XM3トライアル演習襲撃…横浜事件から13日後
国連軍、日本帝国軍、斯衛軍、佐渡島同胞団は佐渡島にあるBETAハイヴ『甲21号目標』制圧を目的とする、佐渡島復興を掲げる為の大規模共同作戦、甲21号作戦……佐渡島奪還作戦を始動
国連軍は佐渡島ハイヴ攻略を担当する佐渡島同胞団が損害を重ねる姿を見て正規軍投入を思案したものの、同胞団本部はこれを頑なに拒否した。諸説あるが、佐渡島奪還の戦果を“よそ者”である国連軍に奪われたくない為であったという説が濃厚である。国連軍はそれ以上追及せずにあっさりと引き下がったが、これは近日中に東欧州社会主義同盟がBETAとの戦争が終結することを予見し、堅固な防御力を有する佐渡島ハイヴ攻略にわざわざ国連軍の正規部隊を投入するメリットが薄かった故である。何にせよ国連軍が故郷奪還に奮起する同胞団を冷めた目で見ていたことは間違いないだろう。
悠一Side
2001年12月24日
横浜事件から13日……佐渡島同胞団所属戦術機空母『司馬』のブリーフィングルームで佐渡島奪還作戦の事前説明をしようとした時、突然佐竹が意外な人物をここに連れてきた
右側に括ったサイドポニーテールの少女だ
この顔立ちと容姿は……?
「大倉大尉、新しく入った衛士です」
「……豊洲多恵子少尉です」
彼女は豊洲多恵子と名乗った。
しかしあれはどう見ても横浜事件で死亡した築地多恵だ
本人だとしたら何故ここに?と疑ってしまう。
「佐竹、そんな報告聞いてないが」
鈴乃は佐竹に対し冷たい視線を送る
「え?」
「え?じゃないだろ……確認を怠ったな?」
「……すみません。実は訳アリで報告遅れまして」
訳アリで報告遅れた?
どういうこったそれは―――少し気になる
紅林と鬼頭は物珍しい顔で彼女を眺めており、早乙女も疑いの目で見ていた。
「……おかしくないですか?」
紅林が咄嗟に豊洲と名乗る女を疑った。
「この作戦の直前で新しくここに配属されたって事はスパイの可能性があります」
鈴乃もこればかりか疑いを晴らすために正直に全部言うまで問いだした。
「……豊洲多恵子だな?」
「え…はい」
「貴様は何者だ?何故ここに配属された?何の目的で?我々を陥れようと考えてるのか?」
鈴乃は次々と質疑を問いだすが返答がない。
当然、彼女は泣き崩れ言葉を放とうとするが何を言えばいいのか分からなくなった。
「……ぐす…うぅ…」
紅林は彼女を鈴乃の代わりに問いだす
「何があったか説明して貰えるか?」
彼女はあっさりと全部正直に話した
彼女の話を纏めると……
横浜事件でBETAの襲撃に遭い、死を直面したが天羽組と名乗るヤクザ3人によって救出され生き延びることが出来た
3人は国連軍兵士に扮したキリスト教恭順派の連中を粛清しに行く途中だった。
『生き延びたとしても、香月女史は見捨てるだろう。つまりアンタは使い棄ての駒だったって事だ』と178cmの長身かつ細身の体格で明暗の灰色二色に別れた癖毛と青い瞳、鋭い目付きに眼鏡、青いワイシャツと黒いネクタイに上下白のスーツが特徴。一見華奢に見えるが、服の下は筋骨隆々の逞しい体をしているヤクザの一言で豊洲…いや多恵は国連軍に不信感を抱え、偽名を使いここに流れた訳だ。
道理で公式の資料は戦死と表記してたのか……。
佐竹が報告遅れた理由は香月女史の説得に長引いたからだ。あの女は他人を見下した態度で俺達をボロ雑巾になるまで利用する気だっただろう。
結局、佐竹だけではどうにもならず斑鳩中佐や恭子、遠田技研の能代社長が交渉したが、それでも香月女史は引き下がらず最後まで抵抗したが、『築地多恵は国連軍からの公式の資料は戦死』という結論が至り多恵は国連軍から引き抜き佐渡島同胞団に転籍していった。
それにしても、この世界でもヤクザがいたんだな―――――驚いたぜ。
「状況は理解した。国連軍にいた頃は辛かっただろう…」
鈴乃は沈んだ表情を浮かべ多恵を慰める
「いえ、そんなに辛くはありませんでした。ただ……えっと、その…」
多恵もどん底の表情を浮かべる
俺は多恵が何を言おうとしてるのか問いだした
「高原萌香少尉の事を引き摺ってるんだな?」
そう言うと多恵は「はい」と一言を添え頷いた。
「香月副司令は、悪い人ではありません。あの人はあの人なりで私を配慮したんだと思います」
成る程な。
配慮ね……俺はそうは見えないが。
「配慮か…」
俺は心底呆れた
「アンタを配慮したなら、衛士を切り捨てるような真似はしてないぜ」
「…」
…………。
「あの、豊洲多恵子は築地多恵って事は分かりましたし、扱いはどうすればいいのですか?」
佐竹は空気を読まず呑気な顔で言い放った
「佐竹さん、私の事は『豊洲』と呼んでください」
と多恵は苦笑いで言った。
「ま、仲間が増えて良かったし…鈴乃」
「そうだな」
鈴乃は小さな笑みを浮かべ腕を組んだ。
「とにかく人が増えたという事は戦力が上がったと意味を表している。彼女が今後、我々に貢献する逸材の衛士になるかは『豊洲』次第だな」
多恵はヴァルキリーズの一員だった。
恭子と斑鳩中佐がそれをヘッドハンティングしたんだ。
バンドメンバーを加えるチャンスだ……やってやる。やってやるぜ。
俺と鈴乃が多恵が佐渡島同胞団ムーア中隊に加わった事で歓喜していたが、佐竹が突然、痛みを訴える
「う!」
突然、腹に刺すような痛みが走り倒れた
足まで痺れる感覚…おいおい、まさか下痢してたのかよ!
