行動に踏み出す機会を伺っている。

一部の日本人がオルタネイティヴ4を完遂させたい動きがある。

俺はそんなの関係ない……と思いきや俺は一人の女性の存在を思い出した

駒木だ

彼奴は今、沙霧大尉の腹心となり心酔してる

駒木が出てくる可能性は高いな……だがここは、人を多く殺したヤツが英雄と称えられる異常な世界だ

男も女も関係ない

オルタネイティヴ5の発動とアメリカの独断専行は香月副司令の立場なら許されないことだろう

G弾を本土以外でバンバン使って戦後の地球に君臨したいだけ……結局アメリカは本土が戦場になるのを避けたい

考えが見え見えだ

伊隅大尉の話を聞き続けてるうちに通信兵がブリーフィングルームに入り伊隅大尉の耳元で何かを囁きつつ伝言した

「それは本当か?」

「ええ、香月副司令が」

「御苦労、下がっていい」

「は――」

伝言した後、通信兵はブリーフィングルームから立ち去った

「国連安全保障理事会はアメリカ第7艦隊を編入することを決定した。当横浜基地はアメリカ軍の受け入れを開始したと情報が入った」

俺は疑問を抱き、伊隅大尉に質問を投げかけようとしたその時だ、先程の通信兵がブリーフィングルームに入り血相な顔で伊隅大尉に報告する

「大変です!基地の周りに帝国軍が!」

クーデター部隊……アメリカ軍を日本に招いたのは間違いだったようだな、香月夕呼

伊隅大尉は動揺せず、プロジェクタの電源を入れスクリーンに今の状況の様子を映し皆に見せる

これは、イーグル…ではない。陽炎か

完全に包囲されてるじゃないか

「国連軍の基地内とはいえ他国に軍隊が無断で上陸してきたんだ。主権国家としては当然の措置だな」

相手は本気のようだ

潰しにかかるぞ

俺は挙手し伊隅大尉に問いかける

「発言の許可を」

「許可する、何だ?」

「横浜基地で帝国軍の戦術機に囲まれたのに何故鎮圧に行かないんですか?」

「目的は同じであっても重んじるものが違えば道を違える事もある」

BETAに勝つことよりもか?

俺はベアトリクスの言葉を思い出した。

人類は必ずしも絶対に一つにはなれない

確かにその通りだ。それは理解している

だが、複雑だ

「決起部隊は帝都城に背を向け銃口を殿下には向けてはいない。それも事実だ。何故なのかは分かるな?」

征夷大将軍殿下は日本の象徴たるものであり斯衛軍帝国軍問わず、絶対にお守りしなくてはならない御方……だな

恭子から教わったさ、それは分かってる

「失礼ながら申し上げますが、国家の主権がどうこう言っている場合ではないかと思います」

正直な気持ちで言った。

伊隅大尉は表情変えず冷静に振る舞う

「豊臣少尉、貴様は斯衛軍にいたそうだな。崇宰家次期当主の崇宰恭子大尉から世話焼かせてるじゃないか」

「聞き捨てならんな…と言いたいところだが貴様の気持ちは理解しているつもりだ。良かったな、ここに崇宰大尉がいなくて」

恭子なら般若顔でそういうに違いない

斑鳩中佐は遠回しで言うかもしれない

唯依は……彼奴も恭子と同じ言葉を言い放つな

「それは人類の未来があってこそだと思います!国連の力を借りて早急と鎮圧すれば済むことでは」

「国連の方針が特定の国家の世界戦略を色濃く反映するものであったとしても貴様の答えは同じなのか?」

伊隅大尉が俺に問いかける

俺は一瞬、伊隅大尉の顔と恭子の顔が重なる

(この狼藉者が!アメリカが今まで何をしてきたのか理解しているのか!一方的な安保条約破棄、アジア圏からの撤退、明星作戦におけるG弾投下。この国の人間であれば理解出来る筈よ!)