「が…はぁ…」
これを見た鈴乃は血相な顔になり早乙女に佐竹を担ぎトイレを行かせた
「早乙女!トイレに行かせろ!」
「りょ、了解です!」
力が入らずもつれる足を動かせて早乙女は佐竹を担ぎ便所に駆け込んだ
幸いギリギリのところで佐竹は粗相を免れた
彼奴は元々衛士だ。頻繁的に病が発症する為か整備兵になったらしい。
それを背中に押したのは都だ。
鈴乃はそれを知りつつ佐竹を整備主任として雇っているわけだ
数分後、佐竹はブリーフィングルームに戻ったが、鈴乃は佐竹に詰め寄る
「佐竹、『豊洲』少尉についてもう一度経緯を聞く必要があるな」
「え?もう一回聞くんですか?」
「そうでないと貴様は納得しないだろう」
鈴乃はこういうが、佐竹は多恵の経緯を理解していた。
「俺は香月副司令に交渉した一人ですよ。経緯ぐらいは理解しています」
多恵の事を疑いの目で見ていた早乙女は眉根を寄せて真剣な顔をする
「成る程、よぉく分かりました。豊洲多恵子…いや築地多恵少尉、貴女は天羽組の人間に助けられそれを快く思わなかった香月副司令は戦死扱いし見捨てられた……そういう解釈で宜しいでしょうか?」
「……貴女達がどう思われようと関係ありません」
あの香月夕呼ならそう思われただろう―――ヤクザ者の人間が堅気の衛士を救出し生かせた事を。
「……佐竹主任、拾ってくれてありがとうございます」
「え?いや俺じゃなく天羽組の人間に言ってくれ」
「ええ、勿論そのつもりです」
早乙女は天羽組のヤクザと接触してたのか……
どんな境遇してたんだ……?気になるがここは聞かない方が良さそうだ。
「なあ、鈴乃。今日は12月24日だよな」
「ああ、そうだが……悠一、今日って」
わりぃ、鈴乃。クリスマスプレゼントすっかり忘れちまった。
クリスマスイブだな……。
「プレゼント―――クリスマスの……」
鈴乃は首を傾げる。
「クリスマスプレゼントか?」
「ああ」
俺が頷くと、鈴乃は優しい笑みでこう言い放った
「このご時世ではクリスマスとか祝う暇はないからな…気持ちだけ受け取っておくわ」
そう言うと鈴乃は俺を抱き締めた
嬉しいけどよ…早乙女達に見られてるぞ
「いいなぁ…大倉大尉は」
「これぞ真実の愛だ」
佐竹は羨ましそうに眺め鬼頭は誇らしい笑顔を浮かべる
早乙女は呆れつつ小さな笑みを浮かべる
「ホント、御二方は仲が良いですね」
「悔しかったら早乙女も彼氏を作ったらどうだ?」
「大尉、揶揄わないでください!」
鈴乃は揶揄い早乙女は頬を赤らめる
「それより作戦の事前説明を」
紅林が鈴乃に指摘すると、鈴乃は抱き締めるのをやめて目を光らせ、決死の表情で作戦の事前説明をし始めた。
何か妙にピリピリとした雰囲気が出てきたぞ。これぞ最終局面の継続ばりの緊張感だ
「総員傾注!これよりブリーフィングを始める。早乙女、スクリーンを」
「はっ!」
鈴乃は早乙女を指示しスクリーンを展開し映像プロジェクターの電源を入れる
その映像には佐渡島ハイヴが映っていた
「これ佐渡島ですよね?」
「見れば分かるだろう、佐竹よ。あれが我々が取り戻すべき島だ」
佐竹は少し驚愕し困惑していたが鬼頭は冷静に凛々しい顔していた。
「―――この度、帝国軍及び国連軍は共同で佐渡島ハイヴ―――甲21号目標の掃討作戦を実行する事となった。この作戦には我々佐渡島同胞団も参加する。がヴァルキリーズや他の国連軍部隊と別行動になる」
妥当な判断だ。
無理に白銀達と合流してまで作戦遂行する必要はねぇ
彼奴らは彼奴らの戦いがある。それを介入したら……香月女史が黙ってはいないだろう。
「先の12.5事件…帝都クーデターでは豊臣少尉が国連軍のA-01部隊と共闘し、活躍は目覚ましいものがあった。それを踏まえた話だ。今回の作戦は厳しいものとなるが、より一層の奮戦を期待している」
緊張してきたな
早乙女の表情は冷静沈着で多恵は強張っている。
佐竹の奴…困惑しているな。
死んだ筈の少女がここにいるんだ。分かるぜ?
「緊張しているようだな?だが安心してくれ。作戦には参加して貰うが、我々ムーア中隊が先に戦場に赴く必要はない」
え?どういう事だ?
教えてくれよ、大倉先生よ!
「ハイヴ攻略の講義は受けている者はいると思うが、内容にはない激しい戦闘が想定している。覚悟は良いか?貴様等……」
ああ、覚悟は出来てるぜ、鈴乃。
それと早乙女、随分肚が据わった顔になったな。都は喜ぶと思うぜ?
「将来的には遠隔操作で動く戦術機――――――無人機に近いかな?それを導入して戦線に出撃しようと遠田技研の能代社長が技術エンジニアを含め社員にこう発言したが、現段階では難しいだろう」
佐竹が咄嗟的に挙手し意見を言い放った。
「大倉大尉、東欧州社会主義同盟が開発したリユース・ベアトリクス・デバイスについてどう説明するのですか?遠隔操作機のキモは、香月女史が開発した新しい通信技術の根幹であり現在使われている技術とは根本的に異なる高確率の通信があってこそ遠隔操作機は意味があります」
あの女なら絶対に言いそうだな。
気に食わないが全世界に貢献した人物だって事は確かだ。そこだけは認めてやるぜ
「佐竹の言う通り、それが出来ないとただのガラクタだ。ラジコンとは訳が違う」
「インフラが整ってないから開発は困難なんですか……」
「そうだ。それ以前に量産化は意味ないな」
リユース・ベアトリクス・デバイスか………あれはヤバい代物のシステムだ。
そうなるとベアトリクスが佐渡島の利権を欲したいまで介入してくる可能性は高い
実験場代わりにしてまで植民地支配しようとしている……普通はそんな事あり得ないが彼女の場合は別だ
ブリーフィングの途中、鈴乃は厳しい表情で佐竹に報告を漏らしてないか確認する
「佐竹、他に報告すべき事は?」
「他、ですか?」
「そうだ」
おいおい、まだあるのかよ。勘弁してくれ佐竹
「えっと……もう一つの報告は駒木咲代子中尉がここに配属されるそうです」
「!!」
駒木の名を聞いた途端、鈴乃の顔が顰めっ面になった。
「………」
急に無言になったぞ……説教か?
「大尉?」
「佐竹、私に近づいてきて」
佐竹は言われるがまま鈴乃の傍に近づく
「近づきましたけど…」
「もっと近づけ」
更に近づける
何やらかすんだ?
「あの……大尉?」
鈴乃は佐竹の顔に近づける。
「ええ!?」
そして彼の頬を抓る
「い!いででででで!」
「佐竹、嘘だったら海に沈めるぞ」
「そ、そんな!怖いこと言わないでくださいよ!本当です!信じてください!」
佐竹は鈴乃に真剣な眼差しを向ける
その目は嘘吐いて………いない
「これが嘘吐いてる目に見えますか!」
「う~む」
手厳しいな……何やらかすんだ?
「……信じよう。駒木をここに連れていくことはできるか?」
「はい…もうすぐ来るかと」
佐竹はそう言うと、眼鏡をかけた女性がブリーフィングルームに入る。
俺達の目の前に現れた女性は紛れもなくあのクーデターに関わった張本人だ
「ムーア中隊に配属されました、駒木咲代子中尉です」
そして真顔で敬礼する
「駒木中尉!?ここに配属されたんですね!」
早乙女は涙目で喜びつつ敬礼する
「早乙女少尉もここにいてたのね。久しいけど随分肚が据わった顔になったわね」
駒木は早乙女に敬礼し返す
「駒木中尉もですよ。お互い色々と修羅場潜り抜けてきましたが私達の仲間です!頑張ってください」
と早乙女は駒木に握手を求める
そして駒木も和やかな笑みを浮かびながら早乙女に握手を交わした
佐渡島奪還…いよいよ行われる
負けられない――――都達の思い出の場所を取り戻す!
今はそれだけしか考えなかった。
佐渡島同胞団Side
2001年12月25日
甲21号作戦は開始された
衛星軌道上に展開する国連宇宙総軍甲駆逐艦隊による軌道爆撃
敵迎撃と同時に帝国連合艦隊第2戦隊が長距離飽和攻撃を開始
重金属雲の発生後、全艦多目的運搬砲弾による砲撃に切り換えての面制圧を開始
地表に展開する光線級集団の撃破を目指す
信濃、美濃、加賀の戦艦3隻を基幹とした帝国連合艦隊第2戦隊真野湾へ突入
艦砲射撃を以て、旧八幡から旧高野、旧坊ヶ浦一帯を面制圧
同時に帝国海軍第17戦術機甲戦隊が雪の高浜へ強襲上陸し、橋頭保を確保
佐渡海峡上空に雷雲が浮かぶ
真っ黒になり、ピカっと光りつつ地面に落下
静寂な空気が一変し慌ただしい空気になる
《放電現象確認!帯電した発電所跡の残骸が原因と思われます》
《重金属雲濃度確認!艦隊はこれより佐渡海峡に入ります》
佐渡島同胞団の現段階の編成は……
同胞団艦隊
・戦術機空母『司馬』
・戦術機揚陸艦『阿仏坊』
・戦術機揚陸艦『両津』
・戦術機揚陸艦『相川』
の4隻。
戦術機部隊
・ムーア中隊
94サブレッグ:ムーア1:大倉鈴乃
94フルアーマー:ムーア2:豊臣悠一
94ブルG:ムーア3:駒木咲代子
不知火:ムーア4:紅林二郎
不知火:ムーア5:鬼頭丈二
不知火:ムーア6:豊洲多恵子(築地多恵)
撃震:ムーア7:早乙女まどか
撃震:ムーア8:
撃震:ムーア9:
撃震:ムーア10:
撃震:ムーア11:
撃震:ムーア12:
・リーア中隊
撃震:リーア1
撃震:リーア2
撃震:リーア3
撃震:リーア4
撃震:リーア5
撃震:リーア6
撃震:リーア7
撃震:リーア8
撃震:リーア9
撃震:リーア10
撃震:リーア11
撃震:リーア12
・ルウム中隊
撃震:ルウム1
撃震:ルウム2
撃震:ルウム3
撃震:ルウム4
撃震:ルウム5
撃震:ルウム6
撃震:ルウム7
撃震:ルウム8
撃震:ルウム9
撃震:ルウム10
撃震:ルウム11
撃震:ルウム12
・フランチェスカ中隊
撃震:フランチェスカ1
撃震:フランチェスカ2
撃震:フランチェスカ3
撃震:フランチェスカ4
撃震:フランチェスカ5
撃震:フランチェスカ6
撃震:フランチェスカ7
撃震:フランチェスカ8
撃震:フランチェスカ9
撃震:フランチェスカ10
撃震:フランチェスカ11
撃震:フランチェスカ12
・ガイア中隊
撃震:ガイア1
撃震:ガイア2
撃震:ガイア3
撃震:ガイア4
撃震:ガイア5
撃震:ガイア6
撃震:ガイア7
撃震:ガイア8
撃震:ガイア9
撃震:ガイア10
撃震:ガイア11
撃震:ガイア12
の5個中隊で60機編成だが、何故不知火の配備が少な過ぎるというと香月女史の圧力によるものだろう。
そもそも小規模である同胞団が不知火を配備させるのは彼女にとっては不釣り合いな考えだ。
それに対し国連軍側は帝国軍の戦力を含めたら膨大な数だ
アメリカ海軍の戦艦まで参戦している
94フルアーマーと94サブレッグ、94ブルG。紅林と鬼頭が乗る不知火、早乙女が乗る撃震だけはXM3搭載しており、それ以外は従来のOSだ。
不平等だと思うが、佐渡島奪還の悲願を達成する為に致し方がない事だった。
「戦術機各部隊は発進急げ!!」
先に出撃し佐渡島ハイヴを迎撃するのはフランチェスカ中隊だ。
「聞け!童貞ども!出撃命令が出た!作戦目標は佐渡島に蔓延る異星起源種の排除だ!!」
中隊長である30代後半の男性衛士はきりっとした表情で部下に言葉を放った
「この3年間待ち構えた甲斐があり、漸くBETAのクソどもを倒す時が来た。BETAの巣穴に手を突っ込むようなクソ任務だが、貴様等のようなクソ童貞にはピッタリの任務だ!!女の味知りたきゃ敵を倒して生き残れ!!分かったか!?」
中隊長の言葉を聞いた部下達は『了解です!!』と言葉を揃えた。
そしてフランチェスカ中隊は全機出撃
「フランチェスカ中隊出撃完了!!」
「陣形を組み作戦区域へ向け前進!!」
戦術機空母『司馬』の艦橋にいる大倉鈴乃大尉は、艦長を務める日系ドイツ人女性将校、クローディア・行成中佐の承諾を得て艦内マイクを使い全戦術機部隊に向け通達する
「全戦術機部隊各員に告ぐ!本作戦の目的は佐渡島ハイヴの消滅、加えて佐渡島の奪還である。この島は現在、BETAの支配領域であり朝鮮半島南部にある鉄原ハイヴへの補給ルートに使われている可能性がある。人類とBETAの戦争は最終局面に近づきつつあり、敵の補給ルートを断つことは、戦局に大影響を与えるだろう!!」
佐渡島の風景が見えた途端、鈴乃はそれを指をさし意固地な顔で言い放った。
「この防壁や家屋、戦術機の残骸があるのは我々の故郷…佐渡島だ!!甚大な同胞の命が失われ、生き残った同胞も今なお難民として辛酸を舐めている。この島を奪還する事は我々の天命である!!」
鈴乃だけでなく同胞団に参加している帝国軍衛士達も同じ思いだ。
早く取り戻したい……故郷に帰りたい―――そう思う者は必ずしもいる。
「故郷を破壊した卑劣な敵を許してはならない!佐渡島再建の悲願を果たすため、我々『佐渡島同胞団』は帝国に貢献し続けねばならない!佐渡島に再びの栄光を!!異星起源種に死を!!」
艦内マイクをクローディア艦長に返した後、鈴乃は急いで更衣室で強化装備を着替え格納庫に向かい自分の機体である94サブレッグに乗り込み、出撃命令を下されるのを待機していった。
フランチェスカ中隊は突撃級の密集したエリアから侵攻する
「光線級重光線級との距離を詰める。ついて来いよ童貞ども!」
中隊各機は次々と戦車級を駆逐していく
ここまでが順調に進み光線級や重光線級の裏をかくことを意図した作戦は危険極まりないものであったが、密集した突撃級の存在が侵攻部隊の盾となることも期待されていた……筈だった。
「突撃級にぶつかるなよ!データリンクだけでは頼るな!自分の勘と腕を信じろ!」
中隊長がそう言った次の瞬間、光線級1体がレーザー照射し管制ユニットに貫通し爆散
「がちょおおおん!!」
断末魔が響き中隊長は戦死した。
「た……隊長!!」
「当てやがった!!」
「中尉、指示を!!」
「お、俺!?」
「かたまるな、散開しろ!!」
「ひええ」
「突撃級の群れを抜けるぞ!!」
突撃級の群れから脱したフランチェスカ中隊は中隊長を喪い、指揮系統が崩れていく
「探せ!!光線級…いや光線属種の位置を…」
カッ!
ドン
「!!」
………。
「あう」
ドドウ
光線級が次々と増え、機体に次々とレーザー照射し撃墜される
「なんで!?なんで奴等は俺達が見えるんだ!?」
「敵の射点位置算出!!無茶苦茶だよ!!」
「くそお!!BETA共め!!」
「撃て!!撃て撃てェ!!」
最後に残った1機は無理強いでハイヴの中に突入を試みるが……
「わあああああああ!!」
カッ!