………。

「ん?どうした豊臣、私の顔に何かついてるのか?」

おっと、いけねぇいけねぇ

つい見惚れてしまったぜ

「いえ、何も!」

「……時間が経つほど帝国軍の体制が整いアメリカ軍が介入してくる危険もある。帝都が戦場になる可能性に備え帝都圏に散在する斯衛軍駐屯地の各部隊は帝都城に集結すると考察して構わない」

アメリカ軍が日本のクーデターに介入してくるだと……政治的事情としか思えないな

ユーコン基地にいたユウヤやクリスカ、イーニァが今何してるかは知る由もない

噂によれば機体を強奪して行方不明になってる、が俺はそんなのどうでもいい

今起きてる事だけ考えて行動を示すんだ!

「我々も207Bと合流し作戦行動を移す。私も日本人だ、彼らが言ってることは理解できない訳ではないが…」

「分かっています伊隅大尉、必ずクーデターの連中を討ち取ってご覧に入れます」

と誇らしげな笑みを浮かびつつ伊隅大尉に向けて敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、国連軍の軍事的支援を仙台臨時政府が正式に受け入れ基地からも各部隊の出撃準備中だ

先程帝都で戦闘が始まり帝都城を包囲していた歩兵部隊の一部が斯衛軍部隊に向け発砲

それに対し斯衛軍第二連隊が応戦。沙霧大尉の戦闘停止命令も発表されたが混乱は収拾されていない

先発した第一戦術機甲大隊はアメリカ第117戦術機甲大隊と共に品川埠頭に強襲上陸を敢行、現在敵部隊と交戦中……事態は深刻化してるな。

遂に東京が戦禍に………。

全く、暇を弄んでるのか?アメリカ軍は

…とそれはさて置き、俺は何しているのかというと横浜基地のA-01部隊専用格納庫で強化装備を着用し俺が乗る不知火の調整をしていたが……。

「火力が足りねぇんだよ!火力が!」

突撃砲、長刀、短刀というシンプルな装備してる不知火を見て不満たらたらと流していた。

「え?」

萌香は俺の言葉を聞き困惑し始めた

「何でシンプルな装備品ばかりなんだ!もっと武装を増やせ!チボラシュカ…アリゲートル…ラーストチカみたいに出力を上げろよ!」

とにかく喚き散らした

強化装備を着た多恵は俺が喚き散らしてるのを見て呆れ顔になりジト目で冷たい視線しつつ溜息をついた

「はぁ…」

「武装てんこ盛りによ!火力さえあればクーデターの連中だって一発で倒せるんだ!」

萌香は俺に声をかけ少し怒りを表す

「無茶言わないでください!私達がいるヴァルキリーズは機動力重視です。シンプルな武装であるこそBETAと対等的に戦えるのですよ」

「そうそう、戦術機は基本的に機動力重視だからね…」

多恵は苦笑いで言った。

「なあ、高原」

「はい」

「この基地に配備してる機体はシンプルな装備ばかりだが」

「先程言った通り、ヴァルキリーズは機動力重視で戦闘挑む中隊です♪」

萌香はニコッと笑みを浮かびこう言い放った

「豊臣少尉は火力重視の機体を好んでますが、仮にてんこ盛りにしてしまうとただの砲台としか使えませんね♪」

笑顔で返すな!笑顔で

でも、悪くはない

「分かった分かった、とりまアレだ。鎮圧することだけ集中すればいいんだな?」

「それだけではないと思いますが…」

「どういう事だ!?」

格納庫に入った速瀬中尉と茜が俺にちょっかい出してきた

「あら~?新しい機体与えられて御不満でもあるのかしら」

「贅沢は敵だよ!」

ぐぬぬ……!