「イモ!」
ジュッ
重光線級の照射で撃墜され失敗、これによりフランチェスカ中隊は全滅した。
同胞団は戦術機を使い潰す結果となり、残存戦力はムーア中隊、リーア中隊、ルウム中隊、ガイア中隊となる。
「フランチェスカ中隊全機消失!」
「生還した衛士は0です!」
『司馬』の副長である咲野秀介少佐が焦りしつつ嘆きだした。
「情けない……!!帰還した戦術機が一機もないとは!!同胞団本部に増援を頼まねば…衛士の補充も」
「レーダーに感!!光線属種反応!!」
「…」
「群れを作りながら接近!!」
オペレーターの適正な判断で咲野少佐は衛士達に出撃命令を下す
「空母『司馬』はこれより佐渡島に接近する!!ムーア中隊、リーア中隊出撃せよ!」
《――は!》
《直ちに出撃します!》
ムーア中隊は鈴乃が乗る94サブレッグを先頭に立ち、その後ろにいる94フルアーマー、94ブルG、不知火3機、撃震6機を率いり出撃準備
《出撃命令が出た。今回の作戦は我々帝国軍軍人だけでなく佐渡島を取り返す同胞団の軍人も全身全霊かけて戦場に出るんだ。私のケツについて来い!》
先にリーア中隊の撃震12機が出撃しリーア中隊の中隊長がモニターに映る鈴乃に向け敬礼した
《先に行かせて貰いますよ、大倉大尉》
《うむ、リーア中隊はムーア中隊の援護を》
《了解です》
因みにリーア中隊の中隊長の階級は中尉である
謂わば中隊長代理だ。
《ムーア中隊出撃するぞ!》
鈴乃機が先行し後ろの機体は鈴乃機についていく形で出撃した次の瞬間、外の景色が大きく変化した。佐渡島ハイヴから出てきた光線種がいきなり上空へレーザーを発射した
光線種の目標にしている位置からはだんだん佐渡島に近づいてきていることがわかる。
《来るぞ!散開!》
鈴乃は部下に散開させ警戒
急な速度で佐渡島上空に突破
重光線級はさらに激しくレーザーで歓迎。
鈴乃機はレールガンで射出しながらそれを一撃、二撃と躱す。躱して落ちる。
されど天登る雨のごとく射たれるレーザー。やがて躱しきれなくなる。
リーア中隊の撃震が次々と脱落していきムーア中隊が先頭に立ち佐渡島ハイヴに向かう
「このまま突っ込むのか?」
《悠一!》
悠一は悟ったのか92式多目的自律誘導弾システムでミサイル発射し光線属種を殲滅する
「出しゃばってんじゃねぇ!セッションは始まったばかりだぜ」
鈴乃は残りの光線属種でのレーザーの集中砲火から遠ざける。
そのまま跳躍ユニットで落下地点への位置を調整。
……重光線級が迫ってくる。
鈴乃機はその勢いで地面に着地。
素早くレールガンを早乙女機のサブアームに掴まり預け突撃砲へと武装変更
周囲の重光線級はこちらを向き、レーザーの照射体勢へとはいっている。
大目玉にエネルギーを充填するその様を見ながら、思わず笑みがこぼれた。
「あまりに遅い」と。
「距離さえなければ貴様等など雑魚だ!訓練兵時代の私でも、もっとましな射撃が出来てたぞ!」
一番早くに充填がきそうな個体に喰らわせる120mm弾!
そのまま回転しながらサブレッグのバーニアを噴射しつつバランス良く突撃砲を乱射!
次々に重光線級を屠る。屠りながら周る。
この光景を見た紅林や鬼頭、多惠、まどかは驚愕していた
「大倉大尉、凄い動きで……」
「凄まじい射撃だ……」
「これが、佐渡島の……衛士の実力?」
「大倉大尉は的確な範囲で射撃します。『豊洲』少尉とは違いますよ」
皆、鈴乃の動きや射撃を見惚れていた。
キッチリ一回転する間、70体ほどの重光線級はその場に死骸となっていた。
「成功だな。これで光線級撃破のレコードを塗り替える事が出来る……」
長らく待機していたルウム中隊、ガイア中隊が到着。
佐渡島ハイヴ突破までもう少し……目論見通り作戦は大成功だった――――と思った次の瞬間
「大倉中隊長、後方2㎞地点で巨大飛行物が接近してきます!」
「巨大飛行物……?!」
鈴乃はモニターの画面を見た
それに映ってたのは…
「何だあれは!?」
そう、戦術機ではなくまるで動く要塞
その全高は戦術機の約6.5倍もある。
1975年からアメリカで開始された「戦略航空機動要塞開発計画」によって生み出された戦略航空機動要塞の試作2号機、凄乃皇・弐型だ。
鈴乃は情報屋伍代から入手した情報を思い出す
「(白銀武という少年は我々に驚愕せざるを得ない究極のOSを香月女史の監修で開発…オルタネイティヴ計画…00ユニット……横浜基地……)ッ!」
凄乃皇・弐型は00ユニット専用機だ
それを扱えるのは………
鈴乃は凄乃皇・弐型の射程圏内から離脱し部下に命令を下す
「総員傾注!この『巨大飛行物』は味方の機体と判断し我がムーア中隊は離脱する。ルウム中隊、ガイア中隊、リーア中隊の残存衛士は個人の判断に委ねる――強制はしない」
《佐渡島同胞団の戦術機部隊に告ぐ。国連軍A-01ヴァルキリーズの伊隅みちる大尉だ。凄乃皇・弐型の射程圏内から退避しろ。間も無く佐渡島ハイヴに向け攻撃開始する》
鈴乃にとっては想定外だった。
そして下された決断は―――――。
「――――伊隅大尉、御忠告感謝します。丁度この戦域から離脱するところです」
《あとは我々に任せろ。貴様は部下を率いて退避だ》
鈴乃は伊隅大尉の機体を見つつ敬礼
誇らしい笑みを浮かびこの戦域から退避した直後、ヴァルキリーズの不知火13機が一斉砲撃
鈴乃達に襲撃しようとしてくるBETA群は見事に殲滅!
私達は死なない――――もっと頑張らなければいけない
鈴乃はそう思い込んでいた
次の刹那!
凄乃皇・弐型に搭載している荷電粒子砲が放たれた!そして―――
「………ハイヴが、砕けただと…」
この光景を見た鈴乃は凄乃皇・弐型という兵器はどんな威力なのか思い知らされた
それは倒壊ではなく地表構造物が一撃で消去されたのだ。
感涙してる鈴乃を見て悠一が呟く
「俺達の勝利だな……」
「ええ、やっと我々の故郷を取り戻した……ハイヴが砕けた以上佐渡島同胞団の存在意義はもうなくなるだろう」
「いや、まだあるぜ」
悠一は小さな笑みを浮かべる
「え?」
「佐渡島の本来の美しい光景を復興させる。それを成し遂げるこそ佐渡島同胞団の存在意義があると思うぜ」
一撃で構造物が吹き飛んだ――そして再度荷電粒子砲が放つ!
まるで閃光!一瞬にBETA群を全て屍となった。
これで全てが終わったと思いきや―――。
「何だあれは…?」
鈴乃が異変に気付く
砕けたハイヴの瓦礫の下から残存のBETA群が現れ、戦車級、要撃級、兵士級等鈴乃達に襲い掛かる
「まだ残っていたのか!?」
《大倉中隊長!ヴァルキリーズと合流して共闘しましょう!》
駒木がそう進言するが鈴乃は首を振らなかった
「いやここは自分達でやるべきだ。伊隅大尉達に甘えてる暇はない!」
戦車級10体が襲い掛かって来た
「総員砲撃開始!BETA共に我々の力を見せつけてやれ!」
ルウム中隊、ガイア中隊、リーア中隊の残存機体も便乗する形でBETA群を砲撃
次々と殲滅していくが、別の戦車級が50体現れ再度襲い掛かる
そんな最中、弾切れになった機体が次々と続出し脱落。
リーア中隊の残存機体は中隊長含め全滅
ルウム中隊、ガイア中隊も弾切れになる機体が増える。
《リーア中隊全滅!ルウム中隊、ガイア中隊損傷機体続出!無傷の機体は我々ムーア中隊だけになります!》
「グウウ…あとちょっとで私達の―――」
あとちょっとで事が終わる――――佐渡島が救われる奪還できる
鈴乃の思いは今目の前のBETA群により打ち砕かれようとしている
《クソが!近付いてんじゃねえ!》
「紅林!よせ!」
紅林機がマニピュレーターで要撃級一体を叩き付け頭部を陥没させた
そして続いて鬼頭機が120mm弾で応戦
駒木機は左腕に装備している二連装突撃砲で120mm弾を放った。
「絶対やらせない!」
豊洲機が右腕に装備してるアームナイフ型の突撃砲で36mm弾を放ち、アームナイフの先端部分で要撃級10体を薙ぎ払った
さらに早乙女機が36mm弾で要撃級に向け放った。
残存のBETAと戦闘してから1時間後、漸く落ち着いた
しかし安堵に浸ってる暇はなかった
《ムーア中隊、聞こえるか?咲野少佐だ。現状を伝える。『司馬』の艦長、クローディア中佐が国連軍の香月副司令とコンタクトを取り、佐渡島を消滅させないでほしいと嘆願したが残念ながらそれは叶わぬことになり無念であるが佐渡島を放棄するしかない》
「え!!?」
《あの航空機動要塞はG弾20発分の自爆装置が備えている。起動したら貴様等も道連れにされてしまうぞ!早急に離脱せよ》
「少佐!何かの聞き間違いでは!?」
《もう一度言う。佐渡島を放棄しろ……これは同胞団上層部が下した結果だ》
鈴乃達の願望はこのまま果たせぬまま香月女史の思惑で佐渡島消滅を許してしまうのか?
苦渋の決断だった………。
「佐渡島を…」
鈴乃が「佐渡島を放棄する」と言いかけたその時
《そのお言葉聞き捨てにはなりませぬ》
青の武御雷…それに乗ってるのは五摂家の崇宰恭子。
恭子は咲野少佐と対峙し反論し始めた
《帝国斯衛軍!?しかも五摂家の崇宰家次期当主の崇宰恭子だと!?》
それは咲野少佐にとっては予想外の展開
《咲野少佐、佐渡島を香月副司令に委ねて彼女の実験道具扱いとして放棄するつもりで?》
《崇宰大尉、何故我々同胞団の決定を反旗を覆すのですか?これは香月副司令が》
《自分の故郷を彼女に託して実験道具にされるのがそんなに嬉しいのか?》
恭子は咲野少佐に鋭い眼光を向ける
それは日本全体の希望…佐渡島に住んでた人達の願望の為に恭子は理解していた。
《国連の香月副司令は佐渡島を犠牲にしてまで消滅を目論んでいる。これは日本人として見過ごす事は出来ない。少佐は佐渡島に住んでた人達を敵回してまで彼女を庇うのですか!?》
《ぐ…それは―――だから香月副司令に》
咲野少佐の優柔不断で恭子は怒髪天状態で喝を入れた
《……いい加減にしろ!その機動要塞とやらの兵器は確とこの目で見た。がどんな理由であろうと佐渡島を犠牲にしてBETA共を排除しようなど言語道断だ!!考え直しなさい。もう一度彼女とコンタクトを取って交渉しなさい!》
恭子の般若顔を見た咲野少佐は怯え焦り出した
《……上層部に報告しなさい――いいわね?》
《ぐぬぬ…》
咲野少佐は渋々恭子の要望を受け入れ戦術機空母『司馬』艦長のクローディア中佐に委ねる
《クローディアだ。恭子様、少佐の不躾な発言をお許しください。あとでキッチリと叱っておきます。香月副司令の事は私にお任せください。もう一度コンタクトを取ります》
《お願いね》
《は――恭子様、御武運を》
東欧州社会主義同盟Side
そんなことは露知らず、戦艦『カール・マルクス』の艦橋でベアトリクスは艦長席に座り優雅に遠くから見える佐渡島の景色を眺めていた
「そろそろ佐渡島に着く頃ね」
「はい、でも宜しいんですか?佐渡島は日本帝国領土……我々が介入する大義名分はないのでは?」
ニコラは和気藹々とベアトリクスに話しかける
「ふふ―――その為に香月女史が来る前に先回りしたのよ」
とベアトリクスは誇らしい笑みを浮かべる
香月女史が起案した作戦は佐渡島に住んでた人達が抗議するほどの内容だ。
そう、彼女は最初から佐渡島を無事奪還するつもりは毛頭なく、00ユニットの実験道具扱いとして生贄に捧げる――――これが香月女史の目論見の一つだ
オルタネイティヴ4を成功させるために佐渡島を消滅させる
「香月女史はホントぶっ飛んだ女狐ね。これでは鬼畜シュミットと変わらないわ」
「では――」
「アイルランドに護送する予定のナタリー・デュクレールを潜入部隊の長として利用する。彼女はまだ利用価値はあるわ」
ベアトリクスはタイミングを伺っていた
ナタリーを如何にどうやって戦力の駒として扱うのか?を。
それは1ヶ月前に遡る
ベアトリクスは事前に国連軍の動きを監視しつつ厳戒態勢で各戦術機部隊を佐渡島ハイヴを包囲しつつ現地に配置
ソ連の基地から強奪した日本が開発した試製99式電磁投射砲をデッドコピーし『ビッグガン』を製造させた
無論、正規量産ではなく試作量産と言う形だ
しかし、この兵器には問題点があった
推進剤の消耗は激しく連射不可能。エネルギー充填まで約3時間かかる為だ
そして日本の試製99式電磁投射砲と違い脚架がないと運用できない。
簡単に言えば移動しながらの射撃は不可能と言う事だ
主に配備されたのはアイルランドやイギリス、欧州大陸で戦っている戦術機部隊ではなく第666戦術機中隊とヴェアヴォルフ大隊のみだ。
ベアトリクスは無理強いでもこのBETA大戦を早期終結すべく動いていた
「ビッグガンを早急に配備させるのは困難なのは理解している―――あの兵器は日本の電磁投射砲を参考にした代物よ」
「四方八方からハイヴの中にいるBETAを殲滅できるんですね総帥」
「でも少し予想外の事起きたわ――――空飛ぶ移動要塞がハイヴを砕いたのよ」
ベアトリクスの言葉を聞いたニコラは『?』と浮かび何を言ってるのか理解できなかった
「空飛ぶ移動要塞…?(そんな兵器はありません……とは言えない)」
「それに天羽組の組長さんの頼みは断れないのよ――――香月夕呼という女は仁義外れなのか?彼等は見極めているわ」
佐渡島は日本帝国の領土なのは確かだ。
しかし、その利権を握ってるのは天羽組と言う極道組織―――所謂シマ…縄張りなのだ
その縄張りを香月女史が荒らすのか?天羽組組長は試している
「幾ら日本帝国の領土だと大きい声で叫んでも利権は天羽組が持っている。ハイヴだけ消滅して復興を成し遂げる―――それが佐渡島同胞団の最終目的よ」
「つまりどうしても無傷で佐渡島を取り戻したい――と?」
佐渡島の住民にとっては故郷でありまたそこに住みたいと熱い願望を持っている人達はいる筈だ。
なら何故香月女史は佐渡島消滅させてまでハイヴを叩くのか?答えはもう分かる筈だ
彼女にとっては佐渡島という島は単なる00ユニットの実験道具にしか見えていなかった
「仮に空飛ぶ機動要塞があったとしても、我々がそれを鹵獲するのですか?」
凄乃皇・弐型を仮に鹵獲して戦力の要の一つになるのか?とニコラは疑心暗鬼を生む。
もう一度言うが凄乃皇・弐型は00ユニット専用機―――素人が扱うのはとてもじゃないが不可能と言っても近い
「RBDを搭載した戦術機を空飛ぶ移動要塞にドッキングしたらどうなるかしら?」
それは常識では最も考えられない発想だった
サイコアリゲートルを凄乃皇・弐型にドッキング機能を追加し運用するというのだ。
当然ながらニコラは反論する
「香月女史が絡んでる兵器にドッキングするなどあり得ません」
「ならその00ユニット要素を排除して改良しなさい」
カタリーナから無線が届きベアトリクスは冷静を保つ
《ブレーメ総帥、工作部隊は香月女史が乗り込んでると思われる『最上』の侵入に成功しました。我々もいつでもいけます!》
それを聞いたベアトリクスは艦内マイクで各戦術機部隊を通達し作戦開始の合図を送る
「――――各戦術機部隊に告ぐ。我々は人類存亡の為異星起源種共と戦争してから28年。愚鈍なアメリカや南朝鮮、そして腐敗した国連軍とは違いこの戦争を早期終結しなければならない。奴等の好き放題にはさせない――――現時刻を持って作戦計画21を発動する。不埒な西側諸国の連中に我々の恐怖を植え付けてやれ!我に栄光あれ!」
合図を送った後、佐渡島同胞団の戦術機空母『司馬』艦長のクローディアから秘匿回線がきた
「総帥、佐渡島同胞団の『司馬』から秘匿回線です」
「繋ぎなさい」
「は――」
オペレーターは秘匿回線を繋ぎクローディアと無線通信とのやり取りを始めた