このアマ……。

待てよ、よく考えてみると萌香の言ってる通りかもしれない

カマかけてやるか

「よう、高原少尉と話してる途中だがアドバイスくれてな。嬉しい限りだよ」

萌香は「え!?」と驚愕し困惑する

速瀬中尉は「ホントに~?」と一言を添え茜は無言でムスッとした顔になった

「えっと、豊臣少尉?」

「?」

萌香はもじもじとして頬を赤らめながら何か言おうとしている

何だ?告白か?

絶対に違うな

「わ、私と付き合ってくれませんか!」

え?今なんて言った?

”付き合ってくれませんか”?

おいおい、マジで告白しやがったぞ

こういう時はなんて返せばいいんだ?

それってまさかとは思うが、結婚前提に付き合うって訳かよ

……酷なことだが、断りを入れよう

「あ、わりぃな。俺付き合ってる人いるんだ」

「え?」

「俺が好きな人は…」

「え?あのそっちではなくて模擬戦の方です…」

そっちかよ!

「模擬戦闘か。ああ、良いぜ」

「ありがとうございます!」

「機動力重視って事はこの中にある機体は何かタネや仕掛けとかあるのか?」

萌香は笑みを崩さず機体に搭載している新型OSについて丁寧に説明した

「タネや仕掛けはありませんが、香月副司令が開発した新型OSを私達の機体に搭載してるらしいですよ」

新型OSか……ユーコン基地にいた連中が聞いたら驚くだろうな

「機体の性能と出力を頼ってばかりはいられないよな……」

「そうですよね」

俺と萌香が談笑してるうちに、何故か恭子が横浜基地の格納庫に入り一緒にいる伊隅大尉と話しながら俺の行動をしっかりと見ていた

「ふふ、少しは成長したわね…伊隅大尉は豊臣少尉を傭兵として扱う事は出来るかしら?」

「癖がある男ですが、単にジャズが好んでいて口が軽い男ではないですね」

「そう、傭兵として扱うならそれで結構よ」

「では少しの間ですが豊臣悠一少尉を我がヴァルキリーズに預からせて頂きます」

「お願いね」

「は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クーデター軍Side

 

沙霧大尉が主催する戦略研究会に集った衛士達は情報を集め、征夷大将軍殿下を探していたが既に帝都から離れたと察知し血相な顔して慌てる者もいた

「将軍殿下が既に帝都におられぬだと!?」

「帝都城から地下道で複数方面に脱出する動きが確認されておりその中におられた模様…」

「早急に部隊を向かわせろ!帝国軍や斯衛軍、ましてや国連には断じて先を越されるな!」

皆、必死であり慌てている

沙霧大尉の隣に立っている駒木は冷静な振る舞いで対応し沙霧大尉は静かに耳を傾ける

「情報省…例の男の情報、信用に足るものでしょうか?」

「戦においてはその反足るべし…か。不甲斐ない」

「やはり…殿下は御自ら囮となって!?」

「我等は降伏だ。あの方の礎となるに何の迷いがあろう」

そして彼は立ち上がり、ここに集う者たちは覚悟が出来てると悟りこう言い放つ

「殿下をお迎えに上がる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

香月副司令の命令により俺を含め伊隅大尉率いるヴァルキリーズは出撃命令が出され、クーデター軍の連中を鎮圧に向かった

さーて、貧乏クジは誰だ?

《あらら~。あっちに持っていかれちゃったか》

《偶には守衛に回れるかと思ったんだけどな》

速瀬中尉と柏木少尉の会話は弾んでる

《柏木~。向こうに行きたきゃ止めないわよ?殿下のために一人陽動を買って出る。泣かせるシチュエーションだと思うけど?》

《あはは。私偉い人の前だと緊張しちゃうんで遠慮しま~す》

そんな楽しい会話を2人で楽しんでる中、伊隅大尉の一言できりっとした表情になる

《さて貴様ら。楽しいバカンスはここまでだ。我々は箱根に移動する。ヒヨッコ共が無事花道を通れるよう赤絨毯を敷いておいてやれ!》

速瀬中尉と柏木少尉は「了解!」と一言を添え全機隊列を乱さずクーデター軍にいる方向へと飛んで行った。

さあ、始めようぜ。最っ高に運命的なセッションをな

国連カラーに塗装した不知火に搭乗した俺はゆっくりと速度を上げ隊列を乱さず直進飛行

現状を説明すると、10分程前厚木基地の通信が途絶、続いて小田原西HQも沈黙

厚木基地は確か前線司令部があるところだ

現在明神ヶ岳山中にて敵と交戦し敵主力は現在二手に分かれ南下中だ

厳しい状況になってきたな……これは楽しくなりそうだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クーデター軍Side