《佐渡島同胞団戦術機空母『司馬』艦長を務めるクローディア・行成中佐です。国連側の作戦はもう把握してると思いますが凄乃皇・弐型に搭載しているG弾20発分の自爆装置を作動させ佐渡島全体を消滅しようと香月女史は目論んでいます》
「この戦争には犠牲が付き物…彼女なら言いそうね――――で?我々にどうしろと?」
《佐渡島を……我々佐渡島同胞団だけでは凄乃皇・弐型の暴走は止められません。BETAの殲滅はともかく佐渡島の住民の居場所をなくすような事はあってはなりません!》
このままでは佐渡島は消滅してしまう
どうすべきか?ベアトリクスは模索する
「(あれを鹵獲出来たら00ユニット要素は排除して戦術機のドッキング機能を搭載した兵器が作れる――だが彼女は鹵獲されたくない為に佐渡島消滅してまで自爆装置を作動させる。ここは同胞団の言い分を受け入れるべき………ね?)国連の管轄下から抜けたら貴方達は香月女史を敵に回すことになるわよ?それでもいいかしら?」
《帝国斯衛軍の崇宰恭子大尉もブレーメ総帥と同じ考えだと思います。”どんな理由であろうと佐渡島を犠牲にしてBETA共を排除しようなど言語道断だ”と》
「あの鬼姫と呼ばれる五摂家のね……既に駒は事前に配置している。それを阻止するのは我々東欧州社会主義同盟の役目――――――いいわ、協力しましょう。あの女狐は悪いけど舞台から退場して貰うわ。ニコラ」
「は――第666戦術機中隊に佐渡島に残存してるBETA群を全て殲滅させます」
「宜しい。では始めるわよ――クローディア中佐も働いて貰うわ」
《では同胞団艦隊は合流を?》
「ええ、頼んだわよ」
クローディアとの秘匿回線を切りやり取りを終えた。
そしてこの時は知る由なかった。ベアトリクスが佐渡島の戦域に介入する本当の理由を……。
佐渡島同胞団Side
戦術機空母『司馬』 艦橋
一方その頃、佐渡島同胞団側は凄乃皇・弐型の起爆装置を作動させない為にあれこれ必死に奮闘していた
そして漸く香月女史と回線が繋がりクローディアは正直に話した
「香月副司令、やはり起爆させるのは反対です!このままだと我々の戦力は全滅するのは承知です。佐渡島に住んでた人達の事を考慮してください!!」
《それは出来ないわ。事前に聞いてなかったかしら?この作戦は佐渡島消滅するのはやむを得ないと》
「そんなの…貴女の実験道具にしたいだけでしょうが!」
クローディアがここまで怒るのは理解できる
だが香月女史は冷ややかな目線で言葉を言い放つ
《はぁ…佐渡島は私の実験道具ね……クローディア中佐、貴女は何を企んでいるの?私達の計画を邪魔する気?それに佐渡島同胞団は国連の管轄下よ。独断行動は許さないわ》
「ッ!」
《この戦争は犠牲が付き物よ。貴女中心で地球が動いてる訳じゃないのよ―――それに島一つくらいなくなったって何のメリットもないわ。勝利を掴むためには対価を払う必要なのよ》
「………」
《もういいかしら?私は貴女に構っていられる暇がないのよ》
香月女史が話を打ち切ろうとしたその時、足音が響きアサルトライフルを構える複数の兵士が香月女史の背後にいた。
《動くな!動くとテメエの頭を風穴開く》
気配が感じなかった……しかし、銃口を向けられたのは香月女史だけだった
そして……
《ちょっと何よ!アンタ達》
《天羽組の小峠だ。佐渡島の消滅を阻止しに来た。ウチのシマを荒らしやがって…おまけに島ごと消滅だぁ?舐めてんのか!ゴラァ!!》
香月女史の後頭部に銃口を突きつける男は極道組織天羽組にいる武闘派ヤクザ、小峠華太だ。
《小峠……貴方は確か日本帝国軍の元衛士ね。何故極道である貴方がここにいるの?》
香月女史は華太の威圧を受けても動じなかった
《お前等他の奴は手出しするなよ。此奴等は無関係の人間だ――――この艦内にいる乗組員の命は保障する。狙いは香月夕呼…テメエだけだ》
この生々しい会話は耐え難いとは程遠かった。
クローディアはこのまま無線を繋いだままにして一部始終を見る
《要求は何?》
《佐渡島は俺達天羽組のシマだ。利権証明書もここにキッチリと記載している。よく見ろ》
そう言うと銀色のショートヘアの国連軍憲兵に変装してる男は香月女史に利権証明書を渡した
これを見せれば佐渡島は助かる―――そう思い込んでいた筈だった。
《貴方達がやってる事はテロリストと同じよ。悪いけどその要求は呑めないわ。ピアティフ中尉、ヴァルキリーズの状況はどうなっているの?》
《現在、後退中との事です》
《そう、さっさと後退急ぎなさい。00ユニットは回収したわね?白銀》
《はい!無事回収出来ました―――夕呼先生、後ろに誰かいますけど》
香月女史は武とやり取りしようとするが華太が割り込む
《白銀武だな?俺は天羽組の小峠華太だ。見ての通りアンタの先生は人質になっている》
今の状況を把握した武は困惑。
《夕呼先生をどうするつもりですか!》
武の発言を聞いた華太は冷徹な表情を浮かべる
《……作戦は今まで通り遂行しなさい。余計な事はしないで》
銃口を向けられても動じない香月女史は冷静な判断を取っている
《アンタ世界を救いたいんでしょ!ならば今自分がやるべきことを成し遂げなさい!》
武は今の状況を困惑するも香月女史の進言で与えられた任務を遂行する
《分かりました。先生、無事でいてください!必ず帰ってきますから》
武はそう言い残し無線を切った
まだ終わっていない……。
《あー、ごめんなさい。繋ぎっぱなしだったわね》
香月女史は申し訳なさそうにクローディアと話しかける
「いえ、香月副司令……どうなさるつもりですか?」
《佐渡島の消滅阻止ね》
「はい」
香月女史は後頭部に銃口を向ける華太の顔を伺い鋭い目線を向ける
《もし佐渡島を消滅したら本土にいる佐渡島の住民達が横浜基地に来て暴動を起こすだろう》
《たかが島一つで、ギャーギャー騒ぐほど暴れ出すの?》
《たかが一つだと?》
華太は怒髪天状態になり香月女史の胸倉を掴む
《テメェ日本人だろ?キリスト教恭順派を喜ばせてぇのか…ブチ殺すぞ!クソボケェ!》
《離しなさい。もう決まった事なのよ…残念だけど諦めて頂戴》
「香月副司令…貴女って人は」
クローディアは嘆く
折角ここまで来たのに最悪な形で佐渡島は消滅する
こんな事はあってはならない
無論、華太もその一人だ。
《俺だってアンタを撃ちたくない。ただ俺の戦友の…坂崎都大尉の思い出を消したくねぇんだ!アンタだって思い出一つ二つあるだろ!自分の故郷が核爆弾を落とされて喜ぶと思うか?》
《故郷ね…横浜の街があんなに滅茶苦茶荒らされたら誰も喜ばないわ―――でもこれは戦争よ。感情に浸ってる場合じゃないのよ。起爆装置を作動させずに佐渡島に残存してるBETAを全部殲滅する方法はあるの?クローディア中佐》
「一つ、あります」
《何?》
「……東欧州社会主義同盟と手を組みBETAを全て殲滅する事です」
なんと香月女史に東欧州社会主義同盟の協力要請を嘆願した
普通の常識ある軍人とは考え難い行動だ……これはもしや?