 

《こちら604C!現在交戦中!至急増援を…うわぁー!》

不知火同士での戦闘が始まりクーデターに加担しない帝国軍衛士は『烈士』と書かれたクーデター軍の不知火を向け迎撃していたが、熟練した衛士がいたおかげだからか軽々と躱され返り討ちに遭う

《クソが!同じ機体なのに!》

1機接近してくるクーデター軍側の不知火は最大全速で長刀を片手で持ちクーデターに加担しない不知火は…

《どういうことだぁー!》

管制ユニットごと斜めで真っ二つで斬撃した

「帝都の守りを預かる我等精鋭の力!……見くびるな!」

そのうちの1機は両手で長刀を握り構える

クーデターに加担しない帝国軍衛士は全員死亡

そして、アメリカ軍のストライクイーグル8機がクーデター軍に接近

「来ました!機影8、アメリカ軍のストライクイーグルです!」

クーデター軍衛士の一人は接近してくるアメリカ軍にこう言い向けた

「アメリカ軍に告ぐ。戦闘行為を停止せよ。繰り返す。戦闘行為を停止せよ」

クーデター軍側の不知火や撃震は自動翻訳機能を無効に設定しているからかアメリカ軍側は何言ってるかわからないと悟り困惑していた

《Tell the machine of unknown affiliation. Enable immediate automatic translation. Or communicate in English, the official language of the United Nations, in accordance with the United Nations Military Code. 》

「諸君の行為は重大な内政干渉である。直ちに戦闘行為を中止せよ!」

《repeat. Communicate in English. I don't know what you're talking about 》

そしてクーデター軍衛士の一人は冷酷な目線でアメリカ軍戦術機部隊に突撃砲を向けこう言い放った

「アメリカ軍に告ぐ。英語などクソくらえ。繰り返す。英語などクソくらえ!」

《What?》

背部兵装担架に収納してる長刀を握り構え、アメリカ軍戦術機部隊に近づき速度を上げる

「尻尾を捲いて逃げ帰った貴様らが今更日本に何の用だ!忘れ物でもしたのか!間抜けめ!」

アメリカ軍も突撃砲で迎撃

「撃ってきました!」

「ストライクイーグル8機、手強いぞ!鶴翼参陣で包囲殲滅!兵器使用自由!」

互いに弾幕を張り終わりが見えない戦いを始めた直後、7時方向より新手の戦術機がクーデター軍側の戦術機に向け砲撃した

撃震1機がストライクイーグル1機に向け長刀を握り構え切りかかるが、性能差と機動力が違うからか苦戦し何とか撃墜した

「撃震でストライクイーグル相手と近接戦闘は無茶だ!2機連携を崩すな!」

クーデター軍の前に7時方向から接近してくる機影が見えた

「7時方向より砲撃!いきなり機影が!」

「馬鹿な!レーダーに反応が…」

「識別該当データなし!アメリカ軍の新鋭…ラプターです!」

「全機散開ッ!フラットシザーズッ!」

アメリカ軍の最新鋭機、F-22A…ラプター

ステルス機だから敵機を不意討ち出来る代物だ

何でBETAと戦うための機体にステルス機能があるというと隠密任務を特化してるからだ

音もなく素早い動きで敵機やBETAを殲滅出来る

普通の戦術機では太刀打ちできないだろう……普通の戦術機では

そんな束の間、クーデター軍側の戦術機は次々と撃墜され、そして

「馬…鹿な…」

沈黙していった

ラプター4機が機体の状態を確認

「Damage report for each machine」

《Spike 2, all green》

《Spike 3, no problem》

《Spike 4, all ok》

「It's good. I'll hunt enemy troops besieging allies from the edge 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠一Side

 

鎮圧した……これがアメリカ軍の最新鋭機のラプターの真の実力か

ユーコンにいた時はラプターと戦ったが、あの時はガンダムに乗って無双してたからな

今もそうだが……そんなことはどうでもいい

恭子から教わったが、征夷大将軍殿下は「殿下は操縦の心得は多少あり。飾りとはいえ軍の最高司令官よ。とはいえ、戦術機の操縦時間は実機で96時間程よ」と言われたな。

俺はともかく、恭子や鈴乃、都より乗ってる

まあ、搭乗時間多いからって実力があるってわけじゃない

故あって今は手元を離れているが征夷大将軍殿下専用の機体もあるだと言う。

将軍専用機ってことは随分ご立派なモノ持ってそうだな

恭子曰く「将軍家、または五摂家に生まれし者は戦においてその先頭に立つ責務がある」と

そしてそのような者達を守護するために斯衛軍がある

ん?秘匿回線…誰なんだ。作戦行動中だぞ

《あ、豊臣少尉。無断で秘匿回線使ってごめんなさい》

萌香からの秘匿回線だ

言いたいことは察している

「(高原か…)何だ?愛の告白を言いたいのか?」

《この任務を遂行し終えたら、私とバンドを組みませんか?私、風間少尉みたいにバイオリンとかは弾けないのですが…ピアノなら少し弾けますよ》

勧誘か……では俺からも誘いますか

「良いぜ、俺のバンド入りたいのなら大歓迎だ」

《バンド組んでるのですか!?凄いですね♪逆に惚れちゃいそうです…》

惚れちゃいそう…か

ここでいい所見せるとしますか

外部からの回線を切断し萌香からの秘匿回線に繋ぐ

これで外野から漏れることはない

そして不知火の跳躍ユニットを噴出し曲芸飛行を萌香に披露した

隊列を乱したが気にすることはない

「うほ♡はえぇ」

この感覚は…今まで味わったことがない速さだ

Gに耐えられるか。

《ちょっと、隊列乱しちゃダメですよ。伊隅大尉に怒られますよ》

「高原、ジャズは興味あるか?」

《萌香、私の下の名前は萌香です。気軽に読んでくださいね♪》

おいおい、天使みたいな笑顔じゃないか

よっしゃ!絶対に俺のバンドメンバーに加えてやる!

《隊長、豊臣少尉が列から離れます!》

《何をしている豊臣!早く列から戻れ!どうした豊臣少尉!…》

やば、見つかったか!

速瀬中尉の慌てぶりと伊隅大尉の怒声が響く

にしても、この戦術機は機動力重視だけでなく速度も向上してる

俺は秘匿回線を切りオープン回線に切り替え外部からの回線や映像が映り、モニター画面を確認する

「あれは吹雪……ということはその機体に乗ってるのは白銀とヒヨッコ共か」

鈴乃の言葉をふと思い出した

 

”人類の救世主”ってところだな。

 

小さな愛国者だ。しっかり面倒見てやれよ

 

『我が同胞団は国連軍横浜基地の保衛に当たり訓練衛士を死守せよ』との事だ

 

 