《社会主義のオンパレードじゃない。何であの連中と協力しないといけないの?》
「時間がありません。ブレーメ総帥は既に配置したと言ってます」
《……信用できると確証あるの?》
「彼女は有言実行する女性です。必ずやってくれます」
《分かったわ。一応信じましょう…ただその賭けは危険だと理解してるなら自己責任よ。あとは好きにしなさい》
香月女史は面倒臭そうに言ったが、それを聞いた華太はこの場にいる兵士達にアサルトライフルの銃口を降ろした
《賢明な判断だ。ここにいる皆さんも大変ご迷惑をかけてすみません。我々の要求を呑んだと解釈しますよ香月副司令》
《別に…アンタの為にやったわけじゃないから。用は済んだでしょ?》
《では解放する形でこの場から去ります。失礼しました》
要求を呑んだと解釈し安堵な表情を浮かんだ華太は国連軍憲兵に変装した人達を率いりその場から立ち去ろうとするが、香月女史に呼び止められる
そして回線を切断した
「ベアトリクス……信用して宜しいですね?」
咲野少佐が険しい顔でクローディアに言い詰める
「ええ、彼女こそこの戦争を終わらせる最後の希望よ」
良平Side
甲21号作戦は既に発動している
そして国連軍が所有している航空機動要塞、凄乃皇・弐型の荷電粒子砲により佐渡島ハイヴは玉砕
見事粉砕していった
しかし瓦礫の中から残存のBETA群が現れ、国連軍は最悪の場合、凄乃皇・弐型に搭載している起爆装置を作動させ佐渡島ごと消滅させようとしていた
血の涙もない奴等の好きにさせてはならない!
事態は思っていたより深刻で特に帝国海軍の艦隊や戦術機の被害が大きかった。
BETAの数は勿論だが、影響は士気の低下まで至っていた。
そこで俺が取った行動は日本の試製99式電磁投射砲をデッドコピーした兵器『ビッグガン』でサイコアリゲートルに装備しBETA群を叩く
狙いを定め―――真っすぐと
「……」
そして接近してくるBETA群に向け
「ロックオン…」
電磁投射砲の砲門から電撃を放ち長距離射撃した
見る見るうちに消える…消える…消えていく
砲撃を終えると残存のBETAはまだいないか確認する
「これだけ威力あればより早く一掃出来るな―――これが電磁投射砲。凄い威力だ」
エネルギーが0になり充電を開始する。
完了まで2時間掛かる――――推進剤はまだいけるな?
《お疲れ様ダリル君、あれだけ派手にやればあとは私達でも見えるわね。休んでいいわよ》
「しかし…」
《上官の命令よ。休んでおかないと体壊しちゃうわよ》
「ありがとうございます。あと充電切れになりました…残りのBETA群はロックオンしたので後はクシャシンスカ中尉にお任せします」
俺はファムの好意を受け取り小休憩を取る形で居眠りしていった
《寝てしまったわね―――戦車級と兵士級を叩くだけの仕事になったわ》
ラインメイタル Mk-57中隊支援砲を構えてるラーストチカに乗ってるのはシルヴィアだ。
アネットは通常装備だ。
《いいな~。あたしもそれ撃ちたいよ》
《アンタは壊すかもしれないからダメよ》
《ええ~?ちょっと酷くない?》
《事実でしょ》
シルヴィアはアネットと言い争いしようとしたが黒い笑みを浮かんでるファムが仲裁に入る
《はいはい、喧嘩はやめてね。営倉入りたいの?》
《あ、いやアネットにアレを使わすのはまだ早いと思っただけよ》
何の変哲もない会話をしている途中でオープン回線が繋がりベアトリクス直々に指令が下された
強制起床剤を注入され俺は目を覚めた。
プスー
「寒っ…!あ…強制起床剤か…」
《皆、起きてるかしら?今から指令を下す。凄乃皇・弐型を鹵獲しろ。あれは人類存亡の為にBETA大戦を早期終結の鍵だ―――国連側の交信電波で該当の兵器の位置を把握している》
座標は北韓37度59分25秒東経138度28分15秒―――――A-02擱座地点!
ベアトリクスは真面目な表情を浮かんでいるが何か裏がある。
―――――あれは00ユニットでしか動かせないんだぞ!
どうやって運用しようって言うんだ?!
凄乃皇・弐型の位置を確認した後、ヴェアヴォルフの衛士達は了承の言葉を放った
《ヴェアヴォルフ02了解》
《03了解》
《04了解》
《鹵獲作業はヴェアヴォルフが担当する。他はBETA掃討任務を励め!》
カタリーナは強張った顔で俺達に言い向けた
「了解です」
《私から以上だ。無事を祈ってるわね――》
ブツン
妖艶な笑みを浮かぼつつ言い残し回線を切断した。
小休憩が終わり再度今まで通りにスコープで目の前にいる残存のBETA群を狙いを定めた次の瞬間
「―――ッ!」
予想外の事が起きてレーザー照射警報が鳴り響く
なんとそこには要塞級7…いや10体が現れそれと同時に光線級約20体が俺達に襲い掛かる
《総員傾注!光線級、要塞級が出現したわ。各員警戒を緩めないで!来るわよ!》
クソ!充電はまだ出来ていない。
シルヴィアはラインメイタル Mk-57中隊支援砲で光線級1体を目掛けて弾丸を放つ
1…2…3…4…5…そして10体命中!
《このぉぉぉぉっ!》
アネットは前へ出て突撃砲で120mmを放ち光線級を狙い撃った
5体撃破したもののまだ要塞級10体と残存の光線級が10体いる
―――アネットの様子がおかしい。
《あたしなら…あんな奴等にぃ!》
《アネットちゃん!拙いわね…興奮剤が強過ぎて自我が失ってるわ。鎮静剤を打つわ》
ファムは冷静な判断でアネットに鎮静剤を打つ
《ぐ……死ね…死ね…死ね……死ねええええええええ》
鎮静剤の効果は全くない
興奮状態のアネットは突撃砲から長刀に持ち替え、要塞級に突っ込む!
それと同時に要塞級の『鞭』がアネットに襲い掛かる!
バックステップで躱すアネット
力いっぱい操縦桿を握り、フットペダルを踏んだまま跳躍飛行で要塞級の頭部を斬りかかる…振りをして長刀持ったまま突撃砲を再度持ち36mm弾を放った
だが歯応えが……あった!
要塞級1体が崩れ倒れ見事殲滅
だが、安心してる場合じゃない
充電完了まであと50%……まだ撃てない
《はぁ…はぁ…はぁ…》
息を荒げ自我を失ったアネットは別の要塞級に狙いを定める
補給コンテナは………?
国連に援護して貰うと選択肢あるが、応援を要請したら来る前に俺達は死んでしまう。
俺の機体…サイコアリゲートルは『ビッグガン』に繋いだままだ、移動は不可能だ。
興奮状態から5分経過し、漸く正気に戻り自我を保った
《………》
アネットはかつてのテオドール・エーベルバッハみたいに要塞級を1体殲滅したかったのだろう
本来なら無謀な行為だ。
「日本帝国海軍の連合艦隊が面制圧砲撃する筈だ。ここは射程圏外…砲弾には届きはしない」
《市街地の砲撃は出来ないわね――インペリアルアーミーならそう判断するわ》
充電完了まであと60……
別の要塞級がアネット機に襲い掛かる
そして次の瞬間!