そういえば言われてたな……要するに白銀達を守れってか

地球にいる全人類が一つになれたらベアトリクスの言葉は覆されることになる。

本当にそんなことが出来るのなら、証明して見せろ!白銀武

小田原西インターに到着しクーデター軍と接触

《いいか?貴様等、腹を括って攻めろ!我々ができることは任務を全うすることだけだ!》

伊隅大尉の一声でヴァルキリーズの衛士全員はクーデター軍と戦闘開始

《頑張ってくださいね!》

「ありがとよ萌香……さぁ行くぜ。これからワックワクの、蛇の巣穴に手を突っ込むような、クソ任務へとお出かけだ!」

《何言ってるか意味分からないです……》

と萌香は苦笑いする

俺は機器にガムテープで固定してるカセットレコーダーの電源を入れ軽快なジャズを流しクーデター軍の連中を突撃砲で38mm弾を放ち迎撃していった

《馬鹿者が!任務中に音楽流すな!》

伊隅大尉はそういうが、俺は無視した

「……(来たな、『烈士』という文字が書かれてる機体がクーデター軍の戦術機か)」

ジャズを流したからかクーデター軍側から気づき始めヴァルキリーズに高速で接近

「ノイズ?…いや、これはジャズだ!」

「馬鹿め!自ら死に急ぎしてるようなものだ」

「相手が誘ってるんだ!撃て!敵機殲滅だ!」

クーデター軍側も迎撃開始

《撃ってきました!》

《音楽を切るんだ!豊臣》

速瀬中尉の慌てぶりや伊隅大尉の焦りが見える

だがな、伊隅大尉よ。俺は単にジャズを流したわけじゃないんだぜ?

俺はクーデター軍側の迎撃を躱し、120mm弾で返り討ちにしてやった

「いい的だ!このまま墜ちろ!」

俺は次々とクーデター軍の戦術機を撃墜しこれ以上問題起こしたくないからか伊隅大尉は多恵、萌香、茜の3人を俺の援護射撃に回した

《何やってんのよ!この馬鹿!》

《私達を全滅させるつもりなんですか?》

《伊隅大尉怒ってますよ……》

そんなつもりは毛頭ないぜ

クーデター軍側の戦術機3機が俺達を挟撃しようと試みる

そこを逆手に取り、俺は跳躍ユニットを最大限まで噴出し上空射撃

「素早い…いい反応だ」

そして煽る、煽りまくる

「おい、そこのクソ野郎共!お前の命、貰いに来たぞ」

クーデター軍側の動きが変わった。

後退しながら砲撃し3機のうちの1機が長刀で萌香機に切りかかるが横やりで多恵機が的確に射撃し撃墜した

《あ…》

「すまん。借りが出来たな」

2機に残ったクーデター側は俺に向け突撃砲を構え発砲

俺も最大全速で砲撃

おうおう、敵の動きが読めるぜ

「クソ!化け物が!!なんて速さなんだ!?」

敵は焦ってるな

誉め言葉として受け取っておくぜ

そしてここにいたクーデター軍の連中は全滅した

とは言え、まだ親玉が出てきていない

ここは粘り時だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クーデター軍Side

 

《冷川における殿下のご奉迎ならず!繰り返す!殿下のご奉迎ならず!》

「箱根に増援を送ったはず!どうなっている!?」

87式自走整備支援担架の簡易設備にいる沙霧大尉は刀持って座ってる時の佇まいをしていた

通信兵はただ状況を把握せざるを得なかった

《小田原西インターで国連軍部隊と接触!第一陣…全滅》

「全滅…だと…」

一人の女性が沙霧大尉のサポート役を務める為に立ち上がる

「大尉。ここは私が出ます。大尉は厚木へお急ぎください。殿下を…宜しく頼みます」

駒木咲代子

沙霧尚哉

そう、不平不満をアメリカにぶつけ征夷大将軍の意思を蔑ろにさせないために同胞を集め国連軍、アメリカ軍と立ち向かっていった

「(日米安保条約を破棄したアメリカが悪いのよ……国を導く殿下の意思を伝える為私は……潰す!)」

駒木の目は闘志を募った赤い炎みたいに今までの鬱憤を晴らす時が来たと悟った。




次回、ヴァルキリーズとクーデター軍が衝突しますよ!
因みに暫くの間、良平は出てきません
お楽しみに
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