俺は独断で充電完了せずに『ビッグガン』の砲門から―――
「見えたッ!アネット、射線上から離れろ!」
即座にアネット機は射線上から退避する…
さらに電撃が放ち目の前にいる要塞級や光線級は殲滅した
『ビッグガン』のケーブルを外し事前に用意していた補給コンテナにある背部兵装担架を接続
《『ビッグガン』から離れるの?危険よ。ファム》
《今のところ問題ないわ。ダリル君、『ビッグガン』はどうなってるの?何か異常はなかった?》
「砲身が使用限界を越えました…」
もう限界だ
あれは放棄するしかない…名残惜しいが
夕呼Side
00ユニットの試験データは充分取れた
凄乃皇・弐型は人類存亡の為に希望を齎す鍵…だが最悪な事が起きてしまった
凄乃皇・弐型が墜落し機体機能は全て正常にもかかわらず再起動コードが受け付けない
ひとまず死ぬような状況ではないけど――遠隔操作で手記の再起動が出来ない理由は00ユニットが自閉モード
所謂、『人間が気を失ったような状態になっている』
白銀に00ユニットの回収含め戦域離脱するよう指示を出す
作戦プランGに従って最終的には爆破処理の工程に取り掛かろうと模索したが、艦内に何故か天羽組の小峠華太や国連軍憲兵に変装した組の構成員と思われる人間が艦橋に侵入し一時的にシージャック…乗っ取られたのよ。
何故極道組織の一人が『佐渡島を道連れする』ほどの起爆装置が搭載されてるのを気付いたか?
……そんなこと考えるのは時間の無駄よ。
帝国との最低限の約束は守れると確信したが、小峠はそれをよしとはしない。
『佐渡島は天羽組のシマの一つ』だからだ。
とりあえず伊隅には凄乃皇・弐型の自律制御の再起動を急がせた
小峠曰く『佐渡島の住民を敵回す気なのか?』
爆破したら私は天羽組に殺される
爆破しなかったらA-01部隊含め白銀達が巻き込まれ戦死する
苦渋の決断だった――――
そして私は東欧州社会主義同盟との連携する事を選択した。
連合艦隊もほぼ無傷で湾内侵入…奇跡だわ。
ここからが正念場ね――――白銀武。
しかしそうは問屋は卸さなかった――白銀達はよくやってるわね。
伊隅がプログラムにアクセス出来たと私に報告する
《副司令!プログラムにアクセスできましたッ!!》
「―――おおッ!?」
「良くやったわ!それで!?」
《主機の手動制御は全て確保しました!現在、自律制御と起爆プログラムの立ち上がりを―――》
「―――ふっ、副司令!Sエリアに旅団規模のBETA群出現…進路は―――A-02擱座地点ですッ!!」
「――…!」
小峠が再び私の後頭部に銃口を向ける
「おい、シマ荒らしたらどうなるか分かってんだろうな?」
「…」
「―――副司令!」
ああもう…今度は何よ!?
「SWエリアで第二戦隊と交戦中のBETA群が南下し始めましたッ!」
「――――ッ!?」
最悪な形になってしまったわ……
《副司令!プログラムがフリーズしました…反応ありません!》
「何ですって!?全く何処も彼処も何がどうなってるのよ!?」
くっ……爆破作業に取り掛かれない
「テメエ、今爆破作業に取り掛かろうとしているな?」
「……くっ…」
「爆破したらこの場で殺す」
「…BETAが迫ってるのよ」
「関係ねぇ。天羽組のシマを荒らしたら死ぬだけだ。アンタは極道を舐め過ぎた――本来なら射殺すると考えたが生憎そうはいかない」
あくまでも縄張りを荒らされたくないって言うの!?
「プログラムの再起動急がせろ!」
「―――――再起動急いで頂戴」
《ッ……!―――了解》
A-01は現在後退しつつBETA戦闘行っている。
連合艦隊も被害遭ってるが何とか凌いでいる。
どうすれば―――いいのよ!?
と思い悩んでいたその時だった。
なんと東欧州社会主義同盟総帥ベアトリクス・ブレーメから回線が接続された
《思い悩んでるようね――香月副司令》
「ぐ…東欧州社会主義同盟のアンタが何故日本領土である佐渡島にいるの?!》
当然の摂理だ、東欧州社会主義同盟の連中に何故佐渡島にいるのか?疑問を抱いた。
「……天羽組のヤクザが『最上』に潜入したのはアンタの仕業だったのね?」
《ふふ、さぁ?それはどうかしら――――私達がこの戦域に介入した理由知りたい?》
「別に聞きたくないわ――どうせ佐渡島をアンタ達の植民地にしようと目論んでるんでしょ?なら天羽組がここに入ってきてシージャックしたのも…」
《…確かに我々東欧州社会主義同盟は天羽組と協力し佐渡島の利権を入手したわ。でもそれは天羽組が利権を握るという条件。我々ではない―――天羽組の人間は貴女と同じ日本人よ》
この女、最初から最後まで―――――。
《佐渡島は無傷で取り戻す。悪いけど考えが釣り合わないから貴女が掲げる最終手段は納得できないわ》
悠一Side
佐渡島同胞団上層部から直々に指令が下った
それは東欧州社会主義同盟との連携作戦だ
……となると彼奴も佐渡島にいるのか
ムカつくが今はそんな事言ってる場合じゃない
《クローディアだ、ムーア中隊――ルウム中隊、ガイア中隊も…上層部から指令の内容は皆聞いた通り東欧州社会主義同盟の戦術機部隊がSWエリアに向かっている。同胞団艦隊は東欧州社会主義同盟の旗艦『カール・マルクス』と合流し戦力を立て直す》
「……(何故連中が佐渡島にいるのかは聞かないでおくか)」
《所定のルートはもうすぐBETAの支配下になるが我々はそれを阻止するのが任務だ。国連軍や帝国軍の衛士達も奮闘しているが時間の問題だ》
内陸を目指せってか?
脱出ルートは確保してある。
補給は…
《補給についてだが2㎞先に補給コンテナがある。三個中隊分武器と弾薬、推進剤があるからそこに向かって小休憩だ》
《ムーア1了解。これより補給に向かいます》
鈴乃は了承を得た
《では健闘を祈る》
と言い残してクローディアとの交信は切断した
《聞いての通りだ。クローディア中佐は補給を受けた後、SWエリアに展開するBETA群を掃討しながら東欧州社会主義同盟の戦術機部隊と合流しろと言う事だ》
選択の余地はない
こっからが正念場って訳かよ―――。
《紅林、鬼頭、早乙女、駒木、『豊洲』も補給を受けた方が良い。弾薬を装填しないと戦術機に乗ってる意味ないからな》
当たり前だがそうとしか言えない。
疲れたな……小休憩するか
《睡眠剤を打つ。休憩終わったら強制起床剤を打って任務再開するぞ》
「ムーア2、了解」
《ムーア3、了解!》
《ムーア4、了解しました!》
《ムーア5、了解した!》
《ム、ムーア6…了解!》
《ムーア7、了解です!》
あー、ねみぃ…眠たくなってきた――――。
そして俺は目を閉じ補給が終わるまで眠りに入った。
眠りに入ってから10分後、突如強制起床剤が打たれ補給を受けてる機体に乗ってる衛士全員が目を覚ます
プスー
「う!さびぃ!補給は終わったのか……」
《目が覚めたようだな―――ムーア中隊はA-02擱座地点に向かう。ルウム中隊とガイア中隊は後方に当たれ!》
《ルウム1、了解しました》
《ガイア1、了解です!》
「メインカメラ異常なし、マニピュレーターも異常なしだ」
一応、点検しておくか…事故ったら拙いしな。
《推進剤漏れはないな?では移動するぞ私のケツについて来い》
よし、凄乃皇・弐型の位置は把握できた。
あとは伊隅大尉達の所に行くだけだ。
5分後、全ての機体が補給終えた後補給コンテナから離れ、伊隅大尉達がいると思われるA-02擱座地点に向かった。
今回の話は殆どマブラヴSFのイベントシナリオ『命を賭した勝利(甲21号作戦外伝)』を参照して書きました。
マブラヴアニメ第二期始まりましたが、OPEDに第一期の第1話に出て来た佐渡島の少女がヴァルキリーズの衛士として出てきましたね………築地少尉の姿が全く見かけません(-_-;)
どう活躍するのか分かりませんし想像出来ません
と言う訳で次回のお楽しみに
余談ですが、最近ヒューマンバグ大学の動画毎日見ています(笑)